2-1で勝利!
先のアウェイ2連戦で1分け1敗、その悪しき流れをなんとしても食い止めたいホーム戦でしたが。
その思いとは裏腹に、前半は得点のにおいがしない、まずい試合運び。なかなか自分たちのペースでプレーできないうちに、ホーム戦としては今季初めて先制点まで奪われてしまうという。
このままでは、シーズン初めて無得点で敗れた前節の二の舞。
しかし、それでも。
交代出場の選手たちが躍動、試合の流れを奪い返すと。
期待を込めて送り出された大野がヘッドで決め、まずは同点。
さらにその大野が、逆転ゴールをも奪い獲り、平日開催ながらも駆け付けたファン・サポーターの盛り上がりも最高潮!
あるいは連敗か?という流れを、見事に覆してみせたカターレ。
勝ち点3を積み上げ、今季10勝目に到達。ホーム戦連勝を継続し、勝ってシーズンを折り返すこととなったのでした。
今シーズン唯一の、リーグ戦平日開催試合。他のカテゴリでも同日の開催は無く、この富山-八戸戦がこの日唯一のJリーグの試合でした。
前節・松本戦ではメンバー外となっていた安藤がスタメン復帰、さらに途中出場であった椎名も久々のスタメン起用となりました。
控えを見ると、前節出場したマテウスとルイスのブラジル人選手コンビは外れて。
FWは3人、高橋と大野に加えて、松岡がメンバー入りすることとなりました。
日中は雨の降る時間帯もあったものの、試合中は曇り空ながらも降りだすことはありませんでした。梅雨明け宣言も出されたというのに、まさに梅雨の時期そのものの気象条件のなか、19時にキックオフ。
前節の結果を、「難敵松本が相手だったから、無得点でもしかたなかった」などと納得するようなことは、したくありませんでしたが。
今節・八戸戦の前半を見るに・・・相手云々ではなく、自分たちの側がなっていなかったからだ、と改めて認識させられてしまうことに。
これまでの、連勝の時期にすら課題として挙げられていたところの、自分たちで起こしてしまうミス。それを減らしてしっかりとペースを握る試合運びとせねば、ということは、マストであったはず。
にもかかわらず。
しなくていいミスで自分たちから流れを悪くしてしまう、というシーンが幾度も。
さらには、せっかくの攻め時にも積極性を欠いたようなプレー。そこで蹴り出したって、合わせられないだろ?とか。
どうにもこうにも、相手にプレッシャーを与えつつ攻め込む、という本来やらねばならないスタイルが、体現出来ていませんでした。
プレッシャーというなら、受けていたのはカターレのほう。
攻めっ気というものは、八戸のほうが確実に上。
さらに、こちら側陣内まで攻め込まれた際には、精度の高いロングスローを次々と放り込まれ。
気を抜いていてはやられる、というなかで、ポジションを下げて中盤で対応する川西。
もちろんそのプレーには助けられていたものの、もう少し上がった位置で仕事をしてもらわねば、なかなか攻勢にでられないだろう、と。
その意味で、椎名あたり、あまり良くなかったようで。思うように攻めのかたちを作り出せず、それが消極性にもつながってしまうという悪循環。
自分たちの至らなさで流れを悪くし、それが相手に勇気を与えてしまうというような。明らかに、悪い流れでした。
そんななか、前半も残りわずかという41分。
ロングスロー対応などで後手に回っていた感のあった相手のスローイン。その流れの中で、FW佐藤 碧が強烈なシュート。それこそGKの山田がはじき返したものの、その跳ね返りを狙っていたMF山田 尚幸に鮮やかに蹴り込まれ、失点。痛い先制ゴールを許してしまったのでした。
ホーム戦では敗れた2試合を含め、ここまですべての試合で先制してきたカターレでしたが。
いやがおうにも、前週の敗れた松本戦が思い出されます。
8試合ぶりに先制ゴールを許してしまい、そのまま無得点で敗れてしまったこと。
そのながれからの、連続ビハインド。
勝つためには、最低2点が必要になったけれど・・・ここしばらく、1点以上獲れていない。しかも、その連続試合得点も、途切れた。
そんな中で奪われた、先制点。
ダメージを残しつつ、ハーフタイムへ。
ただでさえ上位陣を追わねばならないカターレにあって、連敗など論外。
このままの状況が続けば・・・2点差とされてしまえば、もう負け確定だろう―――そんな雰囲気を、打開せねばなりませんでした。
逆転へのテコ入れとして、後半開始時に碓井に代わって末木、椎名に代わって松岡を投入することに。
すると。
その交代が、奏功することに。
