「奇跡が起こる店」「自己満足を売る店」を舞台にパラレルワールドが交錯し、ありえた自分とあり得た近しい/会いたい人の関係を夢想する人々を眺める仕立ての小説。
サン・テグジュペリの「星の王子さま」の世界を下敷きにしつつ、私にはどこか「ハウルの動く城」をイメージさせるような(「動く城」はまったく出てこないのですが)作品です。
「人生には明らかにヤバいと本能で察する瞬間が何度かある」として、挙げられる例が「例えば、あと五分で家を出ないといけないのに、寝癖がとんでもなかった時、或いは、鍋に少しだけ醤油を足そうとしたら、思いのほか大量に中身がでた時」(214ページ)とか、受け狙いなんでしょうけど、パラレルワールドの存在や黒猫が返事をするくらい、それに比べればヤバいことではないという位置づけなんでしょうか。
異変が起こったとき世界が青い光で満たされたというのは、臨界事故の時のチェレンコフ光のイメージでしょうか。
いろいろに勘ぐって/夢想してしまう作品でした。
武田綾乃 文藝春秋 2022年3月10日発行
「別册文藝春秋」連載
サン・テグジュペリの「星の王子さま」の世界を下敷きにしつつ、私にはどこか「ハウルの動く城」をイメージさせるような(「動く城」はまったく出てこないのですが)作品です。
「人生には明らかにヤバいと本能で察する瞬間が何度かある」として、挙げられる例が「例えば、あと五分で家を出ないといけないのに、寝癖がとんでもなかった時、或いは、鍋に少しだけ醤油を足そうとしたら、思いのほか大量に中身がでた時」(214ページ)とか、受け狙いなんでしょうけど、パラレルワールドの存在や黒猫が返事をするくらい、それに比べればヤバいことではないという位置づけなんでしょうか。
異変が起こったとき世界が青い光で満たされたというのは、臨界事故の時のチェレンコフ光のイメージでしょうか。
いろいろに勘ぐって/夢想してしまう作品でした。
武田綾乃 文藝春秋 2022年3月10日発行
「別册文藝春秋」連載
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