■ポールピフ「お金は人をイヤなやつにする?」Does money make you mean?
Does money make you mean? | Paul Piff
「モノポリー」というゲームはやったことがない
人のお金を全部取って、家やらクルマやらを買ったほうが勝ちみたいなルールみたいだけど
そんなゲーム全然面白そうじゃないな
自分のほうが圧倒的に有利になるおかしなルールだと気づいても
それに乗っかって、たとえゲームでも勝利に酔いしれる学生たちに気味悪さを感じた
【内容抜粋メモ】
モノポリーというボードゲームわかりますよね
普通は勝つには技術と才能と運がいる
でもそれが自分が有利になるよう操作されていたとしましょう
相手よりお金を多くもらえ、駒を多く進めたりもできる
考えてみてください
自分に有利なゲームをすることで、何か自分に変化があるのか
相手への態度はどうなるか
これをカリフォルニア大学バークレー校で実験してみました
対象は初体面のペア100組以上
コイントスをし、ペアの片方を「金持ち」に設定
最初の所持金が2倍、ゲーム中の給料も2倍 また、相手よりもサイコロを多く振れます
プレー時間は15分 隠しカメラで撮影
その映像を今日ここで初公開します
金持ち:500ドル何枚ある?
貧しい人:1枚
金持ち:マジで? 僕3枚ももらってる
彼らはすぐに何か変だと気づきました 明らかに不公平ですからね
そしてゲームが進むにつれて、2人の行動に劇的な違いが出てきました
金持ちが大きな音を立てて駒を動かすようになったのです
得意気な態度が「金持ち」の方に多く見られた 喜びのポーズとかもね
我々は「完了行動」の調査として、お菓子を置いておいて、どのくらい食べるか観察した
金持ち:お菓子、罠かな?
何か裏があるんじゃないかと勘ぐっていますね
だけどやがて我慢できなくなり「金持ち」が菓子を食べます
金持ち:食ってみるか うまいね
そしてこの後、実に興味深い態度の変化が見られました
「金持ち」が感じ悪くなっていったんです
相手に対して横柄な態度をとり、自分が勝っているということをガンガンアピール
金持ち:
俺、何でも買えちゃうなあ 24ドルよこしな
そっち、もうすぐ一文無しだな こっちは金ありすぎてさ
俺、もはや無敵だからねw
そして、何が面白いかと言うと、我々はゲーム終了後に、彼らに感想を聞いたんですよ
すると、勝って当たり前の「金持ち」が勝因を語ったりする
どういう風にプレーしたかとかいうんですよ だから勝てたと
それ以外の要素には触れない コイントスのことにも
たまたま有利な立場になっただけなのに
これは、人が「優位性」をどう捉えるかを物語っています
こうした実験は「格差社会」を理解するのに役立ちます
一部の人が富や高い地位を持ち、多くの人にはそれらがないという格差社会があるでしょう
それによる影響について、我々はここ7年間、研究してきているんです
国内でいろんな実験をしてきてわかったのは
人は裕福になるにつれて思いやりが低下するということ
そして「権利意識」が強くなる 「利己的」な考えが強くなる
裕福な人ほど「欲は善だ」なんて言う傾向がある
自己利益の追求はいいことだと
今日話したいのは、利己的な考えが何をもたらすか そして、それとどう向き合うべきか
我々は初期の実験で「向社会的行動」について調べました
金持ちと貧しい人 どちらのほうが、他人を助けることに積極的なのか
我々は実験室に、裕福な人々と貧しい人々を集めて、みんなに10ドルずつ渡しました
自分のものにしてもいいし、一部を寄付してもいい
なお、寄付する場合、相手は赤の他人
それで実験の結果は
年収2万5000ドル程度の人は、年収15~20万ドルの金持ちより44%多く寄付しました
別の実験では、賞金付きのゲームで、ズルをする確率を調べた
我々は、ある数以上のスコアが出ないようゲーム機を設定 12を超えるスコアは出ません
すると、裕福な人ほどズルして高得点を出そうとした ズルする率が3~4倍だった
あと、こんな実験もしました お菓子を盗むかどうか
子供用だと伝えておいたお菓子をです 被験者にははっきり伝えました
「このお菓子は、別の実験に協力している子供たち用だ」と
それでも取るか観察したところ、裕福な人は貧しい人より2倍多く取った
それから車に関する実験をしました
車種によって交通違反する率に違いがあるのか
横断歩道に近づいてきた車が、渡ろうとしている人のために止まるかどうか調べました
カリフォルニア州の場合、止まらないといけない それが規則です
実験では、横断歩道の端に人を立たせた
この赤いトラックは止まってくれた でもバスにひかれそうになりました
高級車は次々と歩行者を無視していきます
我々は数日にわたり、何百台もの車を調査しました
結果は、高い車に乗っている人ほど交通違反しがち
最も安いタイプの車は違反なし なんとゼロでした
一方最も高いタイプの車は50%近くが違反
それから、裕福な人ほど交渉において嘘をつく
また、盗みや賄賂詐欺など、職場での不正行為を容認しがち
裕福な人だけがこうだと言っているのではありません
