1975年初版 田中明子/訳 太田大八/画
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで謎解きをしてみてください
また新たなシリーズを見つけて嬉しい
図書館に全巻あるか分からないけれども
どれも名作だと読む前から分かる
中身がよく分からないタイトル以上の面白味があったv
著者名があとがきではジョフリー・トレーズだけど、カバーはトリースだな
カバーには杉並区立中央図書館のシールが貼られているけど
中のスタンプは「えいふくとしょかん」なのも気になる
『少年少女学研文庫』はソフトカバーで新しくなったみたいだけれども
ハードカバーの手触りのほうが好き
子どもたちが田舎に来て、事件に遭遇するって設定はよくあるけど
宝探しの冒険も楽しめるし、ミステリーでもあり
『小さなバイキング』を読んだ後に、またバイキングの話が出てきてリンクした
古い時代の教育者である校長先生と生徒との関係が
単に目上の権威だけでなく、血の通う奥深さを感じていいな
【内容抜粋メモ】
登場人物
<メルバリー家>
母
ビル 長男 作家志望
スーザン 妹
いとこのフェイ 亡くなって、別荘を遺した
タイラー夫人
ティム・ダレン ビルの友だち 父は百貨店の支配人
ペネロープ・モーチャード ペニー スーザンの友だち
キングスフォード校長先生 ビルのグラマースクールの校長
アルフレッド・アスキュー卿
マトソン 古物商
●引っ越し
メルバリー一家は、家具つき貸間にずっと住んでいるが
家具はボロボロだし、1階に住む大家さんがとても口うるさくて閉口している
ビルが帰宅すると、母とニック叔母さんが話しているのを聞いてしまう
いとこのフェイが1か月前に亡くなり、“せせらぎ荘”という別荘を譲ってくれたが
家具を売らずに5年間住むことが条件で、破ったら、競売に出される
母は子どもが小さい頃に離婚して、父はカナダにいるが
養育費が途絶えて久しく、いつもお金で苦労しているのを知っている兄妹は
また引っ越しと転校になることより、母を助けようという思いが強くすぐ賛成
大家さんがまた小言を言いに来たのをきっかけに、家を出ると言い放つ母
母:カンバーランドへ行って、ちょっとでもズボラに見えたら言ってちょうだい
●最初の夜
ウィンスウェイトに着くと滝のような雨なのに、次のバスが出るのは翌日!
タクシーで着くと、電気屋や世話をしてくれるはずの
近所のタイラー夫人がいるはずが真っ暗で
やっとロウソクを探して灯す
ビルがタイラー夫人の家を探しに出るがびしょぬれで戻る
スーツケースにあった残りものを食べて、その夜は眠る
母:なにもかも経験だわ
●旗の湖(うみ)
翌朝は晴れて、窓から外を見ると、大きな湖と小さな島が見えて感動する
タイラー夫人がやって来て、母が約束より1日早く着いたと気づく
朝食に呼ばれると、パディという名の犬がいて、子犬をくれると約束する
タイラー夫人:
この谷に住む人たちは仲良しで、みんな幸せな1つの家族みたいなもの
1マイルほど歩けば、マギーさんの店があり、郵便局を兼ねている
小道を入ると、アルフレッド卿の屋敷があり、地主で殿さまみたいに威張っている
●ボート小屋
母が買い出しに行っている間、きょうだいが近くを探索すると
ボート小屋を見つけて興奮する
しかもボート“アルゴ号”の持ち主はフェイ・ステュアート夫人!
