メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

手創り市@雑司が谷(2017.3.19)

2017-03-20 10:36:50 | アート&イベント
手創り市

ツイッタ
@kishimojinotori
(たくさんの商品の写真も載っています

手創り市@雑司が谷(2017.2.12)

先月もライヴ友さんと行ったけど、今月はNさんと行ってきたv
どんな天気予報でも晴れにしてしまうNさんの威力絶大/感謝

でも、花粉飛びまくりです・・・
2人とも花粉症なため、1日中マスクをつけていたけれども
Nさんは鼻かみまくりだし、私は家に帰って寝る頃に全身がアレルギーで痒くなって
発疹が出て、塗りグスリ塗りまくりました

原因は強風 軽い商品や紙ものは飛びまくりで、お店を出している方々も大変だった
砂ぼこりもハンパなく飛んでいて、ジャリジャリになっちゃうだろうし

市全体写真を撮るのを忘れてしまったのでツイッタの写真をお借りします



大鳥神社






今回も可愛い動物モチーフのモノ、大好きな家モチーフのものもたくさん出品されていて
見るたび食いついて、どうやって作るのか教えてもらったりして楽しかった
(自分ではやらないけれども

先月いた方もいらしていたような?

この作家の方、ほんとに夢があふれてる


可愛いアクセサリーもいっぱい




まず、最初に入ったところにあった大人気のパン屋さんが「信州」と名がついていて
同郷好きなので、私もスコーン買いましたv
自然素材で、手作り感が美味しかった

先月も買ったシフォンケーキを、今回も買った
春らしく桜の名がついていて、フワフワでこちらも美味しい 200円で安いしv

 



ほかにも、私もNさんもブローチを買った
ブローチほか、ネックレス、ピアスなどアクセサリーを出している店も
たくさんあって、どれも個性的で迷ったけれども、

白いガラス板?を使って、最初に線を彫って、彩色したという猫のブローチ1500円を購入v
普段はつけたことがないから、お店の方にコートに着けてもらった/礼
周りのハンダは、子どもが口に入れても大丈夫な「鉛フリー」だそう


Nさんいわく、これはにゃんこの「正座」だってw


薄いガラスのブローチを出していた人で、中に銀粉を入れてる人もいた
ものすごい高温のうちに端をハサミで切り落として、また溶かして丸みを出すとか


実はNさんも美大出身で、昔は油絵で自画像や、静物画を描いていたけれども
全部処分してしまったそう 観たかったなあ!

今回は、なんだかフクロウ、ナマケモノのモチーフをよく見かけた


わんこ連れの人も多いのも楽しみの1つで、
今回はとっても大人しいフレブルの男の子を写メらせてもらいました かあいい!




大体1周して、小腹が空いたから、美味しい団子屋さんに入ったら
いつも大人気だから、売り切れてしまって、
「次に材料が来るのは20分後くらいなので、お待ちになってください~!」
と親切な奥さまがゆってくれたけれども

前回食べた「大阪焼き」も美味しかったから、屋台のほうに行ったら
なんと、焼く機械が故障して、止む無く停止だそうで、残念



池袋まで歩いて戻る途中に、可愛いカフェを見つけて、そこに入った

ユルカフェ (yurucafe) - 雑司ヶ谷


「アマトリチャーノ」900円+ピーチティー(ice)
“当店手打ちのパスタにベーコンとたまねぎを加えたトマトソースなパスタです。”



平らな麺で、トマトソースがからんで美味しかったv

にゃんこの譲渡会もやるのか/驚




Nさん宅にも古株のマルちゃんと、もう1人にゃんこがいて
マルちゃんは、ここのところ甲状腺の病気で夜鳴きがひどく、昼も鳴いて困っているそう
いっぱい食べるけど戻しちゃったり、でもおクスリ飲むのは大好きで走ってくるって珍しい/驚
そのおクスリがあまり効かないんじゃ困ったねぇ・・・

家の片付けの話にもなって「終活」って呼んでて、私も似たようなもんだなと思ったw



駅で別れて、私はデパ地下で食糧調達
普段見かけないお茶、添加物なしの豆乳も何種類かあって買ってみた
やっぱり品揃えがイイなあ

 




三省堂には源くんのトークイベントのおしらせもあった!
ぶくろに来るのかと思いきや「都内某所」、しかももう「受付終了」て看板の意味なくないか?




