伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

女の庭

2009-03-06 00:11:25 | 小説
 子どものいない専業主婦が、隣に住む外国人女性への好奇心、優越感/劣等感、同情心、共感に揺れながら、想像/妄想をふくらませていく表題作と、花嫁学校に通う女性が、妹、恋人、母親、講師との間でやりとりしながら妄想/想像をふくらませる「嫁入り前」の2編からなる単行本。
 いずれも積極的に自己主張しない女性が、日常生活の中で、特段の事件も起こらない大きく展開しない流れの中で、観念的に、しかし登場する観念はどこか具象的日常的な、思索を行く先をずらせながら進め、明確な解答も出ないまま、日常のような、少し超日常のような、少し不思議な感覚を残してそっと終わっていきます。
 表題作の方では、主人公は、自由にさせてくれる、何をしても受け止めてくれる夫に不満を持ち、他方「嫁入り前」では主人公は、妹や恋人などから何をいわれても納得してしまいます。主人公はどちらも自信なさげでコンプレックスを持ち、観念的な思索を進めながらその行く先は定まらずどこかずれて行くことも合わせて、女性の自由や高い思考力や自己主張を好まぬ人たち向けの作品なのかなと感じてしまいました。
 第140回(2008年度下半期)芥川賞候補作。これが?


鹿島田真希 河出書房新社 2009年1月30日発行

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