エンリケ バリオス (著) 竹西 知恵子 (訳)
Dilaさんがおススメしていた1冊
・『魂の深奥デトックス 完全に癒された《宇宙次元の自分》にワープする瞑想法』 Dila (著) その1
・『トゥルーマン・ショー』(1998)
この「現実」が「みんな自分のために完璧に演じてくれている世界」だとしたら?
宇宙はそれぞれが生み出しているのだとしたら?
無限の選択肢があって
無限の「今」を生きる自分がいるとしたら?
SF小説みたいだけれども
パラレルワールドについて考えると
あらゆる固定観念が外れる気がする
「自分の想像が現実化する」
【内容抜粋メモ】
まえがき
この作品には私自身が舞台に登場する
霊性の神秘のベールを打ち破り
横丁に住んでいるごく普通の隣人マノロさんのような人にアプローチすること
彼のような人は、天才、聖人などは選ばれた人だけで
自分には全く縁がないと考えています
神聖は何となく怖くて夢か幻のように思い
菜食主義者などは高潔で自分とは全然違うと感じているのです
「特別な人間じゃなくちゃだめさ
僕には欠点がたくさんある
それより政治、スポーツ、経済、科学、芸術に通じていればいい」と思うのです
もちろんそれらは私たちの文化の重要な側面ですが
苦しみを軽減し高度な存在へと到達するための道を発見する
可能性を失ってしまっているのです
幸運にも私は殻を閉ざさなかった
私は霊的現象、超常現象(いつか超を取りたいが)と呼ばれる体験ができました
その体験のきっかけで作家の道に入り
人生が大転機を遂げたのです
私の当面の目標は
普通の人に内的成長の道にもう少し深く足を踏み入れてもらうことです
聖人は数が少なく、自分の高潔さに関心があるので
世界は聖人によって変えられるのではなく
マノロさんやのような人間が変えていくのです
なぜなら私たちは大多数を占めているからです
すでにアミシリーズでもやったことですが
ここではその先の段階へもう少し進むことになります
あえて言うならこれは小説風現実です
エンリケ・バリオス
(場所も日付もなし
ここがブエノスアイレスで
今が1992年であるということはあまり意味がない)
【エンリケの心の中の人格名】
ドゥドーテ 疑り深い
ボビ なんでも信じる
クリ 好奇心の塊
パヤシン ひょうきんな道化役
コネホ 臆病者
ボス スピリチュアル
フェオーテ コンプレックス
ゴリ 洞窟暮らしの名残をとどめる
マルティリマッソ 宗教的問題にとても厳しい
第1章
1988年1月10日 チリ サンチアゴ市
受話器から見知らぬ男の声が聞こえてきた
「あなたはもう ET (地球外高等知性体)とコンタクトする用意ができていますよ」
もちろん僕はすぐに切った
アミシリーズの3冊目をなんとか書こうと
パソコンに戻ったが、何も浮かんで来なかった
もう一度電話が来て
「これが最後です 拒絶するなら一生に一度のチャンスを逃すことになりますよ」
また切った
「ウッソだあ!」
疑り深い僕の中の一人ドゥドーテが言った
「でも真面目な電話という確率も1%ありますよ」
なんでも頭から信じてかかるボビが言った
「何か面白いことがあるかもしれないぜ」
好奇心の塊のクリが言った
三度目の電話
「あなたのその低い意識レベルのせいで
まだ物理的なコンタクトが実現していないのです
だから次の本のテーマも理論の域を出ていない
私の話を聞きませんか?」
「イカれた人間でも本のネタをくれるかもしれない」
ひょうきんな道化役のパヤシンが言った
「嘘や疑い、侮蔑の入る余地などありません
ぜひ二人きりでお会いしたい」
相手の名前がクラーケンと知って
スーパーマンと同じだと叫びそうになった
「表面的に似ているように見えても
実体は全く違うこともありますよ
例えばクラーク・ケントとクラーケンや
星の王子様とアミのように」
「 ET とコンタクトしているんですか?」
「私自身が ET です
重要なのは頭からそれを否定するのではなく
意識のどこかにその可能性を受け入れるスペースを空けておくこと」
明日の夜10時に会う約束をする
実際来たのは健康そうなスポーツマンタイプの青年
調和の取れた表情などは
内的な高度なレベルに達していることは明らかで
私は人間の進化を見分けるイエスの教えを思い出した
顔形が美しいかどうかではなく
その仕事によって判断せよ というもの
二人はレストランに入る
「私はプレアデスから来ました
今夜異次元の存在があなたの部屋を訪れます
アミ〜と呼ぶことにしましょう〜から派遣されたある存在です
新しい本のための情報を届ける目的で」
これまでアミは実在すると言われてきたが
僕にとっては精神錯乱の域に近かった
「これからあなたが受け取る知識は
三次元の外にある別の存在次元について
そこで重要なのはエネルギー
他のクラスの知性体と決定的なコンタクトを取らなくてはならない」
臆病者の僕、コネホの胃が痛んだ
クラーケン:
今回の私の役割はコンタクトが実現するようあなたに了解を取り付けることです
なぜなら高次元世界はあくまでも個人の自由を尊重しますから
普通こういう出会いはあらかじめ本人から招待があって
適当と判断された場合ですが
このケースでは上であなたと連絡を取る必要があるにも関わらず
あなたから全然呼び出しがなかった
こんなことはめったにありません
そのため私が仲介役を務めなければならなかった
彼は僕にそれを経験する用意ができているかどうか聞いた
用意はできていると答えると
適切なエネルギーフィールドを作り出すための指示をくれた
怖れ、盲信、好奇心、疑いはどれも低い意識レベルで
そこから低周波エネルギーを放射して
高次元に悪影響を与えるから
(好奇心も低いエネルギーって意外
第2章
「目を覚まして エンリケ」
よく我々は睡眠中に肉体を離れ
宇宙空間や他の次元を訪れると言う
僕の部屋の空間にグリーンの光の球が浮かんでいた
「やあ、マラビージャ!」
僕は上機嫌で叫んだ
一瞬おいて僕は自分が誰でどんな世界にいるのか思い出した
僕は咄嗟に枕の下に拳銃を探した
もちろんない
拳銃など一度も持ったことがないのだから
「落ち着いて
あなたの恐怖心が妨害している
私は愛から来た 神=愛よ」
僕はスピリチュアルな僕、ボスに意識を集中した
少しずつ大きな喜びが僕を満たしていった
他の現実次元もあるのだという確証をつかんだ
「あれは夢だ いたずら電話の主が暗示にかけたのさ」
ドゥドーテが叫んだ
恐怖から目を閉じ、再び開けると何もいなかった
やれやれ実体とは愛なんかではなく
禅の教えにあるように
想念があらゆる物語を描く広大な空(くう)があるだけだ
自分で作り、自分で信じ、自分で投影した物語の向こうは無
根源のゼロだ
想念が神々、悪魔、輪廻転生、天国と地獄を発明するんだ
善玉と悪玉の ET 、天使、精霊、悟り、
アセンションしたマスター、マントラ、アストラルトリップ、憑依
これらすべて物語でしかない
そしてお前はペテン師だ
嘘八百の物語を書いて
騙されやすい人々に売りつけているんだ
*
生涯の長きにわたっていくども見る夢を見ていた
裁判のような夢
僕のゴッドファーザーか守護者のような存在もいる
試験官の一人が僕に質問した
「意識の進化に及ぼす苦悩の役割とは何か?」
「確信が足りん!」
チームの悪魔の弁護士が言った
「きっとうまくやるでしょう」
ゴッドファーザー、僕の友達が微笑みながら言った
他の老人達も同意見だった
「内なる自己の実現とはどのようなものか?」
僕は答えたが老人はアマチュアのレベルにさえ達していないと考えているようだった
第3章
合格点スレスレで試験に通った
目を覚ますとまたあの光が僕の部屋にいた
君は誰?
そういうあなたは一体誰?
僕は神=愛に奉仕するものです
月並みね まだ相当忘れてるわ
女性の声には遠い昔、懐かしい親密さの記憶を思い出させた
コンプレックスの僕フェオーテが現れた
その球体からふわっと3つの光の星が浮かび上がった
それが喜び、笑いを意味していることが分かった
光の存在が僕の夢の内容を知っていても驚かなかった
存在と意識は同じものよ
私達が発する質問の答えは何も教えてはくれないわ
なぜなら私の言う教えとは内面的な成長を促し
意識を高度なレベルに引き上げ
もっと賢い人間にする知識のことだから
アミは実在するのかしないのか
それは好奇心よ
好奇心は知性の渇望
でも知性が情報で満たされたとしても
それは私たちを成長させてはくれない
2つの脳を思い出して
内的成長に必要なことは何も教えてくれない
私たちは既に知っていることから発して
既に知っている回答を見つけ出すのよ
つまり既知のことを質問して
そのレベルで既知の回答の手に入れる
その回答はあなたを同じ意識レベルに留める
既知は何も教えてはくれない
私たちに何かを教えるのは未知のもの
それは常に私たちを驚かせるから
ひらめき、啓示なのよ
あとは無益な繰り返しだわ
私の本当の姿を見せてもいい?
あなたの気にいる姿ならというわけね
美的趣味に関する不寛容性
だから地球への救済計画では
地球人と似たような存在とのコンタクトしか実現できないの
地球人は極端な視覚的差別主義のために
チャンスを全部失っているわ
これが私よ
ゆっくり目を開けると青い瞳の美女が見つめていた
妖精だ! 僕は歓声を上げた
彼女を愛さずにいるのは難しいだろうと思った
妖精とエンリケのツインソウル(双子の魂)の物語を創作した
あなたの好きなように
常に私たちがそうだと信じることが実現するのよ
でもなんて忘れかたなの
高次元の無時間の現実については全くの昏睡状態ね
人は皆一人一人が自分の想像しうる世界の中に住んでいる、という言葉を覚えてる?
あなたが書いたのよ
これで何を言いたかったの?
自分でも理解できないことをいろいろ書くんだ
あなたは一定の意識レベルだけが到達できる宇宙の真理を表現したのよ
『素晴らしい魔法の世界』のこと
それを思い出させに来たの
意識的な魔法
私たちは誰もが瞬間に魔法を使っている
でもみんながそれに気づいているわけではない
彼女が道をひらくような仕草で棒を振り
次の瞬間、僕は別の世界にいた
第4章
僕は見たこともない豪華なインテリアの部屋で目を覚ました
クラーケンから電話がかかる前のことしか覚えていなかった
僕は自分自分で編み出した格言を思い出した
「蔵書にてその人物を知れ」
(だから私も人の書棚を見るのが好きなんだな
本の中にエンリケ・バリオス著『素晴らしい魔法の世界』があった
同姓同名だろうと思い
誰かが部屋に近づく気配がしてページをめくる暇がなかった
カフェオレをもって女性が入ってきた
よくお休みになれましたか?
マイアミヘラルドをお持ちしましょうか?
僕はマイアミにいるんだ
昨夜遅く日本から電話がありました
また東京に行かなければならないみたいですね
今度はテレビ出演だそうです
なんて素晴らしいんだ
めんどくさいな
めんどくさいだって!?
