日本の携帯市場では通信キャリアといわれるドコモやau・ソフトバンクといった接続会社が指導的な力を持ち、日本という限られた市場の中で熾烈なシェア争いを繰り広げ、魅力のある機器開発へのメーカーの主体性を阻害してきたと言われています。お財布携帯などの多機能的な方向では高い技術を蓄積しながら、現状の世界マーケットシェアではノキアやモトローラそしてサムソンなどに大きく差を付けられてしまいました。国内市場の成熟飽和を受けて世界を見据えた開発メーカーへと大きな戦略転換を迫られている中で、タッチパネル方式の優れた操作性とミニマルなデザイン性、そしてiTunesといった音楽・ビデオのメディア・サービス戦略を絡めて投下されるiPhoneを、各社固唾を飲んで見守っているといったところでしょうか。
値段にしても従来の半額の約2万円という予想を超えた戦略的な値段になっており、最近の携帯電話では高画素デジタルカメラ付きの機器などを選べば4.5万円もする現行商品には脅威となるはずです。加えて提携したソフトバンクでは、ヤフーBBにも加入していれば固定電話との通話料金がゼロになるというキャンペーンを打ち、iPhoneでの新たな加入者取り込みを狙っています(これにはドコモも追随しなければならないでしょう)。僕は今年長年使っていたドコモからauに変えたばかりで、Macユーザーとはいえ直ぐの乗り換えは難しいと思いますが、iPodのユーザーやアップルファンを中心におそらく大きな動きがあると考えています。
いずれにしても、これからは否応無しに携帯メーカーはグローバルな製品開発を念頭に、通信キャリア依存から離れ独自性のある主体的な開発戦略を求められており、ある意味ではデザインや開発部署にとってはやりがいのある状況になってきているという認識に立たなければならないと思います。
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