メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

少女・世界推理名作選集 28 ハワイの冒険 ジュリー・タサム/著 金の星社

2023-12-06 20:37:32 | 
1965年初版 1982年 第11刷 丹野節子/訳 小林与志/カバー・イラスト

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【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください


探偵好きなスチュワーデスのビッキーって、先日読んだ同じ選集内にある
『スチュアデスの活躍』と同じだけど、著者名が違うな???と思っていたら
あとがきに共著だったと分かってスッキリ

暑い日差し、からっと乾いた空気、スコールなどの描写を読んで想像すると
ハワイに行ってみたくなる


【内容抜粋メモ】
(途中、ストーリーと人間関係がよく分からず間違っていたらスミマセン/謝

登場人物
ビッキー ビクトリヤ・バー 大学教授の娘 探偵好きなスチュアデス
ボブ・ケーン ハワイの中学教師
ヘレン 妻
ハンク 医師 ボブ夫妻の友人
ミレ ワル島でパイナップル園を経営する富豪
フランセス ミレの一人娘



●ハワイへ飛ぶ
以前、機内で知り合ったケーン夫妻にハワイへいらっしゃいと誘われて
ニューヨークのラ・ガルディヤ飛行場でスチュアデス仲間に羨ましがられながら
ハワイ行きの飛行機に乗るビッキー







タラップを降りるとアロハを着た娘が
1人1人のほおにキスをしてレイをかけてくれる歓迎に感激する

迎えを待つ間、白い花で編んだレイを拾うと、その蕾には毒があると教えるハンク
泉ユリは珍しく、友人の家にあるだけ








●誘拐事件
ラジオからニュースが流れ、翌日のマカヒキ祭と
パイナップル王ミレ氏の一人娘フランセスの誘拐事件について流れる
ワル島から父と来て、ジャン・ロジャース飛行場から姿を消した

ハンクの知り合いのワル夫妻は、ミレに島を売り、パイナップル農園で大成功した
ビッキーは泉ユリのレイとフランセスの事件が関係しているのではないかという勘が働く








●ロイの失踪
ハワイ人のロイは、6歳の時、母が死に、叔父叔母に育てられたが
叔父叔母が亡くなり、先週から行方不明で心配するボブ






ワル島にいた父カリが連れて行ったのか?
ワル島人は素朴で、昔から自給自足の自由な暮らしをしていて
島から出る人はいない
芋を煮たポイを主食にしている

女性はホロクという衣装を着る
レイをあげるのは“あなたの恋人”という意味がある

ビッキーはヘレンらの案内で、カピオラニ公園、パールハーバーの海軍基地などを周り
ナイトクラブで踊りながら、ロイの失踪も誘拐事件と関わりがあるのではと思う

ラジオからミレが自宅に帰ってきたというニュースが流れるが
信じないビッキー


ハワイは“大きな島”の意味
ビッキーは飛行機から火山見物をして息を飲む

その後、ワル夫妻を訪ねると、周りに「立ち入り禁止」の看板がいくつもあり
波打ち際に粗末な竹の小屋がある








●怪しい物音
ワル夫妻はマウイに出かけて金曜まで戻らない






ハンク:
ワル島は、島全体がミレ氏のパイナップル園で
農園、漁、畑を耕すサイクルになっている
“土人”にお金は必要ないし、前のように自由ではない

ワル家に同じ編み方のレイが落ちている

ワル島人は、留守でもカギをかけない習慣がある
借りたいモノがあれば自由に持っていけるように

寝椅子のカバーだけがないことがひっかかるビッキー
物音がして、ついたてが倒れている
キッチンはさっきまで誰かいたようにコンロが温かい
カリとロイが近くにいるのではないかと推理するビッキー


●なぞの広告
ミレ氏は警察沙汰にせず、誘拐犯に訴えるために
新聞の案内欄を利用したのでは?と思い見てみると

“ロジャース空港でヒスイの指輪を紛失 通知ありたし”という記事を見つける
ヒスイの指輪はフランセスが着けていたもの

もう一度、空港に行ってみて、レイで意識もうろうとなったフランセスは
顔見知りのカリに連れられてクルマに乗せられたと思われる

タクシーでワル夫妻の家まで行こうとすると
運転手ジョー・ブラウンは日曜の夜に
フランセスとカリと思われる2人を乗せたと話す





フラダンスは、ポリネシヤ民族が自然の恵みを感謝する気持ちを表したもので
ひとつひとつの動作に意味がある


●晩さん会




ハンク、ホノルルで暮らす若いアメリカ人夫婦を呼んで晩さん会を開く
ご馳走の後、ウクレレにあわせてフラを踊る夫人

アロハには、いらっしゃい、愛する、さようなら、などの意味がある

ビッキーがハワイの伝説や民話に興味があると話すと
ヘレンがハワイの歴史本を書いたことがあると明かす
でも、その本にも、図書館の本にも小さなワル島に関する情報はない