帰り道で端っこに健気に咲いている小さな花がキレイだったから写メった




今日も楽しい佳き1日でした~!


今日もたくさん頂いたお店のカード(インスタにもアップしました


老夫婦がプロに頼んで、やっとHPを作ったそう

AKI KASARA

にゃんこの目が特徴的

ご主人「作る人の性格に似て、目つきが悪いんですよw」てとっても優しい表情の方でした


 
お皿類もいちいち気になる


 


 


 


 





 


 





 







コメント

『ニルスのふしぎな旅』(偕成社)

2017-03-20 10:35:50 | 
『ニルスのふしぎな旅』(偕成社)
原題 Nils Holgerssons underbara resa genom Sverige by Selma Ottilia Lovisa Lagerlof
(ニルス・ホルゲルソンのふしぎなスウェーデン旅行
セルマ・ラーゲルレーヴ/著 香川鉄蔵、香川節/訳 ベルテイル・リュベック/絵
第1部(1~21章)1906年~第2部(22~55章)1976年
初版1982年(1996年18刷)全訳全4巻 各680、700円

※1997.3~、1997.7~のノートよりメモを抜粋しました。
「読書感想メモリスト1」カテゴリーに追加しました。


セルマ・ラーゲルレーヴ
1858年 スウェーデン生まれ
スウェーデン・アカデミー金賞受賞

スウェーデンの地理、歴史を分かりやすく、10代前後の子どもたちに知ってもらうため、
スウェーデン教育会から指名されて今作を書いた

1907年 ウプサラ大学から名誉博士の称号を受ける
1909年 スウェーデン人、女性として、初ノーベル文学賞受賞
他作品『イエスタ=ベルリング物語』(1891)、幼少時代をつづった『モールバッカ』(1922)ほか
1940年 83歳で死去


3年間も母国の自然、風土、文化等を研究し、大変な苦労を重ね
丁寧に、分かりやすく、とても詩的で、美しい文体でつづられた素晴らしい児童文学作品


各章の番号案内のついた地図が、各巻前にあり、
どんな旅行案内より楽しく有意義なスウェーデン旅行が楽しめる

ガチョウの背中に乗り、上空からの視点で、動物、人間を見て、
ファンタジーの視点から楽しめる長編なため、
各巻の感動が薄れないうちにメモっておこうと思う



あらすじ(ネタバレ注意



ニルスは働くのも、勉強もキライ イジワルで皆の嫌われ者
貧乏な日雇い農民の子でガチョウ飼いをしている

トムテ(小人の妖精)をからかって、自分もトムテにされ、
ガチョウのモルテンが渡り鳥のガンの誘いにのって飛んだ背中に乗り
スウェーデン巡りの旅がはじまる

ガンの一群のリーダー古老のアッカは、人間のニルス=親指くんを帰そうとするが
仲間をキツネの「ずる」から救ってくれたことで見直す

ニルスは子リスをおいて誘拐された母リスも助け、
飼い鳥にするため羽をむしられそうになっているモルテンも救う

いつも動物にイジワルばかりして嫌われていたニルスにウソ(?)らが歌ううた
もしハイタカきたなら ヤマガラ歌で知らせます~ は感動
純粋で、恩はけして忘れないのね

アッカはお礼にトムテに人間に戻してもらうよう約束させたのに
ニルスは断ってしまう


「グリミンゲ城」では、クマネズミの最後の砦をドブネズミにとられるが
ニルスの吹くネズミ使いの笛で遠くへやってしまい、
彼は動物の大舞踏会に招待される

春の訪れを体中で喜び迎える姿は大興奮!