ちゃんと浮くか点検して、引き寄せられるように島まで漕いで上陸する
島からは屋敷の庭が見える
フェイはこの島が大好きで、よく1人でボートを漕いで来ていたそう
きょうだいは、ここでキャンプしたりする計画を立てる
●アルフレッド・アスキュー卿
アルフレッド・アスキュー卿が家に来て
あの島は私有地で鳥類保護場だから行ってはいけない
その上、ボートを浮かべることも禁止されて驚く
タイラーおじさんが6羽のめんどりを世話してくれていて
返しに来た際、聞いてみると、アルフレッド卿は土地のみんなに嫌われている
以前はインドにいたが、田舎の屋敷を買って、貴族に見えるよう威張っている
●復活祭の日曜日
教会は町のみんなが一堂に会する場
アルフレッド卿は最前列の席に座る
タイラーおじさんは、これまではボート小屋を
年4ポンドで貸していたが、アルフレッド卿からそれも禁じられてしまう
タイラー家とピーコック家の農園の地主だから反対もできない
●喫茶店
きょうだいが学校に通うようになったら、平日、母が寂しがるだろうと思っていると
庭におばけのように目立つ傘をテーブルに立てたことで
喫茶店と間違えた女性が座り、お茶を注文する
一家は驚くが、この際、喫茶店にして、お茶1杯1シリング6ペンスもらえば
家計の足しになると相談し、そのお金を貯めて
クリスマスはロンドンで散財する計画を立てる
女性は、湖の小さな島に“ブラント・ホルム島”という名前があると教えてくれる
屋敷の森に迷いこんだら、鋤を持ったアルフレッド卿に叱られたと話す
ビルが鳥類保護場のことを話すと、そんなはずはないと否定する
女性は考古学が好きで、バイキングの通った跡を調べている
きょうだいは、あの島に宝があって
アルフレッド卿は知られないために隠していると噂する
きみたちは、暮らしが1つの話になってるということに
話がおしまいになるまで気づかない
後で振り返って、あれは大事なことだったと分かっても
その時はつまらないことだと過ごしているかもしれない
●新学期
ビルは歴史の古いグラマースクールに、スーザンは州立女学校に通い出す
キングスフォード校長先生は昔ながらのやり方だが
「もし本当に困ったら、いつでもわしに会いに来なさい」と話す
ビルはティム・ダレンと仲良くなる
将来、探偵になるために、まずは警官になる夢をもつ
スーザンと昼休みに近くの店で落ち合って
学校の様子がどんなか話し合う約束をしていたが
スーザンは仲良くなったペニーと一緒に来る
ペニーは女優になるのが夢だったが、怪我をして足が不自由になった
店には喫茶店と間違えて家に来た女性がいて
州立女学校のフローリー校長先生だと分かって驚く
その後、ビルはキングスフォード校長に呼び出され
州立女学校の生徒と交流することを禁じられる
校長は州立女学校をバカにしている様子
●あやしい電話
きょうだいは、日曜にそれぞれの友だちを呼ぶ
ティムは公衆電話から友人のムージーに電話すると
混線して、2人の男の会話が聞こえてくる
ビルはその声がアルフレッド卿で、相手がマトソンという名だと分かる
2人はなにか画策している様子
ビルはティムに島のことでモメた話をして、調べてみようと誘うが
これまで何度も警察の手を煩わせて、迷惑がられているティムは
決定的証拠がないうちは警察に言うのは待ったほうがいいと忠告する
スーザンとペニーにも話すと、島は鳥類保護場ではないと分かる
次の園遊会にアルフレッド卿も来るから
ペニー扮する占い師の館に連れて来てくれたら
マトソンについて問いただしてやると言う
●ジプシーの占い
州立女学校が寄付集めに催す園遊会には
毎年グラマースクールの生徒が押し寄せるのを知っている校長は
全生徒でクリケットの小型試合を強行する
ティムとビルは早めに終わらせて、急いで園遊会に行く
スーザンは上級生に頼み、アルフレッド卿を占いの館に連れて来てと頼む
アルフレッド卿が館に入ると、ペニーは水晶にマトソンという名が見えると言って驚かせる
それ以上問われても「行く末のことは定かざらぬもの」と誤魔化して卿は激怒する
それで電話の2人は確定する
図書館の人名事典にも陸軍名簿にもアルフレッド卿の名前はないのもひっかかる
●森の秘密
4人は屋敷の森を調べに行き、掘り返した穴の中に骸骨を見つける
斧のようなもので頭を砕かれたと思われる アルフレッド卿は殺人者か?!
アルフレッド卿とマトソンが音を聞いて追って来て、4人はバラバラに逃げる
足の不自由なペニーが不利だと思ったビルは、3人を先に逃がして、自分が囮になる
迷って出たのは屋敷のバラ園
屋敷の影から2人の内緒話を聞く
アルフレッド卿:
何も知らない庭師のマクファーソンから鋤を借りた
警察に言うと検死が必要になり、アメリカ行きがおじゃんになる
ペニーは現場に落ちていた鉄の輪っかを持ってきたと見せる
警察に言おうとするビルをまだ押し留めて
新聞記者の知人から情報が聞き出せる月曜まで秘密にしておこうと約束する
●航空写真
フローリー先生が弟を連れて喫茶店に来る
町の上の航空写真を撮るから、写真をあげると約束する
鉄の輪っかを見せて聞くと、バイキング時代の鎖帷子の一部だというが値打ちはない
これでアルフレッド卿の殺人鬼説はなしになる
じゃあ、なぜあんなに森に人が入るのを嫌がるのか?