児童書に、小人メネフネの話が載っていた
ロアという酋長が侵略して、メネフネらはあちこちの島に逃げ
ワル島で死んでしまった

何年か後、カフナという男がきて、植物を育てるが失敗
メネフネらが協力して“泉ユリ”の花が咲いた

やはりあのレイには復讐の意味があったと分かる
その本はミレからフランセスへの誕生日祝いで、図書館に寄贈されたもの

そのサインが、以前見た農園から返送されたボブの手紙の付箋の文字に似てると思い
ティッシュをあててなぞり、比べて見て同じ筆跡だと確信する








●老酋長の怒り
ワル夫妻と訪ねると、昔からの知り合いのように迎えてくれる





マウイに行っていた間に寝椅子カバーが借りられたらしい
1つしかない泉ユリの株が摘まれてしまったのを残念がるワル氏


●パイナップル王の秘密
ビッキーはフランセスの誘拐とロイの行方不明の関連を話す
ビッキー:ロイは1人で小屋にいて、父を待っていたと思う







ワル:
カリは自ら祖先の土地を捨てはしまい
泉ユリにはもう1つ予言がある 跡継ぎの男子が生まれない時は
泉ユリの父と言われたスコットランドの植物学者の子孫が銀の翼で飛んできて
島を繁栄させるだろうというもの

5年前、息子が亡くなり、ミレ氏が飛行機でやって来た
ハワイが好きになり、ワル島を買い取りたいと言い
土人らに反抗するよう仕向けた
私は島を譲り、金は受け取らなかった


●入り江の小屋で
小屋にフランセスが隠れていて、最初はカリに誘拐されたが
父が奴隷労働をしていると知り、協力することにした経緯を話す







父は島を買ってすぐに土人らと契約書を交わして
安い賃金で働かせ、一度島を出たら、二度と入れない約束をさせた

カリはロイを連れて来てほしいと頼んだが
ミレはカリが島を出たら、盗みをして逃げたと警察に言うと脅した

カリは郵便機で逃げて、小屋でロイを見つけた
フランセスを誘拐して、強盗の訴えを取り下げさせようとした

フランセスはカリに協力して、小屋に潜み、寝椅子カバーをホロクにして着た
カリとロイはボートでマウイ島に行かせた

ビッキーは、フランセスが父に出したニセの脅迫状の期限が土曜までのため
自分が交渉人となってミレ氏と会う決心をする








●ビッキーの計画
2人はブラウン運転手のタクシーで日系人の経営する
“中山”というホテルで打ち合わせる

ブラウン:
給仕たちがみんな着物を着て、いちいち床の上にヒザを折るんだよ
箸で食べられない人にはナイフとフォークを出す








ビッキーはフランセスからミレ氏の弱点を聞く

フランセス:
父は仕事やケンカにはやくざみたいになれる人よ(!
でも、人から笑われることに耐えられないの

母は父と口論した後、はずみで殺された(!?
母への罵倒を思い出すのがツライ

ミレはメネフネの予言通りスコットランドの血筋ではなく
フランス新教徒であることも話す

ビッキーはフランセスに物語を書かせて、新聞記事風に印刷してもらう








●ワル島へ





ハンクの飛行機でワル島まで送ってもらい、城に入ると大男のミレ氏と会い
フランセスの代理人として来たと言って、指輪を見せて
奴隷労働をやめて、カリとロイを助けなければ、永遠に娘を失うだろうと忠告する







ビッキーがフランセスに書かせた小説のゲラ刷りを見せて
明日のホノルル新聞に載るという

“メネフネの復讐”というフィクションで
泉ユリの液をアメリカの製薬会社に輸出しようとして失敗したため
代わりにパイナップル栽培を始めたように聞こえることや
ほんとうはスコットランド出身ではないことを責めると
ミレ氏は契約書を破り捨て、カリとロイは好きな時に帰ってもいいと言う

