どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

どうぶつ・ティータイム(31)

2007-11-26 17:26:00 | ドライブ

     品木ダムまで


 足早に迫る冬の到来に、大忙しの毎日を送っている。
 先だっての寒波襲来の日には小雪もちらつき、玄関先の寒暖計が朝六時にマイナス7度を記録した。

 一応の対策はとってあったが、本格的な冬の備えはまだまだだ。
 仕舞ってあったタイヤチェーンを引っ張り出したり、薪を作ったり、枯葉を掃き集めそれを燃やして灰づくりをしたり、次から次とやることはなくならない。

「群馬はどこまで行っても道が舗装されている」というのが、もっぱらの噂である。
 周辺をクルマで走ってみると、その囁きがあながち間違いではない気もする。こんな山奥まで? といぶかしむほど、道路の整備が行き届いている。

 なんだかんだと槍玉にあがっている八場ダム(ヤンバダム)も、遅れ気味ながら着々と工事が進んでいる。
 隣の長野県とは大違いの様相で、あっちこっちに工事現場があり、なかなか全容がつかめない。

 道路については恩恵をこうむっている関係であまり文句も言えないが、美しい吾妻川の流域が川原湯温泉も含めて水没してしまうのは何とも残念なことである。
 紅葉で知られた吾妻渓谷の一部は残るが、JR吾妻線は延々トンネルの中ということになるらしい。

 吾妻川といえば、上流に位置する品木ダムに一度は行ってみたいと思っていたが、本日願いがかなった。
 六合村から草津町に抜ける山道を峠近くまで登り詰め、そこから右の方へ下っていくと十分ほどでダムに至る。

 品木ダムは、別名(上州湯の湖)ともいうらしい。
 ここで酸性の水を中和し、吾妻川に流していると聞いていた。
 行ってみてなるほどと納得がいった。湖面からほのかに湯気が立っており、硫黄の臭いが漂っていた。

 湖面には浮き玉を連ねたフェンスが張られ、舟艇が一艘忙しく往き来していた。
 湖畔の道路はもちろん舗装されている。作業車が行き交うのだから当然かもしれない。
 分岐点を右へたどれば白砂渓谷ラインへ出る。尻焼き温泉方面や野反湖に向かうこともできる。
 左に行けばいろいろなコースを経て、やがて草津温泉に出る。

 雪化粧した新潟の山が垣間見えたのでパチリ。
 上州湯の湖との取り合わせが、冬の風情をとりわけ引き立てる。
 かねて念願の品木ダムを見届けて帰路に着いた。

 

 

 

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2 コメント

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息吹く季節感伝えて (tadaox)
2007-11-27 01:35:12

季節に応じて東京と北軽井沢を住み分けている窪庭さん。本格的冬の到来に備える生活の知恵は掌中のものでしょうが、なぜ落ち葉を集めて灰を作るのか。葉は集めたまま蓄えて燃料にすればいいのに、と四国の温暖地に育った私は小首をかしげてしまいます。それでも年末から年始の10日ほどを信州・戸隠で過ごしたことがあり、「水道の蛇口は閉め切らないでね。凍って管が破裂するから」と注意されたことがありました。草津道路は凍らない。地下に温水パイプを埋め込んであるから、と教えられたこともあり。また季節の息吹フレッシュな名エッセー・紀行文を読ませてください。待ってます。(EJIMAR氏より)
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偶然近くに (知恵熱おやじ)
2007-11-28 02:01:32

連休のあたりに品木ダムにお出でになっておられたご様子。
うーん、偶然ですが私もそのとき案外窪庭さんとあまり離れていない場所にいたことになります。

24~25日にかけて吾妻川上流山中の一軒宿「たんげ温泉」に取材相手の医者らと一泊していたのです。
何もない山奥でしたが温めの柔らかい湯が素晴らしく、湯に入っては語り、話疲れては夜中にかけ流しの湯に入り上がってまた語りと、わずかの間に6時間以上も湯に使った計算で我ながら呆れてしまいました。
いくら温泉好きとはいえこんなことは初めてです。

地図で見ると先日の窪庭さんのブログにあった『暮坂峠の若山牧水の碑』もそう遠くないようで、そのあたりは窪庭さんの行動半径にあたっていたのですね。

群馬県は総理大臣が多く出た土地であるせいでしょうか、たしかに道が整備されていますね。
やはり政治の力かな。

私の住む埼玉の住宅地では冬支度という感じは味わえませんが、群馬県では現実の生活の中に冬支度が生きているのですね。
ブログの文章から季節感が実感を持って伝わってきました。


知恵熱おやじ
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