前線でボールキープが出来て、さらにドリブルでの仕掛けで相手を揺さぶる松岡。そのキレというものが、明らかに試合のムードを変えたというか。
防戦に追われるのではない、自分たちからの仕掛け。
その松岡のプレーも、彼個人の力だけではなく。
同じく投入された末木が後ろでフォローに回り、その後詰めがあったからこそ松岡がしっかりと仕事ができることにつながり。
そして、58分には大野を投入。
いつもの交代タイミングよりも早く、チームトップスコアラーに逆転を託すことに。
その大野でした。
66分、松岡が左足で蹴り込んだクロスに頭で合わせ、叩きつけるヘディングシュート!見事に決まり、試合を振り出しに。
平日開催、金曜日という条件ながらも駆け付けた観衆、その数2140人。
ホームでも敗れて2連敗を喫してしまうのでは、というそれまでの雰囲気は一変し、カターレの勝利に向けての機運が、エースストライカー・大野のゴールによって一気に高まりました。
先月の沼津戦でも試合終了直前にチームを勝利に導くゴールを決めていたことがあり、それが6月のJ3月間ベストゴールに選出され、表彰されもしました。
その大野が決めたとあっては、盛り上がらないはずがない。
そして、同点ゴールにとどまりませんでした。
80分、相手ゴールキックを出足鋭く相手より先んじて跳ね返した今瀬。それが前線の川西へと渡ると、その川西が絶妙なスルーパス。
それを受け、蹴り込んだのは、またしても大野!
シーズン開幕戦であった愛媛戦でも途中出場から逆転の2ゴールを挙げたかれでしたが、また大仕事。
ベストゴール賞受賞という実績は伊達じゃない―――そう知らしめるような2得点でもって、試合をひっくり返したのでした。
こうなれば、もうカターレの試合。
これまで5連続ウノゼロ勝ちをはじめ、粘り強い守備を繰り広げてきたカターレにあっては、1点差を守り切って勝とうとする試合は、いつものこととすら言えました。
3分あったアディショナルタイムにも、残り2回の交代枠を使って時間を進め。
最後の反撃を試みる八戸が、元カターレのGK・服部も攻撃参加。これもまた、ある意味見慣れた光景。
そして、タイムアップ。
逆転勝利で今季10勝目を挙げ、あるいは敗れて後退する可能性もあったなか、昇格戦線に喰らいつくことに成功したのでした。
八戸の敗因について志垣監督は、地元である青森県とアウェイの地の気候差にも要因があったのでは?とコメントしていましたが。
私見ですが、個人的にはもっと根本的なところであったように思います。
端的に言えば、八戸は勝ち慣れていなかった、と。
前半のペースで試合が進んでいたならば、2点差がついてしまった時点で、ほぼカターレの負けが確定してしまったのではないかと。
仕留めるべきタイミングで追加点を挙げられない、ということに関しては、このところずっと1点止まりであったカターレが言っても「お前が言うな」というところではありますが。
それでも。
追加点が獲れないならば獲れないなりに、粘り強い守備で相手に得点を許さない試合を続けてきたカターレ。それを勝利に結び付けてきたという経験と自信。
体力的にきつくなってくる試合後半においても、やるべきことを徹底していたカターレと、運動量が落ちて集中力も低下、その隙を突かれたかたちの八戸。その差。
この逆転勝利は、優勝を目指すクラブが底力を見せてのもの。そう言えるかと。
連敗、連続無得点敗戦ということになる可能性もあった試合。もしそんな最悪の結果となってしまっていては、シーズン後半に向けて暗い影を落とすどころの話ではなかったでしょう。
それでも、勝った。
無論、反省材料は多々あることは確かですが。けれども、それは伸びしろを残しているということでもあり。
まだまだ、こんなもんじゃないぞと。
2年連続の前半戦首位ターンとはならなかったけれど。
さりとて、大きく水をあけられて他力本願でしかどうにもならない、というほどの差でもない。射程圏内と言っていいでしょう。
ならばこそ。
たとえビハインド状態にあっても、あきらめることなく信じた道を貫けば、きっと事態を打開できる―――この試合でも得た、貴重な経験と自信。
それらを糧に、さらなる精進を続けねば。
サマーブレイク的な期間があった昨シーズンとは違い、シーズン後半戦はすぐにスタートします。
まずは、次節のアウェイYS横浜戦。
今節同様に、下位のクラブとの対戦とはなりますが、それでも。
驕ることなく、侮ることなく。
勝ち点3を奪取し、再び連勝を開始していかねばなりません。
戦いは続きます。