せっかく日本へ行けるのに
女性が去ると僕は全員のぼくを総動員して
この状況分析に取り掛かろうとした途端
目が覚めて、マラビージャが僕の部屋で笑っていた
僕があれを想像したの?
これと同じようにね
あなたが生きる現実は一瞬ごとにあなたが想像している
現実になるのは、あなたがそれを現実だと信じるからよ
そんなこと僕の頭には受け入れられない
次の瞬間、汗だくで岩山をよじ登っていた
あたりは完全な漆黒の闇
頂上に着いた
僕は巨大な岩窟の中にある岩山のてっぺんにいた
血も凍るような世界だった
ゆっくり深呼吸しながら自身の内なる光に意識を集中した
全ては完璧である
僕の全ては光
目を開けると、1000mくらい上空を
両手を広げて漂っていた
空中に浮かぶ力は、僕の心の安定にかかっていると想定した
12人余りの人間がオフィル(アミに出てくる高度な文明の星)の魅惑的な風景の上を飛んでいた
僕は宇宙人の体にいた
ドーム型の白い建物が下のほうに点在し
ボクらの太陽より400倍も大きい真っ赤な太陽の下で
色々な形や大きさの宇宙船が飛び交っていた
僕の本当の体は一体どっちなんだ?
お前の体はお前の皮膚の内側から一番遠い銀河まで広がっている
僕の内部でスーパーボイスが言った
お前は誰だ?
枝が木に向かって誰だと聞いている
たった一つの意識しか存在しない お前だ
「マラビージャはお前を狂わせようとする邪悪な存在なんだ」コネホが囁いた
マラビージャ:
あなたに苦しみをもたらす限界、無知、
恐怖心、猜疑心にとって、私は不吉な悪よ
この妖精は僕に全く新しい概念や信念体系を受け入れさせようとしている
それは激しい痛みを伴うことだった
なぜならこれまでの信念を捨て去ることほど
恐ろしいものはないからだ
信念を変えるのは、それまでの自己を捨てることだ
死ねということだよ
生まれ変わるためには死ななければならないわ
僕は神を冒涜したりしない
まさにあなたがあなたの神を冒涜しないようにするのが私の目的
モーゼの十戒の一つ目(唯一の神しか存在しない)さえ守れば
あなたは何でも好きなものを実現したり手に入れられる
あなたの神は善い神? 悪い神?
彼は慈悲心と愛そのものだ
何か美しい夢を持っていないの?
ツインソウル
それといつか平和が実現している世界を見たい
国境、武器、宗教もない世界
だってそれが原因で戦争になったり
人類が分裂したりして攻撃し合うだろう
あなたは人類の信仰を変えたいと思う?
いや、それほど愚かじゃない
もし分裂や暴力を生み出す信仰を変えられれば
僕の子孫は核や環境破壊の脅威にさらされずに済む
でも誰も自分の信仰を変えたりしないさ
当然よ
あなた自身が自分の信仰を変えられないから
僕は一種のメタファーで現実ではないという結論に達した
全てのビジョンは真実よ
僕は愛こそが神だと思う
それは絶対的真理だ
あなたにとって 私にとっても
私はあなたの個人的な宇宙に存在しているのだから
よく理解できないな
僕は人類の進化に協力することが必要だと思っている
絶滅の危機に瀕している人類のために働くこと
その中に個人的進化や内的成長の鍵があるんだ
あなたの神=愛はそんなに邪悪なの?
第5章
マラビージャは消えた
彼女が語った言葉の意味を深く考えさせるかのように僕一人を残して
ドゥドーテ:
幻覚や暗示、技術的に進歩した宇宙人の発明かもしれない
投影、ホログラム
僕らが ET は善人だと信用するようになるとガブリと食ってしまうのさ
愛の法則が自然界を支配しているなんて考えられない
弱肉強食
富める国が貧しい国を愛すれば破滅してしまう
力こそ宇宙の基本法なんだ
ET は力を持っているはず
救済計画なんてあるわけないさ
僕は彼女を疑い、全てを疑った
神=力論を信じた
*
深い眠りに落ち、時計を見ると午前9時
クラーケンの電話から後のことは何も覚えていなかった
シャワーを浴びると水が濁って変な臭いがする
ニュースを見ようとテレビをつけたが停電している
濃密な静寂
電話も不通
商店はすべて閉まっている
時計の日付を見ると4月20日
そんなバカな(眉村さんみたいw
今日は1月11日のはずだ
どこにも人影はなく、全ては停止している
目につくのは犬の群れ、ゴミ
大量の衣類と古い靴、数匹の猫、ネズミ
玄関や窓を叩いてまわっても応答がない
眠っている間に大災害が襲ったに違いない
カーラジオも沈黙している
車でサンチアゴのメインストリートに向かったが人影がない
恐るべき孤独感と世界の終末感
誰か僕の声を聞いてる人はいませんかあー!?
僕は狂ったように絶叫した
洞窟暮らしの名残をとどめる僕、ゴリが出現し
隠れている人間を引っ張り出すために
ショーウィンドウなどを叩き割った
最低の原始的レベルまで後退した僕の心は号泣し
ママー!と叫びたい衝動に駆られた
その時ボスが登場し、銀行の入り口に座り瞑想を始めた
そうだ新聞に欠けている期間の情報があるはずだ
1988年1月16日付の新聞を見つけた
赤いインクの大きな見出しが目に飛び込んできた
明日、地球の全人類を吸い取ると予告 人喰い宇宙人
インベーダー(地球侵略者)としか言いようのない
無数に光る宇宙船の写真
ET 司令官からの最後のメッセージ:
生命の法則とはより弱い生命体を吸収し
そこから栄養を摂ることだ
君たちがするように我々もする
それが宇宙の法則だ
何千年も君たちを飼育し続けてきた
君たちがもう少し成熟し、暴力性が減り
汚染度が低下するのを待っていた
しかしもうこれ以上は待てない
戦争のおかげで我々の投資がフイになる恐れが出てきた
誰も自然の法則に逆らうことはできない
数千年後に再び収穫に来られるよう
見本種して数名だけは残しておく
キリスト教も説いてきたように
神は愛だと考えていた僕は間違っていた
進化計画とは飼育計画に過ぎなかったのだ
イエスも騙されていた
テレパシーで操られていたに違いない
生き残りの種とはきっと愚かな奉仕者や
慈悲、愛の普及に努めた者たちのことだろう
あらゆる世界で弱肉強食という
自然界の法則が支配しているという証拠があるにも関わらず
神は愛であるという美しい嘘を信じた欠陥遺伝子の保有者
(海外ではキリスト教ほか、いろんな宗教の信仰心が厚いために
日本人としてはちょっと想像できないような
ブロックがたくさんありそうだな
エホバの神は宇宙人だったのか?
鉄条網の代わりに針金の柵を使う牧場主のように
皮を傷つけないように
市場で値が下がるようなキズモノにしないように
ET のことを書いた本を
すべて窓から放り投げ焚き火の炎で燃やした
人間の適応力とは面白いものだ
僕はまだ生命に執着していた
生きる? 何のために?
最新型モデルのメルセデスを見つけて
僕は親戚を探しに海岸へ行くことにした
牛、ヤギ、鶏、豚、馬の姿がちらほら見えた
(ヒトが家畜化してきた動物が多いのが象徴的
子どもの僕がいることに気づいた
『ライフ』の写真で見た真っ黒な空の下
爆撃で破壊された都市の遺体の間を
笑いながら棒きれで遊んでいる子供達のような
浜辺には誰一人いなかった
(私も昔、自分以外誰もいない世界を夢見ていたことを思い出した
夢に見たこともある
自分の願望が夢の中で現実化したのか?
スーパーで食べ物を取るけれども
いつも食べる前に目が覚めてしまうんだよね
第6章
僕は海岸のロッジに移り住んだ
新しい事態に適応していったが
他の生存者に会いたいという思いはどうすることもできなかった
僕はメルセデスに乗って探索に出かけることにした
カセットデッキに大音量の拡声器をつないで
ベートーベンの♪歓喜の歌 を流したが応答なし
ET は生存者同士を地理的に遠く離れたところに残したのだろう
僕は短波の無線通信を使って捜索することを思いついた
水道は水質が悪くなりシャワーにしか使えないため
ボトル入りのミネラルウォーターを飲んだ
郊外に家を見つけ、発電機のモーターを始動させると光が生まれた
電気の照明が使えるとはなんて素晴らしいんだろう
毎日可能な限りの周波数を全部チェックした
「私はエンリケ チリのサンチアゴ市にいます
誰かこれを聞いたら応答してください」
若い頃バックパッカーで覚えた
英語、フランス語、イタリア語、ポルトガル語でも送信した
たまに近くの畑に果物や野菜を調達した
(やっぱり自給自足の生活が出来るって一番強いよね
夜は遠くに見える都市は真っ暗で
家じゅうの照明をつけて
生活の匂いを出すために BGM をかけた
3匹の友達ができた
ヒューイ、デューイ、ルーイと命名した
ヒューイは牧羊犬
デューイは野良犬
ルーイはこの家に住んでいた猫
ガソリンスタンドにはまだ燃料がたっぷりある
プロパンガスによる暖房も心配なかった
井戸からはきれいな水を汲むことができた
時々大きな愛が僕の生活に訪れて
想像を絶する孤独を癒してくれる夢を見た
物語を書いてやり過ごした
数年後に出版された短編集『愛と星と双子の魂の物語』の
ストーリーのいくつかはこの時に生まれたものだ
僕は既に1ヶ月以上無線機にかじりついていたが応答は全くない
徐々に希望を失い都会から離れ自然に近づきたいと思うようになった
無線設備、発電機、井戸水用の電動ポンプを完備して
アンデス山脈の裾野に理想的な家を見つけた
僕は動物たちと話をしていた
新鮮な卵を確保しようと鶏を捕まえて鳥小屋を作った
こうして少しずつ新しい世界
神=力に支配された新しい宇宙に順応した
美味しいステーキが食べられると知っていても
牛などを殺すことは絶対にできない
ステーキを食べるのはあくまでも僕が殺さなくて済むならの話だった
一度だけ勇気を振り絞り、雌鶏ラモーナの首をひねったことがある
沸騰している鍋に入れ、羽をむしりとった
顔と手を切り落とすとラモーナは
スーパーマーケットにあるような鶏肉になった
スープ皿によそい最初の一口で吐いてしまった
*
ある日、無線機から英語で喋る女性の声がした
その声はカナダのハリファックスから
名前はメリー・フランシス
相手が太っていようが痩せていようが
一人の人間というだけで満足だった
彼女はアミを知っていて
児童教育に計り知れない貢献をした作品だと褒め
僕が著者だと知るととても喜んだ
最初僕らは互いに遠く離れていることを喜んだ
新しい飼育の起源になることを拒否するという決意を強めたから
しかしなぜこれほど隔絶した地域の人間を選んだか理解できなかった
僕らは四六時中無線で交信した
彼女はまだ精神世界に関する本を保管していて
人喰い ET に対してすら憎しみを抱き続けることはできなかった
信仰というのはどこかに貼り付いているものなのだ
彼女はすぐにゴーストタウンを離れて郊外に家を見つけ
初日から夢中でインテリアを創作した
大好きな料理作りに励み、たくさんの猫や犬と分け合って食べた
彼女は自分の目的に最も適した機材やアンテナを研究していた
一番ショックだったのは彼女がまだ
神=愛という信仰を捨てていないことだった
僕たちはこれについて長いこと話し合った
メリー:
彼らが私たちより高度だとは思わない
技術的には進化しているとしても
常に父親のほうが子どもより進化しているとは限らないでしょう
高度に発達した善良な ET しかいないと言った時、アミは間違ったのよ
私は善と悪という2種類の ET が存在する可能性を受け入れていた
でも心の奥ではこの宇宙は愛の神によって治められていると考えたいの
エンリケ:
アミを書いていた時は ET 全般について何も知らなかったし
是が非でも書きたいというわけではなかった
汎宇宙的な霊性の概念を伝えることに興味があったから
ちょうどET が流行ってたんだ
集団で UFO を目撃するという事件も起こった
僕は君に深い愛を抱いていると思う
メリー:
私も同じことを考えていたの
私が黒人だって知ってた?
