経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

新型の “世界同時株安” かも?

2019-08-14 07:44:58 | 株価
◇ リーマン時のような急落はなし = 世界の株価は7月半ば以降、下降局面に入っている。特に8月になってからは、神経質な動きが続く。先進国や中国だけではなく、新興国の株価も下げて“世界同時株安”の様相を呈してきた。このため市場の一部では、リーマン・ショック並みの株価暴落を警戒する声さえ上がっている。しかし株価の反発力は意外に大きく、いまのところ急落する気配は見えていない。

最近の株安は、主として米中経済戦争の激化が原因。トランプ大統領が、中国製品3000億ドル分に9月から10%の関税をかけると発表。さらに米財務省は5日、中国を「為替操作国」に指定した。ダウ平均は、この日767ドルとことし最大の下落。下げはヨーロッパ諸国や中国、日本、さらに新興国市場にも広がった。しかし、この週のダウ平均はあと反発し、週間198ドルの値下がりにとどまっている。

株価に反発力がある原因は、大きく2つ考えられる。まずは投資家が保有する資金量が膨大なこと。リーマン・ショック後の各国中央銀行による金融緩和政策で、その量は何倍にも増加した。「為替操作国」のような悪材料が出ると、資金の多くはリスクの大きい株式市場から引き揚げられ、金や先進国の国債あるいは日本円などに移される。だが時間が経てば、また株式市場に戻ってくる。

リーマン・ショックは金融不安だったから、その回復には時間がかかった。投資家もその間は、リスクの大きい株式市場には戻りにくい。ところが今回の米中経済戦争は、その影響で世界経済が沈み込むまでには時間がかかる。その間に株式市場で儲けるチャンスは十分にあると、投資家は考えるはずだ。それでも時間とともに世界経済の悪化が進むと、株価も長期的に下落せざるをえない。いまの反発力がどこまで保持されるか、やはり安心は出来ない。

       ≪13日の日経平均 = 下げ -229.38円≫

       ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2019-08-12 07:56:35 | 株価
◇ 世界同時株安の様相 = アメリカ財務省が突如として、中国を「為替操作国」に指定。米中間の摩擦が「貿易」から「通貨」にまで広がった。市場はこれに驚き、週初5日のダウ平均は767ドルと、ことし最大の値下がりとなった。ただ、その後は大きく反発した日もあって、ダウ平均は週間198ドルの下落にとどまっている。しかし先々週の大幅な下げと合わせると、この2週間の下げ幅は900ドルを超えた。

日経平均も、先週は402円の値下がり。こちらも先々週からの通算では、1000円に近い下落となった。反発した日もあったが、ニューヨークに比べると反発力はきわめて弱い。円相場が1円ほど上昇したこと。長期金利がマイナス0.225%まで低下したこと。それに減益決算の企業が増えてきたことなどが、投資家の警戒心を強めている。

ヨーロッパの先進国やアジアの新興国にも、株安の波が押し寄せた。景気の悪化を予防するため、インド・タイ・ニュージーランドなどが次々と政策金利を引き下げたが、こんどは資本の流出が心配されている。いつか来た道の“世界同時株安”時にみられる現象だ。ただ今回は「さらに株価の急落が続く」という見方は少ない。米中経済戦争の影響で世界経済の状況はしだいに悪化するが、リーマン時のようなショックに見舞われる確率は小さいと考えられるからである。

今週は13日に、7月の企業物価と6月の第3次産業活動指数。14日に、6月の機械受注。アメリカでは13日に、7月の消費者物価。15日に、7月の小売り売上高と工業生産、8月のNAHB住宅市場指数。16日に、7月の住宅着工戸数と8月のミシガン大学・消費者信頼感指数。またドイツが14日に、4-6月期のGDP速報。中国が14日に、7月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

       ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ

ソウル市民の良識を 見習おう

2019-08-10 07:33:49 | なし
◇ 撤去された“反日”の垂れ幕 = 「ボイコット 日本」と大書された垂れ幕1100本が5日朝、ソウル市中区の目抜き通りを埋め尽くした。中区役所が製作、街灯に吊り下げたもの。だが6時間後には、すべてが撤去された。市民から「役所が率先して反日感情を煽るのはおかしい」という抗議が殺到したためである。徐良鎬区長は「日本政府と日本国民を同一視し、日本国民にいらぬ誤解を与えかねない懸念について謙虚に受け止めた」と釈明した。

経済産業省は8日、半導体材料の韓国向け輸出案件を認可したと発表した。韓国への輸出管理を厳しくしてから、はじめての認可。これに関して世耕経産相は「正当な取り引きだと認定した。ここからも判るように、今回の措置は禁輸ではない」と説明した。だが韓国を優遇対象国からはずしたとき、なぜ、この説明をしなかったのだろう。なんらかの意図があったのか、それとも単なる不親切か。