スモールランドの三段の土地と、巨人の投げた岩、それに驚き川をのぼるサケの寓話
「ずる」は復讐に燃え、テンやカワウソをけしかけるがすべて失敗

海と陸の出会い方の表現がステキ

「まるで一番つまらないものしか見せてやらないぞ、という態度だ」


「カールスクローナ軍港」では、悪口を言ったためスウェーデン強国化をすすめたカールⅡ世銅像に追われ
提督教会の慈善箱、ルーセンブム船長の木の帽子に隠れ、おかしな造船歴史鑑賞
国王に脱帽して見つかっちゃうw


霧に迷って「エーランド島」に到着
脱骨した雌ハイイロガンを助ける
「この鳥は小さいお姫さまに違いない」

この島が巨大蝶の舞い降りた跡だという農夫の話は詩的

小カルル島にはヒツジがキツネに脅かされ、ニルスはまた頭を使って彼らを地獄谷へ落とす

夜、ニルスは「ヴィネタの幻の都」の夢を見る

海底に沈んだ都は、100年に一度、1時間だけよみがえり
生きた人に何かひとつでも商品を売ればよみがえるのに、ニルスは一文無し
腐った銅貨を探し、振り向くと幻は消えているという涙の出る美しい話

翌日、華やかな祭りと、都の遺跡を見て「いつか滅びるなら助けなくてよかった」と思い直すニルス

「でも、歳をとるとヴィネタより、今ここにあるヴィスビのほうがよくなる」とはどういう意味?

スモールランドを素晴らしく作った神と、スコーネを醜く作った聖ペテロの寓話


***


光り物が好きなカラスらを「ずる」は再びけしかけて
「土かめの中の銀貨をとれるのは親指くんだけだ」

カラスに誘拐される途中、鳥の求婚歌をバカにして居所をしらせるニルス
悪い親分「あらし」を殺して、善いカラス「うすのろ」がボスになったのに
「ずる」に殺され、火をつけた小屋から逃げ出す

牛小屋に泊まり、老いた牝牛に飼い主のおばあさんの様子を見てほしいと頼まれるニルス
最初は気味悪がるが、子どもも孫もアメリカに移住し、残された話を聞いて
死んでいるおばあさんの身なりを整えてあげる

ガンの上からニルスが人と会話する様子が美しい

鉱夫は「どこ行くんだい!」
ニルス「つるはしもハンマーもない所へ!」

「一緒に行こう!」
「今年は行けない!」


マガモのヤツルーは、銃で負傷する
人に介抱され仲良くなるが、鳥の天国の沼を埋める計画を聞いて
おとり役となっていたのをニルスが助ける

ヤツルーを追って沼で迷う子と心配する親は
「鳥も沼なしに子育てはできまい」と考え直す

百姓と漁夫の話

「昔、予言者に農夫が郷土の未来を聞いた予言者は
 立派な建物や製鉄で栄えるとしきりに並べるが、農夫は安心しない
 最後に残るのは、強情な農民ですと聞いて、やっと安心
 “土とともに働く者だけが郷土にいつまでも幸福をもたらすのだ”と」


家畜をからかうガンも子ブタには優しい
「思ったよりもよくなるよ!」
ニルスの落とした小さな木靴を友だちのマッソとオーサが拾う


動物を追い回してばかりいた猟犬カルルは、子鹿を助けて、自分も撃ち殺されずにすむ
子鹿は「灰毛」と名づけられ、ある日、売られようとする時
カルルは森へ誘い、野生の鹿の生活を教え、灰毛は森に逃げたが

