午前中は「人類の起源」(篠田謙一、中公新書)の第5章「アジア集団の成立 極東への「グレート・ジャーニー」を読み終え、第6章「日本列島集団の起源 本土・琉球列島・北海道」を読み始めた段階で外出。
・「健康」をめぐって 身体を舞台とした政治的攻防 栗田隆子
「高齢者雇用安定法」の「改正」アンが2021年4月に施行されたが‥「労働者は高齢期における職業生活の充実のため、自ら進んで、高齢期における職業生活の設計を行い、その設計に基づき、その能力の開発及び向上ならびにその健康の保持及び増進に務める」とある。「労働基準法の第1条「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」と比べると、‥「健康」は人権や幸福追求権とは違う文脈であり、いわば「社会のために健康であれ」というメッセージを法律が帯びている‥。‥本気で人々の「健康」を考えるのであれば、そもそも過労死にさえ至るような過重労働など許される話しではない。‥個々人の努力を奨励するのとは反比例するように社会的な健康に対するフォローは低く、それこそ大阪府が万一の備えなど考えずに病床を削った政策などを見るにつけても健康を整えるための労働環境、社会環境はどんどん杜撰になりつつある。」
・一九三一年十二月十日の高田博厚 ロマン・ロランの証言から 高橋 純
・写真のそばで 竹内万里子
「写真家というと、決定的瞬間をするどく捕らえる狩人のようにアクティブなイメージが浮かぶ。しかし実際に私が出会った人たちの多くは、‥ひっそりと暗い穴のなかに潜む異端の科学者あるいは詩人のようだった。彼らはいわゆる決定的瞬間からこぼれ落ちるような、人が気づくことのない小さな細部や、偶然、目に見えない気配といったものに対して異様に敏感で、撮る人以前に徹底して見る人でもあった。私は私には見えていない何かを見ている彼らの目が、ただただ怖かった。」
・ある音楽家の沈黙 ピアニスト、ラドゥ・ルプーを思う 青澤隆明