ホセマリア・サンチェスシルバ、ルイス・ディエゴ/共著
1973年初版 1980年 第5刷 江崎桂子/訳 ロレンソ・ゴニ/挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
どこにいても、頁を捲るだけで、すぐにあらゆる冒険が始まる
読書はほんとうに素晴らしいなあ!
今回は、曾祖父、祖父、父と続いたマリア号の船長を継ぐ期待をかけられた
少年ルイソの初めての航海で、あらゆる出来事を経て、一歩、大人に成長する物語
著者がスペイン人で、登場人物もスペイン人ということで
欧米の児童文学とは少し違った趣きが感じられる
【内容抜粋メモ】
登場人物
<マリア号>
船長 ルイス 父 44歳
二等航海士 エドワルド・ビーラ
三等航海士 レブエルタ
甲板長 アンヘル
水夫長 ピーター
舵手 フスト
航海士補 ルビオ
ムーロス(入り江の意)
機械夫 パソス ある事件で耳が遠くなった
コック ミスター・ソース
ウルテア 暴動で敵側だった船員
チンパンジー リチャード
<故郷ビルバオの家族>
祖父 おやじと呼ばれている元船長
母
ルイソ 13歳 サッカーが大好き 建築士になるのが夢
メルセーデス 妹
パローマ 末の妹
●マリア号
船長ルイスは、一人息子のルイソがマリア号の船長を継いでくれるか心配している
おやじは“良い時は、悪い時のためにある”と言った
港に着き、出迎えていたルイソに試験の結果を聞くと、数学を落としてしまった
お土産に船の模型と腕時計をもらうが、時計は9月の試験にパスするまでお預けとなる
チンパンジーのリチャードには大喜びする
父は祖父“おやじ”にギニアからの木材の荷は失敗したと報告する
次の船旅はルイソが乗るのにちょうどいいと話す
船の上で船員から数学を学び、絵入りの航海日誌を毎日つけることを約束させる
おやじ:ルイソが船をもう1つ自分で持つのを見たいものだ
●暴動
6月7日、ルイソはもう船上にいた
航海日誌の1ページ目には大好きなリチャードを描いた
甲板長アンヘルはマリア号で起きた暴動について話す
23年前の1936年 スペインを出て8か月以上もたち、悪天候続き
おやじの最後の航海だった
故郷の港がすぐ見えるというのに、イギリスからボストン向けの積み荷があると聞いて
出航を命令すると、みんなが反対して、戦争のようになった
パソスの耳が遠くなったのも、船員にひどく殴られたため
●カルタヘナ
上陸の許しが出て、ぶらついていると
グラウンドでサッカーをしている少年たちを見て加わり
気づいたら9時を過ぎている!
いつも時間きっかりのマリア号は、午後8時出発
それでも父は15分待ってから出航した
・汽車に乗り、バレンシアで追いつく 運がよくても30時間かかる
・迎えに来るのをここで泣きながら待つかと言われて、慌てて三等のおんぼろ車両に乗る
戦争マンガを買って読み、食事して、駅で寝ていたら
今度は汽車にも乗り遅れる!
お金もなく、事情を話すと、駅長ともう1人の男が汽車賃と食べ物代をくれる
自分にガッカリして男のくれた5ペセタを投げ捨ててしまってから後悔する
ようやく船に追いつき、父にワケを話す
ルイス:船では全員が必要だ
二等航海士ビーラは午後6時から数学の勉強を教える
家族を持たないビーラは、船長に子育てについて意見を言う
ビーラ:
親の権利を子に押し付けないようにしなければならないと先生が言ってました
船長は息子さんと友だちになりたいですか?
面白くない四十男を友だちにしたい子はいない
●航空母艦
ムーロス:船長ってのは神さまみたいなものだ
ルイソはビーラから「絵が上手い」と褒められる
ナポリに上陸して、観光客と一緒に大航空母艦サラトガの見学に行くルイソ
パローマに頼まれた裸の人形が土産物屋に売っているのに気をとられて
団体からはぐれて迷ってしまう
なにか爆弾のようなものを見つけて、スケッチしていると
船員に見つかり咎められるが、英語が話せない
通訳の将校のもとに連れていかれ、2枚分のスケッチを破られる
副艦長はルイスを呼び、なりゆきを説明し
アメリカ人将校たちにも笑顔が戻り
マリア号は二度目の遅刻となった
副艦長:
見たものを二度と話したり、書いたりしないと約束してくれ
アメリカ人とスペイン人は仲良くやってるって知ってるだろ?