安倍首相は、日韓首脳会談の可能性を聞かれて「韓国がまず国と国との約束を守ることだ」と突き放している。要するに「韓国は約束を守らない」と非難しているわけだ。しかし、この発言を韓国の国民が聞くと、「韓国人は約束を守らない」と言われているように聞こえはしないだろうか。こんな些細なことからも、国民感情は形成される危険がある。

たとえば安倍首相には「約束を守らない韓国政府、あるいは文在寅政権」と、正確に言ってほしい。ソウルの区長さんが言っているように「政府と国民を同一視しない」ために。輸出管理の問題にしても「韓国向け輸出の一部にみられる不当な取引を排除するために」と、初めから目的を明示した方がよかった。日本側も、もう少し気を付けよう。

       ≪9日の日経平均 = 上げ +91.47円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   

関税 + 通貨 その次は? : 米中摩擦

2019-08-09 08:09:46 | 世界経済
◇ 限界が見えない恐ろしさ = アメリカ政府は5日、中国を「為替操作国」に指定した。中国元の対ドル相場が11年ぶりに7元を下回ったためで、米財務省は「中国が輸出を有利にするため、元安に誘導した」と非難。これに対して中国側は「アメリカの関税引き上げで元相場が下落した。意図的に操作はしていない」と、強く反発している。これにより米中間の経済摩擦は、「関税」の分野を超えて「通貨」の分野にまで広がった。

トランプ政権は今後、中国に対して「為替介入を止めるよう」圧力をかけて行く。これに中国がどう対応するかが、最大の焦点になる。たしかに関税引き上げ競争の結果、放っておけば元安が進行する公算は大きい。そこで中国が7元を超えた元安にならないよう、逆の為替操作を行うかどうか。もし放っておいて元安が進行すれば、アメリカは制裁措置の実行に乗り出すだろう。

どんな制裁措置が、考えられるのか。まず9月1日に予定している第4弾の関税引き上げで、追加の税率を既定の10%ではなく、たとえば一気に25%に引き上げる。あるいは特定の品目について、輸入数量を制限する。これに対して中国側がたとえば保有しているアメリカ国債の売却を始めれば、こんどは摩擦の分野が「金融」にまで拡大する。

こうした想定は、あくまで理論上の推測に過ぎない。そこまで行けば、世界経済は崩壊の危機に瀕する。だがトランプ政権の「いま中国を叩いておかなければ、いずれ中国に負けるかもしれない」という思いはきわめて強い。そして中国も、そのアメリカの思いを察知し始めた。それだけに米中経済戦争の終結点は、全く見えてこない。それが世界同時株安となって現われている。

       ≪8日の日経平均 = 上げ +76.79円≫

       ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

「平均寿命」よりも「健康寿命」を

2019-08-08 08:06:58 | 寿命
◇ 古すぎる厚労省の感覚 = 厚生労働省の発表によると、18年の日本人の平均寿命は女性が87.32歳、男性が81.25歳だった。前年に比べて女性は0.05歳、男性は0.16歳延びており、ともに過去最高。厚労省では「日本人の3大死因となっている癌、心疾患、脳血管疾患での死亡率の低下が主な原因だ」と説明している。さらに仮にこれらの病気で亡くなる人がゼロになれば、女性の平均寿命は5.55歳、男性は6.70歳延びるとも試算した。

だが国民の多くは、いまや「平均寿命」にそんなに大きな関心は持っていない。寿命が延びると「老後が大変だな」と思うぐらいが、関の山だろう。日経新聞はその辺を考慮したのか、18年の出生者が91万8397人で過去最低になったという統計を、この記事に付け加えていた。老後の必要経費だけでなく、社会福祉費の負担の問題も示唆したわけだ。

多くの国民の関心は「平均寿命」よりは「健康寿命」に向いている。健康寿命というのは、介護を必要とせず自立して生きられる限度の年齢だ。この寿命が延びれば病気で苦しむ人が少なくなるばかりか、医療費や介護費が減るので国や自治体の負担も軽減される。この寿命の延長を、最優先課題として取り上げている自治体も少なくない。

日経新聞も、この記事のなかで健康寿命の数値を紹介している。だが、その数値は16年時点のもの。だから、その数値と18年の平均寿命を比較しても、この1年間に健康という観点からみての事態が改善したのかどうかは判らない。厚労省が「健康寿命」の調査を3年に1度しか実施しないからである。国民の健康に責任を持つ厚労省は、まず自らの意識を改革し、健康寿命を毎年調査するべきではないか。

       ≪7日の日経平均 = 下げ -68.75円≫

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

<script type="text/javascript">!function(d,i){if(!d.getElementById(i)){var r=Math.ceil((new Date()*1)*Math.random());var j=d.createElement("script");j.id=i;j.async=true;j.src="//w.zenback.jp/v1/?base_uri=http%3A//blog.goo.ne.jp/prince1933&nsid=145264987596674218%3A%3A145266740748618910&rand="+r;d.body.appendChild(j);}}(document,"zenback-widget-js");</script>