番組を見ていて、ジョディ・フォスターの映画『告発の行方』を思い出した
【内容抜粋メモ】
電話を取る看護師:
性暴力のことで心配なことがおありなんですか?
ラブホテルに連れて行かれて「強姦致傷」ですね

●顔見知りからの被害は8割以上
24時間 救援センターに切実な訴えが寄せられている
その多くは 身近な人による性暴力
加害者は常連客、バイト仲間、会社の同僚、友人、身内など
顔見知りからの被害は8割以上
被害者を支援する現場に私たちは2ヶ月間密着
見えてきたのは周囲に理解されづらく、被害者が長期間苦悩し続ける実態だった
身近な人からの性暴力が被害者をいかに苦しめているのか 現場からの報告です
●小学校の担任から被害を受けた女性

女性:
みんなが信頼している先生にこんなことされているって
自分が言おうものなら、周りが混乱するから
自分の中にだけ留めておかなくちゃいけない
「いつまでこだわってるの?」と言われると 違和感があると言うか
●性暴力救援センター 日赤なごや なごみ@名古屋 第二赤十字病院


年間延べ1500件の相談が寄せられる 性暴力被害の支援窓口があります
病院内に設置された「性暴力救援センター」
「SANE」性暴力被害者支援看護師
看護師、医師、支援医療、医療ソーシャルワーカーたちが 24時間対応
被害の実態を知ってほしいと取材に応じてくれました
●会社の同僚から被害を受けたという女性からの電話
看護師:
付き合ってるわけではない
あなたとしてはやりたくなかったけれども、されてしまったと
妊娠の事もご心配になってるということですね
センター長で看護師の片岡さんは、被害から72時間以内に来るよう伝えました
妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」を服用するためです

電話の直後、センターを訪れた女性に
片岡さんは体の痛みや傷がないか確認し 被害の詳細を聞き取りました
どのような経緯で起きたのか
被害者が特定されない範囲で教えてもらいました
●加害者は、会社で彼女の指導係を務める妻子ある男性

出張先で 同じビジネスホテルに泊まった夜、部屋を訪ねてきました
女性は、職場での関係が悪くなることを恐れて部屋に入れたと言います
女性:しばらく話をしていましたが、突然体に触られ 抵抗ができませんでした
片岡さん:
突然なのでどうしてよいものか パニックになるんだと思います
仕事で年長だったり、コミュニケーションをとる状況であったり
性行為があると全然想定していない
片岡さん達は、妊娠を心配していた女性を院内の産婦人科に案内しました

医師は、避妊薬を処方
さらに 警察の捜査で 重要な被害の証拠となる 精液を採取しました

産婦人科医師:
綿棒で組織をぬぐう形です
精液を採取できるのは約一週間以内

被害に遭ったばかりの女性には 大きな苦痛です
加藤医師:
加害者にとっては一時的なものであっても 被害者にとってはずっと心に残ります
●自らを責める女性
このとき女性は 警察に相談することを躊躇していました
「男性を部屋に入れた 自分も悪い」という気持ちがあったからです
自らを責める女性に 片岡さんは「あなたの望まない性的な行為は 性暴力」と伝えました

片岡センター長:
それは性暴力ですよ
同意ではない、強要された、対等な立場ではない中で行われていれば
「性暴力」 と私たちは定義しているので
●「ワンストップ支援センター」

片岡さん達は 女性に弁護士を紹介しました
なごみは「ワンストップ支援センター」として
弁護士や警察などと連携し、被害者をサポートしています
4年前の開設以来、医療、法律、カウンセリングなどの支援を受けた被害者や家族は 750人以上
●被害者は周りの対応によって さらに苦しめられる

アユミさんは、被害の直後、親しい友人に打ち明けると
繰り返して追い詰められ、傷ついていました
アユミさん:
知り合いから「なんでその男と一緒にいたの?」
「なんでそこに行っちゃったの?」と何回も言われたんです

