■スティング ~65歳のロック魂@SONGS
予録のまとめ見シリーズ
“スティングがSONGS初登場。今回、NHKの101スタジオでスペシャルライブを披露した。
さらに、SONGS独占インタビューを敢行。スティングが、今感じている様々な想いを大いに語った。
デヴィッド・ボウイやプリンスの死、気候変動や難民などの社会問題、貧しかった少年時代、
名曲誕生秘話、日本への想い、そしてロック回帰の理由・・・。”
聞き手:杉浦友紀アナウンサー
全然変わらず、セクシーで、スタイリッシュ、知的かつ親しみやすい人柄のまま
ポリス時代のヒット曲を今でもライヴで披露し続けてるけど、毎回アレンジに凝ってるのが特徴的
【内容抜粋メモ】
グラミー賞を17回受賞
だがこの13年間、彼はロックを歌っていない
そこにどんな苦悩があり、そしてなぜ今またロックに帰ったのか
独占インタビューで浮かび上がったのは3つのキーワード
「牛乳瓶」「N.Y.の異邦人」「死」
SONGSで行われた一夜かぎりのスペシャルライヴ
♪EVERY BREATH YOU TAKE(1983)
発売当初、ストーカーみたいだって言われてなかったっけ、この名曲
けっこうキーが高い曲が多いけど、声も変わらず
POLICEの他のメンバは今どうしてるんだろう?
この近さで、余裕のあるテーブル席で、スティングの生ライヴって、
どんだけラッキーなんだ、この方々は!
歌った後「ドウモアリガトウ」
●キーワード1「牛乳瓶」
1878年 ポリスでデビュー
♪MESSAGE IN A BOTTLE(1979) が世界中でブレイク
現代人の孤独を描いたこの曲の原点は少年時代にあった
1951年産まれ 造船所のある田舎町
父は牛乳配達の仕事をしていた
S:
音楽は少年時代の環境から逃げ出す手段だった
僕は工業地帯の造船所のそばで育った
とてもやかましく、灰色に沈み、他の世界で何が起きているのかわからなかった
僕はこことは違う別の人生を夢みた 造船所や父の仕事をしたくなかった
ナレ:
牛乳配達を手伝っていた少年時代
毎朝握りしめていた牛乳瓶の記憶 それが孤独のメッセージ
S:
この曲で伝えたかったのは、人との結びつきだ
大海原に瓶を放ち「僕は孤独だ 誰かと繋がりたい」というメッセージを伝えようとした
すると、「自分も孤独だ」というメッセージの瓶が何百万本も返ってきた
だからみんなに共感してもらえた
SOSを発信したら必ず返事が来るんだ
Q:なぜ孤独というテーマにこだわるのですか?
S:
人生で孤独な時期が長かったからね 一人で考えるのも好きだった
それに僕が売れたのは27歳の時で、それまで学校の教師をしていた
普通の仕事をして、年金を払い、結婚と出産があり、税金を納め、投票に行く
普通の暮らしをしていた このロックスターという夢のような暮らしをする前にね
♪MESSAGE IN A BOTTLE(1979)
お客さんがみんな立ち上がって手拍子しながら聴く リハとかしたのかな
観客にもコール&レスポンスを要求する仕草も見せる
●キーワード2「N.Y.の異邦人」
ポリスの活動を休止し、新たな拠点としたのはN.Y.
世界の中心地にいたことで、グローバルな問題意識が芽生えた
1985年 アメリカとロシアの冷戦を描いた♪RUSSIANS を発表
以後も、世界のさまざまな人権問題、環境破壊などを扱った作品を発表
(環境破壊問題はもうこの頃からあったんだってば 一体いつ意識が変わる???
Q:音楽には、世界を変え、社会問題を解決する力があると思いますか?
