



昨日は横浜での句会に出席する前、午前中は神奈川大学で開催された「二つのミンゾク学-多文化共生のための人類文化研究-」(主催:国際常民文化研究機構・神奈川大学日本常民文化研究所)の主催者挨拶と基調講演を聞いてきた。今回のシンポジウムの参加者は先週の「東アジアの日本研究の現状と未来」の40数名とは違って、約400名の会場に200名くらい。おそらく単位目当てであろう学生も多数参加していたが、それでもこのくらいの参加者だと私も座っていて場違いな感じはしなかった。
午後のパネル報告も聞きたがったが、先に句会の予定が入っておりシンポジウム欠席は止むを得ない。
そして本日は研究発表だが、これも午後は団地の管理組合の会議が入っているので参加できない。午前中だけでも出席しようと思っていたが寝坊してしまって参加できなかった。
昨日の主催者挨拶の中で、常民文化研究所長の佐野賢治教授が「2008年には「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が両院で通過した。にもかかわらず、いまだに単一民族国家説を主張する国会議員もいる」と日本の現状に警告を発している。
また「2012年は柳田國男(1875~1962)の没後50年。2013年は渋渾敬三(1896~1963)の50回忌」とのことである。しかしこのことで二人の業績の検証は残念ながら大きくは取り上げられていない。そういった意味でも、時宜を得たシンポジウムと言うことなのだろう。
個々の発表・発言内容の要約にもまだ眼を通しきれていない。評価はまだまだ私の頭の中で煮詰まってはいない。
ただし、基調講演は期待はずれ。スタンフォード大学名誉教授のハルミ・ベフ氏の発言では、「日本人の単一民族、民族文化主義に基づく排他主張は国家の体制側、大企業側に多いが、多くの外国人支援団体、また多大な支援者たちは日本の多文化/民族主義化に望みを欠けている」としているが、この分析には異議を挟まざるを得ない。国家の体制側、大企業側ではなく、市民レベルの排他的な主張が蔓延していること、これにどう対処するかが私には重要と思える。
このような人を基調講演者に据えるというは、シンポジウム自体が現状の分析も出来ていないような印象を与えるので、ちょっと考え物である。