加害者は、馴染みの飲食店で知り合った男性
アユミさんが信頼している店長の知り合いでした
その日、仕事の疲れもあって アユミさんはひどく酔ってしまったといいます
意識が朦朧とする中、男性と店を出て帰ろうとしますが
ふらつくアユミさんに、男性は「睡眠をとったほうがいい」とすすめます
アユミさん:
店長が男に「彼女はちゃんと安全に送ってね」みたいなことを言っていたので
多分そうしてくれるだろうなと思って
しかし向かったのはラブホテルでした
被害の経緯を聞いた友人はアユミさんの体を気遣いながらも
「なぜ男性と行動を共にしたの?」と何度も尋ねました
アユミさん:
質問されるだけでグサグサ傷つく
傷つけるつもりはもちろん向こうはないと思うんですけれども
●警察にも相談したが、被害届は受理されず
再び警察と話した時のやり取りをアユミさんは録音していました

アユミさん:
部屋に入って、すぐ寝ちゃったと思うんですけれども
ちょっとしたら男が私の上に乗ってきて 無理やり挿入しようとしてきたので
陰茎を掴んで中に入れないようにしました
抵抗したけど無理やり挿入されて
しかし警察は「事件として扱うのは難しい」と伝えました
男性警察官:
ラブホテルってセックスするところなんですよ 男の人と女の人が
一緒にラブホテルに行ってくれた だからOKだろうと考えるほうが普通だと思うんですよ
フロントに人がいる お客さんもいる 助けを呼べる なぜ呼ばなかったんですか?
アユミさん:・・・あんまり頭が回っていませんでした
警察官:
なんで私の事件をやってくれないんだって言われる方もいっぱいいます
なぜかと言うと本人に責任がある 原因がある それが出来ない原因が
アユミさん:もうほぼ結論は出てるって事ですか?
警察官:ほぼ結論は出てます、正直 実際に犯罪を構成するかといったら構成しません
被害届は受理されませんでした(まだこんな事が起こってるんだ・・・
●自分に落ち度があったと言い続ける被害者
アユミさん:
そんなに飲んだ自分が悪いと思うし
ついていった自分が悪いと思うし
帰らなかった自分が悪いと思います
カウンセリングを担当するミヨコさんは強く語りました

ミヨコ:
どれもこれも被害者の落ち度としてあげられたりするかもしれないけれども
でもどれ一つレイプをしてもいい理由にはならない
それが何故か同意したことになってしまう おかしいですよね
なごみは 連携する弁護士をアユミさんに紹介
改めて警察に提出した被害届は受理されました
●何十年も続く心の傷
性暴力は何十年にもわたって 繰り返し被害者を苦しめ続けます
40代のマキさんは、高校生の時 レイプ被害に遭いました
マキさん:
2度、3度って傷ついていて 生きてるのが苦しかったです すごく苦しかったですね
●相手は当時近所に住んでいた 同級生

その後、姿を見かけるたびに被害の記憶が蘇り 学校に行けなくなりました

加害者が顔見知りだったため 友人には打ち明けづらく
家族からは「被害を忘れるよう」言われたこともありました
10年以上引きこもる日々が続きました
次第にマキさんは「被害はなかった」と思い込むようになります
何年経ってもこみ上げてくる怒りや悲しみの感情を押し殺すためです
しかし、その反動が体の不調として現れました
マキさん:
血液の中にガラスの破片がいっぱい入ってる 血液をずっと流れてるみたいな
ずっと微弱の痛い電気が流れているような
これは 心の痛みをごまかすため、体に痛みを感じる「回避」という症状です
美代子:
なかったことにしたい気持ちとの戦いが続く
そのつらさと比べたら、体の痛み、動けないほど痛くてもそっちのほうがマシ
マキさん:
私の人生って何なんだろうって ほんとに思ったりして
本当に取り戻せないものがいっぱいあって
人生がなくなっちゃった 泣きながら話す
●被害者の苦しみ 知っていますか?