思わず殺した水ヘビの夫「無頼」が復讐を誓い、尼ガを大量発生させて森を死においやり
「灰毛が森を去るなら、ガに病気を発生させてやる」

灰毛は森を去り、数年後、森は回復
ニルスは知らずに無頼と戦って殺す

カルルは渡り鳥から灰毛が立派な最期を遂げたと便りを聞く


領主カール殿下が、ふと庭師と交替してからずっと庭園を守らなければならなくなった逸話も
どこか寂しくほがらかで印象深い

ニルスは彼の案内で素晴らしい幻の庭を探索
「○○夫人は休めるが、わしはダメなのじゃ」

最後にスコップを渡せず地団駄を踏むカールに「殿下ほど庭を手入れする人はいませんよ」
とニルスが言うと、表情が明るくなり、幻は消えた


風雨の魔女でイタズラ者のカイサが、市の前日、吹き荒れて、町の宿屋はいっぱい
風雨に打たれる家畜は、ニルスにケチで有名な屋敷の小屋に泊めてもらえるよう頼まれる

主人は亡き夫を真似て、ある一家を乞食にし、昔可愛がっていた馬
買い戻すことを迷って泣いていたが、母に

「父は苦労したから、自分のことしか考えなかったが、お前は必要以上に物持ちだ
 人のことを考えないならどうかしてる」と言われ、老馬を引き入れてあげる

マッツとオーサは氷の張った湖を渡ろうとして割れてきたことに気づき迷う
ニルスは空から指示を出して助ける 2人は木靴を返してあげる

巨人族の母が3人の子どもに土地を残す話
末息子にはあまりいい場所でないと思ったら、鉱脈があり、一番裕福になった


風に飛ばされたニルスは、クマの親子につかまり
「製鉄所を燃やしてくれたら命を助ける」と言われるが
ニルスっは助かる方法を考えるかわりに、鉄がどれだけ人の生活の役に立っているかを考えてしまう
道具となり、乗り物となり、働く場を与え、銃のおかげでクマより強くなった

頼みを断ったが、銃からクマを救ったことで助かり
ガンの群れに戻ったニルス






水害に嘆く農民らに鉄道員が雪解け水から大河「ダール川」となるまで
どんなに苦労し、長い年月がかかったかを話す

小屋に閉じ込められたワタリガラスのバタキを救うニルス
彼が眠らないよう話してくれた「ファールン市の鉱山」をもらった姉妹の逸話

「鉱脈を見つけた者は殺さねばならぬ」

言いつけがイヤで妹は農民に与え、彼は大金持ちとなるが
姉のもらった「男の分け前」のほうはまだ手つかずのまま

バタキはそれを見つけて、ニルスは助けたお礼に教えてもらい大金持ちになれると思ったら
あてが外れ「大女に殺されたんじゃなく、ありかを忘れて絶望したんだ」

ダラーナ地方の火をたき、春を呼び寄せる「ヴァールボリイの祭り」
焚き火を囲むダラーナ人のおばあさんが話す苦労話

ストックホルムに出稼ぎに歩いて出かけ、収穫やボートこぎ等、あらゆる仕事をして節約し
家族の元へお金を持ち帰る

「今の子どもたちは、パンも食べられなかったと言っても信じないだろうね」

ダラートでは女性に頭が上がらないらしい

「ずる」のイタズラで「洪水で巣を流された白鳥の王“青空”、王女“白雪”を助けてくれ」
と伝言を受けたアッカらだが、モルテンは、“白羽のガン”、ニルスは“カエル”とバカにされて大騒ぎ!

再び「ずる」に追われたニルス
小屋にいた番犬としめし合わせて、鎖でこれないとタカをくくっている「ずる」に
鎖をはなしてやった犬がのして、代わりに「ずる」の首に鎖をかけ
「いい番犬になるんだな」


「ウップランド地方」の勉強ができずに困っている子どもたちにおばあさんが話す逸話
貧しい土地だったウップランドは、豊かな州に岩や川、土地を少しずつ恵んでもらい
とうとう鉱山も港も平野もある一番立派な州となり、王と首都まで獲得した

大学が建ち並ぶ「学問の町ウプサラ」
優秀で人気のある幸福な大学生は、不幸な万年学生に5年もかけた「ウプサラ市の歴史」論文の
批評を頼まれたばかりに原稿を風に飛ばして失くし、試験にも落ちて
万年学生は病気になるはで一番不幸になる

一方、バタキは、この前のお礼に、学問を学べる喜びと誇り、
ニルスが人に戻れる方法を教える

「君の衣服を着てガンと旅行がしたい」

まさにその言葉が出たのに、ニルスはバタキに原稿を拾わせ、学生に返す
「学生の話を聞いて、友を裏切ることは汚らわしいと分かったよ」


いよいよストックホルムへ!

以前、モルテンが助けてから婚約?したハイイロガンのダンフィンは、家族と再会
が、イジワルな姉に毒を盛られたり、ワシとモルテンを戦わせたり、
一緒に群れで行こうとしてバレる

その拍子にニルスは海へ落ち、漁師に捕まり、スカンセンという野外博物公園に売られる
そこのバイオリン弾きの老人クレメントは、貧しく、ホームシックにかかっている

老紳士に「ストックホルムの話を聞けば、故郷へ帰りたいと思うはずがない!」と
中州に次々と立派な建物、大勢の人々が集まってきた様子や
アザラシの皮を男が隠して、海の乙女を嫁にもらう式の当日、
ありかを教えて逃げられてしまう話を聞かせる