あとで、父からルイソが描いたのは原子爆弾関係のものだと知った
ルイス:
現在、世界で強い国の1つはアメリカだ
お前はスペイン人として名誉を守らなければならない
おやじからの手紙:
船は1つの国のようなものだ
お前も船長の命令の下で、義務を果たさねばならん
●航海日誌
ビルバオに帰って10日後
リチャードも家につなぐと、祖父は嫌がる
ルイソは海より陸の上のほうが楽しかった
父は祖父と大西洋横断の旅を計画していて
ルイソを連れて行くか相談している
アンヘルから聞いた暴動の話のつづき
おやじは騒ぎを鎮めるために空に向けて一発、空砲を撃った
敵、味方に分かれて撃ち合いが始まり、おやじに向けて撃った弾はすんでで外れた
両者にけが人、死人も出た
●氷山
ルイソは父とマドリード行きの飛行機に乗り、汽車でカジスに向かった
水先案内人から“坊や”などと呼ばれて腹が立ち
失礼な態度をとったことを父から叱られる
その後、熱を出して、寝込む
7月16日はスペインの海と船乗りたちの守り神のお祭り
なのにコックのミスター・ソースが病気で倒れて特別昼食会は取りやめになる
ルイソが作った卵焼きは失敗
ルイス:人それぞれの仕事を、もっと尊敬するんだ
みんな氷山(アイスバーグ)の危険区域の話でもちきりとなる
アンヘル:霧は人をイライラさせる サイレンがそれに輪をかける
アンヘルは“氷山がにおいで分かる”という
ルイソは入ってはいけないと言われているチャート室に入り、いじったことを父に話す
マリア号は氷山をすんででよけて、沈むのを避けることができた
ルイスは他の船員には話さず、ルイソにはボストンでの上陸を禁ずる罰を与える
●旅客機事故
4日前、36人を乗せたメキシコの旅客機が行方不明になったニュースを聞く
一番近くにいたマリア号が救命ボートを出し、ルイソも乗る
2人の死体を引き上げていると、水夫長ピーターが海に落ち
2匹のサメが襲い掛かる瞬間、ルイソはついてきたリチャードを投げる!!
サメがリチャードを襲っている間にピーターを引き上げる
死体は身元の書類を書いて、鉄のおもしをつけた袋に入れて、海に戻される
(まだそんな海賊みたいな葬儀をしてるの?!
ピーター:あなたは命の恩人です 私の2人の男の子にはあなたのようになって欲しい
ルイソ:サルにも天国はあるの?
アンヘル:よい動物のためにはあるはずです
●ニューオリンズの男
船に乗ってきたウルテアに驚くアンヘル
暴動の際におやじに弾を撃った男だった
船長室で話し合いがあり、彼は刑を終えて、結婚し、一人息子を14歳で亡くした
ルイス:アメリカの許可がとれたら乗船を認める 職場はおやじが決める
祖父からの手紙に、チャートをいじって、全員を危険にさらした罰に
この手紙を週に1回読むこと、とあり、思ったより軽くて驚く
●低気圧
パローマの7歳の誕生日
父はルイソと数人の船員を呼んでお祝いのご馳走を食べる
ウルテアの息子ギエルモがどうして亡くなったか聞くと
ウルテアはタクシー運転手をしていて、息子とドライブに出かけ
他のタクシーと競争になり、女が道を横切り、避けようとしてひっくり返った
自分は傷もなく、息子は死んだ
バージン諸島の低気圧の谷の様子を見守る船員たち
手ごわいハリケーンが来て、進行方向を変えるが避けられない
キャビンの非常窓を閉め、家具などをしまうが
ものすごい揺れで飛び上がる
父からキャビンにずっといるか、ここで邪魔をしないか選べと言われて、残ることにする
ものすごい大波をかぶってマリア号は傾く
ビーラはろっ骨が肺に突き刺さってひん死だが、運が良かったと言われる
ルイソはビーラのそばでお祈りを唱える
チャートをいじったことを告白すると、知っていたと言い
それでも話してくれたことに感謝して、亡くなる
翌日、ビーラも海に投げ入れられた
●SOS
ソビエトのニコポルという船からSOS信号が届く
舵が故障して、けが人2名 抗生物質が必要、とのこと
ルイス:海は海だ 共産主義とかは重要ではない
ルイソもボートに乗るのを志願すると、父は誇りに思う
荒れる海を乗り越え、薬品箱を届けると
女性の船長が子どものルイソを見て驚き
新品の雨靴をプレゼントしてくれる
ルイソはミスター・ソースの勇気を見て
見かけが卑しくても、人それぞれの職業に尊敬を持たなければいけない
と言った父の意味がようやく分かった
人はそれぞれの道で、ほんとうに大切な役割を果たしているのだ
●第三の航海
おやじは儀式ばって、ルイソにカメラと100ペセタを褒美にあげた
3か月の間に冒険、体験でルイソは成長していた
ルイソはなんとか試験に合格する
おやじ:仕事が入った フィリピン、日本、インドも寄るに違いない
家族会議が行われ、今後の将来について聞かれたルイソは
高校を卒業して、建築家になりたいと言う
おやじ:
お前は商船員になりたくないのか?
