何とも、物騒な表題だ。10篇からなる短編集だが、ほとんど、どれも、十分楽しめた。
有名な剣客の話だけでなく、むしろ、あまり知られていない剣客の話が面白かった。
例えば、「抜き、即、斬」では、11歳で果し合いをした若武者が描かれる。果し合いを申し出た者が、ほとんど、討たれるとのことだが...
最後の2編も、ちょっと、吉村昭を想起させる作品もある。「剣光、三国峠」の戦闘場面は、素晴らしかった。
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奥田英朗の直木賞受賞作、「空中ブランコ」を読んだ。
伊良部総合病院の神経科を舞台にした5編の短編集からなる。
どれも、設定がおかしくて、会話も楽しめた。思わず、笑わずにはおれないなんて、久しぶりの快感だった。最近のお笑いは、無理やり笑わせようとしているようなところがあり、この作品群のように、自然に笑わざるおえなくなるのが、新鮮な気持ちだった。
このシリーズの前作のインザプールも読んでみようと . . . 本文を読む
久しぶりに、ANTHONY HOROWITZの作品を読んだ。このミステリーはすごい、本屋大賞などなどを受賞したMAGPIE MURDERSだ。こんな複雑なミステリーを書くのは、現代では、アンソニーホロウイッツ以外、いないのではないかと思えるような構成だった。何しろ、ページ数が、通しではないのに驚く。
1.殺人事件と2.その作品を書いた作者の殺人事件が進行するのだが、ページが違うのだ。
1.ペー . . . 本文を読む
池井戸潤の江戸川乱歩賞受賞作、「果つる底なき」を読んでみた。
江戸川乱歩賞受賞作を読むのは久しぶりだ。直木賞受賞作の「下町ロケット」が、ちょっと、長そうだったという不純な理由からだが、中々、面白かった。
元銀行員だった作者の経歴、知識を活かしたリアリティーにあふれた作品だ。友人の債権回収担当の銀行員がアレルギー性ショックでなくなる。その謎を解くべく、組織の派閥に背を向けた男が、動くのだ。面白い . . . 本文を読む
藤沢周平の直木賞受賞作と他4編からなる「暗殺の年輪」を読んだ。
驚いたことに、他4編のうちの3編は、直木賞候補にあがっていたのだ。
それだけに、どれも、濃密な作品だった。
どれも、後味は、少々、辛めで良いとは言えない。男と女の愛憎や、人間の嫉妬も描かれている。
自分としては、直木賞とは関係のない「ただ一撃」という短編が、一番、気に入った。
ちょっと、剣客商売の老剣客を思い出す剣客の物語だ . . . 本文を読む