スクールカウンセラーが、学級担任や生徒指導担当、養護教諭、管理職らとチームで仕事をうまく回すためにどのように主張し交渉していくかをテーマとして、いくつかの論点で論じた本。
学校内で少数者の(ふつうは1人しか配置されなかったり週1日勤務だったりで1人でできることは少ない)スクールカウンセラーが関係者をうまく説得するために、正論で対立するのではなく、心理職でもありうまく取り入れ、取り込めということなんですが、多くは非正規・非常勤で安くいいように使われているのが現状のスクールカウンセラーが正職員・多数派と対等にやっていくことは無理があるように感じます。非正規労働者どころか業務委託のフリーランスだと主張して労働者としての保護/使用者にとっては規制を免れようとする悪辣な使用者もいます(そういう事件を経験し、労働者と認める判決を取りました)。非正規の不安定性に言及する記述もありますが、もっと重点を置いて扱って欲しいと思います。
現場の人たちは、学者・研究者がとりまとめた実務にある意味で論理的な支えを提示するものを読みたいのでしょうか、それとも現場での経験を語り合うようなものを読みたいのでしょうか。私なら後者ですが、この本は、事例を挙げ、また学者の多くはスクールカウンセラーの経験があると紹介されていますが、前者のトーンが強いように感じました。
諸富祥彦監修 佐藤由佳利、清水有希、益子洋人、松岡靖子編
金子書房 2024年9月30日発行
学校内で少数者の(ふつうは1人しか配置されなかったり週1日勤務だったりで1人でできることは少ない)スクールカウンセラーが関係者をうまく説得するために、正論で対立するのではなく、心理職でもありうまく取り入れ、取り込めということなんですが、多くは非正規・非常勤で安くいいように使われているのが現状のスクールカウンセラーが正職員・多数派と対等にやっていくことは無理があるように感じます。非正規労働者どころか業務委託のフリーランスだと主張して労働者としての保護/使用者にとっては規制を免れようとする悪辣な使用者もいます(そういう事件を経験し、労働者と認める判決を取りました)。非正規の不安定性に言及する記述もありますが、もっと重点を置いて扱って欲しいと思います。
現場の人たちは、学者・研究者がとりまとめた実務にある意味で論理的な支えを提示するものを読みたいのでしょうか、それとも現場での経験を語り合うようなものを読みたいのでしょうか。私なら後者ですが、この本は、事例を挙げ、また学者の多くはスクールカウンセラーの経験があると紹介されていますが、前者のトーンが強いように感じました。
諸富祥彦監修 佐藤由佳利、清水有希、益子洋人、松岡靖子編
金子書房 2024年9月30日発行