エンリケ:
いや 君の容姿なんて考えてもいなかった
ノバスコシア州に行ったことがある
1966年ではあまり黒人を見た記憶はないような気がする
メリー:
私は黒人じゃないわ 冗談だったの
私が嫌いなタイプは2つ
一つは人種差別主義者
もう一つはジプシー笑
第7章
彼女は聡明でユーモラスでスピリチュアルな面を持っていた
僕ら2人には似通ったところが多かった
彼女が想像力の欠如した娘だったら
僕らの会話は陰気で不平不満だらけになっただろう
彼女は僕にとってパーフェクトだった
男のハートは胃袋から征服できるという
僕の皮膚には細かいフケのようなものが吹き出し始め
毎日食べる缶詰食品のせいだと気付いていた
寒い孤独な夜と共に冬が訪れようとしていた
彼女と共に暮らすため、飛行機の操縦を覚えるのだ
エンリケ:王子様がお姫様の所に行くのが普通だろう
メリー:なんていやらしいマチスト(男性優位主義者)なの
空軍の建物で世界中の航路地図を見つけた
サンチアゴからペルー、エクアドル、
コロンビア、パナマ、ジャマイカ
アメリカそしてカナダ
時速200 km 以上のスピードが出るセスナ機を選んだ
1日13時間で2400 km 飛べることになる
メリー:大丈夫 どんな危険にあっても ET が助けてくれるわ
*
初の離陸訓練を経て
エンリケ:2週間もしないうちに僕たちは熱い抱擁を交わせるだろう
メリー:
あまりにも早すぎるわ
あなたを驚かそうと思って準備していることがあるの
*
10日後、セスナ機の副操縦席にヒューイ
後部座席にデューイとルーイを乗せて出発した
飛行第1日目は北に向けて約1000 km 飛び
何もトラブルはなかった
管制塔の自家発電装置を使い
強力な無線機でメリーを呼んだ
メリー:実はドイツ人の男性があなたより先にヨットで着いたの
幾多の転生を共にした唯一の愛と誓い
結婚した結果わずか数日後に
相手が5、6歳程度の精神年齢しか持っていないと気付いた方はいないだろうか
僕はまさにそういう心境だった
詐欺にあった気分になった
ジークフリートと言う名の男の声が
ドイツ語で話しかけてきた
「私の名前はジークフリートです」
当然ながらカナダ行きは取りやめだ
メリー:ドイツ語講座のカセットテープなの
やれやれびっくり箱のような女だ
メリー:
ペルーに現れた UFO をいくつも調査したことがあるわ
マチュピチュとクスコは行ったことがある気がするくらい
彼女は奇抜なユーモア感覚の持ち主なのだとやっとわかった
明日はボストンで一泊して、その後いよいよハリファックスだ
メリー:あと2日もあるの? もう目と鼻の先よ
エンリケ:
でも今まで一度も夜間飛行はやったことがない
どうやって滑走路を見つけるのさ 怖いよ
第8章
分厚い雲のため星ひとつ見えなかった
僕の身体全体が警戒警報を発し始めた
黄色い光が見えた
牧草が燃えているのか?
プラスチックやガラス瓶の破片がレンズの役割をして太陽光線で発火してしまうのだ
それともメリー・フランシス?
近づくと2列に並んだ黄色い明かりに変わった
一本の滑走路がくっきりと照らし出されていた
石油缶を無数に並べて美しい炎の文字が描かれていた
「ようこそ、エンリケ!」
メリーは文句なく最高の女性だった
メリーの姿が妖精に変貌した
僕の意識は高度なレベルに入っていき
少しずつ全てを思い出した
かつてのアパートの部屋で妖精はベッドの足元に腰掛けていた
時間は全く経過していなかった
なぜあんな恐ろしい物語を経験させたんだ?
神=愛を疑ったからよ
人類は人喰い ET に吸い取られたわ
でもそれはあの宇宙のこと
ここでは神=愛が統治している
もしかして宇宙はたくさん存在し
僕はいくつもの宇宙で生きられるってこと?
やった! 彼女は歓声を上げた
あなたは彼の中に入り込み
あの次元の摂理に従って生きたの
たったひとつの真実
たったひとつの宇宙
たったひとつの神なんて存在しない
それぞれが自分の神を持っていて
それに従って生きたり死んだりしているの
唯一神の解釈がいろいろあるんだ
解釈は全て 一人一人にとって
アミは悪い ET は存在しないと言った
アミの宇宙には存在しないの
あなたが信じることがあなたにとっての現実になる
瞬間瞬間に独自の物語を創造していくから
あなたはあなたが生きてみたいと思う物語を選ぶ
魂には頭が考えるよりはるかに高度な自由が与えられている
人は皆自己の宇宙で陣頭指揮をとっている
自分の想像力が考えつく限りの法則を全て現実化しているのよ
メリー・フランシスもあの宇宙の波動に同調したのかい?
進化した ET に善悪の2種類があるのを受け入れたことで
神=愛の宇宙を放棄したの
頭で思い込もうとしたのよ
それだけでは確信が足りなかったのね
今、彼女はどこにいるの?
私たちはみんな同時にいろいろな場所
次元のヒダに存在している
あなたの意識は時間を超越することができないから
永遠を生きることができない
でも全ては同時に存在しているの
時間はあなたの意識が動く形態
ひとつの現実から別の現実へと移行する方法に過ぎない
もう少し先へ行くとあなたは私のレベルにいて
私たちはかなり親しい
僕はなぜ両方に惹かれるのかやっと理解した
2人は違う進化レベルにいる同じ存在なのだ
私はあなたに恋をしている
私の全てをかけて
あなたは愛する人が昔どんなだったか見たくない?
ということは、つまり僕らはツインソウル
僕の心に突き刺さっていた古いトゲが融けて消えた
なぜなら僕は死ぬほど愛していた恋人の存在と
彼女が絶対どこかにいるはずだという感覚を持って生まれてきたからだ
もうあの世界には戻りたくない
でもこの世界のハリファックスに僕は行く
あそこに彼女はいない
あの宇宙にはいるけど
どこで彼女に会える?
私は色々な場所に存在している
あなた自身が内的な成長を遂げられば
あなたは私が住んでいる世界にやってくるようになる
一番成長を促進させるものは人類への奉仕
彼女と同じ性格の人もダメ
違うかもしれないから
あなたは心の底では彼のように神を疑っていない
だからあなたはここにいて知的雑音が少ない
彼女はちょっとおしゃべりな女性
そのうちきっと彼女のジョークにも疲れてしまうはずよ
あの世界のエンリケは彼女のもとに行き
2人は結ばれ幸せに暮らしました
子孫を残し、他の生存者の家族とも出会った
飼育ではなく救済計画になっている
僕たちも子どもを持ってるの?
色々な次元を合わせれば何千何万といるわよ
なんて複雑なんだ
新しい宇宙のモデル
多次元的現実
死ぬことのない転生
交差した平行宇宙
信じることが現実になる
もしあなたが世界の終わりを待ち受ける集団に加われば
すぐに死にゆく地球を見ることになる
あなたはあなたの個人的宇宙の神であるということだけを考えなさい
第9章
目を覚ますと1月11日
だが僕は数ヶ月分余計に生きていた
家政婦のコカに今年は西暦何年だと聞くと
コカ:
いちいち妙なことを
奥様をもらわなくちゃ駄目ですよ
その年で独身なんて不健全でどこがおかしくなるんですよ
エンリケ:ET を信じるかい?
コカ:信じますよ でも怖いですよ
エンリケ:
UFO を見たら逃げろ 人間を食うんだ
お前の世界のはそうだ
僕の世界のは違う
頭に次から次へと疑問が湧いてきた
他の宇宙に移ることはできるのか?
他の人々はどんな役割を果たすんだ?
彼女は魔法を教えに来たといい
全人類にとって唯一不変の出来事はないと示した
僕は朝食を乗せたお盆を自分のほうに飛ばしてみようと
意識を集中したが1ミリも動かなかった
コネホも「油断大敵」と言っていた
そこから怖れや確信不足が生まれる
それが僕のパターンなのだ
「魔術師の力は確信にあり!」と叫んだ
コカ:
魔術は嫌いです
ぶつぶつ独り言をいう旦那様もごめんですよ
僕が手にナイフを握りしめ
素っ裸でうろつく姿を想像しているコカの顔が見えるようだった
もしコカがそれを想像するなら
彼女にとっての現実になるのだ
だが僕は絶対にそんなことはしない
コカは別の世界のコンタクトして
別の次元に入るのだろう
何千何百万というエンリケとコカとその他の人々が存在するのだ
全ては完璧だ 理論的には
僕はたとえ5 cm でもいいから
レビテーション(空中浮揚)ができないかとむなしい努力を重ねた
マラビージヤがいないと駄目だ!
魔術を実践するにはデータが足りないのだと気がついた
ここにいるわよ
カーテンの向こうから彼女の声がした
僕は別の次元へロケットのように噴射していた
第10章
目の前に水晶の球が現れた
中に映像が見えた
シャワーを浴びている男がいて麻痺している
それは僕だった
古い木のテーブルを挟んで初老の婦人が座っている
この婦人を僕は知っている
もう来てるのかい?
はい すでに私の中に入っています
僕ではないその老人が答えた
これは交霊会のセッションか
この老人は霊媒だ
スピリットは僕だ
あなたはロシアにいます 1888年です
あなたは本を書かなければなりません
『素晴らしい魔法の世界』ですか
結構 思ったより意識は高いようね
あなたが普及させる役目を負っているのは
宇宙の愛の法則を熟知し、あらゆる力、知性、心で
神=愛を受け入れていなければ実践できない性質の魔術です
愛は生きているスピリットです
理解するとは知性だけで
わかるとは全身全霊で吸収し受け入れることです
神の魔術師とは愛です
かつてブラフマー、オシリスなど
幾通りもの名前で呼んだものです
もし私たちが神との遭遇を熱望するなら
愛が私たちの内部を自由に流れるようにするだけで良いのです
神の臨在であり“ I am ”です
愛は王国であり、力であり、栄光だからです
もしあなたが愛と一体化するなら
その時こそあなたの心が夢見る
全ての奇跡を実現することができます
なぜならあなたの心が夢見ることは
愛の希求と意志に他ならないから
あなたは神=愛です
それだけは容認できない
僕が心の底から崇拝している存在そのものであるとは
私はあなたの神の意識を活性化させようとしているのです
それは分かる
彼女は僕の内なる神とコンタクトするために
僕のエゴを超えたところに接触しようとしている
それはずいぶん難しいだろう
あなたのエゴはあまりにも強すぎます
"永遠の書"で試すしかないでしょう
永遠の書とはあらゆる叡智を秘めた本です
全民族、全人類、全時代の普遍的知識が書かれています
あらゆる問いへの答えがあります
それはあらゆる所にあります
でも人々はそれを見ずに通り過ぎてしまう
私が重要な論文を書き神智学を創立できたのもこの書を読んだからです
この婦人はヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー!