S:
一夜では無理だ 人の考えは簡単には変わらない
でも、数千人の前で演奏していると、
ここにいる誰かがいつか政治家になるかもしれないと想像するんだ
大統領とか、国連の職員とか、どんな立場になるかはわからないけど
そして10年が経って、自分のメッセージを、その人が思い出してくれるかもしれない
そうなったら 歌で世界を変えられたということになる
N.Y.の孤独な環境で自らを見つめ直し、発表したのが♪ENGLISHMAN IN NEW YORK(1987)
S:
自宅はマンハッタンセントラルパークの近く 毎日自宅からスタジオまで15~16ブロック歩く
そこで信号が変わるのを待っている時間が、自分の作品や人生について考えるひとときになる
毎日のささやかな瞑想の時間にしている
Q:まるで♪イングリッシュマン・イン・ニューヨークの歌詞のようですね
S:
まさにあの英国人だね 歩くのが好きなんだ
ヘッドホンをつけて散歩に出かけると、
世界情勢、政治や、社会問題、気候問題などが自然に浮かんでくる
気がついたらそういう曲を書いていたんだ
♪ENGLISHMAN IN NEW YORK(1987)
「異邦人」の意味がまだ分からない・・・ きっと邦人=日本人のイメージのせいだ
この観客はこの4曲だけのために来たのか? 他にもミニライヴとして歌ったのかな
客席の前でウロつくカメラマンがいないのはいい
“Be yourself no matter what they say”(誰が何を言おうと 自分を見失うな
●キーワード3「死」
Q:あなたは13年間スランプに陥り、曲が書けずに苦労したというのは本当ですか?
S:
曲が書けない時期があって気に病んでいた
「創作の壁」かと思ってすごく不安になったよ
しかし、去年は有名なロックスターが何人も亡くなった
友人のデヴィッド・ボウイ、プリンス
僕たちの文化を象徴するような人たちは「不死身」だと思えてくる
「死ぬわけがない、と思ってしまうんだ
ロックスターは死なず、消え去るのみだ
ボウイとプリンスの音楽はこれからも僕たちと共にある
その意味では、彼らは決して死なない
でも、いつかは死ぬ生身の人間でもある
スターが亡くなると、自分の死について考えるようになる
ただ恐れるだけでなく、自分の死の意味を問いかけてみることが大切だ
ナレ:
人生の限られた時間に気づいたスティングはロックに帰ってきた
去年、13年ぶりとなるロックナンバーを発表
●ここで歌われる「君」とは、自分の作品のこと 曲作りの執念を描いている
S:
聴いた感じはラブソングだ 「君のことを考えずにはいられない」 でも違う
これは作品の発想を求めて、取り憑かれた気持ちを歌った曲だ
毎朝目にする真っ白のページは、雪原のようで何も書かれていない
何を書くのか見当もつかない 雪原で動物を追いかけているのと同じだ
だからこの曲は、僕が音楽を作るときの執念を歌ったんだ
死について思いを巡らせる中で、人はとても重要な哲学を学ぶ
成功の絶頂にいる時には学べない
華やかな成功、周囲の甘い言葉、何千人もの観客が自分の曲を歌うことに酔いしれてしまう
哲学を学ぶのは、人生を振り返った時だ
Q:では、これからもスティングさんは歌い続けますよね?
