谷川俊太郎が亡くなったとの報道がされた。谷川俊太郎と聞くととても分かりやすい言葉による詩で親しまれている。
まず私の頭にうかぶのは「死んだ男の残したものは」。
「死んだ男の残したものは」という歌は知っていたが、恥ずかしながら作詞者である谷川俊太郎という名は知らなかった。この曲を初めて聞いたのは1970年にラジオで高石友也の歌ったもの。私が初めて谷川俊太郎という詩人を知ったのは、1980年代になってから。
この歌はベトナム戦争に対する反戦歌として1965年、「ベトナム平和を願う市民の会」のためにつくられた。のちに林光によって混成合唱に編曲されている。
平易な言葉ながら、リフレインの言葉ひとつひとつが微妙に変化し、味わい深い。「残したもの」「残さなかった」「残せなかった」「残っていない」。第4番までと第5番以降の対比も胸に響く。
死んだ男の残したものは
作詞 谷川俊太郎 作曲 武満徹
死んだ男の残したものは/ひとりの妻とひとりの子ども
他には何も残さなかった/墓石ひとつ残さなかった
死んだ女の残したものは/しおれた花とひとりの子ども
他には何も残さなかった/着もの一枚残さなかった
死んだ子どもの残したものは/ねじれた脚と乾いた涙
他には何も残さなかった/思い出ひとつ残さなかった
死んだ兵士の残したものは/こわれた銃とゆがんだ地球
他には何も残せなかった/平和ひとつ残せなかった
死んだかれらの残したものは/生きてるわたし生きてるあなた
他には誰も残っていない/他には誰も残っていない
死んだ歴史の残したものは/輝く今日とまた来る明日
他には何も残っていない/他には何も残っていない
多くの歌手が歌っている。1960年代末に高石友也も歌っているが、やはり今年の8月に亡くなった。
高石友也【https://www.youtube.com/watch?v=7xh8vkk4iBY】
倍賞千恵子【https://www.youtube.com/watch?v=bcCqmzq0d60】
大竹しのぶ・長谷川きよし【https://www.youtube.com/watch?v=eHZMqFPaJwk】