厳冬のマッキンリーに、無謀にも単独で登り、消息を絶ったガイドを、友人や他のガイドが救出に向かう小説だ。
山岳小説の最高峰と背表紙には書いてある。
確かに、山岳シーンが延々と続き、その描写はすごい。
しかし、前回読んだ「還るべき場所」に比べ、やや、くどい、長いと感じた。
奥さんのおなかには子供が宿り、新規事業も立ち上げようとしており、無謀な命がけの山登りなどやってるところじゃないのに、単独行 . . . 本文を読む
新田次郎に戻って、「芙蓉の人」を読んでみた。
個人が私費を投じて、富士山に気象観測所を建てたという事実に、まず、驚いた。
そして、たった一人、気象観測所に一冬、こもって一日12回(2時間おき)の観測をしようとしたのである。寝不足で死んでしまうに決まっている。
その中で、妻、千代子が、一人では無理だと思い、あとを追って富士山頂に登り、夫に変わりに昼間は気象観測をやった物語だ。
明治の女性の強 . . . 本文を読む
こちらも山岳小説のトップ10に入っており、かつ、新田次郎文学賞を受賞した山岳ミステリー集となれば、期待していたのだが...
黒部の羆、灰色の北壁、雪の慰霊碑の3つの短編山岳ミステリー集だ。
黒部の羆は、ちょっと、実験的な感じがした。自分が遭難して救助してもらった後、自分も救助隊に入り、同じような若者たちを救助するのだが、どこで話が切り替わったか、わからないように書いてあるのだ。
灰色の北壁も . . . 本文を読む