Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

『雨ニモ負ケズ』

2012年12月15日 22時15分13秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
 本日の連続講演会「日本文化をながれるもの」の第三回は「なぜ『雨ニモ負ケズ』が読まれているのか?」と題した王敏という方の講演。
 文化大革命後の日中国交回復後の中国から国費留学生として日本に来た方で、今回の講演は
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル

の「ワラッテヰル」に注目し、笑い・微笑みという語をキーワードに宮沢賢治そして日本文化の基層を読み解こうとする試み。
 私は宮沢賢治は「春と修羅」だけをずいぶん読んだが、その他はほとんどなじみが無い。講演会参加も当初はためらわれたが参加してみてそれなりの刺激はあったと感じた。
 日本以外の国々ではこの詩を含め宮沢賢治はずいぶん読まれているようだ。彼女は宮沢賢治の童話の理解に欠かせない言葉として笑い・微笑みに注目している。宮沢賢治の動物との交流を通した自然感を読み解き、賢治の思想の全体像を解こうという試みである。
 日本人の笑いについては、欧米では最近までずいぶん誤解を受けていたようで、意思や自己主張を隠す曖昧な微笑みという具合に欧米の価値観だけから見た相互理解の視点を欠いた印象として。しかし彼女はこの笑い・ほほえみが日本の個人のあり方、社会のあり方を読み解く重要な要素として捉えている。欧米の価値観からの一方的な批評ではなく、日本の社会に根ざした視点でこれを読み解こうと試みている。
 そして仏教や老荘の思想、陶淵明の思想にもこの微笑みという言葉に着目して、これらの思想との類似性を指摘している。
 それなりに説得力のある論考ではあったし魅力あるアプローチであったが、彼女自身の中でもう少しこなれる必要も感じた。それでもなかなか好感の持てる講義であったと思う。
 できれば資料の配布がほしかった。資料の無い中で彼女の論の道筋を追うのはこれ以上は難しい。この視点がさらに整理されて世に出ることを願っている。


 さて、濃霧注意報が出ていた横浜、ランドマークタワーなどの超高層ビルは低い雲の中に入っていて先端が見えない。夜になってからは横浜駅からはその全体も隠れていた。
 冬の霧、さびしい語感を持つ季語だ。
☆冬霧を押すやうに牛鳴き出せり(大串章)
☆月光のしみる家郷の冬の霧(飯田蛇笏)
☆橋に聞くながき汽笛や冬の霧(中村汀女)

 横浜は本日の霧でずいぶんと冬の気配が押し寄せてきた感じがした。いよいよ年末である。

濃霧・強風・雷注意報

2012年12月15日 11時58分45秒 | 日記風&ささやかな思索・批評
 本日は朝から雨模様、気温は寒く予報の15度には届きそうもない。濃霧・強風・雷注意報ということらしい。濃霧注意報というのは横浜では珍しい。強風と雷は本当かなという感じで実感がない。
 仙台では学生時代に秋口に広瀬川で霧が良く発生していたのを見かけて、その風景が気に入っていた。川霧の中を川に向かって降りていく急坂の道は今でもある。霧の中を下っていくのは大変幻想的で、かつ情緒があった。衣服の湿りも心地よかった。しかし横浜に戻り霧をみることがなく、寂しい限りだ。

 午後からMM地区で講座受講予定だが雨のため歩いて会場に行くのはやめて、久し振りに電車を利用した。ボーナスサタデーということか、横浜駅もみなとみらい駅も普段の土曜日よりも人出がとても多い。家電の量販店を覗いてみたら、先週よりも値が上がっているものがあった。この時期値段の動向と予測は難しい。さてさて来週は先週の値に戻ってくれるだろうか?
 
 講座受講後はひさしぶりに銭湯&サウナで過ごしたいが、2時間後の気分次第だ。