S:もう歌えなくなるまで歌い続けるよ
♪I CAN’T STOP THINKING ABOUT YOU(2016)
本人から直接聞いてみるまでは、その歌詞の意味って分からないものだな
このコメントを聞かなければ、ずっとラヴソングだと思ってしまう
それはそれでいいのかもしれないけれども
この13年間はずっと、これまでのヒット曲を歌い続けてきたのかな
それはそれでスゴイと思う
そして、65歳になって、再び無から有を生み出すパワーも素晴らしい
ボウイの言う通り「続けることが大事なんだ」てことか
曲のテイストが似てくるのは、その人にしかない個性で
音楽に限らず、文学などすべてのアートに言えること
それを貫き、突き詰めるのは、その人がこの世に生まれた課題なんだ
予録のまとめ見シリーズ
“スティングがSONGS初登場。今回、NHKの101スタジオでスペシャルライブを披露した。
さらに、SONGS独占インタビューを敢行。スティングが、今感じている様々な想いを大いに語った。
デヴィッド・ボウイやプリンスの死、気候変動や難民などの社会問題、貧しかった少年時代、
名曲誕生秘話、日本への想い、そしてロック回帰の理由・・・。”
聞き手:杉浦友紀アナウンサー
全然変わらず、セクシーで、スタイリッシュ、知的かつ親しみやすい人柄のまま
ポリス時代のヒット曲を今でもライヴで披露し続けてるけど、毎回アレンジに凝ってるのが特徴的
【内容抜粋メモ】
グラミー賞を17回受賞
だがこの13年間、彼はロックを歌っていない
そこにどんな苦悩があり、そしてなぜ今またロックに帰ったのか
独占インタビューで浮かび上がったのは3つのキーワード
「牛乳瓶」「N.Y.の異邦人」「死」
SONGSで行われた一夜かぎりのスペシャルライヴ
♪EVERY BREATH YOU TAKE(1983)
発売当初、ストーカーみたいだって言われてなかったっけ、この名曲
けっこうキーが高い曲が多いけど、声も変わらず
POLICEの他のメンバは今どうしてるんだろう?
この近さで、余裕のあるテーブル席で、スティングの生ライヴって、
どんだけラッキーなんだ、この方々は!
歌った後「ドウモアリガトウ」
●キーワード1「牛乳瓶」
1878年 ポリスでデビュー
♪MESSAGE IN A BOTTLE(1979) が世界中でブレイク
現代人の孤独を描いたこの曲の原点は少年時代にあった
1951年産まれ 造船所のある田舎町
父は牛乳配達の仕事をしていた
S:
音楽は少年時代の環境から逃げ出す手段だった
僕は工業地帯の造船所のそばで育った
とてもやかましく、灰色に沈み、他の世界で何が起きているのかわからなかった
僕はこことは違う別の人生を夢みた 造船所や父の仕事をしたくなかった
ナレ:
牛乳配達を手伝っていた少年時代
毎朝握りしめていた牛乳瓶の記憶 それが孤独のメッセージ
S:
この曲で伝えたかったのは、人との結びつきだ
大海原に瓶を放ち「僕は孤独だ 誰かと繋がりたい」というメッセージを伝えようとした
すると、「自分も孤独だ」というメッセージの瓶が何百万本も返ってきた
だからみんなに共感してもらえた
SOSを発信したら必ず返事が来るんだ
Q:なぜ孤独というテーマにこだわるのですか?
S:
人生で孤独な時期が長かったからね 一人で考えるのも好きだった
それに僕が売れたのは27歳の時で、それまで学校の教師をしていた
普通の仕事をして、年金を払い、結婚と出産があり、税金を納め、投票に行く
普通の暮らしをしていた このロックスターという夢のような暮らしをする前にね
♪MESSAGE IN A BOTTLE(1979)
お客さんがみんな立ち上がって手拍子しながら聴く リハとかしたのかな
観客にもコール&レスポンスを要求する仕草も見せる
●キーワード2「N.Y.の異邦人」
ポリスの活動を休止し、新たな拠点としたのはN.Y.
世界の中心地にいたことで、グローバルな問題意識が芽生えた
1985年 アメリカとロシアの冷戦を描いた♪RUSSIANS を発表
以後も、世界のさまざまな人権問題、環境破壊などを扱った作品を発表
(環境破壊問題はもうこの頃からあったんだってば 一体いつ意識が変わる???
Q:音楽には、世界を変え、社会問題を解決する力があると思いますか?
