メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

追悼 水木しげる ゲゲゲの人生展(2017.3.8 ネタバレ注意)

2017-03-09 13:58:55 | アート&イベント
追悼 水木しげる ゲゲゲの人生展(2017.3.8)
会場:東京・松屋銀座8階イベントスクエア
期間:2017年3月8日(水)~3月20日(月・祝)

通常1,000円のところを、セブンで前売り券を700円で買い、
水木サンのお誕生日、開催日当日に行ってきた

水木サン、お誕生日おめでとうございます~!!

「作家別」カテゴリーにの「水木しげる」も参照


松屋に行く前にまずは腹ごしらえ 何事もお腹が減っていたら身が入らないですもんね、水木サンv


【釜あげスパゲッティ すぱじろう 銀座店】


1Fは細長いカウンター席で、後ろをスタッフの女の子が通るのが精一杯
目の前は、いくつもの鍋を豪快に火にかけて、
大勢のメニューを手際よく作っている様子が間近で見られる



メニューがたくさんあって悩んだけど、イカとアサリのパスタを注文
サイズがSML選べてスモールサイズでちょうどよかったv
ダシのきいたスープスパっぽくて美味しかった


***



会場に行くと、パネルの前に豪華な花がいっぱい!
里中満智子さんの名前もあります

入場の際、前売り券と引き換えにステキなイラスト入りのと換えてくれたv



水木しげる回顧展の決定版。初公開となる展示品も多数!


“幼少期から晩年まで6章構成で、漫画原稿、出版物、絵画、エッセイ、映像、写真、愛用していた私物、
 妖怪像・精霊像コレクションなど多岐に渡る作品・資料を展示します。
 水木しげるの人生と代表作を網羅的に紹介する、回顧展の決定版です。
 卓越した才能が伝わる少年時代の習作や、戦地で描いたスケッチ、多忙時代にアイデアを書きためた日記帳、
 「ゲゲゲの鬼太郎」や「河童の三平」の漫画原稿など、初公開となる展示品も多数並びます。”

展示物の写真撮影は禁止なので、HPの写真を利用させてもらいました

入ってすぐは、水木サンの生い立ちをイラストとともにたどっていく


ほかにも、さまざまなコーナーに分類されていて、お腹一杯になるほどの展示物がたくさん!
こうして観ると、まだまだ読んでいない本があるなあ

生活のためにあらゆるものを描いていて、
出版社が倒産して原稿が紛失してしまったのもあったり
水木プロダクションもすべてを把握するのは困難なのでは???




【内容抜粋メモ】

「卓越した才能が伝わる少年時代の習作」

“人間は好きなこと、しないではいられないことをするために生まれてきたんです”


ほんとに小学生が描いたの!?と思うような絵/驚
外では港を通る船を描き、寒い冬は屋内で静物画を描いていたそう
新聞に「天才画家現る!」と報じられたのも分かる

18歳、赤紙が来る直前に描いた「甲子園口」の絵はとくに気に入っていて仕事場に飾っていたそう

「自画像には背後に影があり、内面を映し出しているようだ」との論評あり


「のんのんばあのお話」
のんのんばあに膝枕された、少年期の水木サンが、「座敷童子」の話を聞いている
その声が会場にも流れている 福をもたらす妖怪なのね

のんのんばあの夫は、祈祷師さん?
その後、NHKドラマ『のんのんばあとオレ』にもなったのね


「収集癖」
小さい頃からのようで、周りでも流行った新聞紙の題字の切り抜きほか
小動物なども集めてきて動物園を作ろうとしたり、死骸を押入れに入れていて親に怒られたとかw

後に大量の「スクラップブック」に資料を集め「目で見るコンピューター」と呼んでいた


「多彩な画風」
『グリム童話』を基に自作絵本まで描いていた/驚
いろんな画風で描けることに改めて驚いた


「召集令状」
いつか絵の道に進みたいと思っていたが、時代は第二次世界大戦の戦況が色濃くなっていく
徴兵検査で視力の悪さから、徴兵は逃れられるのでは、と淡い期待をしていたが
ついに水木サンのもとにも赤紙がきた

兵役に行く前に書いた日記の文章に考えさせられた

“今は考えることすら許されない時代だ
 人を一塊の土くれにする時代だ
 一切を捨て、時代になってしまうことだ
 暴力だ、権力だ、そして死んでしまうことだ
 それが一番安心できる生き方だ”



