覗き窓を開けた段ボール箱を被り街中に佇み/座り込み、外界を覗き見つつ箱の中でそれを記録する「箱男」の語りと描写を通じて、見ることと見られること、書くことと書かれることを論じ描いた小説。
箱男として、元カメラマンのぼく、A、B、偽箱男=偽医者=C、ぼくの父と多数の存在(あと箱を被っていない覗き者としてD少年)を登場させ、他にも断片的な記述・情報・写真等を挿入することで、視点や立場の相対化を図り、主体と客体、現実と主観・妄想、見る側と見られる側、書く側と書かれる側を想起・体感するような作品となっていて、それがどこか観念的でまた不思議な印象を与えているように思いました。
学生のときに、まさしく箱入りの装丁の単行本で読んだきりでしたが、映画を見たのを機会に文庫本で再読しました。前に読んだときの記憶はもうまったくないのですが、当時は観念的で難しい小説のように感じたものが、今回はより読みやすく思えたのは、文庫本だからか、一応再読だからか、年をとったからか…
安部公房 新潮文庫 1982年10月25日発行(単行本は1973年3月)
箱男として、元カメラマンのぼく、A、B、偽箱男=偽医者=C、ぼくの父と多数の存在(あと箱を被っていない覗き者としてD少年)を登場させ、他にも断片的な記述・情報・写真等を挿入することで、視点や立場の相対化を図り、主体と客体、現実と主観・妄想、見る側と見られる側、書く側と書かれる側を想起・体感するような作品となっていて、それがどこか観念的でまた不思議な印象を与えているように思いました。
学生のときに、まさしく箱入りの装丁の単行本で読んだきりでしたが、映画を見たのを機会に文庫本で再読しました。前に読んだときの記憶はもうまったくないのですが、当時は観念的で難しい小説のように感じたものが、今回はより読みやすく思えたのは、文庫本だからか、一応再読だからか、年をとったからか…
安部公房 新潮文庫 1982年10月25日発行(単行本は1973年3月)
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