キングスフォード校長はビルの作文に初めてのAをつけるが
キングスフォード校長:
空想的すぎるから、知ってる世界だけを書くこと
身の周りの暮らしをよく見て、経験を書くこと とアドバイスする
それが活かされて、後にこの本を書いたビル
●私有地
ティムの帽子がアルフレッド卿の森に落ちていたことから
アルフレッド卿が校長に問いただす
ビルも校長室に呼ばれて、スーザンとペニーの名は伏せて
骸骨を見つけたことを正直に話すと、歴史に造詣が深い校長は興味を示す
マトソンは骨董商だと分かる
キングスフォード校長:
必要なのは商人ではなく、考古学者や大英博物館の第一級の専門家だ
聖コロンバ修道院の年代記によれば、ノースメン(北欧海賊)がやって来て宝物を海に運び去った
警察に荒らされる前に学会で発掘隊をつくって調査すべき
私も昔はあの森で遊んだものだ
この土地に住む者に殿さま風を吹かせようというのはとんでもない間違いだ
ビルはアルフレッド卿が狙っているのはその宝物じゃないかと思うが
銀の聖杯などはそれほどの値打ちはない
品物は大英博物館に行き、相応の現金がもらえるが
今のお金で2、300ポンドほど
受け取るのは土地の所有者ではなく、第一発見者
アルフレッド卿は自分で警察を呼び、検死に立ち会うキングスフォード校長は
“教育上意義のある見学”として、ティムとビルも連れて行く
法廷に行くと、フローリー先生が上級生を連れて来ていた
検死官は白骨が千年以上前のものだと証言して終わる
フローリー先生の弟が家に来て、置いていった航空写真を見て
島の中央に長円形が写っていて、これこそ宝物の隠し場所ではないかと思って興奮する
●島の宝物
4人は湖の近くでキャンプを張り、早朝、ティムの折り畳み式カヌーを出して島に行く
ビルとティムが掘ると真っ黒になった銀の皿などと一緒に骸骨も出てきて
ティムはスナップ写真を撮り、また土をかぶせる
キングスフォード校長にしらせに行き、クルマで戻ると、なぜかカヌーがない
アルゴ号を出して、慌てて島に行くと
スーザンとペニーがフローリー先生を呼んで来ていた
フローリー先生が有名なバーレイ教授と仕事して
素晴らしい論文を書いた人物だと分かると
キングスフォード校長は尊敬のまなざしに変わる
そこにアルフレッド卿とマックファーソン、マトソンが来て激怒する
アルフレッド卿とマトソンは、宝物をアメリカに持って行って
高く売ろうとしていた企みが分かる
フローリー先生:
あなたが売ったのは、国外に持ち出してはいけない品物です
国の財産であり、私たちが生まれながらに持つ権利の一部なのですよ!
アルフレッド卿がキングスフォード校長と取っ組み合って、骸骨が崩れてしまう
そこにフローリー先生が呼んだ警察が来る
●証拠の写真
ビルらが証言するが、アルフレッド卿の弁護士は
持ち主不明の埋蔵物でないとなると、国はまったく関わらず、発見者のものとなるが
今回はそのケースに当てはまらないと論破する
キングスフォード校長は、例の修道院の年代記の抜粋を指摘
骸骨は手を胸に組んでいたことから、キリスト教徒だったことが分かるが
骸骨は2人の取っ組み合いで崩れてしまった
ティムは現像したばかりのスナップ写真を提出
そこにはちゃんと手を組んだ姿が写っていたため
銀器は持ち主不明の埋蔵物だと決定する
品物は大英博物館に送られ、ビルらは1人300ポンドずつもらい
ティムとスーザンは新しい自転車、ビルはタイプライター
ペニーは水着などを買い、残りは証券を買ったり、郵便局に預ける
■あとがき
本書で心に残るのは、ささいな日常生活の描写
舞台のカンバーランドは実在するが、ウィンスウェイトや旗の湖は架空の地名
9C頃にカンバーランドを荒らしたバイキング
戦後使われた考古学の新しい方法、航空写真による遺跡の発見などが取り入れられている
ジョフリー・トレーズ
1909年 ノッチンガム生まれ
ティーンのための作家として有名
歴史や地理に関心が深い
本書の続編が4編ある(!