武田アナ:
身近な人による性暴力が被害者をいかに苦しめるか より深く話を聞きます
「自分の人生がなくなってしまう」という言葉が響きましたが
スタジオにはご自身も被害者で 写真家で活動されている
にのみやさんにお越しいただきました
●24歳の時に職場の上司から被害に遭ったにのみやさん

武田アナ:
顔見知りだからこその苦しみ ご覧いただいて どうお感じになりましたか?
に:
VTR の中で「人生がなくなってしまった」という言葉は
私自身も思ったことがありましたし
たまらない思いをしながら見ていました
私の被害は、信頼している上司からだったんですけれども
上司から 無理やりある日、突然 襲われたんですが
人間って「信頼関係」で結ばれてるじゃないですか
それが全部崩されるんですよね
●身近な人からの性暴力は、信頼関係や人間関係の基本を破壊する
に:
顔見知りっていうことは、幼い頃に培った人間関係の基本が全部木っ端微塵になってしまう
武田:
自分が信頼していた 身近な人からの 被害だったということは やはり大きく傷つけられた?
に:
当時は「傷つけられた」ということさえもわからなかった
「全部自分が悪いんだ」と思っていました
仕事ができる上司を こんな状況にしたのは 自分なんだと思ったし
自分があの時さっさと仕事を終わらせて、さっさと帰ってきたら
こんな状況にならなかったし 何もかもが自分のせいだと思っていました
武田:当然そうじゃないわけですよね
に:そうじゃないと思えるまでに 23年かかりました
●精神科医・小西聖子さん
精神科医で東京の性暴力支援センター、救援センターと連携して、被害者の支援を行っている

武田:
性暴力の8割が顔見知りからという実態に、私は本当に大きな衝撃を受けたんですけれども
小西:
非常に近い人ですよね
今まで信頼してたり、これからも一緒にやっていかなくちゃいけないような人から被害を受けて
信頼できなくなる とても苦しい
そもそも「被害だ」と言えない人が たくさんいます
武田:
警察に相談した時のやり取り
傷ついて相談しに来ている被害者にどうしてあんな言葉がかけられるんだろうと
憤りを感じたんですけれども
小西:
多分 警察庁に聞けば「そういうことを言わない教育を一生懸命やっている」と言うと思うんです
実際やっておられるんだけれども
でも現場には ああいうことを言ってしまう警察官が実際いるのも確かです
法律的にこれは証拠がないな 使えないなと思った時点で
法的には難しいケースは当然あります
だけどそれは被害がなかった とは違いますから
性暴力を広く定義すれば、同意がないところで性行為が行われれば
セックスだけでなく様々な侵害的な行為があれば
それは全部性暴力という風に言っていいと思います
武田:
「あなたが悪いんじゃないの」というような
そういう思いは、警察だけではなくて
世の中、私たちの間にある感覚じゃないかなと思ったんですが
に:
一次被害がレイプそのものだとして
二次被害「セカンドレイプ」周りの人からの言葉
「お前に非があっただろう」みたいな
それは被害者をさらに追い詰めているような気がします
レイプの被害も辛いのに、その次に言葉の被害を受けて
これっても同等の 痛みなんですよ
何十年も何十年も 生きれば生きるほど
レイプを受け続けているような苦しみですね
●社会を変えたい 声を上げ始めた被害者たち
これまで 何重にも苦しみ続けてきた 性暴力の被害者たちが
社会を変えようと声を上げ始めています
名古屋 7月11日
「あなたに起きたことは私の問題でもある」というプラカード

被害者女性スピーチ:
被害者は何度殺されたらいいのでしょうか?
次の世代に絶対に同じような苦しい、悔しい思いをして欲しくありません
全てを奪われるのが性暴力です
もうこんなこと本当に嫌なので
こうやって集まった人たちの声が
社会を変えるようにやっていきましょう
(涙ながらに声を振り絞って話す女性
●「誰にも相談しなかった」56.1%
国の調査では 無理やり性交などされた被害者のうち
「誰にも相談しなかった」と答えた人は半数以上
なかなか声を上げにくい現実があります
●名古屋 大谷高等学校での講義
性暴力に対する社会の認識を変えるため
名古屋の性暴力救援センター なごみは、市内の高校で 授業を始めています
1年生を対象にマスターベーションや、避妊の正しい方法など
普段学校では取り上げない内容にも踏み込みます
「キスしようか?」
「いいよ」