戦地に持っていっていい1冊の本は『ゲーテとの対話』だった
要所要所に赤い線が引いてある


最初はラッパ吹きとなり、うまく吹けないから、部署を変えてくれと頼んだら
「北がいいか 南がいいか」と聞かれて、寒いのは嫌いだから「南がいい」と言うと
行ったら帰ってこれないと思われていた激戦地だった
後で知ったが、ラッパ吹きのままでいたら、ずっと内地にいられたかもしれなかったそう

見張りを任され、自分のいた隊は全滅 命からがら逃げたこと
爆弾で片腕を失ったこと、マラリアにかかり生死をさまよったこと
禁止されていた現地民(“土人(つちのひと)”と呼んでいる)と付き合いを深めたことなど
以前、自伝マンガに描かれていたことが紹介されている


父に宛てた手紙には、小さな文字いっぱいに
「心配しないでください 案外こちらは自然が多くてのんびりやってます
 兄も同じでしょう 服などお困りでしょうがお体を大切に」
といったような、戦場の過酷さを出さずに、家族を思いやる文面
当時は、地名や戦況など書いてあると検閲で真っ黒に消されてしまう時代だったからなおのこと


「終戦後」

負傷した人には「戦傷病者手帳」が渡されるのね
武蔵野美術大学の学生証もあった/驚

『ラバウル戦記』は、証言記録としても貴重
「トーマでの風景画」、『ゲゲゲのゲーテ』ほか


“土人(つちのひと)の暮らしぶりは、地上の楽園のようでした”


「現地除隊」を申し出るが、軍医に説得されて帰国することに
親にショックを与えないよう、片腕を失ったことをハガキで書いて送った

現地の病院は満杯で、治療の手が回ってくるのは半年後()だと言われ
帰国してから、入院、手術を受けた

兄は戦犯の疑いをかけられて「巣鴨プリズン」に投獄される
その時、母に宛てた長い手紙にも、やはり小さな字で、安心させようとする言葉が書かれていた

復員し、絵を描くことで、故郷に帰ったことを実感したそう

『少年戦記の会』
「傷痍軍人会」の運営も務める


「紙芝居作家時代」
復員後、ようやく絵の道に入るが苦労は続く
紙芝居に誘われて描き始める 絵を描く以外は寝ていたそう

子どもが買う駄菓子が現金収入になるが、思うように売れず、生活にならないため
この時にさまざまな手法を試し、「修行時代」ともいえる
時代の流れで、紙芝居業は斜陽化する

没原稿『ダイラ』


「貸本屋ブーム」
今のDVD、マンガのレンタルショップのように、当時は貸本屋が全国にあふれた
しかし、水木の作品は暗いと評判は芳しくない
そして、テレビの時代が来て、貸本屋ブームも去る

この当時、さまざまな画風を試して、すでに鬼太郎、目玉おやじ、ねずみ男らが登場するようになる
SF、歴史、ギャグ、少女ものまで(バレエの少女が可愛い)、『古墳大秘記』(!)、時代劇も/驚


“人生とは永遠の時の中の 束の間の出来事にすぎないのだ”


「奇襲ツラギ沖」「幽霊艦長」「総員玉砕せよ!」(もっとも愛着があるそう)「クーニャン」
「物の怪の宿」「ベビーZシリーズ」「墓場鬼太郎」など


「見合いをして5日でスピード結婚」
親が見合い話をもってきて、5日で結婚 布枝さんはすぐ東京へ
そこから2人の果てしない極貧生活が始まる

当時の部屋を再現したコーナーがあって、ちゃぶ台の上には大量の黒っぽいバナナがドーンて置いてある
軍艦のプラモデル作りにハマった時期もあり、器用な布枝さんのほうが上達したそう
人のウチの本棚って気になるんだけど、柳田國男さんの全集もあった


「『テレビくん』で極貧から超多忙生活へ」
出版編集者から「“墓場”というタイトルはキモチが悪い」と言われ、
幼少期「ゲゲ」と呼ばれていたことから「ゲゲゲの鬼太郎」に名前を変えてから急に人気が出始める
(鬼太郎って高校生になって、彼女までいたのね/驚

『テレビくん』などを手がけ、水木プロダクションを立ち上げ、つげ義春らのアシスタントがいた
『悪魔くん』『河童の三平』など次々と作品が生まれ、今度は“妖怪いそがし”(金を出して働かせる)にとり憑かれる水木サン


「ぼくの力でこの世界に戦争も貧乏も退屈もない千年王国をつくるんだ」(悪魔くん)


『縄文少年ヨギ』『おばけのムーラちゃん』(自分の名前からとったw
面白そうな作品がたくさん! 全部読みたいなあ!


