訳:柴田元幸
※「作家別」カテゴリー内「エドワード・ゴーリー」に追加します
久々のエドワード・ゴーリーの本を手に取ってワクワクした
表紙はストーリーの中に出てくる荒れ果てたトピアリー
ゴーリー自身の手によると思われる
タイトルの字が奇妙に歪んでいる
ゴーリーの絵本としてはページ数が多い
少女が不思議な老人と会い
たあいもない約束をして
それをすっかり忘れて
思い出した時には老人は亡くなっていたというシンプルなストーリー
絵を見るとやはり1枚1枚が凝りまくっていて
時々にゃんこが現れるとほっとするw
訳者はいつものように柴田元幸さん
英文も一緒に載っているので
翻訳とともに味わうと数倍楽しい
最後にあとがきがあり
深掘りしているのも楽しい
【内容抜粋メモ】
ドゥルシラが11歳の夏に両親とともに海外に行く船の場面から
黒々とした海は妖怪のよう
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/38/c187edb6917d30682f20b4cd22c26bd3.jpg)
着いた先で果てしなく続く階段をのぼり
部屋には大きく真っ黒な絵が何枚も飾ってあり
何が描かれてあるのか真剣に見る
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/f0/20fc033aae5c13dbb42180efa9ecba30.jpg)
ある日、両親が少女を置いて遠出に出かける
家族の知人スクリム・ショー嬢が外出に連れてってくれる
荒れたトピアリーのある庭に通され
はるか昔に何か高尚で洗練されたことをやったおじさんに会う
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/55/a57d58c1a8d7c2876348d100dd121643.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/f7/6b62303d2585630d935b11bb4655667d.jpg)
ものすごい豪奢な椅子に座っている
着ている分厚いコートが
どことなく絵本に出てくるゴーリーの姿に似ている
その後、対照的にヨレった老人クレイグ氏に紹介される
靴下を履いてないことに気づくって可笑しいww
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/91/e88d6d71a743ed6744aafcf2dd961f93.jpg)
2人がいろんなことを成し遂げた大勢の人の話をしているのを聴く
薄いお茶と生姜の砂糖漬けをいただく
「君は紙が好きかね?」と唐突に老人から聞かれる
老人:綺麗な紙が入ったアルバムを見せてあげたい
家に帰ったら封筒の内紙を送りますと少女は約束する
(内紙って何だろう?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/ff/6365f37f851b57706199f1460d6ffacb.jpg)
その後、
何日かが過ぎ
何週間が過ぎ
何ヶ月かが過ぎ
何年かが過ぎ出る
ドゥルシラは相変わらず忘れっぽかったw
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/7e/801a6f1ad38a1a909bd0e10bb12e53dc.jpg)
ある日、ふと老人との約束を思い出して
封筒の内紙を探していると
新聞で老人の死を知る
綺麗な紙が見つかって
悲しい気持ちになると同時に
自分の怠惰を痛感する
窓の所に紙を持っていき
風に舞って飛び去るのを見守る
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/06/e59acc2a4ec4fa0a2a5cd88f7f6ee439.jpg)
ここで終わり
【訳者あとがき】
ゴーリーの生涯で最も多くの傑作を生み出した年に刊行された
切ないといえば切ない本である
とはいえ相手はゴーリーである(w
約束を果たせなかった悲哀に惹かれることは認めるものの
偏在する死の影で読むものを怯えさせる
海は黒々として禍々しい
階段を上った末に現れる黒い絵画もしかり
ほとんど場違いに可愛い3匹の猫だけは死の匂いを免れている
猫はどこまでも死と暴力を被らない
特権的存在であることが改めて確認される
ゴーリーの作品にはスミスやジョーンズなどといった
当たり前の名前は出てこない
スクリム・ショーという名前は面白い
英語にscrimshawという単語があり、英和辞典によれば
“航海中に貝殻、鯨髭、セイウチの牙などに
細かい彫刻彩色を施して作る水夫の慰み細工(の腕前、技術)”
という相当に限定的な意味(w
だからといって何か象徴的意味を読み取れるわけではない
本書はゴーリーの小学校の旧友コンスエロ・ジョアンズに捧げられている
ジョアンズはゴーリーとともにダブルデイ社に勤務して
『アンカー・ブックス』のデザインに
ともに携わっていたこともあるイラストレーター
現在も存命で生涯の友人であり続けた
ロヨラ大学でも開催された「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密展」は
2016年から日本を訪れていて
伊丹市美術館を皮切りに2017年10月以降も各地で開催が決まっている
(私も見たかなあ?
本書は2017年10月初版
これからも柴田さんの翻訳で
同じ河出書房新社から他のゴーリー作品が
安定的に翻訳・販売されることを切に願います
図書館検索したら、知らない間にたくさんの新作が入っていて嬉しい!!
