それは2010年のことだった。
初めて千々石町にある「げんこつ家」を訪れた。
そして食べたラーメンがこちら。
軽やかで優しいライトトンコツ。しかもあっさりとした中にコクがあります。
きれいなトンコツスープです・・・と書きました。
それからこのお店にずっと通うことにしました。
これぞ、私の好きなラーメンになるー!と思ったからです。
その1杯のために長崎市内から片道約1時間、バイクで通いました。
いつの間にか「ラリラリピノスペシャル」(自称)というメニューを食べていました。
こちらです。ラーメンにごはん小に海苔。
チャーシューメンの時もあったり、大盛りの時もあったり。
佐賀スタイルのラーメンが大好きな私には、このお店こそ長崎で一番だったお店。
この旨味たっぷりの味でどれだけ心が和んだことか。癒されたことか。
昨年、お店が閉じられましたが、いつかまた再開するのではないかとずっと待っておりました。
たくさんのファンが心待ちにしていたと思います。
しかし、この度大将の訃報に触れまして、言葉を失ってしまいました。
大将はまだ若く、50歳そこそこだったはず。
2016年1月の新聞記事。
もう涙しかない。
体を壊したと風の噂には聞いていたけれど、そこまで深刻だとは知る由もなかった。
もう、彼と語ることも出来ない、彼のラーメンも食べることが出来ない・・・。
ひとつ確かなことは、彼の大将のラーメンへの姿勢が好きだったし、彼のラーメンが好きだったし、
あの味わいはずっと忘れない。ずっと心に刻んでおきます。
巨星堕つ・・・私にとってはまさにそう。
本日は献杯となりました。
2020 エコバランス ピノ・ノワール
(チリ、ピノ・ノワール種、赤、千円程度)
軽やかな中にちゃんと旨味があって、まさにげんこつ家の初期の頃を思い起こさせます。
ここを出発点として、ラーメンとしてグランヴァン(特級)へ、巨匠の域へと成長しました。
この軽やかさはすいすいと入り、一見スムースで軽そうですが、やはりピノ・ノワールの
奥深さの一端というか入り口に立っているのだと思います。
しばらくはがっくりの日々となりそうですが、ラーメンも、ワインも人に喜びを与え、
幸せにすることは間違いありませんし、私の仕事もそうありたいと思っています。