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ハットトリックにはハットトリックを!リベンジの逆転勝利で首位撃破 愛媛FC戦

2023-10-02 23:45:02 | カターレ富山
3-2で勝利!
今シーズンのなかでも、その結果が、勝敗がとりわけ大きな意味を持つこととなった今節。
首位・愛媛に対して幸先よく先制したのもつかの間、前半のうちに逆転を許してしまうという厳しい展開。
前回対戦同様に、逆転負けを喫して苦杯をなめることとなってしまうのか?
あるいは、意気消沈して勝ちをあきらめた者もいたかもしれません。
けれども。
劣勢にあっても、カターレは決してあきらめなかった。
やられたら、やり返す。
ハットトリックをくらって逆転負けを喫した前回対戦、そのリベンジに・・・こんなことが、本当にありえるのか。
目には目を、歯には歯を。ハットトリックにはハットトリックを!
Jリーグ参入後クラブ史上2度目、ホームでは史上初となるハットトリック達成でもって、逆転勝利。ただの1勝どころではない、大きな大きな勝ち点3を得ることが出来たのでした。

前節・長野戦での被ハットトリックによる惨敗でもって、否が応にも思い出された、愛媛との前回対戦。すなわち、2点差をハットトリックでひっくり返されての逆転負け。
それでも。
ネガティブなイメージを引きずることで勝てるものも勝てなくなってしまうことがあっては、言語道断というもの。
連敗断固阻止のために勝たねばならないならば、その相手が首位であろうが関係ない。必勝の気概が求められました。

前節の敗戦を受けて、あるいは対愛媛戦への対抗策か。いずれにせよ、前節のスタメンから5人を変更と、編成にテコ入れをして臨むことになった今節。
個人的に期待をかけていた大野はベンチスタートとなった一方で、代わってマテウスがスタメン起用となりました。
そしてボランチには、前節の終盤で意地のゴールを決めて一矢報いたシルバが。
ここまであまり無かったーーー過去1例だけか?という、ブラジル人コンビが揃ってスタメン起用となったのが印象的でした。
シーズン序盤に4試合連続4ゴールを挙げて以来、久しくゴールが無かったシルバでしたが。ハットトリックをくらって敗戦濃厚な状況であったものの、それでもただ敗れるを良しとせず、最後まで足掻いて見せての意地の今季5得点目。
それを活かすも殺すも今節の頑張りにかかっているーーーそんな思いとともに試合に臨んだのではないかと。

必ずかたねばならない試合、とにもかくにも得点しなければ話にならない。
そんななかで、21分。先制ゴールを挙げたのはカターレでした。
CBの今瀬が、彼の持ち味でもある中央からの縦への速いパス。カウンターの起点となりました。
それを受けたマテウスが、鮮やかなターンとともにドリブル突破。
通常であれば、後方からのパスを受ける→ターンして前を向く→ドリブルで駆け出す、という3アクションの流れとなるところ。
それを、受けターン→ドリブル、という2アクションに省略、相手を置き去りにするという素晴らしいアクションでした。
そして、素晴らしかったのはマテウスだけでなく。左から伊藤、中央からシルバ、右から椎名がタイムラグ無しで彼に続き、ペナルティエリア付近で4対3の数的優位を形成。
伊藤に振って中央へ折り返し、ちょっとマテウスの体制が崩れてしまったものの、そこに詰めるシルバ。そのまま右から上がってきた椎名に流してシュートか?と思いきや、シルバが反転シュート。その連携にターゲットを絞り切れなかった愛媛。
見事に決まり、シルバにとって2試合連続ゴール。価値ある先制点となったのでした。

ただ・・・。
僅か10分後の31分、MF曽根田 穣に決められてしまい、追いつかれてしまうことに。
なまじ、先制点が良かっただけに、と言うべきか。勢いを継続して追加点をうばうべきところで、逆に決められてしまうという。
それも・・・相手の上手さというよりも、自分たちの甘さによるもので。どうしても防げない失点ではなかった。
安光にしても、ペナルティエリア内でファウルをしてはならないとの意識があったのでしょうが、それでも・・・甘かった、と言わざるを得ません。的確に寄せていれば防げたであろう失点。
プロ2年目ではあるものの、本格的にチームの主力としてプレーするのは今シーズンが初という安光。経験不足、と断じるのも酷ではあるものの、それを失点の、敗戦の言い訳にするわけにはいきません。
それでなくとも、かたねばならない首位・愛媛戦。
このまま終わるわけにはいかない、なんとか厳しく当たり、追加点を許さない守備を構築せねばーーー。
そう、思っていたのですが。
その意気込みが、仇となってしまったとでも言うのか。
42分、大山がペナルティエリア内で倒してしまったとしてPKに。
キッカーは、ここまで11ゴールを挙げている愛媛のエース・松田 力。
なんとしても阻止してくれ田川!
その思いが通じ、シュートがポストに跳ね返りーーー次の瞬間、逆のポストに当たってゴールに吸い込まれてしまうことに。
前半のうちに逆転を許してしまう苦しい展開。
またか・・・また、逆転負けを喫してしまうというのか?