神智学は世界に広まっている隠秘主義の学問だ
僕はその叡智に強烈な影響を受けていた
僕の時代にはあなたはもう他界しています
現在しか存在しません
空間も時間も知性による幻想です
永遠の現在ということは知っていた
身をもって体験したから
永遠の書は最も高いレベルから解答を与えてくれます
でもその答えをわかりたいなら
自らの意識レベルを高めることが常に要求されます
それを分かる能力があるなら教えてくれます
頭の中で何か一つ質問してごらんなさい
お盆を動かす魔法がなぜ失敗したのか思いついた
婦人はそばに置かれた本や新聞をゴソゴソかき回し
手に触れたパンフレットを差し出した
それは園芸のマニュアルだった
本のほうが効果はありますが
一枚の広告でも答えを与えてくれます
一番最初にあなたの目に飛び込んできた箇所を読むとそれが答えです
「この種の製品は全く何の役にも立ちません
したがって経験豊かな庭師は使いません」
この手の製品とはあなたが神の力を使って実験しようとしたふざけた遊びです
したがって魔術師はそれを使わなかった
だから実現しなかった
亀の甲羅のような僕の頭にまた一つ大きなヒビが入った
奇跡を起こしたり起こさなかったりできる魔術師は
低次元の僕を超越したところにいる
すべての質問への答えはあらゆるところに見つけることができる
どうすれば僕の中の魔術師と意識的にコンタクトできるのですか?
魔術師は神であり、あなたは彼であるということが分かればできます
それが神智学の真髄なのです
第11章
シャワー室で冷たくなっている体に戻り
朝から何も食べていないことに気づき
中華料理レストランのテーブルで頭を整理しようとした
あの教えに従えば
僕はこのレストランを想像していることになる
若い娘が向かい側に座った
マラビージャだった!
赤いドレスに長く下ろしたヘアスタイルで
現代的な魅力にあふれ
たくさんの男が彼女を盗み見ていた
ボーイと中国語で喋っているのに驚き
中国語が話せるの?
中国語ではなくて彼が住んでいた地方の方言で喋ったの
一人の人物の波動的を探査して
自分の心理現象にその波動のパターンを取り入れるという能力
これだと宇宙のどの言語でも会話が可能になる
もちろん形態学的に喉と口腔に問題がなければだけど
(これで動物、植物、あらゆるものと会話ができるのか!
アミは僕を騙したんだ!
世界に広く普及する本は複雑すぎてはだめ
センソ・メトロもそう
(「アミ 小さな宇宙人」の中に出て来る人の進歩度を測る計器
神の力は善を行うためであって
遊ぶためではないわ
あなたはこれらは現実というより理論だと信じている
可能性よりも不可能性のほうを実現化させてしまう
何世紀も続いている否定的マインドプログラミングね
彼女は両手をテーブルの上に伏せると
ゆっくり持ち上げた
すると本物の金貨が現れた
ハイチ沖に沈没しているスペインのガレオン船から引き揚げてきたの
もう戻しておくわ
私の次元にいるあなたはもっと大掛かりなことをやるわ
そして私はあなたを愛し、尊敬している
いつでもあなたの想念をしっかり監視しなければだめ
宇宙の本質は思考する心だということを忘れないで
あなたは考えていることを形にする力を持っている
それが現実となるの
もしあなたが自分は不幸だと思えばそうなる
万事うまくいくと思えばそうなる
すべてはまず心で生まれ、その後実体化する
自分の健康が害されていると思えばそうなる
一つ下のレベルでは、愛は思考のエネルギー
もしあなたが自分を愛するなら(基本的エネルギーとしての愛)
自分には幸福になる権利があると考え(思考に変容した愛)
健康、成功、物質的な豊かさまで達成しようと思う(物質に変容した思考)
もしあなたが信じれば現実化するし
信じなければそうならない
ところでアミは実在しているの?
あなたは感じない? 彼の存在感や周波数を
僕はアミシリーズを書いている間
知らないうちに波長を合わせていたことにも気がついた
どんな気持ちになる?
嬉しそうにニコニコ笑っている慈悲心、優しさ
彼には苦しみはない
とても明晰で敏感な意識
いつも元気で上機嫌
柔らかくて楽しい同胞愛に満ちた世界を考えさせてくれる
君の本当の名前は何て言うの?
名前はかえって混乱させるだけ
でもアミがエネルギーなのか実体なのか確信がないんだ
あなたは単なる音の集合体に過ぎず
言語により変わってしまう名前のほうを
実体よりも崇拝する人たちと同じだわ
高次元の世界ではどんな存在も名前ではなく
発散するエネルギーの種類で見分けるの
アミはあなたの創作以上のもの
戦争も悲劇もなく高度な意識レベルよ
君は高い波長の世界に住んでいるから
こういうものは食べないんじゃないの?
この物質界に耐えられるくらいまで
密度を上げることができるの
(下げるんじゃなくて?
この世界にはもう一人、僕のレベルに近い
マラビージャがいるのではないかと考えた
同じ次元で2つの体に宿っているのかい?
目下のところこの次元に彼女はいないわ
でも出会いが起こるべく適切な段階を踏めば
2人とも他の次元に移り、ふさわしい宇宙に入る
*
外に出ると他の都市で、季節は冬
僕らの服装も厚手のコートに変わっていた
パリはご存知?
彼女は高次元存在であり
ヒエラルキーの原則に従えば僕の師であって恋人ではない
「少しでも罪深いことを考えたら神聖を汚すことになるぞ!」
宗教的問題にとても厳しいマルティリマッソが僕を戒めた
だが僕は彼女を抱きしめてキスしたいという衝動に駆られた
神様は私達の一番美しい夢を叶えてくれるということを忘れないで
もし愛から生じるなら何も害にはならない
それに全宇宙で私が愛する男性はあなたしかいない
他の次元であれ、いつもあなた
彼女はある名前を言った
それは僕の名前ではなく、一度も聞いたことがない名前だ
しっかりと繋がれた二重の太陽系のように
無限のシンボルを描きつつ
ぼくの生命の総体が同じ一つの存在に収斂していった
人生は時として僕らに美しい贈り物を用意してくれるのに
厳格な観念でそれを拒絶するのは僕らのほうなのだ
第12章
君のような高次元存在は
タバコの煙には近寄らないと言われている
愛の欠如という臭いだけには近寄れない
それはタバコの煙よりも有害だわ
何もかも克服できるからあまり自分を責めてはいけないわ
煙を吸い込むたびにガンを一緒に吸い込んではダメよ
危ないとか禁止の感覚は、ある種の依存症には余計魅力になることが多いの
あなたが重要視しなければ自然と離れてしまう
あなたの無限について知らないのが問題よ
この世界に住むほとんどの人と同じように
これは特別のご褒美
この私たちの出会いは、上のほうで私たち自身が決めたことなの
私はあなたが完全に心を閉ざすかもしれないと考えて怖れた
でも幸福を拒否して苦悩を崇拝させる
あの力を克服することができた
マルティリマッソだ!
2人で努力しなければだめなの
意識的でも無意識的でも
ひとつだけお願いがあるの
また私と出会った時に軽蔑しないでね
その時の私はそれほど美人でもないし
内なる神を意識しているわけでもない
でも同じ私なの
最初に君を見た時
枕の下に拳銃があるような気がしたのはどうしてだろう?
それはあなたがそうした存在界から戻ってきたばかりだったから
その世界ではあなたはあまり進化していない
でも最初の瞬間からあなたは私は誰だか分かっていた
永遠の存在次元を垣間見るひらめきを持っていた
もしあなたが
「僕はこの世界で自己の計画の実現に向かって働くために
この肉体に顕現した神である」と言ったら
自分の崇高な本質をよく記憶しているという証拠になったでしょうね
妖精って何をしているの?
子ども達を助けるの
守ったり、世話をしたり、励ましたり(ステキな仕事
僕は別れの気配を感じた
もうすぐいってしまうのかい?
私は瞬く間にあなたと会えるけど
あなたはそうじゃないから
時間はある意味で幻想なの
僕の本質は人間だ 神じゃない!
そのゲームをしたいのね
少しずつ全てが鮮明になっていくわ
あなたが書いている時は…の助けを受けるし
私たちはいつも近くにいる
*
僕は目を覚ました
1月11日だが、すでに僕は数ヶ月余分に生きていた
コカはET を信じるかい?
コカ:信じるけど怖いですよ
エンリケ:
不信感を持つと悪い人間を引き寄せてしまう
信頼感を持って生きれば良いことや良い人間を引き寄せるようになる
コカ:
エンリケ様はそうなさっているんですか?
とても無口で不信感の塊みたい
私と話すのもこれが初めてですよ
愛が僕の人生を調和させるようになってくれたのを感じた
パリのレストランと中華のレストランの日付が今日になっていて
レストランで会った女性と過ごしていたんだとごまかす
コカ:早く再会できるといいですね
エンリケ:僕もそう祈っているよ
【訳者あとがき】
エンリケさんはチリとベネズエラという
北半球と南半球に離れたご両親のもとに生まれ
若い頃から明確な目的意識を持ち
地球を駆け巡ったダイナミックな作家です
1984年 39歳の時、チリの海岸を眺望する美しい森で
子供の頃から探し求めていた明晰さを手に入れます
その神秘体験をもとに初めて著した本が
『アクエリアスのメッセージ』(未邦訳)でした
もっと人々の関心を引く本でなくてはダメだと思い
その哲学を全て盛り込んだ「アミシリーズ」を書き上げます
すでに11の言語に翻訳され
中国語でも出版される予定です
※「読書感想メモリスト2」カテゴリー内「アミシリーズ」参照
1988年にはもう一つの代表作『素晴らしい魔法の世界』(未邦訳)を発表します
その経緯を明らかにしたのが1992年に出版されたこの『マラビージャ』です
(まだ翻訳されていないのが残念
【エンリケ・バリオスプロフィール】
1945年生まれ
早くから精神的、哲学的な事柄にひかれる
父が外科医のため医学を志したこともあったが
治療したいのは体ではなく魂であることに気付く
師についてベネズエラからチリまで
徒歩で修行の旅に出たり、世界中の国々を訪ね歩く
1984年 奇跡的に死を免れた体験により
神そのものである愛に目覚め、本を書くことを決意
1986年 アミシリーズを出版
『まほう色の瞳』徳間書店が翻訳されている
現在はスペイン在住
ナチュラルスピリットの本
紹介にある本達もどれも興味深い
『レヒーナ』 アントニオ・ベラスコ・ビーニャ著
『インディゴ・チルドレン 新しい子どもたちの登場』 キャロル&トーバー著
ADHD の子供たちの多くはインディゴだった?!