5年後には新しいマリア号を持つ 約2倍の1万トンだ
母はたった1人の息子を危険な目に遭わせたくないと反対
メルセーデスも反対、パローマは賛成
最後にルイソは、やはり建築家になりたいと言って部屋を出る
部屋で泣いていると、マリア号が好きなことに気づく
祖父、父、自分の手はそっくりだ
4時、父が家を出る準備を始める
“人間はひとりぼっちでは生きていけない”という父の言葉を思い出す
ルイソ:僕がマリア号をやらなければならないんだ
「ボクはママが一番好きだ でも行きます」というメモを残して家を出る
6時35分 水先案内を載せて、マリア号は出航する
父:おはよう、ルイス
ルイソ:おはよう、船長
■訳者あとがき
サンチェスシルバは『さよならホセフィーナ』を書いた
それに続いて、人生の次の段階へうつった少年を本書で描いて
13歳になった息子ホアキンと、同じ年ごろの少年たちに捧げている
共著の理由は、海がテーマなので、船員でもあったルイス氏と組んだ
ルイス氏は海軍の将校
サンチェスシルバも新聞記者として各国を取材旅行している
『けがれなきいたずら』
『ロバのノン』
サンチェスシルバ:
現実の世界の中にある愛は
どんな想像の世界にもまさるものです
生きるために、人は愛さなければなりません
1973年初版 1980年 第5刷 江崎桂子/訳 ロレンソ・ゴニ/挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
どこにいても、頁を捲るだけで、すぐにあらゆる冒険が始まる
読書はほんとうに素晴らしいなあ!
今回は、曾祖父、祖父、父と続いたマリア号の船長を継ぐ期待をかけられた
少年ルイソの初めての航海で、あらゆる出来事を経て、一歩、大人に成長する物語
著者がスペイン人で、登場人物もスペイン人ということで
欧米の児童文学とは少し違った趣きが感じられる
【内容抜粋メモ】
登場人物
<マリア号>
船長 ルイス 父 44歳
二等航海士 エドワルド・ビーラ
三等航海士 レブエルタ
甲板長 アンヘル
水夫長 ピーター
舵手 フスト
航海士補 ルビオ
ムーロス(入り江の意)
機械夫 パソス ある事件で耳が遠くなった
コック ミスター・ソース
ウルテア 暴動で敵側だった船員
チンパンジー リチャード
<故郷ビルバオの家族>
祖父 おやじと呼ばれている元船長
母
ルイソ 13歳 サッカーが大好き 建築士になるのが夢
メルセーデス 妹
パローマ 末の妹
●マリア号
船長ルイスは、一人息子のルイソがマリア号の船長を継いでくれるか心配している
おやじは“良い時は、悪い時のためにある”と言った
港に着き、出迎えていたルイソに試験の結果を聞くと、数学を落としてしまった
お土産に船の模型と腕時計をもらうが、時計は9月の試験にパスするまでお預けとなる
チンパンジーのリチャードには大喜びする
父は祖父“おやじ”にギニアからの木材の荷は失敗したと報告する
次の船旅はルイソが乗るのにちょうどいいと話す
船の上で船員から数学を学び、絵入りの航海日誌を毎日つけることを約束させる
おやじ:ルイソが船をもう1つ自分で持つのを見たいものだ
●暴動
6月7日、ルイソはもう船上にいた
航海日誌の1ページ目には大好きなリチャードを描いた
甲板長アンヘルはマリア号で起きた暴動について話す
23年前の1936年 スペインを出て8か月以上もたち、悪天候続き
おやじの最後の航海だった
故郷の港がすぐ見えるというのに、イギリスからボストン向けの積み荷があると聞いて
出航を命令すると、みんなが反対して、戦争のようになった
パソスの耳が遠くなったのも、船員にひどく殴られたため
●カルタヘナ
上陸の許しが出て、ぶらついていると
グラウンドでサッカーをしている少年たちを見て加わり
気づいたら9時を過ぎている!
