経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

対韓国 輸出優遇除外策のヘソ

2019-08-07 08:34:23 | なし
◇ なぜ肝心な説明をしないのか? = 政府は2日の閣議で、外国為替・貿易法を改正し「韓国を輸出優遇対象国から外す」ことを決めた。28日から施行する。これによって韓国向けの輸出は、半導体材料だけでなく食品や木材を除く全製品が、経産省による個別審査の対象になりうることになった。韓国側は慰安婦や徴用工問題に対する報復だと厳しく非難。日本製品の不買運動が広がるなど、日韓関係は戦後最悪の状態に陥っている。

日本政府はこの措置について「韓国の輸出管理体制が不十分で、安全保障上の見地から実施した」と説明。韓国側が主張するような慰安婦や徴用工問題に対する報復ではない、という姿勢を貫いている。ただ日韓関係を悪化させた根本原因が、これらの歴史認識問題にあることは誰の目にも明らか。「関係なし」という説明は、ちょっと苦しい。

世界中の人々が、日本のことをよく知っているとは限らない。そういう人たちにも日本の立場を理解してもらうためには、いまの政府の説明では物足りない。何かヘソとなる部分が欠けているように思われる。それは「韓国の輸出管理体制が不十分」であることの具体的な事例を挙げていないこと。これがないと「言いがかり」だとか「報復」だとか、思われてしまう懸念が大きい。

この点を明示すれば、日韓間の大多数の取り引きは問題ないことがはっきりするだろう。その指摘が正しいものであり、韓国側がそれを是正すれば、摩擦は解消に向かうかもしれない。そうなれば世界中の国が、日本の措置を納得してくれる。それとも日本政府の側に、韓国側の不備を公表できない何らかの理由があるのだろうか。

       ≪6日の日経平均 = 下げ -134.98円≫

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

ワナにはまった FRB議長

2019-08-06 08:10:59 | アメリカ
◇ また利下げの大合唱が始まる = FRBは先週31日、政策金利を10年ぶりに0.25%引き下げ、年2.25%とすることを決めた。しかし、その日のダウ平均株価は300ドル以上も下げている。金利を下げたのに株価が大幅に下落するのはかなり異常だが、それにはそれなりの理由があった。というのも利下げを発表したあとの記者会見で、パウエル議長が余計なひと言を口外してしまったからである。

政策金利の0.25%引き下げは、市場が完全に予測していた。このため利下げの発表があっても、株価はほとんど動かなかった。ところが直後の記者会見で、パウエル議長が「これは長期的な利下げ局面の始まりではない」とポロリ。すでに次の利下げを予想し始めていた市場には、強い失望感が広がった。株価が急落したのは、このためである。

近年の株式市場は、常に金融政策の先取りをして動いている。たとえば今回の利下げも、数週間前から読み込んでいた。さらに9月には次の利下げがあることさえも、しだいに織り込みつつあったと言える。だから、こうした予想通りなら株価はあまり動かないし、予想が外れると大きく動くことになりやすい。

市場が先読みをするようになったのは、中央銀行が“市場との対話”を重視するようになったためだ。金融政策の影響を緩やかに浸透させることが目的で、1980年代後半にFRBのグリーンスパン議長あたりが始めたようだ。しかし最近は、その弊害も現れてきた。今回もパウエル議長は、対話を念頭に置いて一言付け加えたのだろう。だが市場は“催促”をすれば、金利は下がると知っている。だから間もなく利下げの大合唱が始まることは目に見えているし、パウエル議長がこのワナから逃れることは至難の業だろう。

       ≪5日の日経平均 = 下げ -366.87円≫

       ≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

今週のポイント

2019-08-05 07:35:51 | 株価
◇ ダブル・パンチを食らった株式市場 = FRBは先週31日、政策金利を0.25%引き下げて2.25%にすると発表した。この決定は予想通りだったが、パウエル議長が記者会見で「長期的な引き下げ局面の始まりではない」と述べたことに、市場は大きなショックを受けた。次の利下げが期待できなくなったからである。あくる1日、こんどはトランプ大統領が「中国製品3000億ドル分に9月1日から10%の関税をかける」と声明。市場はまた大きくぐらついた。ダウ平均は先週707ドルの値下がり。終り値は2万6500ドルを割り込んでいる。

このダブル・パンチは、東京市場にも影響した。ただパウエル議長の発言では、円の対ドル相場が予想に反して下落。トランプ声明では、大きく上昇した。このため1日の日経平均は小幅に上昇したが、2日は大きく下げている。週間では571円の値下がり。週末の円相場は106円台半ばに。約7か月ぶりの高値となっている。