※「作家別」カテゴリー内「エドワード・ゴーリー」に追加します
久々のエドワード・ゴーリーの本を手に取ってワクワクした
表紙はストーリーの中に出てくる荒れ果てたトピアリー
ゴーリー自身の手によると思われる
タイトルの字が奇妙に歪んでいる
ゴーリーの絵本としてはページ数が多い
少女が不思議な老人と会い
たあいもない約束をして
それをすっかり忘れて
思い出した時には老人は亡くなっていたというシンプルなストーリー
絵を見るとやはり1枚1枚が凝りまくっていて
時々にゃんこが現れるとほっとするw
訳者はいつものように柴田元幸さん
英文も一緒に載っているので
翻訳とともに味わうと数倍楽しい
最後にあとがきがあり
深掘りしているのも楽しい
【内容抜粋メモ】
ドゥルシラが11歳の夏に両親とともに海外に行く船の場面から
黒々とした海は妖怪のよう
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/38/c187edb6917d30682f20b4cd22c26bd3.jpg)
着いた先で果てしなく続く階段をのぼり
部屋には大きく真っ黒な絵が何枚も飾ってあり
何が描かれてあるのか真剣に見る
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/f0/20fc033aae5c13dbb42180efa9ecba30.jpg)
ある日、両親が少女を置いて遠出に出かける
家族の知人スクリム・ショー嬢が外出に連れてってくれる
荒れたトピアリーのある庭に通され
はるか昔に何か高尚で洗練されたことをやったおじさんに会う
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/55/a57d58c1a8d7c2876348d100dd121643.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/f7/6b62303d2585630d935b11bb4655667d.jpg)
ものすごい豪奢な椅子に座っている
着ている分厚いコートが
どことなく絵本に出てくるゴーリーの姿に似ている
その後、対照的にヨレった老人クレイグ氏に紹介される
靴下を履いてないことに気づくって可笑しいww
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/91/e88d6d71a743ed6744aafcf2dd961f93.jpg)
2人がいろんなことを成し遂げた大勢の人の話をしているのを聴く
薄いお茶と生姜の砂糖漬けをいただく
「君は紙が好きかね?」と唐突に老人から聞かれる
老人:綺麗な紙が入ったアルバムを見せてあげたい
家に帰ったら封筒の内紙を送りますと少女は約束する
(内紙って何だろう?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/ff/6365f37f851b57706199f1460d6ffacb.jpg)
その後、
何日かが過ぎ
何週間が過ぎ
何ヶ月かが過ぎ
何年かが過ぎ出る
ドゥルシラは相変わらず忘れっぽかったw
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/7e/801a6f1ad38a1a909bd0e10bb12e53dc.jpg)
ある日、ふと老人との約束を思い出して
封筒の内紙を探していると
新聞で老人の死を知る
綺麗な紙が見つかって
悲しい気持ちになると同時に
自分の怠惰を痛感する
窓の所に紙を持っていき
風に舞って飛び去るのを見守る
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/06/e59acc2a4ec4fa0a2a5cd88f7f6ee439.jpg)
ここで終わり
【訳者あとがき】
ゴーリーの生涯で最も多くの傑作を生み出した年に刊行された
切ないといえば切ない本である
とはいえ相手はゴーリーである(w
約束を果たせなかった悲哀に惹かれることは認めるものの
偏在する死の影で読むものを怯えさせる
海は黒々として禍々しい
階段を上った末に現れる黒い絵画もしかり
ほとんど場違いに可愛い3匹の猫だけは死の匂いを免れている
猫はどこまでも死と暴力を被らない
特権的存在であることが改めて確認される
ゴーリーの作品にはスミスやジョーンズなどといった
当たり前の名前は出てこない
スクリム・ショーという名前は面白い
英語にscrimshawという単語があり、英和辞典によれば
“航海中に貝殻、鯨髭、セイウチの牙などに
細かい彫刻彩色を施して作る水夫の慰み細工(の腕前、技術)”
という相当に限定的な意味(w
だからといって何か象徴的意味を読み取れるわけではない
本書はゴーリーの小学校の旧友コンスエロ・ジョアンズに捧げられている
ジョアンズはゴーリーとともにダブルデイ社に勤務して
『アンカー・ブックス』のデザインに
ともに携わっていたこともあるイラストレーター
現在も存命で生涯の友人であり続けた
ロヨラ大学でも開催された「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密展」は
2016年から日本を訪れていて
伊丹市美術館を皮切りに2017年10月以降も各地で開催が決まっている
(私も見たかなあ?
本書は2017年10月初版
これからも柴田さんの翻訳で
同じ河出書房新社から他のゴーリー作品が
安定的に翻訳・販売されることを切に願います
図書館検索したら、知らない間にたくさんの新作が入っていて嬉しい!!