「ここでは自分はよそ者と思う必要はないし、ホームシックの必要もない
 ここはスウェーデン人みんなの家なのさ!」

後に老紳士が国王と知って混乱したクレメントはニルスを逃す約束も忘れて田舎へ帰ってしまうw


数年前に両親を亡くした「ヒナワシゴルゴ」をガンとして育てたアッカ母さん

成長し“鳥食い”だと怖れられ、とうとう「ガンは襲わない」と約束して
ワシとして一人立ちしたゴルゴもまたスカンセンで捕まり
毎日オリの中で大空を飛ぶ夢を見ていたら、ニルスに助けられる
お礼にクレメントのところまで運び、ガンの群れへ戻す約束をする


焼けた森に植林する村人を見てから、ヘルシングランドで老人を見つける

談話大会でベルナードが話したのは、お坊さんが利口な馬に連れられて
「ブラック山」で森の精と猛獣が家畜に死の宣告をしている様子を見せられ
典礼書で馬を救った話をするが、クレメントの王の話にはかなわない


メーデルパッドでは、森が伐られ、川で運ばれ、数十軒もの製材所で板にされて
や家になるため、船や列車で運ばれる様子が描かれる



オンゲルマンランドでは、腹ペコのニルスのため、なんとか食べ物をとろうと苦心するゴルゴだが
小鳥や農民に嫌われてうまくいかないところに、金髪の若いおかみさんが焼きたてのパンを手渡してくれ
ニルスは感謝の涙を流す

「もし人間に戻ったら、きっとあのおかみさんにお礼を言おう」

ゴルゴが食事に出かけている間、松のてっぺんに置かれたニルスは
山火事がすごい勢いとスピードで尾根をどんどん焼いていくのを見る
動物が逃げ回る中で、人だけが炎と戦い、とうとう自然の脅威を止めてしまう





クレメントとラップ人の“五羽の知恵者”の会話
「お前がコーヒーをすすめられたらイヤと言わないように、
 わしも話を聞かせると言ったら、イヤとは言わないよ」

それぞれが競って見てきたのは、大きな山、湖、森、平野、岩礁地もある素晴らしい王国だと分かる

ゴルゴの背中の上から見る南へ流れてゆく土地や、家、列車
ニルスは、とうとう北の果ての目的地ラプランドに到着し、一行と合流

7色の光の髪をもつ太陽も、氷の顔をもち、寒さと北風、暗闇のオオカミを連れた氷魔に勝てない

ニルスはアッカに「ずる」かスカンセンに買われ、沖ノ島に買われていったと話す


姉オーサと弟マッツの悲しい話

幸福に満ちた家族のもとに病気の旅の女が泊まり、亡くなってから
上の姉ら4人が次々と死に、父は絶望のために家出、母も亡くなり
姉弟は12、3歳で働いていた

家が焼け、ある講演で家族は、呪いではなく結核で死んだと分かり
事実を話すため、父探しの旅に出る

父がいたという鉱山「マルムベリエット」でマッツは発破で死に、鉱山長に話して盛大な葬式を出す
ニルスは、父の居所を教え、ラップ人のテントに行くオーサ

少年は黒死病が流行り、残ったラップ人少年とスウェーデン少女の話を聞かせる
冬もテントで過ごし、トナカイの乳、皮、肉を利用して、自然と共に暮らすほうがステキだと分かる少女

ラップ人の長は、絶望した父に苦労してここまできた娘を養女にすると話すと
父は慌てて娘を迎えに行く オーサも子どもにかえる


今度はヒナガンを連れて南方の旅へ

エストベリエットの見晴らし塔の上で、見物人らの話す「イエムトランドの伝説」を聞くニルス

巨人の夫婦は、土地を豊かにしにきた勇者アース族に酒樽だといって川と「ストール湖」を作らせ
臼をひくと言って土をひかせ、寝床だと言って鋭い山々をしき、豊かな地になり、巨人は去った


猟師に追われたアッカに代わり、バタキがニルスを乗せて話を聞かせる
「ソーン山」のオオカミに襲われた樽売りは、おばあさんを救おうか、
犠牲にして、自分と馬を救うか迷うが、自分が樽に入って、おばあさんに使いを頼み

