伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

あの映画は何人みれば儲かるのか

2008-12-26 23:11:29 | 実用書・ビジネス書
 映画や音楽、出版のエンターテインメント業界の利益とコストの構造、損益分岐点の考え方を解説した本。
 「はじめに」ではエンタメを題材に会計を学ぶようなことが書かれていて、「さおだけ屋」の二番煎じかと思いましたが、会計のことはそれほど突っ込まれていません。その分読みやすいとも言えますが。
 「あの映画」というタイトルからは具体的な映画のデータで興行収入とかコストが分析されているのかと期待しますが、例えばこの費用がこうだとすればという形で話が進められ、個別の映画についての知識ではなく、あくまでも「考え方」が語られます。その意味で、興味深い話ではありますが、裏話ではなく業界の世間話というところ。
 内容的にも、会計関係の部分よりも、業界の慣習とかエンタメビジネスの構造部分の方が、興味深く、なるほどなと思いながら読めました。


松尾里央 TAC出版 2008年11月15日発行
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ゼルダ 最後のロマンティシスト

2008-12-26 00:00:52 | 小説
 作家志望の将校と結婚した身持ちの悪い娘ゼルダが、フランス人飛行士と出奔して淫蕩の日々を過ごした末捨てられ、次第に精神を病み精神病院に入院しながら過去の栄光を脚色・作話しながら語り続ける小説。
 話者が心を病み、自らの語りや医者・カウンセラーへの語りというスタイルで進められるため、同じエピソードが少しずつあるいは大幅に違って繰り返され、とても読みにくい。何が真実なのか読み取ろうとして読むと、とまどいを感じ、また苛立ちます。放蕩娘の話ですから、決して高尚なことは書かれていませんが、ジュンブンガクしているというか、実験小説的というか、エンタメとして読むには辛い作品です。
 そして主人公に共感することもまた難しい。夫を捨てて男と淫蕩の日々を過ごした後で夫の元に戻り、「私が何をしたって言うの?」(130頁)です。主人公の語りにはまっとうな価値観ではつきあいきれません。
 ゴンクール賞受賞作だそうですが、新潟出張の車中という環境でなければ、私はきっと途中で投げ出したと思います。


原題:ALABAMA SONG
ジル・ルロワ 訳:傳田温
中央公論新社 2008年11月10日発行 (原書は2007年)
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