■「ダヴィンチ・コード/The DaVince Code」(2006年・アメリカ)
監督=ロン・ハワード
主演=トム・ハンクス オドレイ・トトゥ ジャン・レノ イアン・マッケラン
※注・原作の内容に触れています。未読の方はご注意を。
ダン・ブラウンのベストセラー小説を、ロン・ハワード監督が映画化した超話題作。なにせキリスト教の教義に関わる内容だけに、バチカンもナーヴァスになる。その反応がまた宣伝効果をもたらす・・・ということで大ヒットとなること必至。かくいう僕も原作を読んで映画館に行くという行動を久しぶりにとった。原作は、文章や場面の展開が実に映画的。映像化したとき、思わせぶりにこんなカットが挿入されるだろうなぁ・・・なんて思わせる部分が多々ある。ラストシーンに至ってはきちんとキスシーンまでご用意されていて、ヒッチコック映画を思わせた。それまでさんざん一緒に逃げ回っていた男女が最後の最後でキスを交わす・・・。あ、映画にこの場面出てきません。オドレイ・トトゥのファンの皆様、よかったね(笑)。
映画は「展開が早いゾ!」「1回じゃわからんゾ!」と観る前にさんざん情報が入ってきていた。それは確かにそうだ。でも2時間余の尺に収めなくてはならないんだから、仕方ない。映画として綺麗にまとめたな、というのが僕の印象。銀行の貸金庫の場面にしても、5文字の暗号にしても、そこにたどり着くまでのハラハラ、ドキドキが、原作ではしつこく畳みかけてくる。ところが映画ではかなりあっさりと進行するから、正直拍子抜けしたところもある。インターネット使う場面が原作とは違ってやたら軽くなってるのにはビックリ。原作で長々引っ張る”出生の秘密”は、映画ではラストで一気に見せてくる。これはこれでわかりやすいし、構成としては成功だ。ただ最初のパスワードがわかるエピソードで感動した僕としては少し物足りないなぁ。原作を先に読んだからますますそう思うのかもしれない。
映画化にあたっては魅力的なキャストが揃ったのが嬉しい。トム・ハンクスの”巻き込まれ型サスペンス”というと、大昔の「赤い靴を履いた男の子」(劇場未公開)を思い出す。ますます加わってきた渋さと大人の優しさがいい雰囲気だ。ソフィー・ヌヴー役は、我らがソフィー・マルソーも候補に挙がっていたらしい(残念)。だがこれはオドレイ・トトゥ正解でしょう。原作にはない「水の上は歩けないわ」という台詞も、彼女らしさがあって素敵だった。脇役もそれぞれが熱演をみせている。キリスト教の教義がどうのって部分は、日本人はなかなかピンとこないだろうから、純粋にミステリー/サスペンスとして楽しむが勝ち。そういう意味ではこれは成功作ですね。