伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

果ての海

2024-09-01 18:16:36 | 小説
 階段から突き落とされるとあっさり死んだ愛人の死体を放置して、整形し別人の倉田沙世名義の運転免許証等を入手した上で芦原温泉で倉田沙世として生きることにした鶴野圭子が、発覚や警察を恐れながら仲居やコンパニオンとして送る日常を描くサスペンス小説。
 良心の呵責とか胸の痛みをほとんど覚えない主人公に今ひとつ読んでいて共感を覚えません。不満や不快は感じ、描かれているので、感情が鈍麻しているということではないのでしょうけれど。抑圧され鬱屈を感じている中年女性読者層からは、そうそうと、支持されるのでしょうか。
 ちょっと展開が遅い印象で、派手さはなく地味な、渋いという感じの作品です。最後に展開がありますが、ミステリーとして、あ、やられたという感覚よりは、え、そこ?と思いました。


花房観音 新潮文庫 2024年3月1日発行(単行本は2021年8月)

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