古くは創業者の本田宗一郎さんの時代からの夢であった、ホンダが自家用ビジネス・ジェット発売へ向けて今まさに飛び立とうとしています。先日朝のNHKニュースの中で、自動車で示されている定評のある燃費技術の著しい向上や、エンジンを主翼の上に搭載するというその構造上の新たな特徴などが、ホンダらしいスマートで格好いいデザインの機体が空を飛ぶ映像とともに紹介されていました。
グローバルなエネルギー問題が今後も大きな課題となる中で、その解決方法として機体の軽量化では炭素繊維素材を使用する他、何と言っても特筆すべきはエンジンを主翼の上に突出した形で取り付けるという逆転の発想にあります。常識ではエンジンは空気抵抗を弱めるために、主翼の中に一体に埋め込まれた設計にすることになっています。しかし実際にいろいろ実験的に計測してみると、エンジンの位置を主翼の上に搭載した方が空気抵抗を減らせることが分かりました。
やはり新しい構造・設計をしたりデザインをイメージする時には、従来の常識を疑い自分の中の固定観念を打ち破って、あらゆることに実験的なスタンスで望むことが大切であると改めて考えさせられました。
現在の世界不況の中、新規ビジネスを起ち上げることには厳しい環境ですが、ビジネス回復とともに自家用ジェットの需要も徐々に上向きつつあると言われています。担当社長のインタビューではこの時期に参入できることをチャンスと前向きに捉えられていることも伺えました。ぜひ日本の技術の素晴らしさを改めて世界に発信する先陣となり、まさに日本ものづくり経済の一翼を担って頂きたいと願っています。
※ 『マックピープル』9月号のMacパソコンの歴史とスティーブ・ジョブズCEOの論評の中で、MacBook Airなどのアルミニウム本体が切削加工によって製造されていることが、ホンダで開発されているビジネス・ジェットの主翼の造り方と同じだと書かれていました。アルミニウムの切削加工による製造が、薄くても強度が高く組み立てや設計変更などもしやすくて、結局コスト的にも有利のようです。