楳図かずお監督作品『マザー』近日公開
恐怖漫画の巨匠・楳図かずおが初監督した映画『マザー』が、9月27日から劇場公開される。
ぼくが漫画月間誌『ガロ』に携わっていた1960年~70年代、白土三平やつげ義春、水木しげる等とは別の世界に楳図かずおの存在があった。
すでに名前は通っていたが、少女マンガのマーケットは別にあり、ぼくの関わった期間に楳図漫画がガロの誌面を飾ることはなかった。
後年知り合った当時の人気劇画作家・旭丘光志氏に聞いたところでは、池袋あたりで楳図かずおとよく顔を合わせていたらしい。
ぼくが楳図かずおの存在を意識したのは、吉祥寺の街中で赤白の縞模様のシャツ姿を目にしてからで、それが頻繁だったので近辺に住んでいることがわかったのだ。
その後、自宅建物の外観をめぐって住民からの訴訟騒ぎで渦中の人となったが、まもなく一件落着となってさまざまのメディアに出演していたようだ。
その頃のことだと思うが、テレビ番組で楳図邸内部をレポートしたことがあった。
すると、どこもかしこも赤白縞模様の楳図カラーで統一されていて、住民の苦情以前に自分自身が辟易としないのだろうかと心配になったものだ。
腱鞘炎で新作から遠ざかっていたはずだから、そちらの方のストレスも溜まっていたのではないかと余計なことまで考えてしまった。
ところが今朝なにげなくNHK総合テレビを見ていると、ひさびさに楳図かずおが登場していた。
インタビュー ここから 「チャレンジが人生を彩る 漫画家 楳図かずお」というタイトルで、77歳の楳図かずおが自身の脚本・監督で「マザー」という映画を制作したという話題であった。
ここまでミーハー的興味で書いてきたが、冒頭に掲げた「こうして『マザー』は生まれた」の内容と同様の話を聞き、生まれ故郷に近い曽爾高原の映像を見て、俄然触発されるものがあった。
なんという美しい山地、なんという清涼な空気、なんという奥深い人々の営み。
幼い頃、父親から聞かされた民話や伝説が、少女ホラー漫画の原点になっているという話も興味をそそられた。
また、楳図かずおの本籍地である奈良県宇陀郡五條市は、何度か当ブログに登場した印美書房の故島本正靖氏の実家に近い。
さらには氏の甥っ子が、小学校時代に楳図かずおと同級生だったという話も聞いていたから、ここへ来て急に親近感が湧いてきた。
楳図かずおがどんな子供だったか聞いてみたい気もするが、小学5年生のとき手塚治虫の「新宝島」に出合って漫画を描きたいと思ったというから、今日あるのもむべなるかなである。
27歳の時上京し、本格的に漫画作家の仲間入りをしたわけだが、手塚治虫でも描けない分野を探すしか生き残れないと判断し、試行錯誤を繰り返したらしい。
本人曰く、その頃は「いろんな漫画家のいいとこ取りをしていたんですよ」
今回の映画『マザー』のタイトルには、なんとなくヒッチコックの「サイコ」を連想させるものがある。
9月27日が公開初日で、ぼくが観るためには「新宿ピカデリー」か「渋谷シネパレス」に行くのが一番だが、たぶん初日の混雑に立ち向かう勇気はない気がする。
とりあえず、試写を観た方の解説を引用しておく。
「漂流教室」「まことちゃん」などで知られるホラー漫画界の巨匠・楳図かずおが、77歳で映画監督デビューを果たした長編作。自ら脚本も手がけ、亡き母との思い出と自身の創作の秘密に迫った自伝的ストーリーを描いた。人気漫画家・楳図かずおの自叙伝の出版準備を進める担当編集者・若草さくらは、楳図独特の創作の原点には、彼の亡き母イチエの影響があることを知る。イチエについて調べるため、楳図の生まれ故郷の山村を訪ねたさくらは、そこで次々と怪奇現象に襲われる。社会現象を巻き起こしたドラマ「半沢直樹」で話題を集めた歌舞伎俳優の片岡愛之助が、楳図役で主演。元宝塚の女優・舞羽美海が担当編集者のさくら、真行寺君枝が楳図の母イチエを演じているほか、主題歌を提供した中川翔子も出演している。
以上、勝手に宣伝させていただいた。
興味のある方は、是非ご覧になってください。
* 追記 NHK総合テレビのインタビュー「ここから」に楳図かずお監督が出演する。
再放送は9/25午前3:28から。
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ぜひ観てみたいですね。
現地ロケがあるとすれば、奈良の曾禰高原の清々しい映像が出てくるはずですので、それを見るだけでも行く価値ありと考えています。
キャストも面白くて、愛之助の他に母親役の真行寺君枝がどんな演技をするか興味を持っています。
エキセントリックというか、意識過剰というか、変身ぶりが見ものです。
『マザー』面白そうですね
梅図かずおは子供の頃
少女フレンド?(だったと思います)に
連載された『ヘビ女』を鮮明に覚えています
その後、『まだらの少女』『ねこ目の少女』も強烈で
夜トイレに一人では行けずに
妹を起こして行ってました(^_^;)
その後
コミックの『まことちゃん』は面白かったです
大人になって読んだ『洗礼』は
とてもセンセーショナルでした
かなり前に
梅図かずおの家を見て
あまりにも非凡過ぎて
○○と天才は紙一重かなとか思ったりもしましたが
リアルタイムで恐怖を味わった世代にとっては
やはり天才なのだと思います
片岡愛之助の演技も楽しみですね!
いつもありがとうございます
リアルタイムで楳図マンガの恐怖を味わった方の話は、深みがありますね。
映画も男とは違った目線で観れるわけで、どんな評価がされるのか楽しみです。
コメントありがとうございました。