1-2で敗戦。
昇格戦線を戦い抜くため、是が非でも勝たねばならなかった沼津とのリベンジマッチでしたが。
先制を許しながらも前半のうちに追いつき、後半はカターレペース。逆転も時間の問題であったなかで。
「決めるべきところで決めきれないと、手痛いしっぺ返しを食らうことになる」というのは、サッカーでは古今東西繰り返されてきた、起こり得るジンクスではありますが。
それが、最悪のかたちで顕現。
3ならずとも、せめて1でも積み重ねなければならなかった勝ち点は、試合終了間際のゴールによって掻き消されることとなってしまったのでした。
直近2連勝からの3連勝であると同時に、ホーム戦3連勝がかかった試合でもあった今節。それは同時に、ホーム戦全5試合が15周年ユニフォーム着用試合となっていたなかで。2連敗から2連勝、3連勝を成し遂げる子どで勝ち越しがかかった試合でもありました。
午前中は晴れ間も見えていたものの、試合が近づくなか、時々雷も鳴る大雨に見舞われ。
今シーズン、試合日の大雨といえば、否応なく思い出されるのが天皇杯3回戦・新潟戦。
「またか・・・」と気持ちも沈みがちとなったものの、中断・中止という面倒なことこの上ない状況にさえならなければそれでいいや、と達観の境地。
そんななかで、まるで狙っていたかのように。14時の試合開始に合わせたかのように雨は上がり。芝生のコンディションはさておき、少なくとも雨の降りしきる中での試合とはならずに済みました。
2連勝を挙げたメンバーをそのまま起用。継続性を武器に必勝を期すことに。
監督が試合後にコメントで「相手をリスペクトし過ぎたのか、「前半戦えていない」これが全てだと思います。ボールの寄せが甘い、ボール奪いにいくスイッチを入れていない」と振り返った前半でしたが。
確かに、行くべきところで力を出し切れていなかったきらいはありましたし、ミス、もうひと踏ん張り必要だろう?というところもありましたが。
それでも。
総じてみれば、悲観するほどひどくは見受けられませんでした。
言ってしまえば、例えば4連敗していたときなどは・・・それはもう、見るからに攻勢をかける覇気が足りない、というものであったことを思えば。
ここまで10得点を挙げている沼津のエース・ブラウン ノア 賢信にしても、今瀬がしっかりとマーク。起点となる動きを制限し、好きにはプレーさせませんでした。
攻撃にしても、積極的な動きでボールを追うマテウス、サイドを駆ける伊藤など、なんとかチャンスを活かしてシュートにまでつなげようという意思も感じられ。
ただ・・・20分、スコアを動かしたのは沼津のほうでした。
MF持井 響太のシュートが沼津の選手に当たってコースが変わり、さしもの田川も対応しきれず決められてしまいました。
なんというか・・・ヌルっと決められた、というか。
ゴール前の混戦の中でも、距離、威力的に見ても、田川であれば止められていたであろうシュート。それが、アンラッキーなかたちで失点となってしまい。
沼津の側にとってみれば、前回対戦でもゴールを決めた持井が再び決めた!このまま富山戦連勝だ!という、またとない先制点だったことでしょう。
しかし、それでも。
そこでうつむいて消極的になるカターレではありませんでした。
26分、ペナルティーアークちょい左という位置取りでのFKのチャンスで、キッカーはマテウス。
「強めに蹴ると枠内にいかないと思ったので少し抑えめに蹴りました」とのコメント通り、抑えのきいたきれいなシュートがゴールに突き刺さり、同点!
先制点を奪われたなかで、相手を勢いづかせる間を与えずに前半のうちに追いついた。
思えば、一昨年の夏にシーズン途中加入したマテウスのカターレ初ゴールが、アウェイでの沼津戦でした。そのときはゴール実らず敗れてしまいましたが、今節はその借りを勝って返さねばということだな?そうだろ!