Dilaさんがおススメしていた1冊
・『魂の深奥デトックス 完全に癒された《宇宙次元の自分》にワープする瞑想法』 Dila (著) その1
・『トゥルーマン・ショー』(1998)
この「現実」が「みんな自分のために完璧に演じてくれている世界」だとしたら?
宇宙はそれぞれが生み出しているのだとしたら?
無限の選択肢があって
無限の「今」を生きる自分がいるとしたら?
SF小説みたいだけれども
パラレルワールドについて考えると
あらゆる固定観念が外れる気がする
「自分の想像が現実化する」
【内容抜粋メモ】
まえがき
この作品には私自身が舞台に登場する
霊性の神秘のベールを打ち破り
横丁に住んでいるごく普通の隣人マノロさんのような人にアプローチすること
彼のような人は、天才、聖人などは選ばれた人だけで
自分には全く縁がないと考えています
神聖は何となく怖くて夢か幻のように思い
菜食主義者などは高潔で自分とは全然違うと感じているのです
「特別な人間じゃなくちゃだめさ
僕には欠点がたくさんある
それより政治、スポーツ、経済、科学、芸術に通じていればいい」と思うのです
もちろんそれらは私たちの文化の重要な側面ですが
苦しみを軽減し高度な存在へと到達するための道を発見する
可能性を失ってしまっているのです
幸運にも私は殻を閉ざさなかった
私は霊的現象、超常現象(いつか超を取りたいが)と呼ばれる体験ができました
その体験のきっかけで作家の道に入り
人生が大転機を遂げたのです
私の当面の目標は
普通の人に内的成長の道にもう少し深く足を踏み入れてもらうことです
聖人は数が少なく、自分の高潔さに関心があるので
世界は聖人によって変えられるのではなく
マノロさんやのような人間が変えていくのです
なぜなら私たちは大多数を占めているからです
すでにアミシリーズでもやったことですが
ここではその先の段階へもう少し進むことになります
あえて言うならこれは小説風現実です
エンリケ・バリオス
(場所も日付もなし
ここがブエノスアイレスで
今が1992年であるということはあまり意味がない)
【エンリケの心の中の人格名】
ドゥドーテ 疑り深い
ボビ なんでも信じる
クリ 好奇心の塊
パヤシン ひょうきんな道化役
コネホ 臆病者
ボス スピリチュアル
フェオーテ コンプレックス
ゴリ 洞窟暮らしの名残をとどめる
マルティリマッソ 宗教的問題にとても厳しい
第1章
1988年1月10日 チリ サンチアゴ市
受話器から見知らぬ男の声が聞こえてきた
「あなたはもう ET (地球外高等知性体)とコンタクトする用意ができていますよ」
もちろん僕はすぐに切った
アミシリーズの3冊目をなんとか書こうと
パソコンに戻ったが、何も浮かんで来なかった
もう一度電話が来て
「これが最後です 拒絶するなら一生に一度のチャンスを逃すことになりますよ」
また切った
「ウッソだあ!」
疑り深い僕の中の一人ドゥドーテが言った
「でも真面目な電話という確率も1%ありますよ」
なんでも頭から信じてかかるボビが言った
「何か面白いことがあるかもしれないぜ」
好奇心の塊のクリが言った
三度目の電話
「あなたのその低い意識レベルのせいで
まだ物理的なコンタクトが実現していないのです
だから次の本のテーマも理論の域を出ていない
私の話を聞きませんか?」
「イカれた人間でも本のネタをくれるかもしれない」
ひょうきんな道化役のパヤシンが言った
「嘘や疑い、侮蔑の入る余地などありません
ぜひ二人きりでお会いしたい」
相手の名前がクラーケンと知って
スーパーマンと同じだと叫びそうになった
「表面的に似ているように見えても
実体は全く違うこともありますよ
例えばクラーク・ケントとクラーケンや
星の王子様とアミのように」
「 ET とコンタクトしているんですか?」
「私自身が ET です
重要なのは頭からそれを否定するのではなく
意識のどこかにその可能性を受け入れるスペースを空けておくこと」
明日の夜10時に会う約束をする
実際来たのは健康そうなスポーツマンタイプの青年
調和の取れた表情などは
内的な高度なレベルに達していることは明らかで
私は人間の進化を見分けるイエスの教えを思い出した
顔形が美しいかどうかではなく
その仕事によって判断せよ というもの
二人はレストランに入る
「私はプレアデスから来ました
今夜異次元の存在があなたの部屋を訪れます
アミ〜と呼ぶことにしましょう〜から派遣されたある存在です
新しい本のための情報を届ける目的で」
これまでアミは実在すると言われてきたが
僕にとっては精神錯乱の域に近かった
「これからあなたが受け取る知識は
三次元の外にある別の存在次元について
そこで重要なのはエネルギー
他のクラスの知性体と決定的なコンタクトを取らなくてはならない」
臆病者の僕、コネホの胃が痛んだ
クラーケン:
今回の私の役割はコンタクトが実現するようあなたに了解を取り付けることです
なぜなら高次元世界はあくまでも個人の自由を尊重しますから
普通こういう出会いはあらかじめ本人から招待があって
適当と判断された場合ですが
このケースでは上であなたと連絡を取る必要があるにも関わらず
あなたから全然呼び出しがなかった
こんなことはめったにありません
そのため私が仲介役を務めなければならなかった
彼は僕にそれを経験する用意ができているかどうか聞いた
用意はできていると答えると
適切なエネルギーフィールドを作り出すための指示をくれた
怖れ、盲信、好奇心、疑いはどれも低い意識レベルで
そこから低周波エネルギーを放射して
高次元に悪影響を与えるから
(好奇心も低いエネルギーって意外
第2章
「目を覚まして エンリケ」
よく我々は睡眠中に肉体を離れ
宇宙空間や他の次元を訪れると言う
僕の部屋の空間にグリーンの光の球が浮かんでいた
「やあ、マラビージャ!」
僕は上機嫌で叫んだ
一瞬おいて僕は自分が誰でどんな世界にいるのか思い出した
僕は咄嗟に枕の下に拳銃を探した
もちろんない
拳銃など一度も持ったことがないのだから
「落ち着いて
あなたの恐怖心が妨害している
私は愛から来た 神=愛よ」
僕はスピリチュアルな僕、ボスに意識を集中した
少しずつ大きな喜びが僕を満たしていった
他の現実次元もあるのだという確証をつかんだ
「あれは夢だ いたずら電話の主が暗示にかけたのさ」
ドゥドーテが叫んだ
恐怖から目を閉じ、再び開けると何もいなかった
やれやれ実体とは愛なんかではなく
禅の教えにあるように
想念があらゆる物語を描く広大な空(くう)があるだけだ
自分で作り、自分で信じ、自分で投影した物語の向こうは無
根源のゼロだ
想念が神々、悪魔、輪廻転生、天国と地獄を発明するんだ
善玉と悪玉の ET 、天使、精霊、悟り、
アセンションしたマスター、マントラ、アストラルトリップ、憑依
これらすべて物語でしかない
そしてお前はペテン師だ
嘘八百の物語を書いて
騙されやすい人々に売りつけているんだ
*
生涯の長きにわたっていくども見る夢を見ていた
裁判のような夢
僕のゴッドファーザーか守護者のような存在もいる
試験官の一人が僕に質問した
「意識の進化に及ぼす苦悩の役割とは何か?」
「確信が足りん!」
チームの悪魔の弁護士が言った
「きっとうまくやるでしょう」
ゴッドファーザー、僕の友達が微笑みながら言った
他の老人達も同意見だった
「内なる自己の実現とはどのようなものか?」
僕は答えたが老人はアマチュアのレベルにさえ達していないと考えているようだった
第3章
合格点スレスレで試験に通った
目を覚ますとまたあの光が僕の部屋にいた
君は誰?
そういうあなたは一体誰?
僕は神=愛に奉仕するものです
月並みね まだ相当忘れてるわ
女性の声には遠い昔、懐かしい親密さの記憶を思い出させた
コンプレックスの僕フェオーテが現れた
その球体からふわっと3つの光の星が浮かび上がった
それが喜び、笑いを意味していることが分かった
光の存在が僕の夢の内容を知っていても驚かなかった
存在と意識は同じものよ
私達が発する質問の答えは何も教えてはくれないわ
なぜなら私の言う教えとは内面的な成長を促し
意識を高度なレベルに引き上げ
もっと賢い人間にする知識のことだから
アミは実在するのかしないのか
それは好奇心よ
好奇心は知性の渇望
でも知性が情報で満たされたとしても
それは私たちを成長させてはくれない
2つの脳を思い出して
内的成長に必要なことは何も教えてくれない
私たちは既に知っていることから発して
既に知っている回答を見つけ出すのよ
つまり既知のことを質問して
そのレベルで既知の回答の手に入れる
その回答はあなたを同じ意識レベルに留める
既知は何も教えてはくれない
私たちに何かを教えるのは未知のもの
それは常に私たちを驚かせるから
ひらめき、啓示なのよ
あとは無益な繰り返しだわ
私の本当の姿を見せてもいい?
あなたの気にいる姿ならというわけね
美的趣味に関する不寛容性
だから地球への救済計画では
地球人と似たような存在とのコンタクトしか実現できないの
地球人は極端な視覚的差別主義のために
チャンスを全部失っているわ
これが私よ
ゆっくり目を開けると青い瞳の美女が見つめていた
妖精だ! 僕は歓声を上げた
彼女を愛さずにいるのは難しいだろうと思った
妖精とエンリケのツインソウル(双子の魂)の物語を創作した
あなたの好きなように
常に私たちがそうだと信じることが実現するのよ
でもなんて忘れかたなの
高次元の無時間の現実については全くの昏睡状態ね
人は皆一人一人が自分の想像しうる世界の中に住んでいる、という言葉を覚えてる?
あなたが書いたのよ
これで何を言いたかったの?
自分でも理解できないことをいろいろ書くんだ
あなたは一定の意識レベルだけが到達できる宇宙の真理を表現したのよ
『素晴らしい魔法の世界』のこと
それを思い出させに来たの
意識的な魔法
私たちは誰もが瞬間に魔法を使っている
でもみんながそれに気づいているわけではない
彼女が道をひらくような仕草で棒を振り
次の瞬間、僕は別の世界にいた
第4章
僕は見たこともない豪華なインテリアの部屋で目を覚ました
クラーケンから電話がかかる前のことしか覚えていなかった
僕は自分自分で編み出した格言を思い出した
「蔵書にてその人物を知れ」
(だから私も人の書棚を見るのが好きなんだな
本の中にエンリケ・バリオス著『素晴らしい魔法の世界』があった
同姓同名だろうと思い
誰かが部屋に近づく気配がしてページをめくる暇がなかった
カフェオレをもって女性が入ってきた
よくお休みになれましたか?
マイアミヘラルドをお持ちしましょうか?
僕はマイアミにいるんだ
昨夜遅く日本から電話がありました
また東京に行かなければならないみたいですね
今度はテレビ出演だそうです
なんて素晴らしいんだ
めんどくさいな
めんどくさいだって!?
せっかく日本へ行けるのに
女性が去ると僕は全員のぼくを総動員して
この状況分析に取り掛かろうとした途端
目が覚めて、マラビージャが僕の部屋で笑っていた
僕があれを想像したの?
