0-1で敗戦。
実に8か月ぶりとなったホームスタジアムである県総でのカターレの試合。
様々な制約が課せられ、いつも通りとは程遠いなかでの戸惑いもありましたが。同時にそれは、いかにいつも通りがありがたいものであったのかの再確認ともなった、そう言えるかもしれません。
ただ・・・肝心の試合のほうは、悪い意味でのいつも通りでした。
決めなくてはならない状況で決めきれず、逆に決められてはならない状況できめられてしまう。結果、勝てたはずの、勝たねばならなかったはずの試合を落としてしまうという。
ちょうど1年前の今頃は、そんなドツボにはまってしまっている状況でした。ホームで3戦連続1-2負けを喫してしまっていた頃。
メンバーも変わって新たに踏み出したはずが、悪い意味での持ち味の継承。
この日を待っていたホームのファン・サポーターの期待に応えられませんでした。
「1週間で天国と地獄を両方味わった。先週は0-3から後半に大逆転し、きょうは最後に1点奪われて勝点を逃してしまった。最低でも勝点1は取れるゲームだった。決めるべきところで決められていたら我々が勝点3を取れたのではないか。非常に残念で悔しい。これでは昨季と何ら変わっていない。内容は良くても勝ち切れないというゲームを減らさなければいけない。 」
安達監督の試合後のコメントに、すべてが集約されているような・・・そんな試合でした。
ここ2試合でスタメン出場だった末木に代わって、イッキが今季初出場・初スタメン。これまで途中出場であったところの稲葉や大野らがスタメンとして起用されるなど、編成に変化をつけたメンバーで臨むこととなりました。
この第3節の後には中3日で水曜日にホーム秋田戦、そこからまた中3日でアウェイ岩手戦と続いていく連戦。過密スケジュールでいかにやりくりしていくかという課題にどう向き合っていくか?それを考慮しながらのメンバー編成であったかと。この試合では出場がなかったものの、ルーキーのFW松澤がベンチメンバー入りしていたのも印象的でした。
最終的には勝利したものの、前半だけで3失点を喫した前節。その反省を踏まえた試合としなければならないことは言うまでもなかったところ。
その意味においては、手堅く試合に入ることが出来ていたと思います。
そんななかで見て取れたのが、沼津のイマイチさ加減。
これまでのイメージにあるところの、ゴリゴリと圧力をかけてくるような攻撃ではなく。いや、それ自体はプレースタイルの違い、とも言えなくもなかったでしょうが。
連携、パス精度など、もうひとつ感がついて回るというか。
逆に言えば。そこをしっかりと突いて主導権を握り、なんなら一方的な試合としなければならないところでしたが。
明らかに優勢なのはカターレのほう。しかし、それをなかなか得点の決まるような雰囲気、決めるのは時間の問題、というような予感にまでは、どうにも至りませんでした。
やるならやるで徹底的に、相手の意思をくじくレベルで攻め立てられたらよかったのですが、そうもいかず。
もちろん、沼津の側もだんだんと適応してくるわけで。前半の終了間際にはゴールバーを叩くシュートがあったりなど、ヒヤリとする場面も。
それでもなお、カターレ側が優勢と見て取れた前半でしたが・・・どうにも、決め手に欠く印象のまま時間は進み。暑さ対策の飲水タイムが設けられながらも、アディショナルタイムは1分。いかにサクサクと、淡々と時間が進んでいたのかの証左でもありました。
ハーフタイムでの交代として、前節勝利の立役者・武を投入して打開を図ることに。
前半のうちに得点して優位に試合を進めたかったところ、0-0のスコアレス。そこからなんとか後半の速いうちに先制しよう、という狙いでもありました。
52分という比較的早い時間帯に、花井に代えて碓井を投入。その後も65分にイッキに代えて末木、大谷に代えて池高を。0-0という局面の打開もさることながら、中3日というスケジュールをふまえた交代であったかと。
前節は交代選手が決定的な仕事をしましたが、そう毎試合必ずうまくいく、というものでなし。それでも、いかに出場メンバーがそれぞれの仕事をやってのけるか。なかなか試合が動かないままに、時間が過ぎていきました。