「自分にも他人にも不正をする必要はない 解決の方法は見つければ必ずある」

また、鍛冶屋の競争でも敗れそうになった男が諦めずに、他の方法を見つけて世界一になる話


ノルウェーにもスウェーデンにも帰れなかった男が、誰も住まない「ダラーナ地方」を開拓して
幸せに住んだ話を聞かせ、トムテがモルテンをまな板に乗せたら、ニルスを人に戻すといっても
他に方法があると教える

7人の登山者が故郷自慢で仲たがいしそうなところへ老人が聞かせた話
「ヴェーネル湖」を耕して、一番仕事のできた者が一番だと巨人の父が7人の息子に言う

それぞれ仕事が終わり、父が言うには

「父親は、息子の誰が優れているなんて望まない
 この溝のように同じ喜びの気持ちで眺められたら安心なのだ」


スウェーデンにこんなに湖が多いのは、この巨人が鋤ですいたからなのね


屋敷の前でフクロウに襲われているのを助けたのは、なんと作者自身
屋敷はモールバッカの生地で、スウェーデンの本を書くのに苦労した様子がうかがえる
こんな出会いを物語の中に織り込むなんて、とっても粋


アッカらに「ヴェーデル諸島」の1つに連れて行かれたニルスは
改まって砂に埋もれた金貨をもらう

ゴルゴによると、ニルスの父母は、借金で家も失いかけているというが
「父も母も正しい人だ やましい心で帰るなら、僕の手助けなどいらないだろう」と断るニルス


「マルストランド島」の活き活きしたニシン漁の様子、皆に人気の小学校の女教師が
世界でも有名な「ネースの手工講習所」に行き、木彫り、歌、体育等を申し分ない環境で
学びながらも自信喪失していると、屋敷を手工学校にして、

頭だけでなく、手技も使えれば、生活は容易に、幸せになると考えた老主人と甥の話を聞き、
自信を取り戻して教師に戻ると、老主人が亡くなり、お礼も言えず、甥の所長も命が危ないと聞き
生徒を連れてきた先生


「ヴェステルヨートランドの巨人」と難破した船員の話をする
巨人の作った山、川、森をひきぬいた平地もすごいが、
港を作り、森を植えて自然を克服した人間の業績もすごい

巨人からもらった指輪は、そのものを一気に幸せにするが、同じ早さでそれを奪ってしまう

「良い人が自分の力以上に努力し、成功し、
 そんなに働いて、仕上がらないうちに体を弱くするのを見ると
 その人は、指輪を見つけたのではないかと思うわね」


病人を悪化させるかも、と戻りかけた先生を、ニルスは呼びとめ
生徒の合唱で瀕死の所長はまた生き返る


とうとうニルスの故郷で、旅の出発点「スコーネ」に着く

外国へガンと行く決心をしていたニルスだが、アッカの助言で実家に寄ることにする
このアッカのラストの言葉は、作者が作品を通して訴えたいテーマだと思う

「人は世の中、自分らだけで暮らしていると思っちゃいけないよ
 人は大きな土地を持っているのだから、少しの沼、湿地、淋しい山や森は
 貧しい鳥や獣に分けることができる

 私たちはずっと追われどおしだった
 安心できる場所があればいいと思うのだよ」



昔飼っていて、1頭しか残っていない牛から、
母はニルスがガチョウを盗んで放浪していると思っていると聞く

働かなくて父を困らせている馬は、足に鉄片が刺さっているだけだと知り、
蹄にそれを刻んで父に知らせ、取り除いてもらう

オーサと父が訪ね、ニルスの評判を話すと、父母は喜ぶ

モルテンは、かつての自分の小屋をダルフィンに自慢して見せていると
母に捕らわれ、モルテンの日(11月11日の祝日はダチョウを食べる日の名をもらったなんて!!)までに
絞めてしまうと聞き、

ニルス「ガチョウに手をつけてはいけない!」

まさにこの言葉が、ニルスを親指くんから人間に戻し、父母と感動的な再会を果たす


翌朝、約束どおり、「スミイエ岬」でアッカらを待つニルス
人間になった彼を見分けられずにいたガンは、アッカが気づいて
ニルスのそばに来て、祝福を述べるが通じない

「ニルスはもう人間なのだ ニルスには私たちの言うことが分からないし、
 私たちにもニルスの言うことが分からない」


ニルスはガンを撫で、まだ悲しんでいるうちに別れた

“鳥の悲しみなど、そう長く続くものではないことを知っているから・・・”