人間はみな日々の生活の中でこうした葛藤があると思います
他人の利益より自分の利益を優先するかどうか
この葛藤は「アメリカンドリーム」と関係があります
誰だって努力すれば成功できる というアメリカの理念
それは、時には自分の利益を優先することが必要だってことです
ただ、どうやら人は、裕福になればなるほど、より強く個人的成功を求めてしまう
身勝手になってしまうのです
これは5等分した人口と、上位5%の富裕層の平均世帯所得です
1993年の時点で、わが国の所得格差がかなり大きかったことがわかります
しかしこの20年で格差が極端に広がった 富裕層だけずば抜けている
今や20%の人々が、国の富の90%近くを所有している 未曾有の格差社会なんです
富が一部の人に集中するというだけではありません
アメリカンドリームの実現がどんどん難しくなってきているんです
そして裕福になればなるほど「権利意識」が強くなり、自分の利益を優先し
より追求するようになるということですから、格差はこれからますます広がっていくでしょう
経済格差は、我々全員の問題です
底辺にいる人だけでなく、みんなにとってです
今世界中から研究報告が上がってきています
格差が広がると、どんな悪影響があるかという研究です
社会的流動性、人々の健康、社会的信頼などは低下するとのこと
それから社会が抱えている問題
肥満、暴力、受刑率などはさらに悪化します
これは社会全体にとって良くないことです 最富裕層にとってもです
では、この連鎖的で終わりがないような悪影響をどうしたらいい?
我々個人ではどうすることもできないように思えます
しかし我々独自の研究からわかったことがあります
それは、ほんのちょっとした心理的介入、価値観のわずかな変化、
誰かの軽いひと押しによって、思いやりを取り戻せるということ
例えば、協力することのよさ、集団の良さを思い出させると
裕福な人でも「平等意識」を持つようになります
我々は、被験者に46秒の映像を見せました
内容は子どもの貧困 世の中に困っている人がいると気づかせる
見せた後、「思いやり」が生まれたかを調査
赤の他人が悩んでいたらどう接するか
結果は、裕福な人も、貧しい人も、同じくらい赤の他人に親切にした
意識は変わるものなんです
ちょっとした価値観の変化や、思いやりの再認識によって
そして今、世の中が変わり始めています
あのビル・ゲイツも、ハーバードでスピーチした時
「不平等が最も深刻な社会問題である」と言い、どう立ち向かうべきか語りました
「最大の進歩は、発見にあるのではなく 発見を不平等の緩和に活かすことにある」
またある取り組みでは、アメリカの大富豪100人以上が、資産の半分を寄付することを誓約
それから草の根運動も盛んになっています
様々な運動が組織され 展開されています
参加しているのは恵まれた人々 裕福な人々です
大人も若者も自分のお金を使って活動しています
自分の特権、自分のお金を使って、格差を減らそうとしている
社会政策、社会的価値観、人々の行動を変えようとしている
不利益を厭わない行為に「アメリカンドリーム再生」のヒントがあります
Superview vol.73
“アメリカでは貧富の差が大きな問題になっています。
例えばシリコンバレーでは、IT企業がずいぶん成功しています。
最近それらの企業が、自分たちのお金で、バスのシステムや病院といった社員専用のインフラをつくるようになってきました。
もともとそこに住んでいた住民たちにとっては、自分たちは使うことのできないインフラばかりが増えているのです。
IT企業の(高収入の)社員たちがたくさん移住してくるので、土地の価格もどんどん上がっています。
つまり、一般の住民たちにとっては、物価だけがどんどん上がって、
自分たちが使える設備やインフラはぜんぜん普及しないという現状があります。
広がる貧富の差によって住民たちの間の摩擦が深刻化しているのです。”
Does money make you mean? | Paul Piff
「モノポリー」というゲームはやったことがない
人のお金を全部取って、家やらクルマやらを買ったほうが勝ちみたいなルールみたいだけど
そんなゲーム全然面白そうじゃないな
自分のほうが圧倒的に有利になるおかしなルールだと気づいても
それに乗っかって、たとえゲームでも勝利に酔いしれる学生たちに気味悪さを感じた
【内容抜粋メモ】
モノポリーというボードゲームわかりますよね
普通は勝つには技術と才能と運がいる
でもそれが自分が有利になるよう操作されていたとしましょう
相手よりお金を多くもらえ、駒を多く進めたりもできる
考えてみてください
自分に有利なゲームをすることで、何か自分に変化があるのか
相手への態度はどうなるか
これをカリフォルニア大学バークレー校で実験してみました
対象は初体面のペア100組以上
コイントスをし、ペアの片方を「金持ち」に設定
最初の所持金が2倍、ゲーム中の給料も2倍 また、相手よりもサイコロを多く振れます
プレー時間は15分 隠しカメラで撮影
その映像を今日ここで初公開します
金持ち:500ドル何枚ある?