これと同じようにね
あなたが生きる現実は一瞬ごとにあなたが想像している
現実になるのは、あなたがそれを現実だと信じるからよ
そんなこと僕の頭には受け入れられない
次の瞬間、汗だくで岩山をよじ登っていた
あたりは完全な漆黒の闇
頂上に着いた
僕は巨大な岩窟の中にある岩山のてっぺんにいた
血も凍るような世界だった
ゆっくり深呼吸しながら自身の内なる光に意識を集中した
全ては完璧である
僕の全ては光
目を開けると、1000mくらい上空を
両手を広げて漂っていた
空中に浮かぶ力は、僕の心の安定にかかっていると想定した
12人余りの人間がオフィル(アミに出てくる高度な文明の星)の魅惑的な風景の上を飛んでいた
僕は宇宙人の体にいた
ドーム型の白い建物が下のほうに点在し
ボクらの太陽より400倍も大きい真っ赤な太陽の下で
色々な形や大きさの宇宙船が飛び交っていた
僕の本当の体は一体どっちなんだ?
お前の体はお前の皮膚の内側から一番遠い銀河まで広がっている
僕の内部でスーパーボイスが言った
お前は誰だ?
枝が木に向かって誰だと聞いている
たった一つの意識しか存在しない お前だ
「マラビージャはお前を狂わせようとする邪悪な存在なんだ」コネホが囁いた
マラビージャ:
あなたに苦しみをもたらす限界、無知、
恐怖心、猜疑心にとって、私は不吉な悪よ
この妖精は僕に全く新しい概念や信念体系を受け入れさせようとしている
それは激しい痛みを伴うことだった
なぜならこれまでの信念を捨て去ることほど
恐ろしいものはないからだ
信念を変えるのは、それまでの自己を捨てることだ
死ねということだよ
生まれ変わるためには死ななければならないわ
僕は神を冒涜したりしない
まさにあなたがあなたの神を冒涜しないようにするのが私の目的
モーゼの十戒の一つ目(唯一の神しか存在しない)さえ守れば
あなたは何でも好きなものを実現したり手に入れられる
あなたの神は善い神? 悪い神?
彼は慈悲心と愛そのものだ
何か美しい夢を持っていないの?
ツインソウル
それといつか平和が実現している世界を見たい
国境、武器、宗教もない世界
だってそれが原因で戦争になったり
人類が分裂したりして攻撃し合うだろう
あなたは人類の信仰を変えたいと思う?
いや、それほど愚かじゃない
もし分裂や暴力を生み出す信仰を変えられれば
僕の子孫は核や環境破壊の脅威にさらされずに済む
でも誰も自分の信仰を変えたりしないさ
当然よ
あなた自身が自分の信仰を変えられないから
僕は一種のメタファーで現実ではないという結論に達した
全てのビジョンは真実よ
僕は愛こそが神だと思う
それは絶対的真理だ
あなたにとって 私にとっても
私はあなたの個人的な宇宙に存在しているのだから
よく理解できないな
僕は人類の進化に協力することが必要だと思っている
絶滅の危機に瀕している人類のために働くこと
その中に個人的進化や内的成長の鍵があるんだ
あなたの神=愛はそんなに邪悪なの?
第5章
マラビージャは消えた
彼女が語った言葉の意味を深く考えさせるかのように僕一人を残して
ドゥドーテ:
幻覚や暗示、技術的に進歩した宇宙人の発明かもしれない
投影、ホログラム
僕らが ET は善人だと信用するようになるとガブリと食ってしまうのさ
愛の法則が自然界を支配しているなんて考えられない
弱肉強食
富める国が貧しい国を愛すれば破滅してしまう
力こそ宇宙の基本法なんだ
ET は力を持っているはず
救済計画なんてあるわけないさ
僕は彼女を疑い、全てを疑った
神=力論を信じた
*
深い眠りに落ち、時計を見ると午前9時
クラーケンの電話から後のことは何も覚えていなかった
シャワーを浴びると水が濁って変な臭いがする
ニュースを見ようとテレビをつけたが停電している
濃密な静寂
電話も不通
商店はすべて閉まっている
時計の日付を見ると4月20日
そんなバカな(眉村さんみたいw
今日は1月11日のはずだ
どこにも人影はなく、全ては停止している
目につくのは犬の群れ、ゴミ
大量の衣類と古い靴、数匹の猫、ネズミ
玄関や窓を叩いてまわっても応答がない
眠っている間に大災害が襲ったに違いない
カーラジオも沈黙している
車でサンチアゴのメインストリートに向かったが人影がない
恐るべき孤独感と世界の終末感
誰か僕の声を聞いてる人はいませんかあー!?
僕は狂ったように絶叫した
洞窟暮らしの名残をとどめる僕、ゴリが出現し
隠れている人間を引っ張り出すために
ショーウィンドウなどを叩き割った
最低の原始的レベルまで後退した僕の心は号泣し
ママー!と叫びたい衝動に駆られた
その時ボスが登場し、銀行の入り口に座り瞑想を始めた
そうだ新聞に欠けている期間の情報があるはずだ
1988年1月16日付の新聞を見つけた
赤いインクの大きな見出しが目に飛び込んできた
明日、地球の全人類を吸い取ると予告 人喰い宇宙人
インベーダー(地球侵略者)としか言いようのない
無数に光る宇宙船の写真
ET 司令官からの最後のメッセージ:
生命の法則とはより弱い生命体を吸収し
そこから栄養を摂ることだ
君たちがするように我々もする
それが宇宙の法則だ
何千年も君たちを飼育し続けてきた
君たちがもう少し成熟し、暴力性が減り
汚染度が低下するのを待っていた
しかしもうこれ以上は待てない
戦争のおかげで我々の投資がフイになる恐れが出てきた
誰も自然の法則に逆らうことはできない
数千年後に再び収穫に来られるよう
見本種して数名だけは残しておく
キリスト教も説いてきたように
神は愛だと考えていた僕は間違っていた
進化計画とは飼育計画に過ぎなかったのだ
イエスも騙されていた
テレパシーで操られていたに違いない
生き残りの種とはきっと愚かな奉仕者や
慈悲、愛の普及に努めた者たちのことだろう
あらゆる世界で弱肉強食という
自然界の法則が支配しているという証拠があるにも関わらず
神は愛であるという美しい嘘を信じた欠陥遺伝子の保有者
(海外ではキリスト教ほか、いろんな宗教の信仰心が厚いために
日本人としてはちょっと想像できないような
ブロックがたくさんありそうだな
エホバの神は宇宙人だったのか?
鉄条網の代わりに針金の柵を使う牧場主のように
皮を傷つけないように
市場で値が下がるようなキズモノにしないように
ET のことを書いた本を
すべて窓から放り投げ焚き火の炎で燃やした
人間の適応力とは面白いものだ
僕はまだ生命に執着していた
生きる? 何のために?
最新型モデルのメルセデスを見つけて
僕は親戚を探しに海岸へ行くことにした
牛、ヤギ、鶏、豚、馬の姿がちらほら見えた
(ヒトが家畜化してきた動物が多いのが象徴的
子どもの僕がいることに気づいた
『ライフ』の写真で見た真っ黒な空の下
爆撃で破壊された都市の遺体の間を
笑いながら棒きれで遊んでいる子供達のような
浜辺には誰一人いなかった
(私も昔、自分以外誰もいない世界を夢見ていたことを思い出した
夢に見たこともある
自分の願望が夢の中で現実化したのか?
スーパーで食べ物を取るけれども
いつも食べる前に目が覚めてしまうんだよね
第6章
僕は海岸のロッジに移り住んだ
新しい事態に適応していったが
他の生存者に会いたいという思いはどうすることもできなかった
僕はメルセデスに乗って探索に出かけることにした
カセットデッキに大音量の拡声器をつないで
ベートーベンの♪歓喜の歌 を流したが応答なし
ET は生存者同士を地理的に遠く離れたところに残したのだろう
僕は短波の無線通信を使って捜索することを思いついた
水道は水質が悪くなりシャワーにしか使えないため
ボトル入りのミネラルウォーターを飲んだ
郊外に家を見つけ、発電機のモーターを始動させると光が生まれた
電気の照明が使えるとはなんて素晴らしいんだろう
毎日可能な限りの周波数を全部チェックした
「私はエンリケ チリのサンチアゴ市にいます
誰かこれを聞いたら応答してください」
若い頃バックパッカーで覚えた
英語、フランス語、イタリア語、ポルトガル語でも送信した
たまに近くの畑に果物や野菜を調達した
(やっぱり自給自足の生活が出来るって一番強いよね
夜は遠くに見える都市は真っ暗で
家じゅうの照明をつけて
生活の匂いを出すために BGM をかけた
3匹の友達ができた
ヒューイ、デューイ、ルーイと命名した
ヒューイは牧羊犬
デューイは野良犬
ルーイはこの家に住んでいた猫
ガソリンスタンドにはまだ燃料がたっぷりある
プロパンガスによる暖房も心配なかった
井戸からはきれいな水を汲むことができた
時々大きな愛が僕の生活に訪れて
想像を絶する孤独を癒してくれる夢を見た
物語を書いてやり過ごした
数年後に出版された短編集『愛と星と双子の魂の物語』の
ストーリーのいくつかはこの時に生まれたものだ
僕は既に1ヶ月以上無線機にかじりついていたが応答は全くない
徐々に希望を失い都会から離れ自然に近づきたいと思うようになった
無線設備、発電機、井戸水用の電動ポンプを完備して
アンデス山脈の裾野に理想的な家を見つけた
僕は動物たちと話をしていた
新鮮な卵を確保しようと鶏を捕まえて鳥小屋を作った
こうして少しずつ新しい世界
神=力に支配された新しい宇宙に順応した
美味しいステーキが食べられると知っていても
牛などを殺すことは絶対にできない
ステーキを食べるのはあくまでも僕が殺さなくて済むならの話だった
一度だけ勇気を振り絞り、雌鶏ラモーナの首をひねったことがある
沸騰している鍋に入れ、羽をむしりとった
顔と手を切り落とすとラモーナは
スーパーマーケットにあるような鶏肉になった
スープ皿によそい最初の一口で吐いてしまった
*
ある日、無線機から英語で喋る女性の声がした
その声はカナダのハリファックスから
名前はメリー・フランシス
相手が太っていようが痩せていようが
一人の人間というだけで満足だった
彼女はアミを知っていて
児童教育に計り知れない貢献をした作品だと褒め
僕が著者だと知るととても喜んだ
最初僕らは互いに遠く離れていることを喜んだ
新しい飼育の起源になることを拒否するという決意を強めたから
しかしなぜこれほど隔絶した地域の人間を選んだか理解できなかった
僕らは四六時中無線で交信した
彼女はまだ精神世界に関する本を保管していて
人喰い ET に対してすら憎しみを抱き続けることはできなかった
信仰というのはどこかに貼り付いているものなのだ
彼女はすぐにゴーストタウンを離れて郊外に家を見つけ
初日から夢中でインテリアを創作した
大好きな料理作りに励み、たくさんの猫や犬と分け合って食べた
彼女は自分の目的に最も適した機材やアンテナを研究していた
一番ショックだったのは彼女がまだ
神=愛という信仰を捨てていないことだった
僕たちはこれについて長いこと話し合った
メリー:
彼らが私たちより高度だとは思わない
技術的には進化しているとしても
常に父親のほうが子どもより進化しているとは限らないでしょう
高度に発達した善良な ET しかいないと言った時、アミは間違ったのよ
私は善と悪という2種類の ET が存在する可能性を受け入れていた
でも心の奥ではこの宇宙は愛の神によって治められていると考えたいの
エンリケ:
アミを書いていた時は ET 全般について何も知らなかったし
是が非でも書きたいというわけではなかった
汎宇宙的な霊性の概念を伝えることに興味があったから
ちょうどET が流行ってたんだ
集団で UFO を目撃するという事件も起こった
僕は君に深い愛を抱いていると思う
メリー:
私も同じことを考えていたの
私が黒人だって知ってた?