本書は10年以上前、平凡社の北極星文庫の1冊として翻訳したものをもとに再出版された
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで謎解きをしてみてください
また新たなシリーズを見つけて嬉しい
図書館に全巻あるか分からないけれども
どれも名作だと読む前から分かる
中身がよく分からないタイトル以上の面白味があったv
著者名があとがきではジョフリー・トレーズだけど、カバーはトリースだな
カバーには杉並区立中央図書館のシールが貼られているけど
中のスタンプは「えいふくとしょかん」なのも気になる
『少年少女学研文庫』はソフトカバーで新しくなったみたいだけれども
ハードカバーの手触りのほうが好き
子どもたちが田舎に来て、事件に遭遇するって設定はよくあるけど
宝探しの冒険も楽しめるし、ミステリーでもあり
『小さなバイキング』を読んだ後に、またバイキングの話が出てきてリンクした
古い時代の教育者である校長先生と生徒との関係が
単に目上の権威だけでなく、血の通う奥深さを感じていいな
【内容抜粋メモ】
登場人物
<メルバリー家>
母
ビル 長男 作家志望
スーザン 妹
いとこのフェイ 亡くなって、別荘を遺した
タイラー夫人
ティム・ダレン ビルの友だち 父は百貨店の支配人
ペネロープ・モーチャード ペニー スーザンの友だち
キングスフォード校長先生 ビルのグラマースクールの校長
アルフレッド・アスキュー卿
マトソン 古物商
●引っ越し
メルバリー一家は、家具つき貸間にずっと住んでいるが
家具はボロボロだし、1階に住む大家さんがとても口うるさくて閉口している
ビルが帰宅すると、母とニック叔母さんが話しているのを聞いてしまう
いとこのフェイが1か月前に亡くなり、“せせらぎ荘”という別荘を譲ってくれたが
家具を売らずに5年間住むことが条件で、破ったら、競売に出される
母は子どもが小さい頃に離婚して、父はカナダにいるが
養育費が途絶えて久しく、いつもお金で苦労しているのを知っている兄妹は
また引っ越しと転校になることより、母を助けようという思いが強くすぐ賛成
大家さんがまた小言を言いに来たのをきっかけに、家を出ると言い放つ母
母:カンバーランドへ行って、ちょっとでもズボラに見えたら言ってちょうだい
●最初の夜
ウィンスウェイトに着くと滝のような雨なのに、次のバスが出るのは翌日!
タクシーで着くと、電気屋や世話をしてくれるはずの
近所のタイラー夫人がいるはずが真っ暗で
やっとロウソクを探して灯す
ビルがタイラー夫人の家を探しに出るがびしょぬれで戻る
スーツケースにあった残りものを食べて、その夜は眠る
母:なにもかも経験だわ
●旗の湖(うみ)
翌朝は晴れて、窓から外を見ると、大きな湖と小さな島が見えて感動する
タイラー夫人がやって来て、母が約束より1日早く着いたと気づく
朝食に呼ばれると、パディという名の犬がいて、子犬をくれると約束する
タイラー夫人:
この谷に住む人たちは仲良しで、みんな幸せな1つの家族みたいなもの
1マイルほど歩けば、マギーさんの店があり、郵便局を兼ねている
小道を入ると、アルフレッド卿の屋敷があり、地主で殿さまみたいに威張っている
●ボート小屋
母が買い出しに行っている間、きょうだいが近くを探索すると
ボート小屋を見つけて興奮する
しかもボート“アルゴ号”の持ち主はフェイ・ステュアート夫人!