貧しい人:1枚
金持ち:マジで? 僕3枚ももらってる
彼らはすぐに何か変だと気づきました 明らかに不公平ですからね
そしてゲームが進むにつれて、2人の行動に劇的な違いが出てきました
金持ちが大きな音を立てて駒を動かすようになったのです
得意気な態度が「金持ち」の方に多く見られた 喜びのポーズとかもね
我々は「完了行動」の調査として、お菓子を置いておいて、どのくらい食べるか観察した
金持ち:お菓子、罠かな?
何か裏があるんじゃないかと勘ぐっていますね
だけどやがて我慢できなくなり「金持ち」が菓子を食べます
金持ち:食ってみるか うまいね
そしてこの後、実に興味深い態度の変化が見られました
「金持ち」が感じ悪くなっていったんです
相手に対して横柄な態度をとり、自分が勝っているということをガンガンアピール
金持ち:
俺、何でも買えちゃうなあ 24ドルよこしな
そっち、もうすぐ一文無しだな こっちは金ありすぎてさ
俺、もはや無敵だからねw
そして、何が面白いかと言うと、我々はゲーム終了後に、彼らに感想を聞いたんですよ
すると、勝って当たり前の「金持ち」が勝因を語ったりする
どういう風にプレーしたかとかいうんですよ だから勝てたと
それ以外の要素には触れない コイントスのことにも
たまたま有利な立場になっただけなのに
これは、人が「優位性」をどう捉えるかを物語っています
こうした実験は「格差社会」を理解するのに役立ちます
一部の人が富や高い地位を持ち、多くの人にはそれらがないという格差社会があるでしょう
それによる影響について、我々はここ7年間、研究してきているんです
国内でいろんな実験をしてきてわかったのは
人は裕福になるにつれて思いやりが低下するということ
そして「権利意識」が強くなる 「利己的」な考えが強くなる
裕福な人ほど「欲は善だ」なんて言う傾向がある
自己利益の追求はいいことだと
今日話したいのは、利己的な考えが何をもたらすか そして、それとどう向き合うべきか
我々は初期の実験で「向社会的行動」について調べました
金持ちと貧しい人 どちらのほうが、他人を助けることに積極的なのか
我々は実験室に、裕福な人々と貧しい人々を集めて、みんなに10ドルずつ渡しました
自分のものにしてもいいし、一部を寄付してもいい
なお、寄付する場合、相手は赤の他人
それで実験の結果は
年収2万5000ドル程度の人は、年収15~20万ドルの金持ちより44%多く寄付しました
別の実験では、賞金付きのゲームで、ズルをする確率を調べた
我々は、ある数以上のスコアが出ないようゲーム機を設定 12を超えるスコアは出ません
すると、裕福な人ほどズルして高得点を出そうとした ズルする率が3~4倍だった
あと、こんな実験もしました お菓子を盗むかどうか
子供用だと伝えておいたお菓子をです 被験者にははっきり伝えました
「このお菓子は、別の実験に協力している子供たち用だ」と
それでも取るか観察したところ、裕福な人は貧しい人より2倍多く取った
それから車に関する実験をしました
車種によって交通違反する率に違いがあるのか
横断歩道に近づいてきた車が、渡ろうとしている人のために止まるかどうか調べました
カリフォルニア州の場合、止まらないといけない それが規則です
実験では、横断歩道の端に人を立たせた
この赤いトラックは止まってくれた でもバスにひかれそうになりました
高級車は次々と歩行者を無視していきます
我々は数日にわたり、何百台もの車を調査しました
結果は、高い車に乗っている人ほど交通違反しがち
最も安いタイプの車は違反なし なんとゼロでした
一方最も高いタイプの車は50%近くが違反
それから、裕福な人ほど交渉において嘘をつく
また、盗みや賄賂詐欺など、職場での不正行為を容認しがち
裕福な人だけがこうだと言っているのではありません
人間はみな日々の生活の中でこうした葛藤があると思います