“飛び去るガンを見て恋しくなり、また親指になって、陸や海の上を一緒に飛びたいと思った”


***

こうしてニルスのふしぎなスウェーデン一周の旅物語は終わる

本を読み終えるといつもそうだが、登場人物と一体となって、あらゆる冒険をした後
つまり、この4巻をパラパラめくるか、このメモを2、3度読むかもしれないけれども

動物らと会話し、鳥の背中に乗って、大空から市松模様の田畑を見渡したり
ガンと会話もできなくなり、空に消えてゆく彼らと別れる淋しさを、
今ほど感じることはないと思うと、読んでいる時の楽しさ、
先はどうなると慌てて読んでいっても
いつかは物語が終わる淋しさはどうしようもない


以前、何気なしに買った旅行ガイドブック『北欧(デンマーク・ノルウェー・スウェーデン・フィンランド)』
ブルーガイド海外版 実業之日本社 1200円が役に立った

もっと詳しい地図があれば、ガンの渡る様子がリアルにつかめたのに
いつか実際のニルスのルートを映像と共に物語を追う番組でもできれば嬉しいんだけど


要所要所を画説するベルティルの力強く温かなイラストをそのまま掲載してくれているのも嬉しい

作品中の解説にもある通り、本作を書き上げるまでのラーゲルレーヴの下準備は並々ならぬ努力が
必要だったろうことがぎっしり詰まった昔話、逸話、川、山、湖のできるまでの過程
動物のリアルでイキイキとした動き、話からもよく分かる

たとえば、私の住む県1つとっても、古くから伝わる民話など集めれば相当な数あるだろうし、
北と南、東と西では、暮らしぶり、気候、文化、気質もかなり違うだろうから、

1つの国、それも自然と文化に富むスウェーデンを
日本人にもこれほど美しく奥深い国だと思わせるように描くのは
相当な筆腕なしには表せない

それぞれの国に、こんなに楽しい歴史、地理が分かる文学作品があったら
世界中がもっとよく見え、分かるんだろうなあ

歴史の教師で、伝説集の著書の多い作者ならでは
巨人族の話が多いのが特徴
歴史でも、ヒトは今より大きかったと書いてあるからまんざらウソでもなさそう


コメント

ドリトル先生物語全集1『ドリトル先生アフリカゆき』(岩波書店)

2017-03-20 10:34:50 | 
ドリトル先生物語全集1『ドリトル先生アフリカゆき』(岩波書店)
原題 The Story of Doctor Dolittle by Hugh Lofling
ヒュー・ロフティング/作(英1920) 井伏鱒二/訳
初版1961年 1200円

※1996.12~のノートよりメモを抜粋しました。
「読書感想メモリスト1」カテゴリーに追加しました。


ヒュー・ロフティング
1886年 イギリス生まれ
子どもの頃押入れに小動物園をつくる
土木工学を学ぶが第一次世界大戦が始まる
戦場で殺される馬などを見て、2人の子どもに話を作って聞かせたのが始まり

ドリトル先生のモデルは、息子(コリン?)
英詩人にすすめられて出版し大好評となり、続編を書き続け
『秘密の湖』(1947)を書いて、まもなく死去

黒人問題から、アメリカで出版されているのは今作と『航海記』のみ



「子どもの読み物は面白くなければならない
 だが、媚びるのは大きな誤りだ

 調子を下ろすのは、心ある子の嫌悪するもの
 子どもの読み物として上乗なのは、大人の読み物としても上乗であるべき

 子どもはつねに大人になりたいと望み、大人は子どもにかえりたいと願っている
 子どもと大人の間には、はっきり境界線を引くことはできない」(ロフティング)




