金色堂は過去に現地で3度見た。中を見たのは2回。最初は学生の時に一人で訪れたが、外から金色堂を眺めただけだったと思う。その後2回訪れたときに中も見ることが出来た。しかしあまり近くからは見ることはできなかったのと、手前の欄干や密集して配置されているので、台座などをじっくりと見ることはできなかった。
今回、中央の須弥壇の11体が展示されている。ガラスケースにおさめられているが、ここまで近くから見ることが出来て、ありがたかった。
増長天立像と持国天立像は金箔に顔が覆われているにもかかわらず、優美さや豪華さというよりも力を感じた。私がいつも天部の像に抱く違和感をあまり感じなかった。私はいつも彼等の膝が伸びきって、そのために腰をぐっと落としみなぎる力をため込んだ力強さが抜けていくように見えてしまう。いつの時代でも、誰の作でもこの感想は変わったことがない。
この像も膝が伸びきってはいるが、しかし軽やかな飛翔をしているように見え、違和感が薄らいだ。足で踏みつけている悪鬼が雲の形にも見えるのが不思議である。雲の形をしていることで、飛翔しているように見えるのだと思う。今回の展示では良い体験が出来た。
安田登の「『おくのほそ道』謎解きの旅」を先日読み終えたばかりであるが、そこにこんな記述があった。
「ヨーロッパの日本ブームを作ったのはマルコ・ポーロの「東方見聞録」。・・・黄金の島、ジパングを作ったのは、中尊寺金色堂などの黄金文化を謳歌した平泉ではなかったかと言われています。この平泉こそ奥州藤原氏の都であり、繁栄の証なのです。」(第6章「鎮魂の旅」)
あらためて平泉という場所について考えさせられた。
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