ちゃんと浮くか点検して、引き寄せられるように島まで漕いで上陸する
島からは屋敷の庭が見える
フェイはこの島が大好きで、よく1人でボートを漕いで来ていたそう
きょうだいは、ここでキャンプしたりする計画を立てる
●アルフレッド・アスキュー卿
アルフレッド・アスキュー卿が家に来て
あの島は私有地で鳥類保護場だから行ってはいけない
その上、ボートを浮かべることも禁止されて驚く
タイラーおじさんが6羽のめんどりを世話してくれていて
返しに来た際、聞いてみると、アルフレッド卿は土地のみんなに嫌われている
以前はインドにいたが、田舎の屋敷を買って、貴族に見えるよう威張っている
●復活祭の日曜日
教会は町のみんなが一堂に会する場
アルフレッド卿は最前列の席に座る
タイラーおじさんは、これまではボート小屋を
年4ポンドで貸していたが、アルフレッド卿からそれも禁じられてしまう
タイラー家とピーコック家の農園の地主だから反対もできない
●喫茶店
きょうだいが学校に通うようになったら、平日、母が寂しがるだろうと思っていると
庭におばけのように目立つ傘をテーブルに立てたことで
喫茶店と間違えた女性が座り、お茶を注文する
一家は驚くが、この際、喫茶店にして、お茶1杯1シリング6ペンスもらえば
家計の足しになると相談し、そのお金を貯めて
クリスマスはロンドンで散財する計画を立てる
女性は、湖の小さな島に“ブラント・ホルム島”という名前があると教えてくれる
屋敷の森に迷いこんだら、鋤を持ったアルフレッド卿に叱られたと話す
ビルが鳥類保護場のことを話すと、そんなはずはないと否定する
女性は考古学が好きで、バイキングの通った跡を調べている
きょうだいは、あの島に宝があって
アルフレッド卿は知られないために隠していると噂する
きみたちは、暮らしが1つの話になってるということに
話がおしまいになるまで気づかない
後で振り返って、あれは大事なことだったと分かっても
その時はつまらないことだと過ごしているかもしれない
●新学期
ビルは歴史の古いグラマースクールに、スーザンは州立女学校に通い出す
キングスフォード校長先生は昔ながらのやり方だが
「もし本当に困ったら、いつでもわしに会いに来なさい」と話す
ビルはティム・ダレンと仲良くなる
将来、探偵になるために、まずは警官になる夢をもつ
スーザンと昼休みに近くの店で落ち合って
学校の様子がどんなか話し合う約束をしていたが
スーザンは仲良くなったペニーと一緒に来る
ペニーは女優になるのが夢だったが、怪我をして足が不自由になった
店には喫茶店と間違えて家に来た女性がいて
州立女学校のフローリー校長先生だと分かって驚く
その後、ビルはキングスフォード校長に呼び出され
州立女学校の生徒と交流することを禁じられる
校長は州立女学校をバカにしている様子
●あやしい電話
きょうだいは、日曜にそれぞれの友だちを呼ぶ
ティムは公衆電話から友人のムージーに電話すると
混線して、2人の男の会話が聞こえてくる
ビルはその声がアルフレッド卿で、相手がマトソンという名だと分かる
2人はなにか画策している様子
ビルはティムに島のことでモメた話をして、調べてみようと誘うが
これまで何度も警察の手を煩わせて、迷惑がられているティムは
決定的証拠がないうちは警察に言うのは待ったほうがいいと忠告する
スーザンとペニーにも話すと、島は鳥類保護場ではないと分かる
次の園遊会にアルフレッド卿も来るから
ペニー扮する占い師の館に連れて来てくれたら
マトソンについて問いただしてやると言う
●ジプシーの占い
州立女学校が寄付集めに催す園遊会には
毎年グラマースクールの生徒が押し寄せるのを知っている校長は
全生徒でクリケットの小型試合を強行する
ティムとビルは早めに終わらせて、急いで園遊会に行く
スーザンは上級生に頼み、アルフレッド卿を占いの館に連れて来てと頼む
アルフレッド卿が館に入ると、ペニーは水晶にマトソンという名が見えると言って驚かせる
それ以上問われても「行く末のことは定かざらぬもの」と誤魔化して卿は激怒する
それで電話の2人は確定する
図書館の人名事典にも陸軍名簿にもアルフレッド卿の名前はないのもひっかかる
●森の秘密
4人は屋敷の森を調べに行き、掘り返した穴の中に骸骨を見つける
斧のようなもので頭を砕かれたと思われる アルフレッド卿は殺人者か?!
アルフレッド卿とマトソンが音を聞いて追って来て、4人はバラバラに逃げる
足の不自由なペニーが不利だと思ったビルは、3人を先に逃がして、自分が囮になる
迷って出たのは屋敷のバラ園
屋敷の影から2人の内緒話を聞く
アルフレッド卿:
何も知らない庭師のマクファーソンから鋤を借りた
警察に言うと検死が必要になり、アメリカ行きがおじゃんになる
ペニーは現場に落ちていた鉄の輪っかを持ってきたと見せる
警察に言おうとするビルをまだ押し留めて
新聞記者の知人から情報が聞き出せる月曜まで秘密にしておこうと約束する
●航空写真
フローリー先生が弟を連れて喫茶店に来る
町の上の航空写真を撮るから、写真をあげると約束する
鉄の輪っかを見せて聞くと、バイキング時代の鎖帷子の一部だというが値打ちはない
これでアルフレッド卿の殺人鬼説はなしになる
じゃあ、なぜあんなに森に人が入るのを嫌がるのか?