“貧乏人同士がいくばくかの金を奪い合う勝負の世界”


40歳過ぎの遅咲きデビューで、心身ともに限界を感じた水木サンは
50代から仕事量を次第に減らし「愉快になまける」「自分の楽しさを追求する」ことにし
前から行くのが夢だった南国への旅行、世界の妖怪探しの旅などに出るようになる


「幅広い作品」

伝記もの:『猫楠 南方熊楠の生涯』『劇画ヒットラー』『神秘家列伝 コナン・ドイル』ほか
「シャーロック・ホームズシリーズ」で知られるドイルは、心霊主義者でもあった


“奇人変人には幸福な人が多いと分かりました”


古典:『雨月物語』ほか
風刺:「怪物マチコミ」「ヘンラヘラヘラ」(公害と医療の癒着を描いた
自伝も多い作家だった
出雲にとても興味をもち、「自分は古代、出雲に縁があったのでは」と思っていたそう

91歳から新連載を始めたり/驚


『パイプの森の放浪者』
福島の原発事故が起きる32年前に描かれた
ある原発労働者の若者が突然、自殺したニュースを読んで、
下請け労働者として潜入取材した男性の文章にイラストを描いた

過酷な労働環境を「放射能の餌食」と言ったロベルト・ユンク
「労働に対してではなく、ノルマ分の放射能を浴びて賃金を得ている」


「省エネ時代」の代替エネルギーとして、次々と増えていった原発
その安全性は二の次にされていた



映像演出で彩られた水木しげるの書斎再現展示!
“大量の本やスクラップ資料に囲まれた書斎で水木が漫画を描いていると、何かが起こる……!?
 プロジェクターによる映像演出と合わせてお楽しみください。”


(展示会の公式ツイートから写真を借りました 

私の隣りでこの展示を企画された方なのか、どなたかに仕組みを説明されていた
よく聞こえなかったけど、実際使っていた書斎をフルスケールで再現したそう

水木サンが「カリカリ」とマンガを描いていると、
目の前のスクラップブックぎっしりの書棚からあらゆる妖怪が出てくる

過労からか「グーグー」と寝てしまっていると、
ドーン!と大きな音がして「ギョギョ!」と夢から覚めるw

再びペンを走らせると、妖怪が出てきて・・・という繰り返し
鬼太郎が妖怪を下駄でやっつけたり、お馴染みのキャラクターが勢ぞろいしたり
机の上には、愛用の筆記用具や、怪しげな南方のお土産っぽいのも置いてあって面白かった

コクヨのスクラップブックは、私も昔から使っていたやつだ
相当、昔から愛されてきたんだな 紙質も好きだし実用的



水木しげるが遺した名言を大紹介!
「なまけ者になりなさい」
「のん気にくらしなさい」
「みんな子供の時は妖怪です」
「マジメに働く人はバカですよ」

「人間は地球人なんだ わずかな境界線を守るために、どれだけの人間が死んだことだろう」(悪魔くん)

ねずみ男「けんかはよせ腹がへるぞ」


「お金が人間全体の心を狂わしてしまっているのだ」



水木しげるの一生 story boad
パプアニューギニアの職人が半年以上かけて作ってくれた
茶色い粘土板?にレリーフのようにたくさんの絵が描かれている
戦闘機もあるし、メガネをかけた水木サンの姿もたくさんいる



妖怪画
晩年は、国内外の妖怪を自分の足で調べ、図鑑までつくった

「小豆はかり」さん好きだなあ
なんで人を驚かすのか自分でも分かってないって可笑しいw



『月刊太陽』の「日本土俗神探訪」

「妖怪の数はほぼ1千」という『妖怪千体説』を提唱

西洋にもさまざまな妖怪伝説がある 例:「ゴブリン」(イギリス)など



仮面コレクション
黒い幕の中に入ると、まるでお化け屋敷
狭い部屋の中の通路の左右に、水木サンがこれまで集めた妖しい仮面や、像が
たっくさん所狭しと並べてあって、その一部が時々動く仕掛けw
土偶っぽいのもあるし

