交通事故、不動産トラブル、刑事事件、離婚、相続、雇用(労働)、金融商品、詐欺被害等のふつうの人が遭遇しやすい法的紛争について、裁判の実情と紛争の予防のための知識を解説した本。
民事裁判官としての経験に基づき、基本的にはどちら側ということなく手堅く裁判実務の実情を説明しています。交通事故の裁判に用いられている基準(赤本等)が被害者(特に交通弱者)の過失割合を大きく評価しすぎているとか、刑事裁判官の事実認定があまりに検察側によりすぎているという批判がなされているところは、裁判官経験者の本としては注目されますし、「民事訴訟法分野の最高裁判例には、この事件に限らず、結論に問題のあるものやその理由付けが不合理、不十分なものが時々あります(ほかの分野よりもそれが目立つようです)。これは、最高裁判所調査官(最高裁判事らの補助官)の調査が不十分であった場合に、最高裁判事らにそれを適切にチェックする能力が十分にないことを示しています」(160ページ)という記載を最高裁調査官経験者(なぜか1年だけで異動になっているようですが)がしていることも興味深いところではありますが。
一般の方が裁判になるリスクとその際の方向性等を理解するにはとてもいい本だと思います。
瀬木比呂志 講談社現代新書 2023年3月20日発行
民事裁判官としての経験に基づき、基本的にはどちら側ということなく手堅く裁判実務の実情を説明しています。交通事故の裁判に用いられている基準(赤本等)が被害者(特に交通弱者)の過失割合を大きく評価しすぎているとか、刑事裁判官の事実認定があまりに検察側によりすぎているという批判がなされているところは、裁判官経験者の本としては注目されますし、「民事訴訟法分野の最高裁判例には、この事件に限らず、結論に問題のあるものやその理由付けが不合理、不十分なものが時々あります(ほかの分野よりもそれが目立つようです)。これは、最高裁判所調査官(最高裁判事らの補助官)の調査が不十分であった場合に、最高裁判事らにそれを適切にチェックする能力が十分にないことを示しています」(160ページ)という記載を最高裁調査官経験者(なぜか1年だけで異動になっているようですが)がしていることも興味深いところではありますが。
一般の方が裁判になるリスクとその際の方向性等を理解するにはとてもいい本だと思います。
瀬木比呂志 講談社現代新書 2023年3月20日発行
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