本日聴いている曲はベートーヴェンのピアノ三重奏曲「大公」。スーク・トリオの演奏で録音は1975年。発売は2002年なので、それ以降に購入している。
この曲にまつわるエピソードとしては、1811年40歳の時に完成し、初演は3年後、聴覚の悪化が進み、初演でのベートーヴェンの演奏では、ピアノの強弱が極端に過ぎ、この演奏会以降、ベートーヴェンは公開の場でのピアノ演奏は行わなくなったという。これが果たして本当のことなのかどうかは私には何とも判断しかねる。
ただし、スケールの大きな曲はこの1815年以降ぐっと少なくなることは確かである。
この曲は親しみのあるメロディーと曲想で、人気があるのはよくわかる。
第1楽章の伸びやかで大きなうねりのような第1主題と、第3楽章の起伏の少ない穏やかな主題を聴くと、私は蕪村の「春の海ひねもすのたりのたかな」という句を思い浮かべる。スークならではの連想かもしれない。