伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

オールド・フレンズ 上下

2009-08-21 00:38:43 | 小説
 次々と男を乗り換えて生活する荒んだ母の元で邪魔にされながら育てられた男っぽい少女まことと、教師夫婦の元で愛情を持って育てられた少女はるかが、8歳の時にまことがはるかの隣家に引っ越してきて出会い、まことの母の荒れた生活を見かねた、まことの担任でもあるはるかの母がまことの母と対立しながらまことを夕食に呼び続けまことの母の逮捕をきっかけに引き取って育てるが、はるかに思いを寄せるまこと、幼なじみの野球選手哲平に思いを寄せるはるか、まことに思いを寄せる哲平といった三角関係の下で16歳のある日はるかの両親が家を空けた一夜に重なった事件の末家を飛び出したまこととはるかのその後の生き様を描いた青春恋愛小説。
 欲望を剥き出しにし身勝手な母親の元で虐待され続け、母親の男にも襲われ、女の身で女を愛してしまったことに身もだえするほど悩み続けた挙げ句その愛するはるかとの事件の末に16歳の身空で身一つで飛び出したまことの運命と心情には涙します。はるかの身にもそれ相応に悲劇は押し寄せるのですが、私は、まことのような虐待され、異端故に悩みと不幸を背負う主人公には、たぶん過剰に、感情移入してしまうたちなもので、まことを不幸が襲う度に胸を痛めて読みました。まことが体を売って生活しながら自業自得とかあの母の元に生まれた定めと自らを責める時期が比較的短く描かれているのがせめてもの救いでした。
 キャラ設定がはまって私が感情を揺さぶられすぎたかなという気もしますが、哀しさと切なさと甘酸っぱさに満ちた読みでのある作品でした。


浅倉卓弥 宝島社 2009年7月24日発行
コメント
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