「OKをもらいました 合意があった OKですね これは普通の恋愛です」
●恋人同士でも性暴力が起こりうる
「合意はなし 金銭のやり取りはなし これは何でしょう?
そうです レイプ 強制性交です
人の気持ちを考えなくて、自分が意のままにしていいんだという
勝手な解釈をしている人がいるんです
人は選ぶ権利があります そして拒む権利もあります
イヤと言っていいんです “考え中”もありです
そういう権利があるんですよ 一人に一人にね」
女子学生:知識が増えて、もっと考える時間ができて 大切な時間になったなと思いました
男子学生:被害者は心も痛いだろうし とても悲しむと思いました
(やっぱりもっと小さい頃から教える必要がある 語り部のVTRを見せるとか
●自分と大切な人を守るために何ができるか
性暴力から自分、そして大切な人を守るために何ができるのか考えます
武田:
私はやはり性暴力の背景に、人の気持ちも考えずにしていいという
勝手な解釈があるんだということを
もっと広く共有しなければならないと感じましたが
小西:
そういう考え方が あまり今みたいな 教育がないままに
若い人に再生産されてしまうと思います
●根底にある社会の無理解

アナ:
望まない性行為が「性暴力」だということが
まだ全ての人に理解されていない ということを示す数字があります
LINE と協力して 10代~50代の男女約1000人に複数回答を実施しました
どういう時に性的な行為への「同意がある」と考えるか聞きました
これだけの人が「同意がある」と捉えていることがわかりました
小西:仕事できないですよね、これじゃ
に:
男と女で 例えばお酒を飲んだら 何でも同意なのか
なんかちょっとえ!?って思っちゃったんですけど
小西:
そうじゃないですよね
例えば、すごい格好で酔っ払って寝てたとしても
襲っちゃいけないことは当然じゃないですか
被害の現実というのは、あまりにも社会に見えていないし
間違った常識が通って、被害の現実が全く表に出てこない
変えていかなくちゃいけないことなんだと思います
●実際に性暴力に遭ってしまったら周りの人たちができること

小西:
「なんで?!」って人は言うんですけれども
やっぱりそれはすごく責められているように聞こえるので
この言葉を一旦抑えるだけでもすごい違うと思う
2番目も「HOW TO」で直してあげるとかそういうことではなくて
一緒に困ってくれる人 一緒にいてくれる人が必要 一人ではできないから
正解の道でもう大丈夫っていう道は 残念ながらないし
ないけれども でも一個ずつつまりながら
それでも一緒にいてもらったり
に:
ただ一緒にいて 例えばお茶を飲んで「おいしいね」って言い合う
それだけでも ほっとするんですよね それが支えになる
次の日生きようと思う それはすごい思いました
●近くのワンストップ支援センターへ

武田:
話を伺っていて、性暴力に苦しんでいる人たちが身近なところにいる
そして明日もまた新たに そういった被害者が生まれるかもしれない
決して一人きりで抱え込まず、近くのワンストップ支援センターへ
相談するようにしていただきたいと思います
全国の都道府県にあります
小西:
ワンストップってただ話を聞くところじゃないので
例えば警察に行くなら一緒に行って 本人を支えましょうとか
もっと早く産婦人科や医療に紹介するとか
そういうのも同行してくれたりするんですね
だからわりと具体的に 一緒に動いてくれるところ と思っていただくと
ワンストップセンターに最初に相談しなさいっていうのは
公式に言えばそうなんだけど
被害者から見たら できないですよそんなことは
今調査をすると 過半数の人が まだ誰にも言ってないんです 友達にも親にも
だから最初に言うべきことは これじゃなくて
誰でもいいから あなたが信用できる人に 相談してみようです
さらに言うと その人が「あんたどうしてそんなとこ行っちゃったの?」て
言われる可能性も結構高いです
だから1回ダメだった時に、もう1回 別の人にも相談してみよう
っていうところまでは是非 言いたいと思います
に:
本当にそう思います
私も最初 被害を打ち明けた時に「嘘言ってるんでしょ?」って言われて
それで閉じこもってしまった
それが自分のトラウマを深くさせたところがあるんですね
だから今苦しんでいる人がいるなら 一度じゃなくて せめて二度
できれば 周りに相談して欲しい 打ち明けて欲しい 諦めずに
あなたを否定する人もいるかもしれないけれども
でもあなたを 待ってる人も必ずいるはず と私は思います
【内容抜粋メモ】
電話を取る看護師:
性暴力のことで心配なことがおありなんですか?
ラブホテルに連れて行かれて「強姦致傷」ですね