ここ3試合で3連敗中の沼津ですが、そのスコアはいずれも1-2。ならば、今節も同じ結果にしてやろうじゃないか!1点はとられた。けれど、それっきりにして逆転勝ちしてやろうじゃないか!
迎えた後半、前半の修正を踏まえてカターレがペースを握ることに。
ゴールに迫る回数も増え、攻勢にリズムも生み出され。逆転への期待が高まりました。
ただ・・・そんな期待に水を差すように、試合はイライラした展開に。スコアが動かなかったことよりは、もっと別のところで。
どうにもこうにも、沼津のラフプレーが目に余る。
一体、何回後ろから手で押して倒す、バランスを崩させているんだよ!審判も審判だ、なんでそれをファウル判定しないで流してるんだよ!
それどころか、ボールの競り合いでの体をぶつける接触プレーではなく、それはあからさまにボールに関係なく選手を狙ったタックルだろうが!という荒いプレー。にもかかわらず、笛は吹かれず。
おかしいだろうが!!
勝負事はきれいごとじゃない?勝つためにはいかなる手段も正当化?
途中出場の松岡に対する激しいチャージ、カッとなった松岡が一触即発という剣呑な雰囲気という場面があったりと。
こりゃ、こんなプレーをしている沼津を勝たせたら駄目だ。他でもない、沼津のためにならない。
勝ちきるしかないだろうが!おかしい判定も含めて、吹き飛ばす勝利を挙げて思い知らさねばならないだろうが!
・・・だのに。
試合終了間際、90+3分。まさにラストプレー。
途中出場のMF鈴木 拳士郎に決めらえてしまい、まさかの失点。
ボールはセンターサークルに返されることなく試合終了のホイッスル。
雨の影響もあって、2368人といういささか寂しい動員数であったこの試合。
けれど、駆け付けたカターレファン・サポーターは、勝利を信じて応援をつづけました。ゴール裏は一致結束して、声を枯らして応援を続けました。
・・・あまりにあんまりな幕切れ。
試合終了後、選手が整列、挨拶のために回ってきましたが。
その間、シン・・・と、誰も言葉を発せられませんでした。
つい先ほどまで歓声に包まれていたゴール裏が、静まり返っていました。
その、あまりに無体な、無慈悲なコントラスト。
・・・それでも。
それでも、ゴール裏に挨拶に来た選手たちには、激励の拍手、声掛けをもって迎えたのでした。
4連敗のときにはブーイングを浴びせて不甲斐ない敗戦を糾弾したこともありましたが、この試合は違いました。なぜなら、勝利への意志がしっかりと見てとれた試合であったから。
結果は、勝ち点3必須であったところが、1ですらなく0とはなりました。
けれど。
勝利を目指して戦った選手たちの必死さが伝わってきたのであれば、それは同じ敗戦であっても、無価値などではない。ならば、うつむく必要などあるものか。
3連勝はならず、痛い敗戦を喫しても。
思いが選手たちに届くようにと。彼らがピッチを後にするまで、チームコールは鳴りやまなかったのでした。
首位の愛媛が勝利し、連続勝ちなしを3でストップ。最後の最後で敗れたカターレへの当てつけでもないでしょうが、試合終了間際の劇的ゴールでの勝利であったとのこと。それによって、詰めなければならなかった首位との差が、3ぶんだけ広げられてしまうことに。
ただ、一方で。
お付き合いでもなんでもないでしょうが、2位の鹿児島、4位の今治がそれぞれ敗れ、勝ち点差は変わらず、カターレは3位のままとなりました。
不幸中の幸い、と言うには、1節ぶんの消化が進んで厳しさが増したぶんだけ、結果マイナスではありますが。
けれど、それでも。
負けたことは覆らない。取り返しもつかない。でも、決してネガティブな、どうしようもない負けではなかった。
そして、何よりも重要なのは。
まだ、なにも終わってはいないということ。
だったら。
止まってしまった連勝も、次からまた積み重ねるまでのこと。
残り全勝を成し遂げるために。昇格を、成し遂げるために。
できるかどうかじゃない、やるんだ。
戦いは続きます。