ビッキーはついでにフランセスが自立して、社会事業家になる勉強をするため
ボブ夫妻とハンクが協力する話もつける

記事はでっちあげだが、ワル夫妻の話を出すと、ミレは恥じる








ビッキー:
お金がすべてじゃないとあなたにも分かるはずよ
あなたは、島の生活様式をかえて、土人たちが文明を進める権利まで取り上げた
あなたでなく、彼らが学校や病院を建てるのがほんとだわ
人間の尊厳が問題なのよ


父と娘が再会すると抱き合って喜ぶ

ハンクとボブ夫妻に一部始終を話すと
ビッキーの探偵好きを笑ったことを謝る







空港ではミレ氏がビッキーのさよならパーティーを開き
♪アロハオエ のメロディーにあわせてダンサーが踊る

次の勤務地はアラスカ!
そこではどんな冒険が待ってるだろうと想像して飛行機に乗るビッキー




解説

ジュリー・タサム
アメリカの女流作家
ヘレン・ウェルズとともに、ビクトリヤ・バーというスチュアデスを主人公にした
推理小説集を何冊も書いた

ほかにも、テェリー・エーメスという少女を主人公にした看護婦物語のシリーズ
ヘレンと共同で8冊ほど書いて人気がある

ハワイ諸島は、ハワイ、オアフ、マウイ、モロカイ、カウアイ、ラナイなどの火山島のあつまり

コメント

少女・世界推理名作選集 2 秘密の地図 クレア・ブランク/作 金の星社

2023-12-06 20:10:10 | 
1981年初版 岡上鈴江/訳 依光隆/ブックデザイン 中山正美/カバー・イラスト 野々口重/挿画


「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください



アメリカではこうした少女探偵のシリーズが本当に人気で
たくさん書かれたことが分かる

日本も出てきて、横浜から日光まで行って夕方帰るって
弾丸ツアーは、新幹線でもムリでは?

富士山に飛行機を激突させたまま、パラシュートで樹海を脱出して
夕方には横浜っていうのもそうとうだw

ナイフを拾ったから自分のものって言い分もかなり強引
島に侵入して、祭壇から骸骨を持ち出そうとしたり
島の住民が人食い人種って設定も白人らしい発想

そもそも宝島の地図をどこで見つけたのかも不明
どっかから盗んだか?

勇気ある女性陣もピクニック気分で行って、嵐の船から落ちたり
満潮を忘れて砂浜にテントを張ったり
結果、足手まといになってる感じに描かれてるのもちょっとひっかかる

にせ伯爵が最初から尾行しているのも、本書より前の物語があったかのような
書き方がされてるのが気になった


【内容抜粋メモ】

登場人物
ベバリ 大学を出たばかりのヒロイン 作家志望
ロイス 挿絵画家志望
レノラ デザイナー志望
シャリー 女優 過労で舞台で倒れて静養のために旅行に参加
テリー
ラリー
ロジャー ヨットのスザベラ号の持ち主
ポール
アントン 探検家、考古学者
上海ピート 喋るオウムのジョンが相棒
ウー・フォン ヨットのコック
アレクシス にせ伯爵




●つきまとう影




上海の波止場で待つ仲間
レノラは店で小箱を買ったら、中国人店員が追いかけてきて
逃げて来るが、お釣りを渡したいだけだった

海賊が南の島に隠した宝物の地図を手に入れて
ニューヨークからヨットに乗り、探しに行く冒険をしている

レノラは寺に参詣して、道に落ちていた立派なナイフを拾って得意顔
ヨット内でなにか白い影を見て悲鳴をあげるが何もない


●横浜
日本に着いて、ラリーと落ち合う
まずは上野公園の動物園を見て、皇居、浅草を見物
ベバリは旅先で見聞記を書いて、アメリカの新聞社に記事を送っている

男性陣は「危険な旅になるから、女性は横浜か上海で待つほうがいい」と意見する
フィジー島の近くにある島々では、熱病が流行り、未開人もいると言っても
宝探しに参加する熱意は変わらない女性たち

彼らの地図と宝物を横取りしようと尾行しているアレクシス伯爵の姿を見かける


●富士山
日光東照宮に行き、うなぎの蒲焼を食べた後、地震が起きて
これも日本の名物だと言うラリー







ベバリとラリーは朝早く、仲間を残して富士山に向かう

ラリーは横浜郊外に住む日本人家族の息子が
アメリカ留学した際、クルマに轢かれそうなのを助けてから親しくなり
小型飛行機を借りて、富士山頂の噴火口を見て、征服したような気分に浸る