●顔見知りからの被害は8割以上
24時間 救援センターに切実な訴えが寄せられている
その多くは 身近な人による性暴力
加害者は常連客、バイト仲間、会社の同僚、友人、身内など
顔見知りからの被害は8割以上
被害者を支援する現場に私たちは2ヶ月間密着
見えてきたのは周囲に理解されづらく、被害者が長期間苦悩し続ける実態だった
身近な人からの性暴力が被害者をいかに苦しめているのか 現場からの報告です
●小学校の担任から被害を受けた女性

女性:
みんなが信頼している先生にこんなことされているって
自分が言おうものなら、周りが混乱するから
自分の中にだけ留めておかなくちゃいけない
「いつまでこだわってるの?」と言われると 違和感があると言うか
●性暴力救援センター 日赤なごや なごみ@名古屋 第二赤十字病院


年間延べ1500件の相談が寄せられる 性暴力被害の支援窓口があります
病院内に設置された「性暴力救援センター」
「SANE」性暴力被害者支援看護師
看護師、医師、支援医療、医療ソーシャルワーカーたちが 24時間対応
被害の実態を知ってほしいと取材に応じてくれました
●会社の同僚から被害を受けたという女性からの電話
看護師:
付き合ってるわけではない
あなたとしてはやりたくなかったけれども、されてしまったと
妊娠の事もご心配になってるということですね
センター長で看護師の片岡さんは、被害から72時間以内に来るよう伝えました
妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」を服用するためです

電話の直後、センターを訪れた女性に
片岡さんは体の痛みや傷がないか確認し 被害の詳細を聞き取りました
どのような経緯で起きたのか
被害者が特定されない範囲で教えてもらいました
●加害者は、会社で彼女の指導係を務める妻子ある男性

出張先で 同じビジネスホテルに泊まった夜、部屋を訪ねてきました
女性は、職場での関係が悪くなることを恐れて部屋に入れたと言います
女性:しばらく話をしていましたが、突然体に触られ 抵抗ができませんでした
片岡さん:
突然なのでどうしてよいものか パニックになるんだと思います
仕事で年長だったり、コミュニケーションをとる状況であったり
性行為があると全然想定していない
片岡さん達は、妊娠を心配していた女性を院内の産婦人科に案内しました

医師は、避妊薬を処方
さらに 警察の捜査で 重要な被害の証拠となる 精液を採取しました

産婦人科医師:
綿棒で組織をぬぐう形です
精液を採取できるのは約一週間以内

被害に遭ったばかりの女性には 大きな苦痛です
加藤医師:
加害者にとっては一時的なものであっても 被害者にとってはずっと心に残ります
●自らを責める女性
このとき女性は 警察に相談することを躊躇していました
「男性を部屋に入れた 自分も悪い」という気持ちがあったからです
自らを責める女性に 片岡さんは「あなたの望まない性的な行為は 性暴力」と伝えました

片岡センター長:
それは性暴力ですよ
同意ではない、強要された、対等な立場ではない中で行われていれば
「性暴力」 と私たちは定義しているので
●「ワンストップ支援センター」

片岡さん達は 女性に弁護士を紹介しました
なごみは「ワンストップ支援センター」として
弁護士や警察などと連携し、被害者をサポートしています
4年前の開設以来、医療、法律、カウンセリングなどの支援を受けた被害者や家族は 750人以上
●被害者は周りの対応によって さらに苦しめられる

アユミさんは、被害の直後、親しい友人に打ち明けると
繰り返して追い詰められ、傷ついていました
アユミさん:
知り合いから「なんでその男と一緒にいたの?」
「なんでそこに行っちゃったの?」と何回も言われたんです