あらすじ(ネタバレ注意



小さな町バドルビーの医師ジョン・ドリトル先生は動物好き
家の中にワニまで入れたから患者が減り、すっかり貧乏になり
妹サラも嫁に出て、動物たちが家事を手伝う

オウムのポリネシアは、動物それぞれが言葉をもつと教え、
毎日、先生に鳥語、馬語、犬語などを教え、
「動物語の話せる医者」の評判はたちまち広まる

「もし人が空を飛べたら(そこらへんのスズメくらいに)どんな自慢を聞かされることでしょう!」

オルガン弾きの連れて来た不幸なサルを買い、チーチーと名づける
チーチーは、アフリカの仲間が大勢病死しているニュースを知り、先生に助けを求める

船も食糧も全部借りて出航 ツバメが案内役
着くとすぐに黒人の王に捕らわれる

ポリネシアのおかげで脱走

サルの橋を渡って、サルの王国へ行く
病気のサルを入院させ、大忙し

ライオンに手伝いを頼むとプライドが高くて断られるが
自分の子どもが具合悪くなり、診てもらうために手伝うことになる

みんな元気になり、国に帰る先生に贈ったのは、2頭の鹿“オシツオサレツ”
すごくシャイなこの絶滅寸前の動物は、説得され、見世物になって金を稼ぐことになる

帰りに迷って、再び捕らわれるが、白い顔になりたい黒い王子に薬品をつけて
一時的に白くし、船と食糧と引き換える


チーチーとポリネシアとワニは残って、出航
海では恐ろしいバーバリの海賊船に追われ、ツバメに引かれて逃げきる

休みに寄った島で、海賊が船を離れている隙に乗っ取る
元の船はネズミの言ったとおりに沈没する

サメに食われる代わりに、農民になると誓わせて海賊を助ける
耳のきくフクロウのトートーが船室に閉じ込められた少年を発見
彼の伯父の船がはぐれてしまったという

イルカに聞いても「海の中にはいません」
ワシの目利きにしても「見えるところ半球中探したが、いません」

犬のジップは、伯父のハンカチのニオイから、風のニオイを嗅いで、噛み煙草のニオイを探す
とうとうニオイのする大岩の穴の中で伯父を発見

漁師町に送ると、海賊をやっつけて人を救ったと大歓迎される
ジップは金の首輪、先生はダイヤの時計をもらう
オシツオサレツの見世物小屋でも稼いで、家に戻ると
貯金箱3つ分もお金持ちになっていた

***

挿絵も著者によるもので、とっても特徴が出ていて味がある
もともと物書きではないせいか、食い違う部分もある

動物好きの先生にしては、魚を釣って食べたとか、肉を食べたって箇所が気になった
弱肉強食のルールは変えられない、獣医がベジタリアンとは限らないのか

1巻目には、他シリーズの丁寧なあらすじが本文と同じボリュームで入っている
下記の通り

(ウィキ参照
ドリトル先生アフリカゆき(The Story of Doctor Dolittle、1920年刊)'23ニューベリー賞(アメリカ児童文学最優秀賞)受賞
ドリトル先生航海記(The Voyages of Doctor Dolittle、1922年刊)
ドリトル先生の郵便局(Doctor Dolittle's Post Office、1923年刊)
ドリトル先生のサーカス(Doctor Dolittle's Circus、1924年刊)
ドリトル先生の動物園(Doctor Dolittle's Zoo、1925年刊)
ドリトル先生のキャラバン(Doctor Dolittle's Caravan、1926年刊)
ドリトル先生と月からの使い(Doctor Dolittle's Garden、1927年刊)
ドリトル先生月へゆく(Doctor Dolittle in the Moon、1928年刊)
ドリトル先生月から帰る(Doctor Dolittle's Return、1933年刊)(ノートでは1929
ドリトル先生と秘密の湖(Doctor Dolittle and the Secret Lake、1948年刊)

(著者の死後、最後の夫人の妹がまとめた
ドリトル先生と緑のカナリア(Doctor Dolittle and the Green Canary、1950年刊、遺稿を整理し刊行)(ノートでは1951
ドリトル先生の楽しい家(Doctor Dolittle's Puddleby Adventures、1953年刊、遺稿を整理し刊行)(ノートでは1952


2度も妻を亡くすという家庭運には恵まれなかったロフティング
作品の中にも心境の移り変わりが反映しているようだ
さて、今後どんな冒険をしたのかシリーズを読み進めてみよう


(結局、このシリーズはこれ1冊のみ
 理由は、やっぱり動物好きなのに肉食って、それは誰の肉?て矛盾がひっかかったから




コメント