エンリケ:
いや 君の容姿なんて考えてもいなかった
ノバスコシア州に行ったことがある
1966年ではあまり黒人を見た記憶はないような気がする
メリー:
私は黒人じゃないわ 冗談だったの
私が嫌いなタイプは2つ
一つは人種差別主義者
もう一つはジプシー笑
第7章
彼女は聡明でユーモラスでスピリチュアルな面を持っていた
僕ら2人には似通ったところが多かった
彼女が想像力の欠如した娘だったら
僕らの会話は陰気で不平不満だらけになっただろう
彼女は僕にとってパーフェクトだった
男のハートは胃袋から征服できるという
僕の皮膚には細かいフケのようなものが吹き出し始め
毎日食べる缶詰食品のせいだと気付いていた
寒い孤独な夜と共に冬が訪れようとしていた
彼女と共に暮らすため、飛行機の操縦を覚えるのだ
エンリケ:王子様がお姫様の所に行くのが普通だろう
メリー:なんていやらしいマチスト(男性優位主義者)なの
空軍の建物で世界中の航路地図を見つけた
サンチアゴからペルー、エクアドル、
コロンビア、パナマ、ジャマイカ
アメリカそしてカナダ
時速200 km 以上のスピードが出るセスナ機を選んだ
1日13時間で2400 km 飛べることになる
メリー:大丈夫 どんな危険にあっても ET が助けてくれるわ
*
初の離陸訓練を経て
エンリケ:2週間もしないうちに僕たちは熱い抱擁を交わせるだろう
メリー:
あまりにも早すぎるわ
あなたを驚かそうと思って準備していることがあるの
*
10日後、セスナ機の副操縦席にヒューイ
後部座席にデューイとルーイを乗せて出発した
飛行第1日目は北に向けて約1000 km 飛び
何もトラブルはなかった
管制塔の自家発電装置を使い
強力な無線機でメリーを呼んだ
メリー:実はドイツ人の男性があなたより先にヨットで着いたの
幾多の転生を共にした唯一の愛と誓い
結婚した結果わずか数日後に
相手が5、6歳程度の精神年齢しか持っていないと気付いた方はいないだろうか
僕はまさにそういう心境だった
詐欺にあった気分になった
ジークフリートと言う名の男の声が
ドイツ語で話しかけてきた
「私の名前はジークフリートです」
当然ながらカナダ行きは取りやめだ
メリー:ドイツ語講座のカセットテープなの
やれやれびっくり箱のような女だ
メリー:
ペルーに現れた UFO をいくつも調査したことがあるわ
マチュピチュとクスコは行ったことがある気がするくらい
彼女は奇抜なユーモア感覚の持ち主なのだとやっとわかった
明日はボストンで一泊して、その後いよいよハリファックスだ
メリー:あと2日もあるの? もう目と鼻の先よ
エンリケ:
でも今まで一度も夜間飛行はやったことがない
どうやって滑走路を見つけるのさ 怖いよ
第8章
分厚い雲のため星ひとつ見えなかった
僕の身体全体が警戒警報を発し始めた
黄色い光が見えた
牧草が燃えているのか?
プラスチックやガラス瓶の破片がレンズの役割をして太陽光線で発火してしまうのだ
それともメリー・フランシス?
近づくと2列に並んだ黄色い明かりに変わった
一本の滑走路がくっきりと照らし出されていた
石油缶を無数に並べて美しい炎の文字が描かれていた
「ようこそ、エンリケ!」
メリーは文句なく最高の女性だった
メリーの姿が妖精に変貌した
僕の意識は高度なレベルに入っていき
少しずつ全てを思い出した
かつてのアパートの部屋で妖精はベッドの足元に腰掛けていた
時間は全く経過していなかった
なぜあんな恐ろしい物語を経験させたんだ?
神=愛を疑ったからよ
人類は人喰い ET に吸い取られたわ
でもそれはあの宇宙のこと
ここでは神=愛が統治している
もしかして宇宙はたくさん存在し
僕はいくつもの宇宙で生きられるってこと?
やった! 彼女は歓声を上げた
あなたは彼の中に入り込み
あの次元の摂理に従って生きたの
たったひとつの真実
たったひとつの宇宙
たったひとつの神なんて存在しない
それぞれが自分の神を持っていて
それに従って生きたり死んだりしているの
唯一神の解釈がいろいろあるんだ
解釈は全て 一人一人にとって
アミは悪い ET は存在しないと言った
アミの宇宙には存在しないの
あなたが信じることがあなたにとっての現実になる
瞬間瞬間に独自の物語を創造していくから
あなたはあなたが生きてみたいと思う物語を選ぶ
魂には頭が考えるよりはるかに高度な自由が与えられている
人は皆自己の宇宙で陣頭指揮をとっている
自分の想像力が考えつく限りの法則を全て現実化しているのよ
メリー・フランシスもあの宇宙の波動に同調したのかい?
進化した ET に善悪の2種類があるのを受け入れたことで
神=愛の宇宙を放棄したの
頭で思い込もうとしたのよ
それだけでは確信が足りなかったのね
今、彼女はどこにいるの?
私たちはみんな同時にいろいろな場所
次元のヒダに存在している
あなたの意識は時間を超越することができないから
永遠を生きることができない
でも全ては同時に存在しているの
時間はあなたの意識が動く形態
ひとつの現実から別の現実へと移行する方法に過ぎない
もう少し先へ行くとあなたは私のレベルにいて
私たちはかなり親しい
僕はなぜ両方に惹かれるのかやっと理解した
2人は違う進化レベルにいる同じ存在なのだ
私はあなたに恋をしている
私の全てをかけて
あなたは愛する人が昔どんなだったか見たくない?
ということは、つまり僕らはツインソウル
僕の心に突き刺さっていた古いトゲが融けて消えた
なぜなら僕は死ぬほど愛していた恋人の存在と
彼女が絶対どこかにいるはずだという感覚を持って生まれてきたからだ
もうあの世界には戻りたくない
でもこの世界のハリファックスに僕は行く
あそこに彼女はいない
あの宇宙にはいるけど
どこで彼女に会える?
私は色々な場所に存在している
あなた自身が内的な成長を遂げられば
あなたは私が住んでいる世界にやってくるようになる
一番成長を促進させるものは人類への奉仕
彼女と同じ性格の人もダメ
違うかもしれないから
あなたは心の底では彼のように神を疑っていない
だからあなたはここにいて知的雑音が少ない
彼女はちょっとおしゃべりな女性
そのうちきっと彼女のジョークにも疲れてしまうはずよ
あの世界のエンリケは彼女のもとに行き
2人は結ばれ幸せに暮らしました
子孫を残し、他の生存者の家族とも出会った
飼育ではなく救済計画になっている
僕たちも子どもを持ってるの?
色々な次元を合わせれば何千何万といるわよ
なんて複雑なんだ
新しい宇宙のモデル
多次元的現実
死ぬことのない転生
交差した平行宇宙
信じることが現実になる
もしあなたが世界の終わりを待ち受ける集団に加われば
すぐに死にゆく地球を見ることになる
あなたはあなたの個人的宇宙の神であるということだけを考えなさい
第9章
目を覚ますと1月11日
だが僕は数ヶ月分余計に生きていた
家政婦のコカに今年は西暦何年だと聞くと
コカ:
いちいち妙なことを
奥様をもらわなくちゃ駄目ですよ
その年で独身なんて不健全でどこがおかしくなるんですよ
エンリケ:ET を信じるかい?
コカ:信じますよ でも怖いですよ
エンリケ:
UFO を見たら逃げろ 人間を食うんだ
お前の世界のはそうだ
僕の世界のは違う
頭に次から次へと疑問が湧いてきた
他の宇宙に移ることはできるのか?
他の人々はどんな役割を果たすんだ?
彼女は魔法を教えに来たといい
全人類にとって唯一不変の出来事はないと示した
僕は朝食を乗せたお盆を自分のほうに飛ばしてみようと
意識を集中したが1ミリも動かなかった
コネホも「油断大敵」と言っていた
そこから怖れや確信不足が生まれる
それが僕のパターンなのだ
「魔術師の力は確信にあり!」と叫んだ
コカ:
魔術は嫌いです
ぶつぶつ独り言をいう旦那様もごめんですよ
僕が手にナイフを握りしめ
素っ裸でうろつく姿を想像しているコカの顔が見えるようだった
もしコカがそれを想像するなら
彼女にとっての現実になるのだ
だが僕は絶対にそんなことはしない
コカは別の世界のコンタクトして
別の次元に入るのだろう
何千何百万というエンリケとコカとその他の人々が存在するのだ
全ては完璧だ 理論的には
僕はたとえ5 cm でもいいから
レビテーション(空中浮揚)ができないかとむなしい努力を重ねた
マラビージヤがいないと駄目だ!
魔術を実践するにはデータが足りないのだと気がついた
ここにいるわよ
カーテンの向こうから彼女の声がした
僕は別の次元へロケットのように噴射していた
第10章
目の前に水晶の球が現れた
中に映像が見えた
シャワーを浴びている男がいて麻痺している
それは僕だった
古い木のテーブルを挟んで初老の婦人が座っている
この婦人を僕は知っている
もう来てるのかい?
はい すでに私の中に入っています
僕ではないその老人が答えた
これは交霊会のセッションか
この老人は霊媒だ
スピリットは僕だ
あなたはロシアにいます 1888年です
あなたは本を書かなければなりません
『素晴らしい魔法の世界』ですか
結構 思ったより意識は高いようね
あなたが普及させる役目を負っているのは
宇宙の愛の法則を熟知し、あらゆる力、知性、心で
神=愛を受け入れていなければ実践できない性質の魔術です
愛は生きているスピリットです
理解するとは知性だけで
わかるとは全身全霊で吸収し受け入れることです
神の魔術師とは愛です
かつてブラフマー、オシリスなど
幾通りもの名前で呼んだものです
もし私たちが神との遭遇を熱望するなら
愛が私たちの内部を自由に流れるようにするだけで良いのです
神の臨在であり“ I am ”です
愛は王国であり、力であり、栄光だからです
もしあなたが愛と一体化するなら
その時こそあなたの心が夢見る
全ての奇跡を実現することができます
なぜならあなたの心が夢見ることは
愛の希求と意志に他ならないから
あなたは神=愛です
それだけは容認できない
僕が心の底から崇拝している存在そのものであるとは
私はあなたの神の意識を活性化させようとしているのです
それは分かる
彼女は僕の内なる神とコンタクトするために
僕のエゴを超えたところに接触しようとしている
それはずいぶん難しいだろう
あなたのエゴはあまりにも強すぎます
"永遠の書"で試すしかないでしょう
永遠の書とはあらゆる叡智を秘めた本です
全民族、全人類、全時代の普遍的知識が書かれています
あらゆる問いへの答えがあります
それはあらゆる所にあります
でも人々はそれを見ずに通り過ぎてしまう
私が重要な論文を書き神智学を創立できたのもこの書を読んだからです
この婦人はヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー!