加害者は、馴染みの飲食店で知り合った男性
アユミさんが信頼している店長の知り合いでした
その日、仕事の疲れもあって アユミさんはひどく酔ってしまったといいます
意識が朦朧とする中、男性と店を出て帰ろうとしますが
ふらつくアユミさんに、男性は「睡眠をとったほうがいい」とすすめます
アユミさん:
店長が男に「彼女はちゃんと安全に送ってね」みたいなことを言っていたので
多分そうしてくれるだろうなと思って
しかし向かったのはラブホテルでした
被害の経緯を聞いた友人はアユミさんの体を気遣いながらも
「なぜ男性と行動を共にしたの?」と何度も尋ねました
アユミさん:
質問されるだけでグサグサ傷つく
傷つけるつもりはもちろん向こうはないと思うんですけれども
●警察にも相談したが、被害届は受理されず
再び警察と話した時のやり取りをアユミさんは録音していました

アユミさん:
部屋に入って、すぐ寝ちゃったと思うんですけれども
ちょっとしたら男が私の上に乗ってきて 無理やり挿入しようとしてきたので
陰茎を掴んで中に入れないようにしました
抵抗したけど無理やり挿入されて
しかし警察は「事件として扱うのは難しい」と伝えました
男性警察官:
ラブホテルってセックスするところなんですよ 男の人と女の人が
一緒にラブホテルに行ってくれた だからOKだろうと考えるほうが普通だと思うんですよ
フロントに人がいる お客さんもいる 助けを呼べる なぜ呼ばなかったんですか?
アユミさん:・・・あんまり頭が回っていませんでした
警察官:
なんで私の事件をやってくれないんだって言われる方もいっぱいいます
なぜかと言うと本人に責任がある 原因がある それが出来ない原因が
アユミさん:もうほぼ結論は出てるって事ですか?
警察官:ほぼ結論は出てます、正直 実際に犯罪を構成するかといったら構成しません
被害届は受理されませんでした(まだこんな事が起こってるんだ・・・
●自分に落ち度があったと言い続ける被害者
アユミさん:
そんなに飲んだ自分が悪いと思うし
ついていった自分が悪いと思うし
帰らなかった自分が悪いと思います
カウンセリングを担当するミヨコさんは強く語りました

ミヨコ:
どれもこれも被害者の落ち度としてあげられたりするかもしれないけれども
でもどれ一つレイプをしてもいい理由にはならない
それが何故か同意したことになってしまう おかしいですよね
なごみは 連携する弁護士をアユミさんに紹介
改めて警察に提出した被害届は受理されました
●何十年も続く心の傷
性暴力は何十年にもわたって 繰り返し被害者を苦しめ続けます
40代のマキさんは、高校生の時 レイプ被害に遭いました
マキさん:
2度、3度って傷ついていて 生きてるのが苦しかったです すごく苦しかったですね
●相手は当時近所に住んでいた 同級生

その後、姿を見かけるたびに被害の記憶が蘇り 学校に行けなくなりました

加害者が顔見知りだったため 友人には打ち明けづらく
家族からは「被害を忘れるよう」言われたこともありました
10年以上引きこもる日々が続きました
次第にマキさんは「被害はなかった」と思い込むようになります
何年経ってもこみ上げてくる怒りや悲しみの感情を押し殺すためです
しかし、その反動が体の不調として現れました
マキさん:
血液の中にガラスの破片がいっぱい入ってる 血液をずっと流れてるみたいな
ずっと微弱の痛い電気が流れているような
これは 心の痛みをごまかすため、体に痛みを感じる「回避」という症状です
美代子:
なかったことにしたい気持ちとの戦いが続く
そのつらさと比べたら、体の痛み、動けないほど痛くてもそっちのほうがマシ
マキさん:
私の人生って何なんだろうって ほんとに思ったりして
本当に取り戻せないものがいっぱいあって
人生がなくなっちゃった 泣きながら話す
●被害者の苦しみ 知っていますか?