いつも時間きっかりのマリア号は、午後8時出発
それでも父は15分待ってから出航した
・汽車に乗り、バレンシアで追いつく 運がよくても30時間かかる
・迎えに来るのをここで泣きながら待つかと言われて、慌てて三等のおんぼろ車両に乗る
戦争マンガを買って読み、食事して、駅で寝ていたら
今度は汽車にも乗り遅れる!
お金もなく、事情を話すと、駅長ともう1人の男が汽車賃と食べ物代をくれる
自分にガッカリして男のくれた5ペセタを投げ捨ててしまってから後悔する
ようやく船に追いつき、父にワケを話す
ルイス:船では全員が必要だ
二等航海士ビーラは午後6時から数学の勉強を教える
家族を持たないビーラは、船長に子育てについて意見を言う
ビーラ:
親の権利を子に押し付けないようにしなければならないと先生が言ってました
船長は息子さんと友だちになりたいですか?
面白くない四十男を友だちにしたい子はいない
●航空母艦
ムーロス:船長ってのは神さまみたいなものだ
ルイソはビーラから「絵が上手い」と褒められる
ナポリに上陸して、観光客と一緒に大航空母艦サラトガの見学に行くルイソ
パローマに頼まれた裸の人形が土産物屋に売っているのに気をとられて
団体からはぐれて迷ってしまう
なにか爆弾のようなものを見つけて、スケッチしていると
船員に見つかり咎められるが、英語が話せない
通訳の将校のもとに連れていかれ、2枚分のスケッチを破られる
副艦長はルイスを呼び、なりゆきを説明し
アメリカ人将校たちにも笑顔が戻り
マリア号は二度目の遅刻となった
副艦長:
見たものを二度と話したり、書いたりしないと約束してくれ
アメリカ人とスペイン人は仲良くやってるって知ってるだろ?
あとで、父からルイソが描いたのは原子爆弾関係のものだと知った
ルイス:
現在、世界で強い国の1つはアメリカだ
お前はスペイン人として名誉を守らなければならない
おやじからの手紙:
船は1つの国のようなものだ
お前も船長の命令の下で、義務を果たさねばならん
●航海日誌
ビルバオに帰って10日後
リチャードも家につなぐと、祖父は嫌がる
ルイソは海より陸の上のほうが楽しかった
父は祖父と大西洋横断の旅を計画していて
ルイソを連れて行くか相談している
アンヘルから聞いた暴動の話のつづき
おやじは騒ぎを鎮めるために空に向けて一発、空砲を撃った
敵、味方に分かれて撃ち合いが始まり、おやじに向けて撃った弾はすんでで外れた
両者にけが人、死人も出た
●氷山
ルイソは父とマドリード行きの飛行機に乗り、汽車でカジスに向かった
水先案内人から“坊や”などと呼ばれて腹が立ち
失礼な態度をとったことを父から叱られる
その後、熱を出して、寝込む
7月16日はスペインの海と船乗りたちの守り神のお祭り
なのにコックのミスター・ソースが病気で倒れて特別昼食会は取りやめになる
ルイソが作った卵焼きは失敗
ルイス:人それぞれの仕事を、もっと尊敬するんだ
みんな氷山(アイスバーグ)の危険区域の話でもちきりとなる
アンヘル:霧は人をイライラさせる サイレンがそれに輪をかける
アンヘルは“氷山がにおいで分かる”という
ルイソは入ってはいけないと言われているチャート室に入り、いじったことを父に話す
マリア号は氷山をすんででよけて、沈むのを避けることができた
ルイスは他の船員には話さず、ルイソにはボストンでの上陸を禁ずる罰を与える
●旅客機事故
4日前、36人を乗せたメキシコの旅客機が行方不明になったニュースを聞く
一番近くにいたマリア号が救命ボートを出し、ルイソも乗る
2人の死体を引き上げていると、水夫長ピーターが海に落ち
2匹のサメが襲い掛かる瞬間、ルイソはついてきたリチャードを投げる!!
