伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

オーパーツ 死を招く至宝

2020-02-14 23:37:26 | 小説
 国内序列第1位の東京のS大学法学部1年生で記者志望の鳳水月と、鳳とまったく同じ顔をした神秘の工芸品オーパーツを求めて世界を股にかける鑑定士古城深夜が、次々と起こる殺人・怪死事件の謎を解く短編連作ミステリー。第16回(2017年)『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
 希少な工芸品をめぐる謎というややクセのある題材で、クセのあるキャラクターをややクセのある文体で描いて読ませる第1章と第2章は、トリック一発にかける比重が大きく登場人物が少ないことから長い展開が難しいという事情はあるでしょうけど、膨らませて長編にしてもよさそうに思えました。第3章と第4章が、数あわせというか長さあわせのためにひねり出した感があり、1冊の本としては後半に失速する印象があります。もっとも、第1章か第2章のネタで長編1作にすると、それはそれで間延び感があったかも知れませんが…そのあたり、商品としての小説の構成の難しさを感じます。そして、エピローグ。読んでいて、最後にここで一発古城深夜の裏にさらにそれを操る黒幕、みたいなメタ・トリックを期待しましたが、単なる続編宣言/宣伝に終わり、失望しました。これが見事な締めで決まれば、第3章第4章の失速感を補いよい読後感を回復できたのでしょうけれど、後半間延びした挙げ句に最後にこれでは、このエピローグ、なからましかばと…


蒼井碧 宝島社 2018年2月1日発行
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