神智学は世界に広まっている隠秘主義の学問だ
僕はその叡智に強烈な影響を受けていた
僕の時代にはあなたはもう他界しています
現在しか存在しません
空間も時間も知性による幻想です
永遠の現在ということは知っていた
身をもって体験したから
永遠の書は最も高いレベルから解答を与えてくれます
でもその答えをわかりたいなら
自らの意識レベルを高めることが常に要求されます
それを分かる能力があるなら教えてくれます
頭の中で何か一つ質問してごらんなさい
お盆を動かす魔法がなぜ失敗したのか思いついた
婦人はそばに置かれた本や新聞をゴソゴソかき回し
手に触れたパンフレットを差し出した
それは園芸のマニュアルだった
本のほうが効果はありますが
一枚の広告でも答えを与えてくれます
一番最初にあなたの目に飛び込んできた箇所を読むとそれが答えです
「この種の製品は全く何の役にも立ちません
したがって経験豊かな庭師は使いません」
この手の製品とはあなたが神の力を使って実験しようとしたふざけた遊びです
したがって魔術師はそれを使わなかった
だから実現しなかった
亀の甲羅のような僕の頭にまた一つ大きなヒビが入った
奇跡を起こしたり起こさなかったりできる魔術師は
低次元の僕を超越したところにいる
すべての質問への答えはあらゆるところに見つけることができる
どうすれば僕の中の魔術師と意識的にコンタクトできるのですか?
魔術師は神であり、あなたは彼であるということが分かればできます
それが神智学の真髄なのです
第11章
シャワー室で冷たくなっている体に戻り
朝から何も食べていないことに気づき
中華料理レストランのテーブルで頭を整理しようとした
あの教えに従えば
僕はこのレストランを想像していることになる
若い娘が向かい側に座った
マラビージャだった!
赤いドレスに長く下ろしたヘアスタイルで
現代的な魅力にあふれ
たくさんの男が彼女を盗み見ていた
ボーイと中国語で喋っているのに驚き
中国語が話せるの?
中国語ではなくて彼が住んでいた地方の方言で喋ったの
一人の人物の波動的を探査して
自分の心理現象にその波動のパターンを取り入れるという能力
これだと宇宙のどの言語でも会話が可能になる
もちろん形態学的に喉と口腔に問題がなければだけど
(これで動物、植物、あらゆるものと会話ができるのか!
アミは僕を騙したんだ!
世界に広く普及する本は複雑すぎてはだめ
センソ・メトロもそう
(「アミ 小さな宇宙人」の中に出て来る人の進歩度を測る計器
神の力は善を行うためであって
遊ぶためではないわ
あなたはこれらは現実というより理論だと信じている
可能性よりも不可能性のほうを実現化させてしまう
何世紀も続いている否定的マインドプログラミングね
彼女は両手をテーブルの上に伏せると
ゆっくり持ち上げた
すると本物の金貨が現れた
ハイチ沖に沈没しているスペインのガレオン船から引き揚げてきたの
もう戻しておくわ
私の次元にいるあなたはもっと大掛かりなことをやるわ
そして私はあなたを愛し、尊敬している
いつでもあなたの想念をしっかり監視しなければだめ
宇宙の本質は思考する心だということを忘れないで
あなたは考えていることを形にする力を持っている
それが現実となるの
もしあなたが自分は不幸だと思えばそうなる
万事うまくいくと思えばそうなる
すべてはまず心で生まれ、その後実体化する
自分の健康が害されていると思えばそうなる
一つ下のレベルでは、愛は思考のエネルギー
もしあなたが自分を愛するなら(基本的エネルギーとしての愛)
自分には幸福になる権利があると考え(思考に変容した愛)
健康、成功、物質的な豊かさまで達成しようと思う(物質に変容した思考)
もしあなたが信じれば現実化するし
信じなければそうならない
ところでアミは実在しているの?
あなたは感じない? 彼の存在感や周波数を
僕はアミシリーズを書いている間
知らないうちに波長を合わせていたことにも気がついた
どんな気持ちになる?
嬉しそうにニコニコ笑っている慈悲心、優しさ
彼には苦しみはない
とても明晰で敏感な意識
いつも元気で上機嫌
柔らかくて楽しい同胞愛に満ちた世界を考えさせてくれる
君の本当の名前は何て言うの?
名前はかえって混乱させるだけ
でもアミがエネルギーなのか実体なのか確信がないんだ
あなたは単なる音の集合体に過ぎず
言語により変わってしまう名前のほうを
実体よりも崇拝する人たちと同じだわ
高次元の世界ではどんな存在も名前ではなく
発散するエネルギーの種類で見分けるの
アミはあなたの創作以上のもの
戦争も悲劇もなく高度な意識レベルよ
君は高い波長の世界に住んでいるから
こういうものは食べないんじゃないの?
この物質界に耐えられるくらいまで
密度を上げることができるの
(下げるんじゃなくて?
この世界にはもう一人、僕のレベルに近い
マラビージャがいるのではないかと考えた
同じ次元で2つの体に宿っているのかい?
目下のところこの次元に彼女はいないわ
でも出会いが起こるべく適切な段階を踏めば
2人とも他の次元に移り、ふさわしい宇宙に入る
*
外に出ると他の都市で、季節は冬
僕らの服装も厚手のコートに変わっていた
パリはご存知?
彼女は高次元存在であり
ヒエラルキーの原則に従えば僕の師であって恋人ではない
「少しでも罪深いことを考えたら神聖を汚すことになるぞ!」
宗教的問題にとても厳しいマルティリマッソが僕を戒めた
だが僕は彼女を抱きしめてキスしたいという衝動に駆られた
神様は私達の一番美しい夢を叶えてくれるということを忘れないで
もし愛から生じるなら何も害にはならない
それに全宇宙で私が愛する男性はあなたしかいない
他の次元であれ、いつもあなた
彼女はある名前を言った
それは僕の名前ではなく、一度も聞いたことがない名前だ
しっかりと繋がれた二重の太陽系のように
無限のシンボルを描きつつ
ぼくの生命の総体が同じ一つの存在に収斂していった
人生は時として僕らに美しい贈り物を用意してくれるのに
厳格な観念でそれを拒絶するのは僕らのほうなのだ
第12章
君のような高次元存在は
タバコの煙には近寄らないと言われている
愛の欠如という臭いだけには近寄れない
それはタバコの煙よりも有害だわ
何もかも克服できるからあまり自分を責めてはいけないわ
煙を吸い込むたびにガンを一緒に吸い込んではダメよ
危ないとか禁止の感覚は、ある種の依存症には余計魅力になることが多いの
あなたが重要視しなければ自然と離れてしまう
あなたの無限について知らないのが問題よ
この世界に住むほとんどの人と同じように
これは特別のご褒美
この私たちの出会いは、上のほうで私たち自身が決めたことなの
私はあなたが完全に心を閉ざすかもしれないと考えて怖れた
でも幸福を拒否して苦悩を崇拝させる
あの力を克服することができた
マルティリマッソだ!
2人で努力しなければだめなの
意識的でも無意識的でも
ひとつだけお願いがあるの
また私と出会った時に軽蔑しないでね
その時の私はそれほど美人でもないし
内なる神を意識しているわけでもない
でも同じ私なの
最初に君を見た時
枕の下に拳銃があるような気がしたのはどうしてだろう?
それはあなたがそうした存在界から戻ってきたばかりだったから
その世界ではあなたはあまり進化していない
でも最初の瞬間からあなたは私は誰だか分かっていた
永遠の存在次元を垣間見るひらめきを持っていた
もしあなたが
「僕はこの世界で自己の計画の実現に向かって働くために
この肉体に顕現した神である」と言ったら
自分の崇高な本質をよく記憶しているという証拠になったでしょうね
妖精って何をしているの?
子ども達を助けるの
守ったり、世話をしたり、励ましたり(ステキな仕事
僕は別れの気配を感じた
もうすぐいってしまうのかい?
私は瞬く間にあなたと会えるけど
あなたはそうじゃないから
時間はある意味で幻想なの
僕の本質は人間だ 神じゃない!
そのゲームをしたいのね
少しずつ全てが鮮明になっていくわ
あなたが書いている時は…の助けを受けるし
私たちはいつも近くにいる
*
僕は目を覚ました
1月11日だが、すでに僕は数ヶ月余分に生きていた
コカはET を信じるかい?
コカ:信じるけど怖いですよ
エンリケ:
不信感を持つと悪い人間を引き寄せてしまう
信頼感を持って生きれば良いことや良い人間を引き寄せるようになる
コカ:
エンリケ様はそうなさっているんですか?
とても無口で不信感の塊みたい
私と話すのもこれが初めてですよ
愛が僕の人生を調和させるようになってくれたのを感じた
パリのレストランと中華のレストランの日付が今日になっていて
レストランで会った女性と過ごしていたんだとごまかす
コカ:早く再会できるといいですね
エンリケ:僕もそう祈っているよ
【訳者あとがき】
エンリケさんはチリとベネズエラという
北半球と南半球に離れたご両親のもとに生まれ
若い頃から明確な目的意識を持ち
地球を駆け巡ったダイナミックな作家です
1984年 39歳の時、チリの海岸を眺望する美しい森で
子供の頃から探し求めていた明晰さを手に入れます
その神秘体験をもとに初めて著した本が
『アクエリアスのメッセージ』(未邦訳)でした
もっと人々の関心を引く本でなくてはダメだと思い
その哲学を全て盛り込んだ「アミシリーズ」を書き上げます
すでに11の言語に翻訳され
中国語でも出版される予定です
※「読書感想メモリスト2」カテゴリー内「アミシリーズ」参照
1988年にはもう一つの代表作『素晴らしい魔法の世界』(未邦訳)を発表します
その経緯を明らかにしたのが1992年に出版されたこの『マラビージャ』です
(まだ翻訳されていないのが残念
【エンリケ・バリオスプロフィール】
1945年生まれ
早くから精神的、哲学的な事柄にひかれる
父が外科医のため医学を志したこともあったが
治療したいのは体ではなく魂であることに気付く
師についてベネズエラからチリまで
徒歩で修行の旅に出たり、世界中の国々を訪ね歩く
1984年 奇跡的に死を免れた体験により
神そのものである愛に目覚め、本を書くことを決意
1986年 アミシリーズを出版
『まほう色の瞳』徳間書店が翻訳されている
現在はスペイン在住
ナチュラルスピリットの本
紹介にある本達もどれも興味深い
『レヒーナ』 アントニオ・ベラスコ・ビーニャ著
『インディゴ・チルドレン 新しい子どもたちの登場』 キャロル&トーバー著
ADHD の子供たちの多くはインディゴだった?!