勝負の後半でしたが・・・どうにも、上手くいきませんでした。
後方からパスを繋ぎつつチャンスをうかがい、なんとか自分たちのペースに持ち込んでいこう、という意図はわかるものの。
どうにもクオリティが低く、ミスも多く。
なんとか相手の攻勢こそ防ぐものの、いざ自分たちのターンで、積極的に出られない。
愛媛としては、推進力を出せないままにパスを回されているぶんには脅威でもなく、やらせておけ、くらいのものであったでしょう。
そこを勇気をもって突破し、自分たちから得点の流れを作り出さねばならなかったのですが・・・いかんせん、その決め手となるアクションにまでは至らず。
正直言って、もっとやらねばならないところが出来ていないというもどかしさばかりが募る展開。そして、時間が刻々と過ぎていくという。
途中出場の松岡も、うーん、と首をひねる出来。
過度な期待とか高望みとかではなくて。良い時の彼であればやらないボールロストとか、もっと出来るだろ?という突破失敗とか・・・いつものキレがあれば、もっと!という、なんとももどかしいプレーぶりで。
大事な大事な、今シーズン1,2を争うほどに重要な試合であるはずの今節。
それが、これでいいのか?
前回同様に逆転負けでいいのか?
いいわけがない。
けれど、このままではーーー。

「次の1点」をめぐる攻防も、試合終盤へ。
73分、松岡のシュートはポストに嫌われてゴールならず。
PKに続いて、また邪魔だてするのかよ!という憤慨の、その直後。
カウンターから抜け出されてしまい、ベン ダンカンにGKと1対1という場面を作られる致命的なピンチ。
しかし、今度はポストに救われるかたちで胸をなでおろすことに。
もちろん、試合は終わっていない。いないからこそ、どうにかせねば・・・このままでは、敗戦あるのみ。

けれど。そもままでは、終わりませんでした。
本当のところがどうあったかはわかりませんが、あるいは、愛媛のほうには「このまましっかり1点差を守り切ったら勝てる」という意識があったのかもしれません。かならずしも突き放す追加点にこだわらずとも、と。
一方の、攻めあぐねていたカターレでしたが。
それでも。
上手くいくばかりでない、上手くいかないなかにあっても。決して、勝負を投げたわけではなかったのです。
試合も大詰めの80分。シルバが2点目のゴールを決め、試合を振り出しに戻すことに成功しました。
自らの甘さが失点を招いたかたちの安光にとって、苦しい試合展開であったと思います。けれど、それでも勝利を信じてプレーを続け。左サイドから中央へ、3人いた相手選手のちょうど中間という絶妙な位置へとパスを蹴り出すと。
それに即座に反応したシルバ。彼もまた、虎視眈々と得点のチャンスを狙っていたのです。
敗色濃厚、重苦しい雰囲気が漂っていたスタジアムが、一気に沸き立つ同点ゴール。
そうだ、負けない!負けてたまるかよ!

上手くはいかなかった、やりたいサッカーが出来ていなかった。
けれど、勝利をあきらめていたわけでは、決してなかった。選手たち全員が。
86分。
これまであまり良いところのなかった松岡もまた、あきらめてなどいなかったひとり。その彼が、果敢にゴールラインギリギリからマイナスのクロスを上げると。
それに相手選手と競り合いながらも飛び出し、頭で合わせたのはシルバ!
3度、ゴールを揺らすハットトリック!土壇場で、逆転に成功!
スポンサーボードを飛び越え、ゴール裏にまで駆けてくる選手たち!つい10分前くらいまで重く沈んでいた空気はどこへやら、興奮と歓喜のるつぼと化す県総!
残り時間も、途中出場の大野らが頑張りを見せて積極果敢にボールに食らいつき、相手の攻撃を封じると。
タイムアップ、試合終了。
劇的な大逆転でもって、勝たねばならない大一番を制したのでした。

愛媛の同点となったゴールを決めた曽根田が試合後に「悔しい。この悔しさはこれまでのプロ経験の中でも一番かもしれない」とコメントしたようですが。
いやいや、その悔しい思いを、我々はあなたたちにやられているんですよ、と。
なんなら、前節にそれを蒸し返されたばかりですよ、と。
確かに、思っていました。ハットトリックにはハットトリックでやり返せ、と。
それでも・・・よもや、それが現実になるとは。
2013年9月のアウェイ福岡戦で苔口が達成して以来という、10年ぶりとなるハットトリック。リーグ戦においては、ホームでは初の快挙。
順位が3位に上がったとはいえ、昇格圏とは2差。まだなにも成し遂げてはいません。
それでも、ハットトリックの快挙、リベンジの首位愛媛撃破は、ただの1勝以上の価値ある勝利であったことは、間違いありません。
ここで勝つか負けるかで、天と地の差があったでしょう。
そこを、勝ちきった。
希望を繋いだ。
この試合が証明してみせました。停滞感を破るのは、数字や理屈じゃないんだ。勝つという意思なのだと。
厳しい戦いは続きますが、それでも。
負け試合ながらも投げ出すことなく一矢報いた前節のゴール。それが今節の勝利につながったように。
なんとでもなるはずだ。
ならば、勝つのみ。勝ち進むのみ。
戦いは、まだまだこれからです。