交通事故の損害賠償について、加害者側の弁護士と損害保険会社の側からの実務を解説した本。
基本的に損保の視点で、いかに払いすぎを避けるかに力点が置かれたものですが、調査資料の入手や着目点などは、被害者側でも参考になるものと思えます(私が交通事故の事件ほとんどやってないので知らないだけかも知れませんけど)。
自由診療で高額の請求をする医療機関やマッサージ・消炎鎮痛処置、整骨院に対する批判(17~25ページ、96~101ページ)が生々しくて驚きます。高額でも全部保険から支払われると思ってそういった治療・施術を安易に受けていると、裁判等では必要性や相当性が認められずに保険金が出ず、既払い分が休業損害や慰謝料などに充てられることになって結局被害者が受け取る損害賠償が予想外に減額されることになりかねないという点では、損保会社側の嘆き・恨み節に留まらず被害者側でも気をつけるべきことになりますが。
妻だというだけで家事従事者と認められ、また祖母が同居する子ども夫婦が共働きだというだけで家事従事者と認められてそれに対応する休業損害(賃金センサス相当)が認められることに不満を述べ、「裁判所の家事従事者の認定においては今日も歴然とした男女差があり、『女性は家事労働をしている』という擬制の下に実務が展開されているとさえ感じることがある」と非難しています(111ページ)。子の親権で妻が圧勝する家裁の実務と通じるところもありますが、著者は別に男性にも家事従事者性を認めろということでは決してなく、損保の支払を減らしたいだけなのに、それを何か両性の平等をいうような口ぶりでいうのはいかがなものかと思います。
松浦裕介、岩本結衣 ぎょうせい 2023年12月30日発行
基本的に損保の視点で、いかに払いすぎを避けるかに力点が置かれたものですが、調査資料の入手や着目点などは、被害者側でも参考になるものと思えます(私が交通事故の事件ほとんどやってないので知らないだけかも知れませんけど)。
自由診療で高額の請求をする医療機関やマッサージ・消炎鎮痛処置、整骨院に対する批判(17~25ページ、96~101ページ)が生々しくて驚きます。高額でも全部保険から支払われると思ってそういった治療・施術を安易に受けていると、裁判等では必要性や相当性が認められずに保険金が出ず、既払い分が休業損害や慰謝料などに充てられることになって結局被害者が受け取る損害賠償が予想外に減額されることになりかねないという点では、損保会社側の嘆き・恨み節に留まらず被害者側でも気をつけるべきことになりますが。
妻だというだけで家事従事者と認められ、また祖母が同居する子ども夫婦が共働きだというだけで家事従事者と認められてそれに対応する休業損害(賃金センサス相当)が認められることに不満を述べ、「裁判所の家事従事者の認定においては今日も歴然とした男女差があり、『女性は家事労働をしている』という擬制の下に実務が展開されているとさえ感じることがある」と非難しています(111ページ)。子の親権で妻が圧勝する家裁の実務と通じるところもありますが、著者は別に男性にも家事従事者性を認めろということでは決してなく、損保の支払を減らしたいだけなのに、それを何か両性の平等をいうような口ぶりでいうのはいかがなものかと思います。
松浦裕介、岩本結衣 ぎょうせい 2023年12月30日発行