サメがリチャードを襲っている間にピーターを引き上げる
死体は身元の書類を書いて、鉄のおもしをつけた袋に入れて、海に戻される
(まだそんな海賊みたいな葬儀をしてるの?!
ピーター:あなたは命の恩人です 私の2人の男の子にはあなたのようになって欲しい
ルイソ:サルにも天国はあるの?
アンヘル:よい動物のためにはあるはずです
●ニューオリンズの男
船に乗ってきたウルテアに驚くアンヘル
暴動の際におやじに弾を撃った男だった
船長室で話し合いがあり、彼は刑を終えて、結婚し、一人息子を14歳で亡くした
ルイス:アメリカの許可がとれたら乗船を認める 職場はおやじが決める
祖父からの手紙に、チャートをいじって、全員を危険にさらした罰に
この手紙を週に1回読むこと、とあり、思ったより軽くて驚く
●低気圧
パローマの7歳の誕生日
父はルイソと数人の船員を呼んでお祝いのご馳走を食べる
ウルテアの息子ギエルモがどうして亡くなったか聞くと
ウルテアはタクシー運転手をしていて、息子とドライブに出かけ
他のタクシーと競争になり、女が道を横切り、避けようとしてひっくり返った
自分は傷もなく、息子は死んだ
バージン諸島の低気圧の谷の様子を見守る船員たち
手ごわいハリケーンが来て、進行方向を変えるが避けられない
キャビンの非常窓を閉め、家具などをしまうが
ものすごい揺れで飛び上がる
父からキャビンにずっといるか、ここで邪魔をしないか選べと言われて、残ることにする
ものすごい大波をかぶってマリア号は傾く
ビーラはろっ骨が肺に突き刺さってひん死だが、運が良かったと言われる
ルイソはビーラのそばでお祈りを唱える
チャートをいじったことを告白すると、知っていたと言い
それでも話してくれたことに感謝して、亡くなる
翌日、ビーラも海に投げ入れられた
●SOS
ソビエトのニコポルという船からSOS信号が届く
舵が故障して、けが人2名 抗生物質が必要、とのこと
ルイス:海は海だ 共産主義とかは重要ではない
ルイソもボートに乗るのを志願すると、父は誇りに思う
荒れる海を乗り越え、薬品箱を届けると
女性の船長が子どものルイソを見て驚き
新品の雨靴をプレゼントしてくれる
ルイソはミスター・ソースの勇気を見て
見かけが卑しくても、人それぞれの職業に尊敬を持たなければいけない
と言った父の意味がようやく分かった
人はそれぞれの道で、ほんとうに大切な役割を果たしているのだ
●第三の航海
おやじは儀式ばって、ルイソにカメラと100ペセタを褒美にあげた
3か月の間に冒険、体験でルイソは成長していた
ルイソはなんとか試験に合格する
おやじ:仕事が入った フィリピン、日本、インドも寄るに違いない
家族会議が行われ、今後の将来について聞かれたルイソは
高校を卒業して、建築家になりたいと言う
おやじ:
お前は商船員になりたくないのか?
5年後には新しいマリア号を持つ 約2倍の1万トンだ
母はたった1人の息子を危険な目に遭わせたくないと反対
メルセーデスも反対、パローマは賛成
最後にルイソは、やはり建築家になりたいと言って部屋を出る
部屋で泣いていると、マリア号が好きなことに気づく
祖父、父、自分の手はそっくりだ
4時、父が家を出る準備を始める
“人間はひとりぼっちでは生きていけない”という父の言葉を思い出す
ルイソ:僕がマリア号をやらなければならないんだ
「ボクはママが一番好きだ でも行きます」というメモを残して家を出る
6時35分 水先案内を載せて、マリア号は出航する
父:おはよう、ルイス
ルイソ:おはよう、船長
■訳者あとがき
サンチェスシルバは『さよならホセフィーナ』を書いた
それに続いて、人生の次の段階へうつった少年を本書で描いて
13歳になった息子ホアキンと、同じ年ごろの少年たちに捧げている
共著の理由は、海がテーマなので、船員でもあったルイス氏と組んだ
ルイス氏は海軍の将校
サンチェスシルバも新聞記者として各国を取材旅行している
『けがれなきいたずら』
『ロバのノン』
サンチェスシルバ:
現実の世界の中にある愛は
どんな想像の世界にもまさるものです
生きるために、人は愛さなければなりません