本日の田中史生早稲田大学教授の講座「帰化人・渡来人論争と『日本人』」と大変興味深く聴いた。
明治期の不平等条約改正にかかわる井上哲次郎の「内地雑居論」、田口卯吉の「居留地制度ト内地雑居」からはじまり、韓国併合の過程で喜田貞吉の朝鮮人同化論、早稲田大学総長時代の大隈重信の朝鮮人同化論、戦後の関晃の「帰化人」論、マルクス主義史観のもとでの石母田正などの動向、そして1960年代の上だ正昭「帰化人」論、金達寿の渡来人論などを紹介された。
これらの動向を踏まえ、また日本書紀、古事記、風土記の表記の違いを精査した上で、「異動者としての渡来人」という提起をされた。
・渡来人を古代の「倭」「日本」への移動者として定義。
・移動する身体としての渡来人、その身体を定着させた渡来系移住民、移動する文化としての渡来文化、渡来文化を継承し渡来人を祖とする渡来系氏族を、区別して論ずるべきである。
・ある段階に登場した「帰化」の特質や意義を歴史的に捉える。 などの結論が延べられた。
帰化人・渡来人論争が、「日本人とは何か」と切り離せないところで論じられてきたことも問題点として指摘されていた。
配布された資料を読みこみながら復習をしてみたいと思わせてくれる講演であったと思う。
私の帰化人・渡来人という言葉への違和など、私の素人ながらのおぼろげながらの問題意識に触れた思いがした。
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