昨日と同じ曲であるが、今回の演奏はヴァイオリンがイツァーク・パールマン、ダニエル・バレンボイム指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。録音は1986年と記されている。
第1楽章は昨日のシェリンクのものよりは2分15秒も早いが、第2楽章はほぼ同じ。第3楽章もほぼ変わらない。しかし聴いていてすぐにわかる違いは第2楽章である。この第2楽章は実に小さな音で始まる。なにか腫れ物に触るような慎重な響きに聞こえる。しかし少しずつそれは自由な響きに移行していく。
どちらが抒情的かと聞かれると返答に困る。第2楽章から第3楽章に切れ目なく演奏されるが、そのあたりのメリハリはこちらの演奏の方が鮮明である。
私の好みで言えば、パールマンのヴァイオリンの音色は少し乾いた感じがする。これは昔テレビでパールマンの演奏を聴いた時にも感じた。
そういった意味ではスークやシェリンクの方が私の好みの音色だと思うが、はたして厳密にそのようなことが断言できるのか?と問われるととても心もとない。あくまでも感覚の世界だと思っている。また音の厚みはシェリンクの方に軍配が上がるかもしれない。高音域、中音域、低音域でも差はある。音の出だしの切れ味ではパールマンの方の音に惹かれる。
細かなヴァイオリンの音の差を楽しみながら、聴いているととても楽しい。