最初は奥さんに“ガラクタ”と呼ばれて呆れられていたが
家族も降参して、いつしか事務所も自宅も仮面だらけになったそう

回った国は約60カ国! 愛用のオリンパスカメラも展示



南方を訪れた映像
「いつか南方に住みたい」という夢があったが、家族に説得されて諦めた
晩年は南方20カ国ほど訪ねて、そのたびにお面をどっさり買って帰る

島に着いて、神輿みたいので担がれて、いかだのような上で現地人といっしょに
楽しそうに音楽に合わせて踊り、子どもたちは笑っている映像

「アボリジニのロックアート」など水木サンが撮った写真も紹介
古木から妖怪のアイデアをもらっていたそう

売れない時期の貧乏、多忙な時期は妻子に構っていられず
晩年はその“贖罪”の意味もこめて、一緒に海外旅行する機会も多かった



「理想の死に方」原稿

「寝るごとく、“あ、オレ死んだんだ”という感じで、ごく自然に死ぬるのがよい
 死というのは向こうに招かれるのだから、素直に行ったほうがよい
 虫や犬猫と同じく、無為にあの世に行くのがよい」(2004)


(まったく同感



「ゲゲゲの女房」武良布枝さんへのインタビュー映像を放映!


「もう水木が亡くなって1年が経ちました
 折に触れ、こうして思い出してくださり、展示会を催してくださるのは有り難いことです」

Q:貧乏で苦労した時の思い出は?

「月1で腐ったバナナを買ってくるんです このほうが美味しいって 本当に美味しかった」

Q:一番多忙だった時期はどんな?

「集中している迫力が凄くて、声もかけられなかったです
 途中から、私にも手伝わせてくれと言って、ベタ塗りなどを手伝いました」

Q:『テレビくん』の受賞の時は?

「(涙ぐんで)いよいよ来るべき時がきたなと思って 本当に嬉しかった」

Q:展示会を観に来てくださっているお客さまにひと言

「お別れ会の時には、入りきらないほど来ていただいて感激しました
 私にとって主人は永遠です
 みなさまも、どうぞいつまでも忘れずにいてほしいと思います」




各界からの水木愛にあふれる追悼メッセージを公開!(初日は48人だった


京極夏彦(小説家):マンガは自筆?上手い/驚

宮藤官九郎(脚本家・監督・俳優):「ねずみ男だけは描けるようになりました」これも上手い!

坂本慎太郎(ミュージシャン<元ゆらゆら帝国>!

ヒグチユウコさん(画家)!

松本零士(漫画家):メーテルと鬼太郎のコラボ!!

美輪明宏さん(歌手)!

モンキー・パンチ(漫画家):ルパンと鬼太郎のコラボ!!

ほか



パネルと写真


スタッフの方がいらして、私も顔はめしてみたw
「コマの中に入るんだ!」という鬼太郎の絵が変わるらしく
後で確認してみたら、「人生になんらかの絶対的な価値を求めるのは、心が弱いからですよ」
と妖怪世界から直々にアドバイスをいただき感激!





水木サンおみくじ 1回100円


大阪の通天閣にあるビリケンさんのごとく金ピカな像の下からおみくじが出てきて
家に帰って見てみたら「大吉」/嬉

でも、会場で奥さまも「あら、大吉!」と言っていらしたから、きっと中は全部、大吉なんじゃないかなあ

 



「ゲゲゲの百貨店」(本展特設ショップ)オリジナルグッズ


公式図録ほか、楽しいグッズがたくさんあって、私もお土産を買ったv











***



8Fに着いてまずビックリしたのは、水木サン展の横で『君の名は。展』もやっていたこと
私はまだ映画を観ていないから、いつか観た時、「展示も観ておけばよかったあ!」と後悔するかもしれないけれども
今のところまだひっかかってこないので見送ります

こちらも若者がたくさん観に来ていて展示場もグッズ売り場も賑わっていた





展示場の横に半ばひっそりとパネルがあって、一緒に写メっていたカップルもいた




***

その他、今回拾ってきたチラシ ※インスタにもアップします

 

 

 

 

 

 




帰る頃はすっかりラッシュアワーの17時過ぎ
今回の展示会は本当に見ごたえ充分だった 満足、満足

しょうけい館のほうも気になるな




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葉祥明『森のささやき』(出版文化社)

2017-03-09 13:57:55 | 
『森のささやき』(出版文化社)
葉祥明/絵・文 リッキー・ニノミヤ/訳

「作家別」カテゴリーに追加しました。

“森のささやきが聞こえなくなったとき、森は消える”