S:
一夜では無理だ 人の考えは簡単には変わらない
でも、数千人の前で演奏していると、
ここにいる誰かがいつか政治家になるかもしれないと想像するんだ
大統領とか、国連の職員とか、どんな立場になるかはわからないけど
そして10年が経って、自分のメッセージを、その人が思い出してくれるかもしれない
そうなったら 歌で世界を変えられたということになる
N.Y.の孤独な環境で自らを見つめ直し、発表したのが♪ENGLISHMAN IN NEW YORK(1987)
S:
自宅はマンハッタンセントラルパークの近く 毎日自宅からスタジオまで15~16ブロック歩く
そこで信号が変わるのを待っている時間が、自分の作品や人生について考えるひとときになる
毎日のささやかな瞑想の時間にしている
Q:まるで♪イングリッシュマン・イン・ニューヨークの歌詞のようですね
S:
まさにあの英国人だね 歩くのが好きなんだ
ヘッドホンをつけて散歩に出かけると、
世界情勢、政治や、社会問題、気候問題などが自然に浮かんでくる
気がついたらそういう曲を書いていたんだ
♪ENGLISHMAN IN NEW YORK(1987)
「異邦人」の意味がまだ分からない・・・ きっと邦人=日本人のイメージのせいだ
この観客はこの4曲だけのために来たのか? 他にもミニライヴとして歌ったのかな
客席の前でウロつくカメラマンがいないのはいい
“Be yourself no matter what they say”(誰が何を言おうと 自分を見失うな
●キーワード3「死」
Q:あなたは13年間スランプに陥り、曲が書けずに苦労したというのは本当ですか?
S:
曲が書けない時期があって気に病んでいた
「創作の壁」かと思ってすごく不安になったよ
しかし、去年は有名なロックスターが何人も亡くなった
友人のデヴィッド・ボウイ、プリンス
僕たちの文化を象徴するような人たちは「不死身」だと思えてくる
「死ぬわけがない、と思ってしまうんだ
ロックスターは死なず、消え去るのみだ
ボウイとプリンスの音楽はこれからも僕たちと共にある
その意味では、彼らは決して死なない
でも、いつかは死ぬ生身の人間でもある
スターが亡くなると、自分の死について考えるようになる
ただ恐れるだけでなく、自分の死の意味を問いかけてみることが大切だ
ナレ:
人生の限られた時間に気づいたスティングはロックに帰ってきた
去年、13年ぶりとなるロックナンバーを発表
●ここで歌われる「君」とは、自分の作品のこと 曲作りの執念を描いている
S:
聴いた感じはラブソングだ 「君のことを考えずにはいられない」 でも違う
これは作品の発想を求めて、取り憑かれた気持ちを歌った曲だ
毎朝目にする真っ白のページは、雪原のようで何も書かれていない
何を書くのか見当もつかない 雪原で動物を追いかけているのと同じだ
だからこの曲は、僕が音楽を作るときの執念を歌ったんだ
死について思いを巡らせる中で、人はとても重要な哲学を学ぶ
成功の絶頂にいる時には学べない
華やかな成功、周囲の甘い言葉、何千人もの観客が自分の曲を歌うことに酔いしれてしまう
哲学を学ぶのは、人生を振り返った時だ
Q:では、これからもスティングさんは歌い続けますよね?
S:もう歌えなくなるまで歌い続けるよ
♪I CAN’T STOP THINKING ABOUT YOU(2016)
本人から直接聞いてみるまでは、その歌詞の意味って分からないものだな
このコメントを聞かなければ、ずっとラヴソングだと思ってしまう
それはそれでいいのかもしれないけれども
この13年間はずっと、これまでのヒット曲を歌い続けてきたのかな
それはそれでスゴイと思う
そして、65歳になって、再び無から有を生み出すパワーも素晴らしい
ボウイの言う通り「続けることが大事なんだ」てことか
曲のテイストが似てくるのは、その人にしかない個性で
音楽に限らず、文学などすべてのアートに言えること
それを貫き、突き詰めるのは、その人がこの世に生まれた課題なんだ