学級カーストの上層にいた、今も人を見下すことが習い性になっている性格が悪くてそれを自覚していない中原大樹・莉子夫婦とその友人住吉美南、その同級生で大樹にいじめられ屈辱感を味合わせられそれを引きずる園田律、中原と住吉と同じ保育園に娘を預けているやはりいじめられた過去を引きずる佐々木朱音らが絡む日々を描いた小説。
タイトルは、朱音が小学校でいじめられ校舎から飛び降りて骨折して休んだところへ訪ねて来て朱音の話を聞き、「犀の角のようにただ独り歩め」「雲に届くように高く飛びなさい。きみには翼があるんです」と言って去った教師に対して大人になっても反感・違和感を持ち続ける佐々木朱音の心象(199ページ)から採られています。もちろん人それぞれですけど、青春ドラマでの理解者というか一風変わった独自の大人に感銘してしまうような私たちおじさん世代は、もう若者には理解されないのだなという哀感を持たせる作品のように思えました。
寺地はるな 新潮社 2023年8月20日発行
「小説新潮」連載
タイトルは、朱音が小学校でいじめられ校舎から飛び降りて骨折して休んだところへ訪ねて来て朱音の話を聞き、「犀の角のようにただ独り歩め」「雲に届くように高く飛びなさい。きみには翼があるんです」と言って去った教師に対して大人になっても反感・違和感を持ち続ける佐々木朱音の心象(199ページ)から採られています。もちろん人それぞれですけど、青春ドラマでの理解者というか一風変わった独自の大人に感銘してしまうような私たちおじさん世代は、もう若者には理解されないのだなという哀感を持たせる作品のように思えました。
寺地はるな 新潮社 2023年8月20日発行
「小説新潮」連載