あらすじ(ネタバレ注意

自然や動物が大好きな少年は、荒野に立つ巨木に声をかけられる

「わたしは君が気づいてくれるのを長い長い間待っていたんだよ」




「周りを見てごらん ほとんどの木が燃やされたり、伐られたりして荒地になってしまった」
「うん、でも僕が生まれた時からだよ」




「以前はたくさんの木が見渡すかぎり広がっていたんだよ でももうない
 木がなくなると、野生の生き物も消えてしまう
 森と生き物はお互いに支え合っているんだ

 土は固く乾き、木も草も育たなくなって 砂漠になってしまう

 知ってるかい? 地下では、水が幹をのぼって、枝や葉にいきわたる
 太陽によって温められて水蒸気となり、雲になる
 雲は雨を降らせて 土に還る

 根は、たくさんの生き物たちに食べ物と棲みかを与えているんだ

 だから、君に森をもう一度つくってもらいたい やってくれるね?」

「うん、もちろん! でも僕まだ子どもだよ」




「子どもだから頼むのさ
 森をつくり直すのに 一番大切なのは、希望と夢をもって
 いつか必ず木と森が戻ると信じることなんだ
 子どもたちがこの夢を分かち合えたら、実現するよ!」

「そっか、僕だけじゃないんだね!」





「足元を見てごらん 小さな苗が見えるだろう?
 水、太陽、豊かな土地、そして、人間の愛情があればいいんだ」

「やってみるよ!」


「この木は、君のきょうだいだ
 君とともに育ち、すぐに君の背を越える
 君が大人になる頃には、豊かな緑の森になるよ」




「みんなで木を植えよう 君と僕といっしょに」

「そしたら、鳥、蜂、虫、いろんな生き物が帰って来るだろう
 すると、君の心も魂も幸福に満たされて
 自然とともに平和に生きていけるだろう」


「おかえり、小さな虫たち
 おかえり、小さな鳥たち
 おかえり、みんな!

 ありがとう心やさしい子どもたち
 わたしは君と、君の子どもたち、またその子どもたちを
 何世代も見守っていくよ」


もし、このメッセージを聞いたすべての子どもたちが
行動を起こしたら、森はふたたびもとの姿に戻ることだろう





【著者によるあとがき 内容抜粋メモ】


地球は、人類誕生以前は鬱蒼とした森に覆われていました
ヒトは森を切り拓き、文明を作ってきたのです
20Cになり「文明」は、森を破壊し、恐ろしい速さで地球から消えています

水、土地、空気はとても親密に関係しています これらはすべてひとつなのです

森の再生には世代を越えた長い植林活動が必要です
だから、私は世界の子どもたちに、彼らの子どもたちのためにも
この重要な担い手になって欲しい

あなた方は、ヒトと地球の未来の希望なのです


***

ヒトが大勢増えて「開拓」し「文明」を広げるごとに、
自然は猛烈なスピードで消えていき、汚れていく

宇宙開発も夢があるけれども、まず、地球の再生が第一じゃないだろうか
ヒトは今その宇宙すら、たくさんのゴミでいっぱいにしている
まるですべてのモノを、ヒトが自由に使い捨てていいかのように

木を伐って、家を建て、家具をつくり、
トイレットペーパー、ティッシュ、コピー用紙、あらゆるモノに姿を変えることで
森の姿はより見えなくなっている


どこか遠くにまだまだ無限にある尽きない資源だと信じている
石油や天然ガスなど、ほかの天然資源と同じように

そうして無限に消費し続ける大人ではなく
これからを生きる子どもたちに向かって
葉さんは、絵本という手段を使って語りかけている


この本だって森からできている
子どもを本に導くのは大人の力も必要だ

林業も担い手が少なく、利益が上がらないなどの理由で衰退していると聞いた
ヒトはお金にならないことはやりたがらない

世界中が砂漠化しているのは事実で、
それがゆくゆくはヒトを滅亡させることには気づいていないかのようだ


本書の「ACT NOW」(今、行動しよう)という言葉の重みを感じる

実際、山まで行って木を育てるのは、カンタンではない
私が出来ることは、せいぜい身の回りの紙を無駄使いせず、
使った紙をリサイクルに回すことくらい

パルプ100%の紙をふんだんに使える現代の日本人は
経済的には豊かかもしれないけれども
わらばん紙や、もっと素朴な資源を大事に使っていた時代のほうが
ココロはより豊かだったことだろう


本書は、なぜか英文のほうがより分かりやすく、詳しく書かれているように感じた
日本文はとても短く、分かりやすいけれども、核の部分が伝わりにくい気がする

それでも葉さんの描く樹、子ども、自然の絵だけでも充分に訴えかけ、
未来への希望を感じさせる終わり方になっている


私たちは、自分たちが大量消費してきた自然のサイクルを
子どもたちにも戻してもらえるよう、伝え続けることができるだろうか


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