本日は東京国立博物館で「国宝土偶展」を見て、ギャラリートークを聞いてきた。朝東海道線の人身事故で京浜東北も湘南新宿ラインも遅れ、動き出した東海道は乗り切れない人でホームはものすごい人。京浜東北線に回ったらそれほどでもなかった‥ものの、前がつかえてのろのろ運転。結局東海道線5本に抜かれてやっと品川着。横浜から約50分。品川からは順調に上野まで。しかし長時間(立って50分、座って30分)の車内、座ったのがいけなかったか、疲労がたまったようだ。
土偶展、会期が始まったばかりの木曜だが、それなりに混んではいたが、一室、広さはかなり余裕のある展示で、ゆっくり鑑賞できた。背後にも回れるようにガラスケースは置かれていたが、どういうわけか背面の照明が無いので、後ろからは見ずらかった。それでも背面の文様や形をじっくりと見ることができたのは幸運。
日本の土偶は「ほとんど」女性をかたどった(デフォルメ)したと聞いていたが、100パーセント女性とのこと。
韓国の慶州博物館を訪れたとき、男女の交合をかたどった男女各一体の対の土偶があり、男女の土偶があった。どれも5センチ前後の本当に小さいものだったと思う。かなり多くの土偶があったが、男女の生殖器を誇張したものもかなりあり、豊穣を祈る、ないし再生・誕生にまつわる象徴を感じた。これが千島などの北アジア、南アジア、中国でどの程度存在したか、興味がわいた。
また生殖器や乳房が表現されている以上、表面の文様は刺青か、土偶だけに特別施した文様と思うものの(衣服ではないと思う)研究者はどのように判断しているのか、知りたい。女性シャーマンだけの姿なのかもしれない。
また、赤く塗ったり、自然タールを使用しているなどは初めて知った。赤は聖なる色、呪的なイメージがある。黒のタールは目に部分に石を象嵌ないし貼り付けたらしいが、それ以外にも黒漆などの着色例もある。何をイメージしているのであろうか。
乳房と体の前面の正中線、これは明らかに刺青と思われる。日本書紀などからは弥生時代は刺青の風習が広く行われていたといわれているが、縄文時代も列島各地とも刺青であったのだろう。
土偶様の模様のついた土器が関連展示されているが、私はその中の「深鉢形土器」(群馬県渋川市)の迫力に圧倒された。質感・量感ともに人を圧倒する。これが紀元前2500年位前に作られていたのかと思うと「縄文時代の素朴な味わい」などというビデオのナレーションが空々しく聞こえる。豊かな造形への志向、高度な製作技術、複雑で活発な社会生活を垣間見るような気がする。写実の極致のような貝や猪やカモノハシ(多分)をかたどった土器製品を見ると、人間の女性の写実からは遠い地平にある土偶のデフォルメ、造形はきわめて抽象性の高いものであることが理解できる。
土偶というものの豊かな世界を垣間見ることができたと思う。
本日の購入本
「国宝土偶展カタログ」‥昼食がてら読了。
「日本語の歴史」(山口仲美、岩波新書)
「親鸞をよむ」(山折哲雄、岩波新書)
「日本宗教史」(末木文美士、岩波新書)
本日の読了
「死者の書」(折口信夫)‥そのうち読後感を。
土偶展、会期が始まったばかりの木曜だが、それなりに混んではいたが、一室、広さはかなり余裕のある展示で、ゆっくり鑑賞できた。背後にも回れるようにガラスケースは置かれていたが、どういうわけか背面の照明が無いので、後ろからは見ずらかった。それでも背面の文様や形をじっくりと見ることができたのは幸運。
日本の土偶は「ほとんど」女性をかたどった(デフォルメ)したと聞いていたが、100パーセント女性とのこと。
韓国の慶州博物館を訪れたとき、男女の交合をかたどった男女各一体の対の土偶があり、男女の土偶があった。どれも5センチ前後の本当に小さいものだったと思う。かなり多くの土偶があったが、男女の生殖器を誇張したものもかなりあり、豊穣を祈る、ないし再生・誕生にまつわる象徴を感じた。これが千島などの北アジア、南アジア、中国でどの程度存在したか、興味がわいた。
また生殖器や乳房が表現されている以上、表面の文様は刺青か、土偶だけに特別施した文様と思うものの(衣服ではないと思う)研究者はどのように判断しているのか、知りたい。女性シャーマンだけの姿なのかもしれない。
また、赤く塗ったり、自然タールを使用しているなどは初めて知った。赤は聖なる色、呪的なイメージがある。黒のタールは目に部分に石を象嵌ないし貼り付けたらしいが、それ以外にも黒漆などの着色例もある。何をイメージしているのであろうか。
乳房と体の前面の正中線、これは明らかに刺青と思われる。日本書紀などからは弥生時代は刺青の風習が広く行われていたといわれているが、縄文時代も列島各地とも刺青であったのだろう。
土偶様の模様のついた土器が関連展示されているが、私はその中の「深鉢形土器」(群馬県渋川市)の迫力に圧倒された。質感・量感ともに人を圧倒する。これが紀元前2500年位前に作られていたのかと思うと「縄文時代の素朴な味わい」などというビデオのナレーションが空々しく聞こえる。豊かな造形への志向、高度な製作技術、複雑で活発な社会生活を垣間見るような気がする。写実の極致のような貝や猪やカモノハシ(多分)をかたどった土器製品を見ると、人間の女性の写実からは遠い地平にある土偶のデフォルメ、造形はきわめて抽象性の高いものであることが理解できる。
土偶というものの豊かな世界を垣間見ることができたと思う。
本日の購入本
「国宝土偶展カタログ」‥昼食がてら読了。
「日本語の歴史」(山口仲美、岩波新書)
「親鸞をよむ」(山折哲雄、岩波新書)
「日本宗教史」(末木文美士、岩波新書)
本日の読了
「死者の書」(折口信夫)‥そのうち読後感を。