「名作を生んだ作家の伝記シリーズ」第7巻で、J.K.ローリングの伝記だそうです。生きながらにしてもう伝記が書かれてしまうのですね。
伝記といいながら中身はハリー・ポッターシリーズの内容とそれに対する読者や世間の評価が大部分で、ローリング自身の半生については目新しい情報は皆無と言っていいでしょう。
しかも原書は2002年の出版でハリー・ポッターシリーズでは4巻の「炎のゴブレット」までしかフォローしていません。そのため出てくる写真も最新刊の話をしているところで4巻関係のものばかり。
それを2008年に日本で出版するのであまりに酷いと思ったのか「はじめに」と「第8章 それから」が訳者によって書き下ろしで追加されて最近のことにも言及はされています。でも、中身には立ち入れないと考えてか、例えば、ローリングが子どもの頃、ワイ渓谷の「ディーンの森」を探検したエピソードを紹介して「禁じられた森を書くとき、ローリングはもしかしたらディーンの森を思いうかべていたのかもしれない。」(25頁)と書かれていて、そのことを訳者あとがきでもそのまま「子どものころ遊んだディーンの森と、禁じられた森とをつなぐ糸」(128頁)なんて挙げています。でも、新たな書き下ろしをする訳者がハリー・ポッターの7巻をちゃんと読んでいたら、ディーンの森のことに触れるなら、ハリーとハーマイオニーが追っ手を逃れて転々とする中でディーンの森に行きハーマイオニーが「グロスター州のディーンの森よ。一度パパやママと一緒に、キャンプに来たことがあるの。」(「死の秘宝」上531頁)と述べていることに言及しないでいられるはずがないと思います。
こういう本がハリー・ポッターシリーズを十分愛していない人に書かれるのは、なんだかなぁと思います。
原題:WHO WROTE THAT? : J.K.Rowling
チャールズ・J・シールズ 訳:水谷阿紀子
文溪堂 2008年8月発行 (原書は2002年)
伝記といいながら中身はハリー・ポッターシリーズの内容とそれに対する読者や世間の評価が大部分で、ローリング自身の半生については目新しい情報は皆無と言っていいでしょう。
しかも原書は2002年の出版でハリー・ポッターシリーズでは4巻の「炎のゴブレット」までしかフォローしていません。そのため出てくる写真も最新刊の話をしているところで4巻関係のものばかり。
それを2008年に日本で出版するのであまりに酷いと思ったのか「はじめに」と「第8章 それから」が訳者によって書き下ろしで追加されて最近のことにも言及はされています。でも、中身には立ち入れないと考えてか、例えば、ローリングが子どもの頃、ワイ渓谷の「ディーンの森」を探検したエピソードを紹介して「禁じられた森を書くとき、ローリングはもしかしたらディーンの森を思いうかべていたのかもしれない。」(25頁)と書かれていて、そのことを訳者あとがきでもそのまま「子どものころ遊んだディーンの森と、禁じられた森とをつなぐ糸」(128頁)なんて挙げています。でも、新たな書き下ろしをする訳者がハリー・ポッターの7巻をちゃんと読んでいたら、ディーンの森のことに触れるなら、ハリーとハーマイオニーが追っ手を逃れて転々とする中でディーンの森に行きハーマイオニーが「グロスター州のディーンの森よ。一度パパやママと一緒に、キャンプに来たことがあるの。」(「死の秘宝」上531頁)と述べていることに言及しないでいられるはずがないと思います。
こういう本がハリー・ポッターシリーズを十分愛していない人に書かれるのは、なんだかなぁと思います。
原題:WHO WROTE THAT? : J.K.Rowling
チャールズ・J・シールズ 訳:水谷阿紀子
文溪堂 2008年8月発行 (原書は2002年)