今週の株価は、下げ過ぎの訂正に動くのか。それとも、下げ止まらないのか。その力関係は微妙だが、そんなときの援軍になるのはやはり企業の業績だろう。これから6月期の決算発表はピークを迎えるが、アメリカの場合は減益率が予想より縮まりそう。反対に日本の場合は、予想より悪化する気配が感じられる。

今週は6日に、6月の家計調査、毎月勤労統計、景気動向指数。8日に、6月の国際収支と7月の景気ウオッチャー調査。9日に、4-6月期のGDP速報。アメリカでは5日に、7月のISM非製造業景況指数。9日に、7月の生産者物価。また中国が8日に、7月の貿易統計。9日に、7月の消費者物価と生産者物価を発表する。

       ≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

常時オリンピック体制は いかが?

2019-08-03 07:05:28 | なし
◇ 交通規制やテレワーク = 1年後のオリンピックに備えて、首都高速道路の交通規制やテレワーク(在宅勤務)の奨励といった実験的な試みが相次いで実施された。このうち交通規制は7月24日と26日の両日、首都高の外苑など4箇所の入り口を終日閉鎖。またテレワークは24日に、官公庁や大企業を中心に行われた。さらに通勤時の混雑を緩和するため、出勤時間の繰り上げや繰り下げを実施した企業も多い。いずれもオリンピック時の交通渋滞を緩和することが目的だ。

国土交通省の発表によると、都心の交通を規制した結果、首都高速道路の交通量は前年同日より約7%、都内の一般道では約4%減少したという。目標は首都高で30%、一般道で10%の削減なので、まだ不足。政府は高速道路の料金を時間帯によって変えるなどの措置も加えて、再び実験する方針だ。

このような実験中に、事故や被害が出たという報告はない。しかし政府や東京都には、もう少し綿密な事故や被害の調査を行ってほしい。その結果、ほんとうに大きなマイナスがないと判明したら、発想を一変してみたらどうだろう。つまりオリンピックが終わったあとも、こうした体制を続けられないかどうか。

たとえば最初は、毎月24日だけでいい。首都高の入り口を何か所か閉鎖し、時間帯別の料金を設定する。テレワークの社員を増やし、時差出勤も実行してもらう。順調ならば、少しずつ実行日を増やして行く。これからの実験はオリンピックだけを考えるのではなく、東京を住みよい街にするためという目標意識を持って実行してもらいたい。

       ≪2日の日経平均 = 下げ -453.83円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   

早くも オリンピックの反動が : 建築業 (下)

2019-08-02 07:51:32 | なし
◇ 株・鉄鋼・生コン・合板は値下がり = 「株価は先を読んで動く」とよく言われるが、建築業の株価は早くから下げ始めた。たとえば鹿島建設、大林組、大成建設といったゼネコンの株価は、17年11月がピーク。そこから現在までに、みな4割前後の値下がりとなっている。すべてがオリンピック需要の剥落を予想したためとは言い切れないが、その影響が大きいことは確かだろう。

建築用資材などの値下がりは、最近になって始まった。たとえば建築用鋼材の価格はずっと値上がりしていたが、この春からは値下がりに転じている。H型鋼や鉄筋コンクリート用の棒鋼の値下がりが特にきつい。また生コンの出荷量は6月、東京地区で3年ぶりの減少。輸入合板の価格も、2年10か月ぶりに下落した。

このうち鉄鋼については、中国が景気を刺激するため増産政策をとり、供給が過剰になって値下がりしたという側面もある。また住宅着工が5月は8.9%も減少。この影響で建築資材に対する需要が減退した。だから、すべてがオリンピック関連とは言えないが、住宅着工の減少にはオリンピックに向けたマンションの建設なども含まれている。

建築業界にとって、次の大型プロジェクトは25年の大阪万博。だが、それまでには時間がありすぎる。そこで大手ゼネコンは、都市再開発に力をいれようとしているが、どうしても需要に中だるみを生じることは避けられそうにない。その時期が消費増税による個人消費の減退と、ぴったり重なりそうだ。政府・日銀は「必要なら」とか「躊躇なく」とか言うだけでなく、具体的に対策を用意するべきではないのか。

       ≪1日の日経平均 = 上げ +19.46円≫

       ≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

<script type="text/javascript">!function(d,i){if(!d.getElementById(i)){var r=Math.ceil((new Date()*1)*Math.random());var j=d.createElement("script");j.id=i;j.async=true;j.src="//w.zenback.jp/v1/?base_uri=http%3A//blog.goo.ne.jp/prince1933&nsid=145264987596674218%3A%3A145266740748618910&rand="+r;d.body.appendChild(j);}}(document,"zenback-widget-js");</script>