武田アナ:
身近な人による性暴力が被害者をいかに苦しめるか より深く話を聞きます
「自分の人生がなくなってしまう」という言葉が響きましたが
スタジオにはご自身も被害者で 写真家で活動されている
にのみやさんにお越しいただきました
●24歳の時に職場の上司から被害に遭ったにのみやさん

武田アナ:
顔見知りだからこその苦しみ ご覧いただいて どうお感じになりましたか?
に:
VTR の中で「人生がなくなってしまった」という言葉は
私自身も思ったことがありましたし
たまらない思いをしながら見ていました
私の被害は、信頼している上司からだったんですけれども
上司から 無理やりある日、突然 襲われたんですが
人間って「信頼関係」で結ばれてるじゃないですか
それが全部崩されるんですよね
●身近な人からの性暴力は、信頼関係や人間関係の基本を破壊する
に:
顔見知りっていうことは、幼い頃に培った人間関係の基本が全部木っ端微塵になってしまう
武田:
自分が信頼していた 身近な人からの 被害だったということは やはり大きく傷つけられた?
に:
当時は「傷つけられた」ということさえもわからなかった
「全部自分が悪いんだ」と思っていました
仕事ができる上司を こんな状況にしたのは 自分なんだと思ったし
自分があの時さっさと仕事を終わらせて、さっさと帰ってきたら
こんな状況にならなかったし 何もかもが自分のせいだと思っていました
武田:当然そうじゃないわけですよね
に:そうじゃないと思えるまでに 23年かかりました
●精神科医・小西聖子さん
精神科医で東京の性暴力支援センター、救援センターと連携して、被害者の支援を行っている

武田:
性暴力の8割が顔見知りからという実態に、私は本当に大きな衝撃を受けたんですけれども
小西:
非常に近い人ですよね
今まで信頼してたり、これからも一緒にやっていかなくちゃいけないような人から被害を受けて
信頼できなくなる とても苦しい
そもそも「被害だ」と言えない人が たくさんいます
武田:
警察に相談した時のやり取り
傷ついて相談しに来ている被害者にどうしてあんな言葉がかけられるんだろうと
憤りを感じたんですけれども
小西:
多分 警察庁に聞けば「そういうことを言わない教育を一生懸命やっている」と言うと思うんです
実際やっておられるんだけれども
でも現場には ああいうことを言ってしまう警察官が実際いるのも確かです
法律的にこれは証拠がないな 使えないなと思った時点で
法的には難しいケースは当然あります
だけどそれは被害がなかった とは違いますから
性暴力を広く定義すれば、同意がないところで性行為が行われれば
セックスだけでなく様々な侵害的な行為があれば
それは全部性暴力という風に言っていいと思います
武田:
「あなたが悪いんじゃないの」というような
そういう思いは、警察だけではなくて
世の中、私たちの間にある感覚じゃないかなと思ったんですが
に:
一次被害がレイプそのものだとして
二次被害「セカンドレイプ」周りの人からの言葉
「お前に非があっただろう」みたいな
それは被害者をさらに追い詰めているような気がします
レイプの被害も辛いのに、その次に言葉の被害を受けて
これっても同等の 痛みなんですよ
何十年も何十年も 生きれば生きるほど
レイプを受け続けているような苦しみですね
●社会を変えたい 声を上げ始めた被害者たち
これまで 何重にも苦しみ続けてきた 性暴力の被害者たちが
社会を変えようと声を上げ始めています
名古屋 7月11日
「あなたに起きたことは私の問題でもある」というプラカード

被害者女性スピーチ:
被害者は何度殺されたらいいのでしょうか?
次の世代に絶対に同じような苦しい、悔しい思いをして欲しくありません
全てを奪われるのが性暴力です
もうこんなこと本当に嫌なので
こうやって集まった人たちの声が
社会を変えるようにやっていきましょう
(涙ながらに声を振り絞って話す女性
●「誰にも相談しなかった」56.1%
国の調査では 無理やり性交などされた被害者のうち
「誰にも相談しなかった」と答えた人は半数以上
なかなか声を上げにくい現実があります
●名古屋 大谷高等学校での講義
性暴力に対する社会の認識を変えるため
名古屋の性暴力救援センター なごみは、市内の高校で 授業を始めています
1年生を対象にマスターベーションや、避妊の正しい方法など
普段学校では取り上げない内容にも踏み込みます
「キスしようか?」
「いいよ」