後半に関しては、五分五分といったところだったでしょうか。
チャンスをつくりながらも、ピンチもある、というような。
それでも、勝利を信じて応援するスタンドのファン・サポーター。いつものように大声を張り上げることはありませんでしたが、自然発生的に沸き起こった拍手で鼓舞しました。
そんななか、試合も最終盤の89分。
攻勢に出たカターレ、今瀬のロングスローからの攻撃に託す、という場面で。
そこで、変化。ロングスローではなく、ちょん、と近くに放り。
思わず、「おい!?」とツッコむようなその場面が意図的なものであったのかどうか・・・と言っている間に、うまくつながらず相手ボール。
そこから駆け上がられたところ、林堂が対応ミスと言えてしまうプレーでもってかわされてしまい。GKと1対1の場面を作られたかと思うと、それを決められてしまい、痛恨の失点。
そのまま5分あったアディショナルタイムもスコアを動かすことは叶わず。試合終了となりました。
なんというか。
悪い意味での、いつも通り。
具体的に、どのくらいいつも通りかと言えば。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、およそ8か月ぶりの有観客ホームゲームとなった今節。その前の試合に当たる、昨年11月のホーム長野戦を思い出してみればいい。
オウンゴールというまずい守備から失点。その後なんとか追いつき、最悪でのドローとせねばならない試合でしたが。
試合最終盤の85分、途中出場のルーキーFW大城 佑斗が思い切りよく蹴り込んだシュートが決まり、自身J初ゴールが貴重な決勝点。そのまま試合終了し、苦杯をなめることに。
翻って、今節。
「決めるべき時に決めておかないと、そのうち手痛いしっぺ返しを食らうことになる」とは、サッカーに限らずどんなスポーツにも言える教訓でしょうが、まさにそんな試合。
最終盤のロングスローからチャンスをものにせねばならないシチュエーションで、まさかの変化。強引にでも押し切らねばならなかったのに肩透かし、というその隙を突かれるように攻め込まれ。守備の対応ミスから最後は途中出場の2年目・渡邊 りょうに決められ、J初ゴールを献上。結果、そのまま試合終了。
また、このパターンかよ、と。
試合最終盤に若手にJ初ゴールを献上、なんてシチュエーションは、上記2試合だけではありません。探せば労せず出てくるでしょう。業腹ながら。
そうしなければならないルールでもあるのか?というくらいに。
決めるべきときに決められなかったがために勝てなかったーーー結果論ではありますが、そういった試合がもう少し少なかったならば、去年後半の実力をもってすれば昇格出来ていたでしょう。
そんな苦い経験を踏まえて臨む、今シーズン。
だというのに。
また、繰り返すのか?
繰り返した先に待つのは、頑張っても報われずじまいという結果でしかないことは、明白です。
覆水盆に返らず。悔やんだところで、得られなかった勝ち点を取り戻すことはできません。
こんな、悪い意味でのいつも通りを繰り返していては、優勝などできはしないーーー敗戦という苦い経験をもって、身に染みたならば。
悔しかったら、勝て!
できるのは、きちんと悔しいと思うこと。それをバネにして、勝利につなげること。
次に頑張ればいい、なんて甘さでは、悪い意味でのいつも通りを繰り返すだけです。今節のように。
目先の結果に一喜一憂するな?もっと大局を見ろ?
逆でしょう。
優勝を本気で目指す、そんな大局を見据えるならば。目先の1勝を死に物狂いで奪い取らねばならないことは必定。むしろ、それなくして勝利は積み上げられないと言い切って良いかと。
だったら、やり抜くよりほかないでしょうが。
中3日で、3連勝かつ無失点という完璧なスタートダッシュを決めた秋田と対戦する次節。
悪い意味でのいつも通りを繰り返すようなら、勝機はありません。
迷っている暇は、無い。
ただ、ガムシャラに勝ちに行く。そして、待たせ続けている県総での歓喜を、ファン・サポーターに届けねばなりません。