急に発動機が止まり、2人は落下傘で降り、大きな森の中で迷う
日本人が誇りとしている富士山に対する驕りのせいかと反省する
2人はクタクタになりながらも真夜中には横浜に帰る







上海ピートが行方不明になり、相棒のオウムの足にメモがついている
やはりアレクシス伯爵を目撃したため、早く船を出すようにと書いてある


●皇帝の亡霊
ヨットはひどい嵐に遭い、空中線が切れて無電も通じない
甲板で台風見物していたベバリが海に落ちて
ラリーはロープを体に縛って助けに飛び込み
救命ボートに頭をぶつけて怪我をする

マストも折れて、ヨットはあてもなく流され
小さな港に着いて船を修理してもらう

中国人2人が乗ったボートが来て
“あなたの所有物でないものは、寺院に持ってゆけ
さもないと、チエ・ホワンの霊がさまようでろう”
と書かれたメモを渡して消える

ベバリ:昔の中国の皇帝でしょ
レノラ:伯爵の仕業よ

夜中に足音がして皇帝の霊が歩いているのではないかと怯える


●にせ伯爵
翌日、2人の中国人の警官が来て、上海の寺から盗まれたナイフがないか調べる
レノラは2人のサインが欲しいと言ってごまかすが
夜、レノラと2人で返しに行くと、祭壇から「それでよし」という声がする

それは伯爵の声で、宝探しを一緒にしないと、ナイフを盗んだことを警察に言うと脅す
2人は無視して船に戻り、すぐ出航する








●宝島





これから行く宝島には首狩り族、人食い人種がいると言う探検家アントン
とうとう島を見つけて、海にはパラキュダという人食いサメがいるから注意する

地図に書かれた2本の柱を見つけて、キャンプを張り
X印のある場所を掘っても何も出てこない







ベバリが急にひらめいた場所を掘ると、鉄の扉が現れ、階段を上る
さらに木の扉を開けると骸骨がずらりと並ぶ祭壇を見つける
首狩り族が儀式に用いたらしい







祭壇の影にさらに奥へ行く扉を見つけて
ラリー、アントン、ロジャーは先を行くが
ベバリは女性陣のいるキャンプに戻る







トンネルをくぐると反対側の出口に出るだけで宝物はなく
アントンは骸骨や像をアメリカの博物館に持っていこうとする


●大きな足あと
ベバリがキャンプに戻ってこないため、探しに出た男性3人は
大きな足あとを見つけて、ヨットにある銃を持ってこようと戻る







ベバリは祭壇の天井穴から目が覗くのを見て、正体を調べようとする
祭壇の壁をのぼった際、壁土が崩れて、黄金の壁が出て来て、これが宝だと分かる







崖を登ると、スザベラ号のほかにもう1隻の船を見つける
その時、3人の土人に囚われ、部落まで連れて行かれて、小屋に閉じこめられる







酋長と魔法使い(シャーマンのことか?)が強そうな男たちに指図するのを見て
祭壇を荒らした仲間を襲って、食べようとしていると考える

草で編んだ小屋を抜け出し、道に迷いながらキャンプに着くと
もう仲間は連れ去られた後だった








●人食い人の部落
仲間は男女に分けて小屋に入れられ、“蛮人”たちは焚火を囲み
太鼓をたたいて激しく踊る儀式に夢中になる







後を尾けてきたベバリは船長と2人の船員の助けを借りようと
夜の海を泳いで着いた船は、スザベラ号ではなく
伯爵の乗るスター・メイデン号

船長と船員トムは縛られ、船員フレッドは銃で撃たれて、スザベラ号に倒れている
コックのウー・フォンは逃げだした







ベバリは壁から取った金のかけらを見せて
仲間を助けてくれたら宝を半分あげると条件を出すが
伯爵は3人とも閉じこめて行ってしまう

ベバリは狭い舷窓から脱出し、夜の海をスザベラ号まで泳ぐ
フレッドにある計画を話して、再び部落に戻り、男性陣の縄を切る
女性陣の縄を切ったら、一緒にスザベラ号まで逃げろと指示する







フレッドは決めた時間に花火に火をつけ
蛮人が花火を初めて見て驚いている間に逃げる
船長とトムは伯爵を捕えて、船底に閉じこめ、上海警察に渡す

祭壇の黄金の壁を持ち出すわけにもいかず
みんなでコックの料理を食べて、感慨にふける



解説 白木茂

クレア・ブランク
「ベバリ・ミステリー・シリーズ」は全部で二十数冊が出版された
推理というより、冒険小説で、日本、中国など、東洋が舞台なのが特色



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