www.nnn.co.jp/dainichi/column/ryoudan... - 21 時間前 - 【 慶応大学名誉教授、小林節氏の 『一刀両断』(いっとうりょうだん) 】 ひとたち ... 日本海 新聞・大阪日日新聞客員論説委員。1949年東京都生まれ。1977年慶応大学法学部 博士課程修了。ハーバード大学客員研究員。法学博士 ... 自民党若手代議士の暴言 再び.
曲学阿世:真実を追求し、虚実の世間に迎合するようなことはしたくない。
真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。
自民党若手代議士の暴言再び
2015/8/11
武藤貴也衆議院議員(自民、滋賀4区、当選2回)のツイッター上の書き込み(発言)が物議を醸しているが、私も看過できない。
いわく、「法案が成立しても戦争に行くことはなく、学生たちが誤解している」「間違った情報に基づいて若い人たちが誤解したり、だまされたりしている」「Sealds」(反安保法案の学生団体)の主張は「『だって戦争に行きたくないじゃん』という自己中心、極端な利己的考えに基づく」そして、同代議士は、批判を受けて「考えに変わりはない」「撤回することはない」とのことである。
まず、「法案が成立しても戦争に行くことはな(い)」という同代議士の発言自体が「間違った情報」であり、同代議士こそ国民を「だま(そう)」としていると私は評価せざるを得ない。
第2次大戦後70年間、わが国は、幸運なことに一度も戦争に参加していない。それは、敗戦時の約束である憲法9条がわが国に海外派兵を厳禁しているからである。だから、現在、わが国は「専守防衛」に徹し、海外派兵(戦争参加)を許す法律自体が存在しない。ところが、今回の法案が成立して法律ができると、安倍首相の言葉によれば首相が「客観的、合理的、総合的に判断」すれば(その合理性についての疑義は今はおくとして)わが国は、戦後初めて、海外で戦争を遂行している米軍などを支援するために海外派兵できることになる。これは「戦争に行く」以外の何ものでもない。
さらに、学生諸君の「戦争に行きたくない」という考えは「極端な利己的考え」であろうか?私にはそうは思えない。
今、アメリカが苦しんでいる戦争は、十字軍以来何百年もの背景のあるキリスト教グループとイスラム教グループの対立がその根底にある。その戦争の片方の当事であるアメリカの友軍としてわが国が参戦するには、まず、わが国の側に参戦する動機がない。その上で、参戦すれば、「イスラムの敵の友軍は敵である」として、当然に、アメリカ、イギリス、フランス、スペインに続いてわが国でテロが引き起こされることになろう。しかし、そのような因果の引き金を引くことには何の正当性もない。だから、誰でもひとつしかない命を懸けてそのような不当な「戦争に行きたくない」と考えることは、日本国民として当然なことで、Sealdsの諸君は、そのような正当な世論を代弁しているだけであろう。
(慶大名誉教授・弁護士)