他人の利益より自分の利益を優先するかどうか
この葛藤は「アメリカンドリーム」と関係があります
誰だって努力すれば成功できる というアメリカの理念
それは、時には自分の利益を優先することが必要だってことです
ただ、どうやら人は、裕福になればなるほど、より強く個人的成功を求めてしまう
身勝手になってしまうのです
これは5等分した人口と、上位5%の富裕層の平均世帯所得です
1993年の時点で、わが国の所得格差がかなり大きかったことがわかります
しかしこの20年で格差が極端に広がった 富裕層だけずば抜けている
今や20%の人々が、国の富の90%近くを所有している 未曾有の格差社会なんです
富が一部の人に集中するというだけではありません
アメリカンドリームの実現がどんどん難しくなってきているんです
そして裕福になればなるほど「権利意識」が強くなり、自分の利益を優先し
より追求するようになるということですから、格差はこれからますます広がっていくでしょう
経済格差は、我々全員の問題です
底辺にいる人だけでなく、みんなにとってです
今世界中から研究報告が上がってきています
格差が広がると、どんな悪影響があるかという研究です
社会的流動性、人々の健康、社会的信頼などは低下するとのこと
それから社会が抱えている問題
肥満、暴力、受刑率などはさらに悪化します
これは社会全体にとって良くないことです 最富裕層にとってもです
では、この連鎖的で終わりがないような悪影響をどうしたらいい?
我々個人ではどうすることもできないように思えます
しかし我々独自の研究からわかったことがあります
それは、ほんのちょっとした心理的介入、価値観のわずかな変化、
誰かの軽いひと押しによって、思いやりを取り戻せるということ
例えば、協力することのよさ、集団の良さを思い出させると
裕福な人でも「平等意識」を持つようになります
我々は、被験者に46秒の映像を見せました
内容は子どもの貧困 世の中に困っている人がいると気づかせる
見せた後、「思いやり」が生まれたかを調査
赤の他人が悩んでいたらどう接するか
結果は、裕福な人も、貧しい人も、同じくらい赤の他人に親切にした
意識は変わるものなんです
ちょっとした価値観の変化や、思いやりの再認識によって
そして今、世の中が変わり始めています
あのビル・ゲイツも、ハーバードでスピーチした時
「不平等が最も深刻な社会問題である」と言い、どう立ち向かうべきか語りました
「最大の進歩は、発見にあるのではなく 発見を不平等の緩和に活かすことにある」
またある取り組みでは、アメリカの大富豪100人以上が、資産の半分を寄付することを誓約
それから草の根運動も盛んになっています
様々な運動が組織され 展開されています
参加しているのは恵まれた人々 裕福な人々です
大人も若者も自分のお金を使って活動しています
自分の特権、自分のお金を使って、格差を減らそうとしている
社会政策、社会的価値観、人々の行動を変えようとしている
不利益を厭わない行為に「アメリカンドリーム再生」のヒントがあります
Superview vol.73
“アメリカでは貧富の差が大きな問題になっています。
例えばシリコンバレーでは、IT企業がずいぶん成功しています。
最近それらの企業が、自分たちのお金で、バスのシステムや病院といった社員専用のインフラをつくるようになってきました。
もともとそこに住んでいた住民たちにとっては、自分たちは使うことのできないインフラばかりが増えているのです。
IT企業の(高収入の)社員たちがたくさん移住してくるので、土地の価格もどんどん上がっています。
つまり、一般の住民たちにとっては、物価だけがどんどん上がって、
自分たちが使える設備やインフラはぜんぜん普及しないという現状があります。
広がる貧富の差によって住民たちの間の摩擦が深刻化しているのです。”