「OKをもらいました 合意があった OKですね これは普通の恋愛です」
●恋人同士でも性暴力が起こりうる
「合意はなし 金銭のやり取りはなし これは何でしょう?
そうです レイプ 強制性交です
人の気持ちを考えなくて、自分が意のままにしていいんだという
勝手な解釈をしている人がいるんです
人は選ぶ権利があります そして拒む権利もあります
イヤと言っていいんです “考え中”もありです
そういう権利があるんですよ 一人に一人にね」
女子学生:知識が増えて、もっと考える時間ができて 大切な時間になったなと思いました
男子学生:被害者は心も痛いだろうし とても悲しむと思いました
(やっぱりもっと小さい頃から教える必要がある 語り部のVTRを見せるとか
●自分と大切な人を守るために何ができるか
性暴力から自分、そして大切な人を守るために何ができるのか考えます
武田:
私はやはり性暴力の背景に、人の気持ちも考えずにしていいという
勝手な解釈があるんだということを
もっと広く共有しなければならないと感じましたが
小西:
そういう考え方が あまり今みたいな 教育がないままに
若い人に再生産されてしまうと思います
●根底にある社会の無理解

アナ:
望まない性行為が「性暴力」だということが
まだ全ての人に理解されていない ということを示す数字があります
LINE と協力して 10代~50代の男女約1000人に複数回答を実施しました
どういう時に性的な行為への「同意がある」と考えるか聞きました
これだけの人が「同意がある」と捉えていることがわかりました
小西:仕事できないですよね、これじゃ
に:
男と女で 例えばお酒を飲んだら 何でも同意なのか
なんかちょっとえ!?って思っちゃったんですけど
小西:
そうじゃないですよね
例えば、すごい格好で酔っ払って寝てたとしても
襲っちゃいけないことは当然じゃないですか
被害の現実というのは、あまりにも社会に見えていないし
間違った常識が通って、被害の現実が全く表に出てこない
変えていかなくちゃいけないことなんだと思います
●実際に性暴力に遭ってしまったら周りの人たちができること

小西:
「なんで?!」って人は言うんですけれども
やっぱりそれはすごく責められているように聞こえるので
この言葉を一旦抑えるだけでもすごい違うと思う
2番目も「HOW TO」で直してあげるとかそういうことではなくて
一緒に困ってくれる人 一緒にいてくれる人が必要 一人ではできないから
正解の道でもう大丈夫っていう道は 残念ながらないし
ないけれども でも一個ずつつまりながら
それでも一緒にいてもらったり
に:
ただ一緒にいて 例えばお茶を飲んで「おいしいね」って言い合う
それだけでも ほっとするんですよね それが支えになる
次の日生きようと思う それはすごい思いました
●近くのワンストップ支援センターへ

武田:
話を伺っていて、性暴力に苦しんでいる人たちが身近なところにいる
そして明日もまた新たに そういった被害者が生まれるかもしれない
決して一人きりで抱え込まず、近くのワンストップ支援センターへ
相談するようにしていただきたいと思います
全国の都道府県にあります
小西:
ワンストップってただ話を聞くところじゃないので
例えば警察に行くなら一緒に行って 本人を支えましょうとか
もっと早く産婦人科や医療に紹介するとか
そういうのも同行してくれたりするんですね
だからわりと具体的に 一緒に動いてくれるところ と思っていただくと
ワンストップセンターに最初に相談しなさいっていうのは
公式に言えばそうなんだけど
被害者から見たら できないですよそんなことは
今調査をすると 過半数の人が まだ誰にも言ってないんです 友達にも親にも
だから最初に言うべきことは これじゃなくて
誰でもいいから あなたが信用できる人に 相談してみようです
さらに言うと その人が「あんたどうしてそんなとこ行っちゃったの?」て
言われる可能性も結構高いです
だから1回ダメだった時に、もう1回 別の人にも相談してみよう
っていうところまでは是非 言いたいと思います
に:
本当にそう思います
私も最初 被害を打ち明けた時に「嘘言ってるんでしょ?」って言われて
それで閉じこもってしまった
それが自分のトラウマを深くさせたところがあるんですね
だから今苦しんでいる人がいるなら 一度じゃなくて せめて二度
できれば 周りに相談して欲しい 打ち明けて欲しい 諦めずに
あなたを否定する人もいるかもしれないけれども
でもあなたを 待ってる人も必ずいるはず と私は思います