父親が母親に対して言う言葉が陰湿であると感じて14歳の時から両親に別れるべきだと言い続け、大学卒業を機に両親が離婚したが父親からは「自分が正しいことをしたと思っているのか」と聞かれ、母親はより憔悴したのを見て、自分の心に化け物が住み着いたと信じ、長年付き合っている恋人へのプロポーズに踏み切れないフリーライターの田中が、松山市にある「言葉の呪い、祓います」という売り文句のことだま荘という古いアパートに、狐の面を付けた二宮と名乗る管理人の下、1年間にわたって相談役として他の住人の悩みの解決を手伝い、管理人が与えた謎解きをすることで自分にとりついている化け物が祓えると言われて、他の部屋の住人の悩み・トラブルにかかわるという短編連作小説。
そういった設定だと田中の方がさまざまな住人と積極的にかかわっていく展開が予想されますが、それぞれのエピソードはむしろ住人側の語りで話が進んで、途中に田中が出てくるという形を取り、田中と二宮を狂言回し役にしてつなげられてはいますが、今ひとつ全体としてのまとまりを感じにくく、最後に語られる二宮のストーリーにも今ひとつ説得力というかなるほど感が私には感じられませんでした。もともと「呪い」がテーマですし、田中の人物設定に共感ができないので仕方ないかなとも思いましたが。
河端ジュン一 新潮文庫 2022年11月1日発行
そういった設定だと田中の方がさまざまな住人と積極的にかかわっていく展開が予想されますが、それぞれのエピソードはむしろ住人側の語りで話が進んで、途中に田中が出てくるという形を取り、田中と二宮を狂言回し役にしてつなげられてはいますが、今ひとつ全体としてのまとまりを感じにくく、最後に語られる二宮のストーリーにも今ひとつ説得力というかなるほど感が私には感じられませんでした。もともと「呪い」がテーマですし、田中の人物設定に共感ができないので仕方ないかなとも思いましたが。
河端ジュン一 新潮文庫 2022年11月1日発行
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます