アルコール依存症で他にもメンタルに疾患を抱え内職程度にイタリア語の翻訳をしている家事の苦手な笑子と、同性愛者で掃除好きの内科勤務医睦月の新婚夫婦と、睦月の恋人の学生紺の関係の推移、親たちからのプレッシャーなどを描いた恋愛小説。
ささいなことで気分が浮き沈みし情緒不安定で号泣する笑子と、それに苛立つことも怒ることもなくむしろ自分が笑子を追い込んでしまっていると反省し包み込むように接する睦月の関係は、どこか女性側に都合のよさそうな幻想を感じますが、睦月が紺と肉体関係を続けながら笑子は昔の恋人を思い出したり会ってもなびかず、むしろ思い出させたり会うように仕向けた睦月に抗議するというあたりでその辺のバランスが取られているような気がします。
酒に溺れ当たり散らしながら笑子が心情的には睦月を思い続けるところで、夫婦間のプラトニックラブが描かれるという希有の作品となり得ていると感じました。
江國香織 新潮文庫 1994年6月1日発行(単行本は1991年5月)
ささいなことで気分が浮き沈みし情緒不安定で号泣する笑子と、それに苛立つことも怒ることもなくむしろ自分が笑子を追い込んでしまっていると反省し包み込むように接する睦月の関係は、どこか女性側に都合のよさそうな幻想を感じますが、睦月が紺と肉体関係を続けながら笑子は昔の恋人を思い出したり会ってもなびかず、むしろ思い出させたり会うように仕向けた睦月に抗議するというあたりでその辺のバランスが取られているような気がします。
酒に溺れ当たり散らしながら笑子が心情的には睦月を思い続けるところで、夫婦間のプラトニックラブが描かれるという希有の作品となり得ていると感じました。
江國香織 新潮文庫 1994年6月1日発行(単行本は1991年5月)
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