Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「鳥獣戯画の世界」読了

2021年06月29日 13時33分02秒 | 読書

   

 昨晩「鳥獣戯画の世界」(宝島社新書)を読了。監修者は上野憲示。編集・執筆・構成は大野真と表記されている。上野憲示による「鳥獣戯画」の復元論の紹介という形態を採用している。どうして作者が上野憲示ではなく、監修になっているのか、執筆者の表記が奥書にのみ小さく表記されるだけなのか、がよく分からないのが、気になった。

 さて、上野憲示の復元論については、私なりには納得できる論理構成に思えた。
 鳥獣戯画の成立時期については、
・有名な甲巻が当初はふたつの巻であったと思われること
・後白河上皇の命による年中行事絵巻との内容の酷似から甲巻、乙巻の制作年代が同時期の12世紀後半と推定
・丙巻は甲巻へのオマージュが散見され、12世紀末から鎌倉時代初期と推定
 鳥獣戯画の作者については、
・甲巻前半、甲巻後半と乙巻、丙巻人物戯画、丙巻動物戯画、丁巻の5人を想定
・甲巻前半はアマチュア的であり、甲巻後半と乙巻はプロ的な宮廷絵師または絵仏師が当てはまる。
 さらに
・当初は、作者の手遊びと描かれた
・ストーリーはないが、当時の「今昔物語集」「古今著聞集」「宇治拾遺物語」などの動物観が反映している。
などと結論付けている。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。