キングスフォード校長はビルの作文に初めてのAをつけるが
キングスフォード校長:
空想的すぎるから、知ってる世界だけを書くこと
身の周りの暮らしをよく見て、経験を書くこと とアドバイスする
それが活かされて、後にこの本を書いたビル
●私有地
ティムの帽子がアルフレッド卿の森に落ちていたことから
アルフレッド卿が校長に問いただす
ビルも校長室に呼ばれて、スーザンとペニーの名は伏せて
骸骨を見つけたことを正直に話すと、歴史に造詣が深い校長は興味を示す
マトソンは骨董商だと分かる
キングスフォード校長:
必要なのは商人ではなく、考古学者や大英博物館の第一級の専門家だ
聖コロンバ修道院の年代記によれば、ノースメン(北欧海賊)がやって来て宝物を海に運び去った
警察に荒らされる前に学会で発掘隊をつくって調査すべき
私も昔はあの森で遊んだものだ
この土地に住む者に殿さま風を吹かせようというのはとんでもない間違いだ
ビルはアルフレッド卿が狙っているのはその宝物じゃないかと思うが
銀の聖杯などはそれほどの値打ちはない
品物は大英博物館に行き、相応の現金がもらえるが
今のお金で2、300ポンドほど
受け取るのは土地の所有者ではなく、第一発見者
アルフレッド卿は自分で警察を呼び、検死に立ち会うキングスフォード校長は
“教育上意義のある見学”として、ティムとビルも連れて行く
法廷に行くと、フローリー先生が上級生を連れて来ていた
検死官は白骨が千年以上前のものだと証言して終わる
フローリー先生の弟が家に来て、置いていった航空写真を見て
島の中央に長円形が写っていて、これこそ宝物の隠し場所ではないかと思って興奮する
●島の宝物
4人は湖の近くでキャンプを張り、早朝、ティムの折り畳み式カヌーを出して島に行く
ビルとティムが掘ると真っ黒になった銀の皿などと一緒に骸骨も出てきて
ティムはスナップ写真を撮り、また土をかぶせる
キングスフォード校長にしらせに行き、クルマで戻ると、なぜかカヌーがない
アルゴ号を出して、慌てて島に行くと
スーザンとペニーがフローリー先生を呼んで来ていた
フローリー先生が有名なバーレイ教授と仕事して
素晴らしい論文を書いた人物だと分かると
キングスフォード校長は尊敬のまなざしに変わる
そこにアルフレッド卿とマックファーソン、マトソンが来て激怒する
アルフレッド卿とマトソンは、宝物をアメリカに持って行って
高く売ろうとしていた企みが分かる
フローリー先生:
あなたが売ったのは、国外に持ち出してはいけない品物です
国の財産であり、私たちが生まれながらに持つ権利の一部なのですよ!
アルフレッド卿がキングスフォード校長と取っ組み合って、骸骨が崩れてしまう
そこにフローリー先生が呼んだ警察が来る
●証拠の写真
ビルらが証言するが、アルフレッド卿の弁護士は
持ち主不明の埋蔵物でないとなると、国はまったく関わらず、発見者のものとなるが
今回はそのケースに当てはまらないと論破する
キングスフォード校長は、例の修道院の年代記の抜粋を指摘
骸骨は手を胸に組んでいたことから、キリスト教徒だったことが分かるが
骸骨は2人の取っ組み合いで崩れてしまった
ティムは現像したばかりのスナップ写真を提出
そこにはちゃんと手を組んだ姿が写っていたため
銀器は持ち主不明の埋蔵物だと決定する
品物は大英博物館に送られ、ビルらは1人300ポンドずつもらい
ティムとスーザンは新しい自転車、ビルはタイプライター
ペニーは水着などを買い、残りは証券を買ったり、郵便局に預ける
■あとがき
本書で心に残るのは、ささいな日常生活の描写
舞台のカンバーランドは実在するが、ウィンスウェイトや旗の湖は架空の地名
9C頃にカンバーランドを荒らしたバイキング
戦後使われた考古学の新しい方法、航空写真による遺跡の発見などが取り入れられている
ジョフリー・トレーズ
1909年 ノッチンガム生まれ
ティーンのための作家として有名
歴史や地理に関心が深い
本書の続編が4編ある(!
本書は10年以上前、平凡社の北極星文庫の1冊として翻訳したものをもとに再出版された