昨晩読み終わったのは「物語 カタルーニャの歴史 知られざる地中海帝国の興亡 増補版」(田澤耕、中公新書)。
バルセロナ展を見に行くつもりで予習のつもりで読み始めた。しかし解説付き鑑賞会は大事をとって中止、東京ステーションギャラリー自体も3月16日まで臨時休館になってしまった。もともと4月5日までの会期であったが、17日以降再開するのか、はっきりしていない。
読みかけのゴヤⅣを後回しにしてこちらを優先した。
私としては大変勉強になった。カタルーニャの歴史については独自の文化と言語があるということ、そして独自の長い歴史があるということは知っていたが、知識としては脆弱であった。ジョージ・オーウェルの「カタロニア賛歌」と若干の短い解説をいくつか読んだ程度。
この本は、中世のカタルーニャの地中海派遣国家についても詳しい。ただしスペイン内戦下のことについてはさほど詳細ではない。
この程度の知識は必要なのだと思われる。
増補は多分に終章であろう。2014年以降の独立運動のルポのような文章である。
分かり切ったことではあるが、あらためて以下引用しておくことにした。最近の日本ではことさら記載することに意味があるような気がする。
「ことばや歴史や習慣を共有する民族nationが、近代的な国家stateによって分断されている例は、ヨーロッパでは珍しくない。人々は、国境、州境といった線引きを現実として受け入れてはいるが、自分のアイデンティティの基盤は政治的な国家ではなく、民族固有の文化にあるのだという感覚は根強い。カタルーニャの人々もこの点、同様である。」
白内障の手術以降、読書のスピードは落ちている。普段の生活はとてもよく見えるようになって、ふだんの生活は実に快適である。しかし近くは少し見にくく、そして目覚めのときや、寝る前は焦点が合いにくくぼやける。これは矯正できないようだ。
さらに間に坂田一男展の図録、ハマスホイの図録の全体を読み勧めたので、なおさら時間がかかった。